| タイトル：スペーシャリスト会報 Vol.113 | 発行日時：2016年5月15日11時39分5秒 |
| ┏ Magazine from Spatialist Club ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓ 2016年5月15日 ◇ スペーシャリスト メールマガジン ◇ vol.113 発行元：スペーシャリストMM事務局 http://www.capnet.jp/spatial/ ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ INDEX ： ＊ニュース・ラウンジ（望月貫一郎） ＊企画委員会・各支部活動報告（三輪佳充） ＊リレーエッセイ＜空間連携＞（田丸和章） ＊新会員のコーナー（年楳正和、末国次朗） ＊空間情報関連便利グッズ/書籍の紹介等（秋山幸秀） ＊測量協会からのお知らせ（小林俊雄） ============================================================================ ■ニュース・ラウンジ このたびの「平成28年熊本地震」では、大規模な地滑りなどの土砂災害、多くの建物破 損・倒壊、鉄道、道路、空港等の公共施設の被害が発生した。また、熊本城の天守閣の瓦 の落下、櫓（やぐら）の倒壊、石垣崩壊の被害があった。国に指定されている史跡の石垣 の復旧は原則的には、“元あった石を、元の場所に”、造られた当時の手法を用いて修復 することが求められている。この熊本城の石垣の修復には、多くの時間と費用が費やされ ると報道されている。 2011年3月11日の東日本大震災により、白河小峰城の本丸南面の石垣が幅約45mにわたっ て崩落したのをはじめ、10か所の石垣が崩落した。2010年に「白河小峰城跡」として国の 史跡に指定されている。通常の修復工事では、綿密に調査を行った後に解体し、再度石積 みを行う。しかし、白河小峰城の修復工事の手掛かりは、崩落前に撮影された写真や書物 のみであった。崩落した石材は全部で約7,000個にも及んだ。崩落した石垣の石ひとつひ とつに通し番号を振り、仮置きした後、スケールを入れた正面写真を撮影する。写真の縮 尺を合わせながら石の輪郭をCADで描き、崩落前の写真と照合しながら石垣の施工図を作 成した。ひとつひとつ破損などがないか確認し、破損している石は新しい石材を加工した ものに置き換えた。 崩落前に地上型3次元レーザスキャナ等で計測した空間情報が有効であることは、誰も が感じることであろう。熊本城の石垣の修復には、長い年月が費やされる。各種センサー で計測した空間情報で復旧の記録を残すことは、将来、非常に重要な資産である。また、 被災した文化財の修復のために、被災前の文化財の空間情報として記録することも必要な ことである。 最後に、このたびの「平成28年熊本地震」で亡くなられた方々とご遺族の皆さまに謹ん でお悔やみ申し上げます。また、被害にあわれた皆さまに心よりお見舞い申し上げます。 （望月貫一郎：パスコ） ＜編集よりお知らせ＞ 6月号の担当は、瀬戸島政博さんです。 ■企画委員会・各支部活動報告（一部省略）（敬称略） ◇「スペーシャリストの会」関西支部第31回会議 議事録 日 時：平成28年4月15日(金) 15:00〜17:30 場 所：アジア航測�蝓�29階会議室 出席者：内田、平田、藤井、井畑、河野（哲）、村田、辻、永田、川上、野瀬、三輪、 岡崎（事務局） 欠席者：森田、岩切、西村（芳）、田中、船田、大久保、堀川、名草、田丸、堀、小澤 西川、千田、西岡、尾崎、東山、中西、芝、下嶋、西村（修）、加賀谷、大月 常松 議事項目 1．報告・確認事項（資料−1〜4：参照） 2．討議事項 (1)第8回・9回スペース・サロン＠kansai企画（案）の選定（資料−5：参照） ・第8回スペース・サロンについて ⇒ 第一候補として、名古屋大学の河口信夫教授に講演を依頼する方向で調整する。 開催日は、5月初旬に配信予定。 ・第9回スペース・サロンについて ⇒ 第一候補として、奈良先端科学技術大学院大学の加藤博一教授に講演を依頼する 方向で調整する。開催日は、12/9（金）とする。 (2)平成28年度技術士一次試験対策講座の開催方針（資料−6：参照） ・開催日時は6/4（土）9：30〜17：30で、�螢▲好蛎臈譴嚢圓Α癖儿垢覆掘法� (3)関西支部ホームページの更新方策（案）（資料−7：参照） �＾娶�としては、以下のとおり ・どういうスタイルのホームページにしたいかを検討する必要がある。 ・会員として使いやすい、外部への情報提供ができるようなものがよい。 ・立ち上げ後の更新方法をどのようにするか？ ・一般向けにするのか、会員限定にするのか？パスワード等で区別？ ・このホームページを使うメリットがないと、使わなくなってしまう。 ・会議資料の掲載、予定の確認など、現在メールでのやりとりしている部分の効率化も図 れる。 ・会員全体への情報発信、サーバーのような使い方も可能である。リンクを貼れば便利。 ・メンテナンスするにも、時間と手間がかかる。誰かが更新作業を行う必要がある。 ・空間情報総括監理技術者の試験に役立つような情報発信もできる。啓蒙活動にもなる。 �∈８紊諒�針として ・基本的には、ホームページを作成、更新していく方向で、検討部会の立ち上げを行い、 千田幹事を中心に検討していく。 部会長：千田幹事、委員：東山氏、川上氏 ・メンテナンスをどうするかも含めて、検討する（役割分担してメンテナンスできるよう な仕組み）。 ・次回の定例会議で、状況報告を行う。 (4)その他 ・第2回「測量・地理空間情報イノベーション大会」が6/14（火）〜6/15（水）に開催さ れる。関西では、�螢▲好蛎臈譴覇瓜�中継される。 3.第21回勉強会（河野氏、復興支援を振り返って【東日本大震災から5年】） (配布資料) 資料 1：前回定例会議議事録 資料 2：平成28年度関西支部派遣KIT空間情報セミナー講師氏名及び演題 資料 3：「スペーシャリストの会」企画委員会(3月)の資料 資料 4：「スペーシャリストの会」関西支部第5回幹事会議事録 資料 5：第8回・9回スペース・サロン＠kansaiの開催企画（案） 資料 6：平成28年度技術士一次試験対策講座実施要綱（案） 資料 7：関西支部ホームページの更新方策（案） 資料 8：第2回 「測量・地理空間情報イノベーション大会」開催案内 資料 9：スペーシャリストの会関西支部名簿 資料10：スペーシャリストの会議事録作成・勉強会担当者名簿 4.次回予定 平成28年6月17日（金）午後3時〜午後5時 �螢僖好� 勉強会講師担当：尾崎氏 議事録作成担当：東山氏 （三輪佳充：かんこう） ■リレーエッセイ＜空間連携＞ 朝日航洋の白井さんからバトンを受け取りましたパスコの田丸です。 前号は、微笑ましいお子様のお話でした。私の場合、約10年前に思うように食べてくれ ない息子に気を揉んだものですが、小さいながらも健康に育ち、この春から6年生です。 最近、その息子から算数の問題を聞かれることが増えたのですが、方程式を使えば簡単に 解ける問題も算数で解くことは意外に難しく、解けないこともあります。 そんな時は「今、忙しいからお母さんに聞きなさい。」と逃げたいところですが、「お 父さんは技術者なので理系だ」と思い込んでいる息子の期待を裏切ることが後ろめたく、 意地になって問題に取り組んでおります。その中で私なりに感じたことは、算数問題を解 くコツは、”視点を変えて考える”ということです。 思い込みで考えて行き詰った時には、視点を変えることで、解き方をひらめくことがあ ります。最近読んだ映画化もされている本に慣習化したものを見直すために『視点のリセ ット』、『逆転の発想』を行うとあったのですが、小さい出来事ながら、実感しておりま す。また、自分が見つけた回答を息子に理解させるための説明では、表現を変えたり、図 を描いてみたり、事例を出したりとあの手この手と色々試します。時には、なかなか理解 してもらえず、切れ気味になることもありますが・・・。 私は、これらのことを家族の交流を深める手段としながら、柔軟な思考と説明能力向上 のための自己研鑽になると思っています。 それでは、次回はパスコの向平拓司さんにバトンをお渡ししますので、よろしくお願い します。 （田丸和章：パスコ） ■新会員のコーナー 【執筆順番（敬称略）】 2016年 5月号 年楳 (パスコ)、末国 (エンジニアリング協会) 6月号 遠藤 (双葉)、小田 (パスコ) 7月号 野瀬 (アジア航測)、大月 (アスコ) 8月号 本田 (パスコ)、服部 (アジア航測) 9月号 福田 (シビル調査設計)、佐々木 (アジア航測) 10月号 小早川 (国際航業)、小澤 (河川財団) 11月号 常松 (エイテック)、安部 (パスコ) 12月号 鈴木 (朝日航洋)、三輪 (かんこう) 2017年 1月号 久保 (国際航業)、伊藤 (国際航業) ◇コラム 「災害対応と空間情報技術」 2015年に入会しました株式会社パスコの年楳正和（ねんばいまさかず）と申します。 