タイトル:スペーシャリスト会報 Vol.150 | 発行日時:2019年6月14日13時7分1秒 |
┏ Magazine from Spatialist Club ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓ 2019年6月14日 ◇ スペーシャリスト メールマガジン ◇ vol.150 発行元:スペーシャリストMM事務局 http://www.capnet.jp/spatial/ ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ INDEX : *ニュース・ラウンジ(早川和夫) *リレーエッセイ<空間連携>(小川孝之) *新会員のコーナー(越智貴政、宮寺 修) *空間情報関連便利グッズ/書籍の紹介等(廣野貴一) *測量協会からのお知らせ(遠藤拓郎) ============================================================================ ■ニュース・ラウンジ 少し前までは交通事故の件数の減少が話題であったのに、最近よく耳にするのが悲惨な 交通事故のニュースである。中でも高齢者の事故のニュースが連日のように報道されてい る。75歳以上の高齢ドライバーは18年末時点で563万人、18年の高齢者による死亡事故は 全体の約15%を占めた。最近でも福岡市や東京・池袋で高齢ドライバーによる死亡事故が 相次ぎ発生するなど問題は深刻である。高齢ドライバー対策を求める世論が高まり、政府 も制度面の検討を急ぐ必要があると判断したようで、これに対し、政府は高齢ドライバー 専用の新しい運転免許をつくる方針を示した。75歳以上を想定し、自動ブレーキなど安全 機能がついた車種のみ運転できるようにする。新免許は取得の義務付けではなく、選択制 を軸に検討する方針のようである。 一方で、自動車メーカー各社は危険を察知した際に自動的にブレーキをかけたり、アク セルとブレーキの踏み間違いを防止したりするシステムなどを実用化している。自動運転 に関しては我々の業界でもダイナミックマップが話題となった。高精度3次元地図を基に、 準天頂衛星システム「みちびき」の高精度測位サービスを活用することで、自車位置の誤 差を数センチメートル級まで抑えることが可能になるが、これと同時に地図情報も限りな く誤差の少ない高精度なものとなる必要があり、さらに自動運転で必要とされるさまざま な情報を付加することで、より精度の高い自動運転が可能とするものである。 少なからず、我々の技術が社会に認められ、貢献できることは大変うれしいことである。 ● 自動運転のレベル0?5までの概要と特徴 レベル0 ドライバーがすべてを操作 【運転支援】レベル1 システムがステアリング操作、加減速のどちらかをサポート 【部分自動運転】レベル2 システムがステアリング操作、加減速のどちらもサポート 【条件付き自動運転】レベル3 特定の場所でシステムが全てを操作、緊急時はドライバー が操作 【高度自動運転】レベル4 特定の場所でシステムが全てを操作 【完全自動運転】レベル5 場所の限定なくシステムが全てを操作 完全自動運転が普及するまでにはまだ少し時間があるが、これが実現すれば、事故を大 幅に減らすことができると期待しているところである。ただし、最近の痛ましい事故で、 大津の園児が散歩中に交通事故に巻き込まれ、2人が死亡した事故は高齢者ではなかった。 右折車は『だろう運転』、直進車がスピードを緩めてくれるだろうとの思いから重大な事 故を引き起こしてしまったようである。 他方、労働者不足と人口の高齢化を受け、70歳定年制の導入もささやかれている。 自動運転技術の支援を受けながら、業務を遂行する時代がくるだろうか?いつまで働かね ばならないのか?と考えるのか、働けることを喜ばねばならないのか? 答えは、難しい。 私も今年60歳になり、そろそろ高齢化を意識する必要がでてきた。もちろん、本人はま ったくその気はない・・・ 今できること、即ち、安全運転に心がけることで、悲惨な事故は無くしたいものである! 技術の進歩に期待しつつ (早川 和夫:株式会社テイコク) 令和元年7月号の担当は、望月貫一郎さんです。 ■リレーエッセイ<空間連携> SP会に入会して依頼、何かとお世話になっておりますパスコの岡本様からバトンを受け 取りました大興計測技術の小川です。 