タイトル:スペーシャリスト会報 Vol.101 | 発行日時:20015年5月22日13時39分6秒 |
┏ Magazine from Spatialist Club ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓ 20015年5月22日 ◇ スペーシャリスト メールマガジン ◇ vol.101 発行元:スペーシャリストMM事務局 http://www.capnet.jp/spatial/ ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ INDEX : *ニュース・ラウンジ(秋山幸秀) *企画委員会・各支部活動報告(―) *リレーエッセイ<空間連携>(菊池譲) *新会員のコーナー(小出和政、小林浩) *空間情報関連便利グッズ/書籍の紹介等(望月貫一郎) *測量協会からのお知らせ(廿楽実) ============================================================================ ■ニュース・ラウンジ 昨今、大気中のCO2の平均濃度が400ppmを超え、地球温暖化が加速するとNOAA(アメリ カ海洋大気庁)が発表しました。氷河が溶けて海水面が上昇すると、国土が減少する国が あり、被害を受ける国にとっては深刻な問題です。極地のホッキョクグマの生息地を含め 生態系への影響も考えると、座視できる状況ではありません。温暖化の影響かどうかは断 定できませんが、地球規模で地殻変動の頻度が上がっています。大地震も、記録が少なく 備えが十分でない箇所でも発生したり、噴火活動が各地で起こったりしています。日本国 内では桜島、西之島、口之永良部島、御嶽山、蔵王などで火山活動やマグマの移動による 火山性地震が頻発しています。箱根の大涌谷でも火山性地震が群発し、御嶽山災害を教訓 にして即座に警戒レベルが1から2に上げられたのも安全面では良いのでしょうが、地元の 観光業者は困惑しています。危険の兆候がより正確に捉えらえるために、フィールドを観 測・監視して安全対策が適正に行えるように詳細に分析し対応することは、安全優先一辺 倒の過剰反応による損益に対して有効です。 無人航空機がUAVからドローンと呼ばれることが多くなってきています。同音異義語と して音楽業界では同一音の低音がドローンですが、最近マスメディアが一斉に報じている こともあり、新しモノ好きな日本人はUAV=ドローンで流行しています。日本は、元々ラ ジコン大国で、以前から無人航空機は農薬散布や空撮その他で利用されていました。無人 航空機も性能が向上し、安価になり、容易に入手可能となったため、野放図での利用が、 テロや事故などで安全な社会基盤を阻害することの無いように、運用に対するルールが意 識されています。以前から航空宇宙の研究分野でも、万が一の際には機体を安全に着水 (墜落)させる手法などが議論されていましたが、幾つかの事例から無人機の飛行に関す る法整備が必要であると政府で認識されました。欧米では、既に認可制が進められていま す。今後は飛行規制区域の設定、航空法で申請の必要がなかった地上から150m未満の飛行 の申請や機体の登録、および操縦者の特殊無線技士免許取得などが義務化されることでし ょう。軍事用は規制外でしょうが、より複雑な業務用からホビー用への規制が有益な利活 用を阻害しないように、安全基準を定め運用していくことが望まれます。[規制法の素案 は、重要施設の敷地上空(敷地周囲300mを含む)を飛行禁止区域とし、違反者は1年以下の 懲役か50万円以下の罰金。他の規制案は、5km以上飛行可能な機体は第3級陸上特殊無線技 士の義務化と全機の登録制] 2014年度に、アメリカ合衆国の商業用高解像度衛星の友好国への50cm分解能規制が外さ れ、分解能が40cmやそれ以下へと移行しつつあります。日本国内では公共測量作業規定に より航空写真図化においては1/2500縮尺で38cm分解能が必要であったため、従来の50cmで は基準を満たしていなかったところが、高解像度衛星画像の参入が可能となるレベルまで 向上しました。これは、航空写真に因らず衛星画像でも高品位な地図作製や更新を行うこ とが可能となることを意味します。冒頭の地震や火山活動などの減災、防災対応のための 兆候情報を得るのに、人工衛星や無人機を活用して各種のフィールドを観測してより詳細 な情報を入手し利活用していくことも、地理空間情報分野の役割と考えます。 (秋山幸秀:朝日航洋) <編集よりお知らせ> 6月号の担当は、大山容一さんです。 ■企画委員会・各支部活動報告 今月号は、記事がありません。 <編集よりお知らせ> 企画委員会および各支部活動報告の議事録は、毎月10日までに原稿を送付頂ければ、当 月号に掲載致します。なお、文字数によっては、抜粋・要約する場合があることを予めご 了承ください。 ■リレーエッセイ<空間連携> 弊社中四国事業部の河野氏よりバトンを受けました、株式会社パスコの菊池です。 前回のエッセイでは、レーザ標高値とオルソ画像を活用した立体マップの話でした。 私は学生の頃から現在に至るまで、森林・林業に関する分野に携わってきていますが、 レーザ計測技術は森林・林業の分野にも大きな変革をもたらしています。 林業では、任意の区域内にどれくらいの資源量(材積)が存在するかを把握することが 重要です。これまでは、現地サンプリング調査を基に統計的に全体材積を推定する方法が 主流でした。レーザ計測を用いることで、広域での本数、樹高の計測が現地に行かずに可 能となるほか(現地照合は必要ですが)、立木密度や相対幹距比など森林管理の指標を得 ることもできます。材積はサンプリング調査との組み合わせで推定しますが、各種研究が 進められており、効率化・高精度化が期待されています。今後、「測樹学」(樹木・森林 の大きさの計測手法を学ぶ講座)の教科書の内容が大きく変わるのではないでしょうか。 日本は言わずとも知れた森林大国ですが、木材自給率は3割弱程度です。国内林業の活 性化のためにも、最新計測技術を積極的に活用していくべきではないでしょうか。 次回は弊社技術の各種企画に携わる、垣内英俊氏に繋ぎます。よろしくお願いします。 (菊池 譲:パスコ) ■新会員のコーナー 【執筆順番(敬称略)】 2015年 5月号 小出(国際航業)、小林(朝日航洋) 6月号 芝(国際航業)、澤(アジア航測)、植木(国際航業) 7月号 川上(日建技術コンサルタント)、戸村(アジア航測)、 谷口(国際航業) 8月号 杉森(朝日航洋)、横井(日本海航測) 9月号 兼子(パスコ)、金久保(サン・ジオテック) 10月号 下鳴(アスコ)、安海(朝日航洋) 11月号 坂元(パスコ)、西村(パスコ) 12月号 鈴田(朝日航洋)、中西(写測エンジニアリング) 2016年 1月号 青木(パスコ)、富田(国際航業)、板野(パスコ) ◇コラム「測量業界に入って20年」 4月に入り、新入社員も配属される季節となりました。私も20年前に、新入社員として 測量業界へ足を踏み入れました。入社当初は航空測量を担当し、深い山の高さ20m近い木 に登り対空標識を設置し、軍隊をイメージする若草色の大きな歯車の塊のような図化機を 使って図面を作成していました。測量は、「体力・経験>知識・アイデア」の時代だった と思います。それから20年、GNSSの民間利用、コンピュータ・通信の高速化・小型化によ り、蜂に刺されることもなく、腕がつって作業できない事もなくなり、業務効率は格段に 上がりました。 しかし、アナログからデジタルに移行し、「体力・経験」からの脱却はできましたが、 「知識・アイデア」との融合は進んでいるでしょうか。まだ、先人達の想定の範囲内だっ たと思います。通信の高速化、マイナンバー制の導入により、今まで地理空間情報と縁の ない行政部門も地図利用が進みます。行政の情報部門は、情報管理から情報解析を行う部 門へ変化が望まれるでしょう。我々地理空間情報技術者も、更なる高度な技術力が要求さ れると思います。私も「知識・アイデア」を武器とできる技術者を目指して、精進して参 りたいと思います。 (小出和政:国際航業) ◇コラム「迷い込んだ土木地質屋のひとりごと」 朝日航洋の小林と申します。土木地質屋の世界から航測調査の世界に足を踏み入れて13 年、ようやく昨年、空総監になることができました。 13年を振り返ると、ピンポイントを深く掘り下げることは得意な土木地質屋として育っ てきた自分にとって、広く浅く、手際よく調査し整理することを要求される航測調査の世 界は、戸惑うことが多くありました。 ですが、社会土木インフラの整備と維持管理を効率的に行ってゆくためには、土木地質 屋さんの観点・航測調査屋さんの観点・設計屋さんの観点のどれが欠けてもうまくないん だと思います。それをいかに融合させるかのカギがまさに「空間情報技術」であり、「空 間情報技術者が主導的役割を果たしてゆかねばならないところなのだろうなあ」と思いま す。 そのためには、「空間情報総括監理技術者」の社会的認知度を上げねばなりませんし、 周辺分野についての一層の勉強も必要です。