| タイトル：スペーシャリスト会報 Vol.102 | 発行日時：20015年6月15日6時9分27秒 |
| ┏ Magazine from Spatialist Club ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓ 20015年6月15日 ◇ スペーシャリスト メールマガジン ◇ vol.102 発行元：スペーシャリストMM事務局 http://www.capnet.jp/spatial/ ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ INDEX ： ＊ニュース・ラウンジ（大山容一） ＊企画委員会・各支部活動報告（大山容一） ＊リレーエッセイ＜空間連携＞（垣内英俊） ＊新会員のコーナー（芝隆、澤陽之、植木健一） ＊空間情報関連便利グッズ/書籍の紹介等（早川和夫） ＊測量協会からのお知らせ（小林俊雄） ============================================================================ ■ニュース・ラウンジ 口永良部島が噴火して以来、大涌谷のニュースがあまり聞かれなくなりました。その大 涌谷の時も、それまで騒がれていた蔵王山や桜島や浅間山や阿蘇山の報道が少なくなり、 蔵王山・桜島・浅間山・阿蘇山の活発化とともに、大惨事となった御嶽山の話題がとぎれ がちになりました。そういえば、西之島はどうなったんだろう、などと思う今日このごろ です。かつて寺田寅彦先生が、「天災は忘れた頃にやってくる」という言葉を残しました が、昨今の火山活動の状況を見ていると、「天災が忘れる間もなくやってくる」という状 況にあります。これには、2011年3月11日の東日本大震災を引き起こしたプレート移動に より、プレート境界上にある日本の活火山が刺激を受けたのではないかという説明が可能 なようです。 最近縁あって火山に関する本をいろいろと読んでいるのですが、実はこのような連続的 な火山活動というのは今に始まったことではなく、歴史に残る大噴火や大地震は、その前 後で立て続けに多くの噴火や地震が起こっていたのです。 天明の大飢饉のきっかけともなったと言われている浅間山の「天明大噴火」は1783年7 月。この噴火で利根川流域を中心に大惨事を引き起こしましたが、その9年後の1792年、 西国の雲仙普賢岳が山体崩壊し、諫早湾で大津波を引き起こしています。いわゆる「島原 大変、肥後迷惑」。その肥後の国、実は天明の大噴火の災害復興事業に多くの貢献をして いる最中だったとのこと。貢献といっても、それは江戸時代のこと。「お助け普請」と称 し、「細川君頼むよ」と幕府から有無を言わさず出費を命ぜられるわけですが。因みに、 富士山の噴火で宝永山ができあがるのは1707年とこれより少し遡ります。それが最後の富 士山の噴火です。 福島原発の事故の際、その設計思想が問題となり、平安時代の貞観地震の被災規模に基 づく警告が学者から出されたにもかかわらず、無視されていたことが暴露されましたが、 869年の貞観地震（M8.3 三陸沖）のころにも、多くの火山が噴火していることがわかって います。864年に富士山の噴火、867年に阿蘇山の噴火、869年の貞観地震の後は874年に開 聞岳が噴火し、887年には仁和地震（M8.0 本州西部）が発生し、畿内摂津地方で大災害と なったほか、北八ヶ岳が山体崩壊を起こして千曲川がせき止められ（古千曲湖）、10ヶ月 後にそれが決壊して下流に大洪水を起こしています。 古文書や絵図で、古代・中世の日本での大災害の記録が克明に残されています。天変地 異は繰り返す。どんな規模の災害も、起こる可能性はゼロではない。古い記録だからと高 をくくっていては大変なしっぺ返しを受ける。そして「想定外」という言葉は死語となら ねばならない・・・。21世紀前半を生きる私たち日本人は、自然災害に対して、今、貴重 な学習をし続けています。地震予知や火山の噴火予知などの技術もいろいろと提案されて いますが、そういう災害そのものを止める技術は未だ何もない、ということを謙虚に認識 し、防災・減災をこれからも考えていくことが肝要でしょう。