最近のカーナビやスマートフォンの地図アプリなどは位置精度を含め、きめ細やかで多 くの情報が提供されており、利用されている方は多いのではないでしょうか。 そんな中、先月のGWに四国から日本海の山陰地方を気ままにバイクツーリングした時 は走行中に地図アプリなどの情報を一切見ることはなく、ただ太陽の位置と案内標識だけ を頼りに目的地を目指しました。もちろんその道中でも素晴らしい眺望や興味深い景観な どを眺め、時には気ままに寄り道をしながらツーリングを続けます。 このツーリングで人が移動するのに発達した地図アプリなどがなくても、時間などを気 にしなければ大概目的地には着けるものだと改めて気づかされました。 「良好な地理空間情報などは人々の生活を豊かにする」という事実は、利用する側も提 供する側もその点において疑いの余地はないと思います。 それでも何の情報もなく出掛けて、ちょっとの不便さを楽しむことは人の冒険心や想像 力などが豊かになり、たまには良いものだと感じました。 次号は、これまたSP会に入会して依頼お世話になっていますフジヤマの大塚啓一様へバ トンタッチします。よろしくお願い申し上げます。 (小川 孝之:株式会社大興計測技術) 令和元年7月号の担当は、大塚啓一さんです。 ■新会員のコーナー 「先進技術で地域の安全を支え、次世代へつなぐ」 みなさま、はじめまして。荒谷建設コンサルタントの越智です。よろしくお願い致します。 アラタニは、広島市中区江波に本社があり、「人間と自然を考える」を企業テーマとし た地域密着型の総合コンサルタントです。私は、2001年に入社後、GISや地理空間情報関 連業務に携わり、現在は、MMS・UAV等の三次元データの計測と利活用に関する業務や、 BIM/CIMの推進などを担当しています。 平成30年7月豪雨災害のような大規模災害への対応において、三次元計測及びデータ利 活用技術は、被災箇所特定の効率化と被災規模把握の迅速化につながり有効です。これか らは、IoT・AI・5Gのようなテクノロジーが活用され、いろいろなものがつながる時代と なります。空間情報技術と最新テクノロジーの融合で、防災・減災対策などの地域の課題 解決に取り組み、地域の安全を支えていくことが重要と考えています。 また、次世代を担う人材の育成として、若手が新分野に積極的に取り組み、活躍できる 環境作りを行っています。ワークライフハーモニーを実践し、生産性向上と働き方改革へ つなげることで、希望ある未来を創り、次世代へつなげていきたいと考えています。 今後は、スペーシャリストの会の活動や人のつながりを通して、自己研鑽に努め、生き 生きと働き、成長を実感しながら、ステークホルダーを幸せにできればと思います。 (越智 貴政:株式会社荒谷建設コンサルタント) 「夏の自由研究 道路上の地下施設」 皆様初めまして。昨年度スペーシャリストの会に入会しました朝日航洋の宮寺です。 入社以来固定資産税業務に長く携わり、現在は市町村の公有財産管理業務を担当してい ます。今回は私の小さい頃のお話です。 それは小学4年生の夏休みのこと。学校からの登下校時に目に入ったのが道路上に有る様 々なもの。マンホールに消火栓、仕切弁にガス。これは一体何だろうと気になり出し、家 の近くの道路にあるものを全て調べてみようと思い立ちました。 GISもデジカメも無い時代。手書きで模造紙に地図を書き、施設の位置をプロット。更 にその施設がどんな役割を果たすのかを調べに市役所まで。こんなにわくわくする自由研 究は初めてで学校に提出する日が待ち遠しい日々でした。 そして発表日。クラスの仲間も興味津々。道路にはこんな秘密があるのかと大変好評で した。しかし、先生からの一言は「これは理科の自由研究ではないですね」。 その一言になぜ?という疑問と失望感を抱いたのは今でも忘れません。 思えばこれが私が空間情報に携わる仕事に就くことになった原点なのかも知れません。 次の世代にも私の子どもの頃のように身近なところから空間情報に興味を持ってもらう ことができるよう、少しでも力になれればと思います。 (宮寺 修:朝日航洋株式会社) ■空間情報関連便利グッズ/書籍の紹介 等 ◇書名:『海の生物多様性を守るために』 編著者:秋道智彌・角南篤、発行:西日本出版社、価格:1,600円+税 「生物多様性の保全に関わる議論は単なる生物種の数の多さだけを尺度とするのではな く、さらに異なった視点からなされるべき」という趣旨のもと、大学、学会、NPO、国の 研究機関等に所属する17人の著者が、海のごみ問題、生態系外来種、バラスト水による生 物分布の拡散、エチゼンクラゲの大発生など多様なテーマについて記述しています。