平成2年入社、大阪、広島での勤務を経て、福岡に転勤して5年目となり、九州地方の自 治体へのGIS導入を担当しています。 さて、平成28年4月14日21時26分に熊本地震（前震）が発生、その後4月16日1時25分に 本震が発生しました。福岡でもかなり強い揺れを感じたほどで、熊本地域では最大震度7 の地震が2回発生したことにより甚大な被害が発生しました。 今回の地震災害の発生後、弊社も被災地域の自治体へ航空写真データ等の提供を開始し 被害状況の現地調査用の図面を提供したり、被害調査結果をデータ化して集計するなど、 東日本大震災での災害対応の経験者からも協力をいただき、空間情報技術を有効活用して 被災自治体の支援を実施しています。 そのような現場において私は、災害対応には空間情報技術が非常に役立つものであり、 適切な場面で適切な空間情報を参照できるようにしておくことが大変重要であることを 改めて実感しています。また、災害発生前の日常から、災害発生後の対応を想定して有効 な空間情報とそれを活用できるしくみを整備しておくことの重要性を再認識しています。 今回の災害対応における空間情報の活用事例についても整理して共有してゆくことで、 今後どこかで災害が起こった場合にも必ず有効活用できるものになると考えています。 （年楳正和：パスコ） ◇コラム「趣味が機械いじりや電子工作だと」 はじめまして、株式会社環境総合テクノスの末国と申します。 スペーシャリストの会に入会でき、大変うれしく思っております。私は長年、リモート センシングデータを利用して森林や樹木の調査を行って参りました。調査対象は自然林や 植林地のほか、果樹園なども扱ってきました。対象面積が広い場合は人工衛星や航空機に よる観測データを利用していましたが、面積が小さくかつ高解像度が必要な場合には、UA Vを使ってデータを取得していました。 私は、2000年ころからUAVとして無人ヘリ（ホビー用の大型ラジコンヘリを改造）を利 用しはじめ、これをタイやオーストラリアに持ち込み、マングローブやユーカリ植林地に おける調査（年間の炭素蓄積量の推定や、植林適地判定に関する開発研究）に利用してき ました。2012年に、無人ヘリから将来性を考えてマルチコプター（今でいうドローン）に 切替えました。その頃は、まだネットでブラシレスモータやアンプ、コントローラ等の部 品を個々に買い集めて、一から自分で組み立てる必要がありましたが、それゆえの苦労は あったものの、作る楽しみも大きくカメラ用のマウントも自作していました。 今では、家電の量販店等で組立・調整済みの商品を購入できますが、海外の田舎が現場 である場合など、自分で修理や調整ができることに越したことはありません。これまでの 経験を基に、今後も多方面で活躍できればと考えております。どうぞよろしくお願いいた します。 （末国次朗：環境総合テクノス） ■空間情報関連便利グッズ／書籍の紹介 等 ◇『デジタル標高地形図用3Dメガネ』 この3Dメガネは偏光フィルターによる色収差を視差として、寒暖の配色に対して凹凸感 をもたらすメガネです。一般財団法人日本地図センターで「デジタル標高地形図用3Dメガ ネ」の名称で、価格は2016年現在、一つ103円（税込）で販売されています。「色により 立体的に見えるメガネ」との説明があります。 http://www.jmc.or.jp/buy_map_kami.html（参照） このメガネはカラー段彩陰影図など、虹色(スペクトル分光)の配色や陰陽の配色の画像 においても立体感が得られます。三次元データの普及により、立体画像と称する平面(2D) 上の立体表現方法が多くありますが、このメガネを使用することで立体感が強調されるモ ノがあります。変化が強すぎる場合は片眼のみフィルターを介し、両目で見ることでより 自然な立体感が得られます。 色収差のルールに準じて作成された画像は立体的に見えますが、通常の写真や図形や画 像では縁が青や赤になるだけで平坦な画像のままに見えます。便利グッズとして簡易な立 体表現が付加価値利用できるメガネです。 （秋山幸秀:朝日航洋） ＜編集よりお知らせ＞ 6月号の担当は、林義政さんです。 ■日本測量協会からのお知らせ ◇測量・地理空間イノベーション大会第2回大会の受付を4月11日に開始いたしました。 東京会場につきましては、まだ登録可能ですので、お手続きください。 詳しくは、http://www.jsurvey.jp/innovation.htm ◇平成28年度空間情報総括監理技術者の実施要項をリニューアルいたしました。 