それにしても、1960年代後 半に提案された、「プレートテクトニクス理論」。火山活動や地震発生の連続性を説明で きるその明快さには、あらためて感動をおぼえます。 （大山容一：国際航業） ＜編集よりお知らせ＞ 7月号の担当は、鈴木浩二さんです。 ■企画委員会・各支部活動報告（一部省略） ◇「スペーシャリストの会」企画委員会(平成27年5月) 議事録 日 時：平成27年5月18日(月) 13:30〜15:00 場 所：日本測量協会(白山) 5F 会議室 出席者：瀬戸島、住田、林、池田、大山、秋山、大橋、望月、藤井、早川、福田、津留 廿楽・小林(事務局) 欠席者：村木、鈴木、神原、岡本、島田、大伴、中舎、田中 議事内容 1．前回議事録の確認 大きな変更は、なし。 2．報告事項 2-1．各支部活動報告 � ヾ慇昌拮�報告(藤井氏、資料7) ・実施セミナーの講師への謝金・交通費の件の再確認 外部講師には謝金と交通費、内部講師には交通費を支給すること。 ・第7回スペースサロンは11月27日(金)15:00〜に決定。 �◆｜翩�支部報告(早川氏、資料8) ・役員人事、会長に小川氏、副会長に片桐氏・佐々木氏、幹事に鵜飼氏、監査に近藤氏。 ・事業報告、昨年度は経費0で、収支決算なし。 �� 東京支部報告(住田氏、資料6) ・技術士受験対策勉強会を開催した。 ・特に、エントリーシートへの書き方、720文字の業務経歴。 2-2．ＭＭ誌の記事等について(福田氏) ・原稿は締め切りまでにそろい、順調に進捗中。 ・前執筆者からの予告、福田氏からのリマインドメールが効果的。 2-3．「空間情報技術事例報告集」への投稿要請(廿楽氏) ・原稿が1本届き、現在査読中。 3．討議事項 3-1．月刊「測量」スペーシャリストの会コーナーの執筆(毎号)の確認と企画(資料2) ・第15弾「技術資格」第6回 落合氏 仮「土木施工管理から得たマネジメントの勘所」 ・第16弾「失敗から学ぶ」 各社とも執筆者選定中。 3-2.「測量・地理空間情報イノベーション大会」について(資料5) ・「応用測量技術研究発表会」は全部で14編。 ・特別講演 村井俊治会長にSP・GMから花束贈呈する。朝日航洋(株)杉森氏による。 ・花束の費用10,000円をSP・GMで折半することを本企画委員会にて了承を得た。 ・当初予約満杯になるものの、精査し、5/25から追加募集をかける。 ・予稿集2000円、SP/GM 会員は1,000円で全員配付。 3-3.日本写真測量学会北信越支部セミナー講師派遣の確認(林氏、資料3) ・今年度(2016.1まで)の講演者は、すべて確定済み。 ・聴衆のレベルは大学院生程度を標準とする。セミナー事務局からの要望として。 3-4．2013年新規出版物の進捗(住田副会長)→6月上旬刊行予定(住田氏、資料4) ・校了済みで現在刊行中 ・イノベーション大会の会場で販売可能の見込み。 ・価格は、税込みで 2,170円とのこと。 3-5 2015年新規出版物の企画『測量系技術者のための技術士合格〜 改訂版』(資料9) ・分野ごとに、廿楽氏によるリストアップをお願いする。 ・模範解答を載せるよりも、考え方を記述するのが望ましい。 4.その他 ・2014年度下期の、資格要件業務の調査。 ・測量協会の総会のために、届くはがきを返信するように、呼びかけるべし。 ・特に、理事改選があるので、記入すること。 ・次回予定 平成27年7月9日(木) 13:30〜15:00 日本測量協会会議室(白山、6F) （大山容一：国際航業） ■リレーエッセイ＜空間連携＞ 弊社の菊池さんからバトンを受けたパスコの垣内です。前回は、「レーザー計測と言う 新技術によって森林管理に革新がもたらされている」と言うお話でしたが、目下、我が家 での「新技術による革新」と言えば、タブレット端末によるものです。以前、子供達は、 スマホのゲームで遊んでいたのですが、画面が大きい方がおもしろいようで、今ではタブ レットをトイレや風呂場にまで持って行って遊んでいます。 