もちろん自分も資格に恥じないよう先輩方を 追いかけねばなりません。いつになっても楽はできそうにありません・・・。 (小林浩:朝日航洋) ■空間情報関連便利グッズ / 書籍の紹介 等 ◇『地図情報を活かした新しいJAの営農管理メソッド』 鈴木充夫・著 全国共同出版 定価:(本体1,800円+税) 政府の規制改革会議の農業改革では、担い手(法人も含む)を地域農業の中心となる経 営体と位置づけ、この担い手に農地を集積するために、農地中間管理機構の創設、農業委 員会の見直し、農業法人の見直し、土地の権利移動の見直し、および農業協同組合の見直 しを推進しようとしています。特に、農業改革やTPPの進行することにより、農業の大規 模化や企業の農業参入が推進すると、地域農業の経営体は、競争市場に対応するために営 農に力を注ぐことが必要となります。 本書では、規制改革会議、農業協同組合の改革の解説と圃場の情報管理、営農への衛星 画像データおよび気象データの活用等、営農のための空間情報の活用事例を紹介していま す。 <<http://zenkyou.com/>> <<http://store-tsutaya.tsite.jp/item/sell_book/9784793415029.html>> (望月貫一郎:パスコ) <編集よりお知らせ> 6月号の担当は、早川和夫さんです。 ■測量協会からのお知らせ ◇公益社団法人日本測量協会から重要なお知らせ 【空間情報総括監理技術者の認定登録更新】時には、所定の測量CPDポイントが必要にな ります。 《更新条件》 ☆平成22〜23年度までの認定登録者は、25ポイント/5年間 ☆平成24年度以降の認定登録者及び第1回更新済みの認定登録者は、40ポイント/5年間 認定資格者の更新対象年度には、日本測量協会からご案内をお送りします。また、測量 CPDポイントが更新時に基準に満たない場合には、ポイントが基準に達する年度まで更新 はできません。当協会から発行される認定技術者名簿にも、その間は未掲載となります。 ※平成22年度認定登録者は、平成27年10月登録更新(第1回更新)・25ポイント/5年 ※平成17年度認定登録者は、平成27年10月登録更新(第2回更新)・40ポイント/5年 ◇空間情報技術事例報告集の報告文募集 ☆応募締め切り:随時(投稿報告文が到着次第、速やかに査読) ☆掲載可となれば、日本測量協会ホームページ上の[測量情報館]に掲載。 技術事例報告集では、新規性や独創性という視点とは別に、(1)創意工夫性(何らかの 創意工夫による業務改善への貢献など)(2)実用性(実務への応用性や実際に業務等に適 用していく際の実用性など)(3)信頼性(技術事例報告の内容やその結果に対して、信頼 性や実証性など)(4)今後の展開性(空間情報技術領域の中で、他技術領域への新たな展 開や応用の可能性、他技術との融合性や融合利用の可能性などを含めて今後の展開性)と いう視点から査読し、技術事例報告として採用致します。奮って、投稿ください。 詳しくは、http://www.jsurvey.jp/kuukanhoukoku.pdf ◇刊行案内 *** おおすすめの一冊 ***(※会員は10%割引でご購入いただけます) ☆公共測量成果検定における指摘事項事例集 ☆「測量系技術者のための技術文書分析のコツ」平成27年4月末 刊行予定 詳しくは、http://www.jsurvey.jp/2.htm (廿楽実:日本測量協会) ■編集後記 新緑の季節となり天候にも恵まれ、一年で最も過ごしやすい時期ではないでしょうか。 ニュース・ラウンジにも紹介されていますが、最近ドローンの落下事件がマスコミなど を賑わしており、政府は今国会でドローンの規制法案を成立させる方針で、その中身が気 になるところです。いつもそうですが、新しい技術や産業の運用時には必ずと言っていい ほど、何らかの問題が発生するものです。ドローンの運用ルールと法整備にあたっては、 是非とも空間情報をはじめ各分野におけるドローンの有用性に十分配慮して欲しいもので す。 (編集委員長:福田) ──────────────────────────────────────── All Rights Reserved, COPYRIGHT(c) Spatialist Club このメールマガジンを紹介したい方は各自の責任で転送しても結構です。 ──────────────────────────────────────── |
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