詳しくは、http://www.jsurvey.jp/gissv/gissv.htm ◇転職・退職・死亡等により、氏名・所属・連絡先（メールアドレス）の変更が生じたSP の会会員の方へ。 変更後の内容を、ご本人または関係者の方から日本測量協会にお知らせください。 SPの会MM誌の配信やお知らせ等の連絡に支障が出ないようお願いいたします。 届け出様式は、以下の場所にあります。 http://www.jsurvey.jp/gissv/youshiki.htm 様式２ 空間情報総括監理技術者 登録事項変更届出 メールまたはFAXまたは郵送でお知らせください。 連絡先は、以下の通りです。 メール：geoinfor@jsurvey.jp FAX : 03-5684-3366 〒113-0001 東京都文京区白山1-33-18 白山NTビル 公益社団法人日本測量協会 測量継続教育センター 測量技術教育部 宛 ◇公開講座 「国家と測量 −第1回近代測量の黎明と明治期の測量機関−」 日時：平成28年7月19日（火）開催予定 講師：星埜 由尚 (元国土地理院長 元（公社）日本測量協会 副会長) 近日HPより申込み受付を行います。 ◇重要なお知らせ 【空間情報総括監理技術者の認定登録更新】時には、所定の測量CPDポイントが必要にな ります。 《更新条件》 ☆平成22〜23年度までの認定登録者は、25ポイント/5年間 ☆平成24年度以降の認定登録者及び第1回更新済みの認定登録者は、40ポイント/5年間 認定資格者の更新対象年度には、日本測量協会からご案内をお送りします。また、測量 CPDポイントが更新時に基準に満たない場合には、ポイントが基準に達する年度まで更新 はできません。当協会から発行される認定技術者名簿にも、その間は未掲載となります。 ※平成22年度認定登録者は、平成27年10月登録更新(第1回更新)・25ポイント/5年 ※平成17年度認定登録者は、平成27年10月登録更新(第2回更新)・40ポイント/5年 ◇空間情報技術事例報告集の報告文募集 ☆応募締め切り：随時（投稿報告文が到着次第、速やかに査読） ☆掲載可となれば、日本測量協会ホームページ上の［測量情報館］に掲載。 技術事例報告集では、新規性や独創性という視点とは別に、(1)創意工夫性（何らかの 創意工夫による業務改善への貢献など）(2)実用性（実務への応用性や実際に業務等に適 用していく際の実用性など）(3)信頼性（技術事例報告の内容やその結果に対して、信頼 性や実証性など）(4)今後の展開性（空間情報技術領域の中で、他技術領域への新たな展 開や応用の可能性、他技術との融合性や融合利用の可能性などを含めて今後の展開性）と いう視点から査読し、技術事例報告として採用致します。奮って、投稿ください。 詳しくは、http://www.jsurvey.jp/kuukanhoukoku.pdf ■刊行案内 *** おすすめの一冊 ***（※会員は10％割引でご購入いただけます） ☆公共測量成果検定における指摘事項事例集 ☆「測量系技術者のための技術文章分析のコツ」平成27年6月6日刊行 詳しくは、http://www.jsurvey.jp/2.htm (小林俊雄：日本測量協会） ■編集後記 先月号の編集を終えた翌日の4月14日に熊本地震が起きてしまいました。被害は報じら れるたびに、当初想像していたものより大きくなっており、その原因としては震度7の前 震の2日後に同じ震度の本震が発生し、いわばダブルパンチをくらった状態となり、2000 年の「新耐震基準の改正」以降に建築された建物にも大きな被害が生じたとのことです。 そもそも、現行の建築基準法の耐震基準は、震度6強や7の地震が1回来ることしか想定 しておらず、今後は新たな耐震基準作成の必要が迫られそうです。 今回の地震では、地震直後に航空写真の撮影等を行い、それらのデータを関係機関に提 供した会員もおられるかと思います。災害が起こるたびに、復旧等のために被災前・被災 後の空間情報データ整備の必要性が痛感されます。 （編集委員長：福田） ──────────────────────────────────────── All Rights Reserved, COPYRIGHT(c) Spatialist Club このメールマガジンを紹介したい方は各自の責任で転送しても結構です。 ──────────────────────────────────────── |
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