また、下の子は中学生ですが、タブレットによる通信教育を始めました。従来の通信教 育と比べて1/5の費用で済みます。紙教材が無いため、傍目にはゲームをしているのか勉 強しているのか分かりません。このことが、彼にとっての最大のイノベーションのようで す。生まれたときから携帯デバイス環境の中で育ったMillennial世代は、きっと素晴らし い世界を創っていくことでしょう。 次回は、道路基盤地図情報の整備で一緒に仕事をしたことのある国際航業の落合修さん に引き受けていただきました。よろしくお願い申し上げます。 （垣内英俊：パスコ） ■新会員のコーナー 【執筆順番（敬称略）】 2015年 6月号 芝（国際航業）、澤（アジア航測）、植木（国際航業） 7月号 川上（日建技術コンサルタント）、戸村（アジア航測）、 谷口（国際航業） 8月号 杉森（朝日航洋）、横井（日本海航測） 9月号 兼子（パスコ）、金久保（サン・ジオテック） 10月号 下鳴（アスコ）、安海（朝日航洋） 11月号 坂元（パスコ）、西村（パスコ） 12月号 鈴田（朝日航洋）、中西（写測エンジニアリング） 2016年 1月号 青木（パスコ）、富田（国際航業）、板野（パスコ） ◇コラム「不易流行」 2014年度に入会しました国際航業の芝と申します。空間情報総括監理技術者に合格し、 スペーシャリストの会に入会できましたこと、大変嬉しく思っております。 空間情報の世界に入って二十数年、空間データは「不易流行」だと思うことがしばしば あります。十年以上前に携わった台帳データの整備でも、今も最終アウトプットのベース は大きく変わることなく更新業務を行っているものもあります。しかし、空間データを整 備するプロセス（やり方）は劇的に変化しました。最新のセンシング機器を使用して現地 調査を行い、小型で高性能なコンピュータで処理し、様々な空間解析が行うことができる 高度なソフトウェアを組合せて空間データを整備しています。最新技術を上手く活用する ことで、整備に必要な時間を短縮するばかりか品質も向上できます。 いつまでも変化しない「不易」と、時代と共に常に変化する「流行」の組合せが空間情 報技術を進化させている。今日も、このようなことを考え空間情報の世界にどっぷり浸か っています。 （芝 隆：国際航業） ◇コラム「天職？」 2014年度に入会しましたアジア航測の澤です。よろしくお願いいたします。会社ではコ ンサルタント部門に在籍し、砂防に関する調査・計画・設計業務や航空レーザ計測などの 仕事に携わっています。今回、空間情報総括監理技術者になることができましたが、まだ まだ経験不足ですので、会を通じて勉強していきたいと思います。 現在、航空レーザのデータから作成した地形図を片手に、砂防の現場を歩いたりしてい るわけですが、小学生の頃を思い出すと、社会科が好きで先生の授業も聞かず地図帳と資 料集ばかり読んでいたり、自由研究で富士川の上流・中流・下流の石の大きさを測ったり と、すでに小学生の時点で私の運命は決まっていたようです。ならば「今の仕事は天職か ？」と言われると、理想と現実のギャップに悩む毎日・・・。ですが、最近の大災害の頻 発を目のあたりにして、微力ながら人々の安全・安心の確保のため、役に立つ測量・コン サルタント技術者になりたいと思います。今後もご指導よろしくお願いいたします。 （追記）昨年の夏、小4の長女（10歳）が市役所で買ってきたという地図を片手に私にこ う言いました。長女「パパ、どうして川の石の大きさって山の方と海の方で違うのかな？ 自由研究で調べたいんだけど。」私「・・・」 （澤 陽之：アジア航測） ◇コラム「ビッグデータ」 「ビッグデータ」という言葉が世間を賑わせて久しい昨今、そのデータを扱う側として 「データサイエンティスト」というものに興味を持ちました。これは統計学やデータ分析 等を駆使し、膨大なデータを構造化しながら整理し、データを活用したアクションを起こ すために必要な情報となるように解析結果を導き出す、というものです。このような発見 には直感やひらめきを必要とするため、機械が容易に処理できるものではないことから、 このような技術や人材が必要なのだと思います。 一方で、空間情報総括監理技術者の要件のひとつに、「現状の課題を発見し、課題の解 決に空間情報の適用が有効か否かを判断し、発見された課題を詳しく分析・明確化するこ とにより、業務に必要な空間情報の仕様と空間情報を利用する場合の効果を提示する能力 を有すること」とあります。「データサイエンティスト」としての技術を身につけること は、この能力を発揮するひとつ手段になると考えます。 （植木健一：国際航業） ■空間情報関連便利グッズ / 書籍の紹介 等 ◇東京都謎解き散歩（23区編）新人物往来社刊 飯田日出男著 定価:714円(税別) 江戸の風情を残しながら時代の最先端を行く東京の『魅力』を歴史・文学・産業など様 々な視点から紹介している。特に地理編では、「山の手」と「下町」の境はどこ？と言っ た、知っていそうで、知らない謎解きで紹介しています。 （早川和夫：テイコク） ＜編集よりお知らせ＞ 7月号の担当は、鈴木浩二さんです。 ■測量協会からのお知らせ ◇公益社団法人日本測量協会から重要なお知らせ 【空間情報総括監理技術者の認定登録更新】時には、所定の測量CPDポイントが必要にな ります。 《更新条件》 ☆平成22〜23年度までの認定登録者は、25ポイント/5年間 ☆平成24年度以降の認定登録者及び第1回更新済みの認定登録者は、40ポイント/5年間 認定資格者の更新対象年度には、日本測量協会からご案内をお送りします。また、測量 CPDポイントが更新時に基準に満たない場合には、ポイントが基準に達する年度まで更新 はできません。当協会から発行される認定技術者名簿にも、その間は未掲載となります。 ※平成22年度認定登録者は、平成27年10月登録更新(第1回更新)・25ポイント/5年 ※平成17年度認定登録者は、平成27年10月登録更新(第2回更新)・40ポイント/5年 ◇7月の公開講座案内 『剱岳の三角点と測量官』 講師 山田 明 氏 (元（公社）日本測量協会 機器検定部長) 日時：平成27年7月9日(木) 16時00分〜17時30分(講演16時〜17時) 場所：東京 詳しくは、 http://www.jsurvey.jp/open270709.pdf ◇空間情報技術事例報告集の報告文募集 ☆応募締め切り：随時（投稿報告文が到着次第、速やかに査読） ☆掲載可となれば、日本測量協会ホームページ上の［測量情報館］に掲載。 技術事例報告集では、新規性や独創性という視点とは別に、(1)創意工夫性（何らかの 創意工夫による業務改善への貢献など）(2)実用性（実務への応用性や実際に業務等に適 用していく際の実用性など）(3)信頼性（技術事例報告の内容やその結果に対して、信頼 性や実証性など）(4)今後の展開性（空間情報技術領域の中で、他技術領域への新たな展 開や応用の可能性、他技術との融合性や融合利用の可能性などを含めて今後の展開性）と いう視点から査読し、技術事例報告として採用致します。奮って、投稿ください。 詳しくは、http://www.jsurvey.jp/kuukanhoukoku.pdf ■刊行案内 *** おすすめの一冊 ***（※会員は10％割引でご購入いただけます） ☆公共測量成果検定における指摘事項事例集 ☆「測量系技術者のための技術文章分析のコツ」平成27年6月初 刊行予定 詳しくは、http://www.jsurvey.jp/2.htm (小林俊雄：日本測量協会） ■編集後記 梅雨に入り、これから約1ケ月半うっとうしい日々が続き野外での作業は雨で支障をき たしますが、この時期こそ室内でじっくり本を読んだり、講演を聞くにはもってこいの季 節かもしれません。6月23〜24日には測量・地理空間情報イノベーション大会が、また7月 3日には測量調査技術発表会が開催されます。この機会に最新の技術や研究発表に触れ、 知識の充電をいたしましょうか。 (編集委員長：福田） ──────────────────────────────────────── All 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