テー マ名は皆さんもニュース等でも聞いたことがあるものが多いと思いますが、それぞれにつ いて専門家が丁寧に教えてくれます。 海洋動物を捕獲・捕殺せずにデータロガーを装着して、行動、生息環境、環境選択制な どの情報を収集するための「バイオロギング・サイエンス」が紹介されています。携帯電 話の普及に伴い小型のICチップを使用することが可能になり、動物の行動に影響を及ぼさ ずに深度、温度、塩分、速度、加速度、静止画、動画などの組み合わせを高い精度で得ら れるようになったとのことです。バイオロギングによって、海洋動物の情報のほか、深度 別の水温分布情報を得ることができ、水温躍層などの海洋環境情報も同時に入手できたと のことです。大空のグライダーのように水中を上下しながら水平に移動し、観測データを 取得する水中グライダーが紹介されています。いくつかのグライダー観測の成功を受けて、 グライダーを「全球海洋観測システム」として既存の観測システムを補完する形で取り込 む議論が始まりつつあるとのことです。 地上からの観測・測量に用いられているUAVと同様に、これら無人の海洋観測機器の発 展も著しいことを知りました。 (廣野 貴一:アジア航測株式会社) 令和元年7月号の担当は、大伴 真吾さんです。 ■日本測量協会からのお知らせ ◇令和元年度空間情報総括監理技術者の実施要項をリニューアルいたしました。 詳しくは、http://www.jsurvey.jp/gissv/gissv.htm ◇公開講座 「空中写真・ドローン(画像)を立体視する(第2回)」 日程:2019年7月12日(金) 講師:中北 理氏 (元国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林総合研究所 研究専門員) 場所: 東京 http://www.jsurvey.jp/k-honbu20190712.pdf ※定員締切 ◇転職・退職・死亡等により、氏名・所属・連絡先(メールアドレス)の変更が生じた SPの会会員の方へ。 変更後の内容をご本人または関係者の方から日本測量協会にお知らせください。 SPの会MM誌の配信やお知らせ等の連絡に支障が出ないようお願いいたします。 届け出様式は以下の場所にあります。 http://www.jsurvey.jp/gissv/youshiki.htm 様式2 空間情報総括監理技術者 登録事項変更届出 メールまたはFAXまたは郵送でお知らせください。 連絡先は以下の通りです。 メール:geoinfor@jsurvey.jp FAX : 03-5684-3366 〒113-0001 東京都文京区白山1-33-18 白山NTビル 公益社団法人日本測量協会 測量継続教育センター 測量技術教育部 宛 ◇重要なお知らせ ●【空間情報総括監理技術者の認定登録更新】時には、所定の測量CPDポイントが必要 になります。 《更新条件》 ☆平成24年度以降の認定登録者及び第1回更新済みの認定登録者は、40ポイント/5年間 認定資格者の更新対象年度には、日本測量協会からご案内をお送りします。また、測量 CPDポイントが更新時に基準に満たない場合には、ポイントが基準に達する年度まで更新 はできません。当協会から発行される認定技術者名簿にも、その間は未掲載となります。 次年度登録更新予定の方です。更新時に必要な測量CPDポイントは以下の通りです。 ※平成26年度認定登録者は、令和元年10月登録更新(第1回更新)・40ポイント/5年 ※平成21年度認定登録者は、令和元年10月登録更新(第2回更新)・40ポイント/5年 ◇空間情報技術事例報告集の報告文募集 ☆応募締め切り:随時(投稿報告文が到着次第、速やかに査読) ☆掲載可となれば、日本測量協会ホームページ上の[測量情報館]に掲載。 技術事例報告集では、新規性や独創性という視点とは別に、(1)創意工夫性(何らかの 創意工夫による業務改善への貢献など)(2)実用性(実務への応用性や実際に業務等に 適用していく際の実用性など)(3)信頼性(技術事例報告の内容やその結果に対して、 信頼性や実証性など)(4)今後の展開性(空間情報技術領域の中で、他技術領域への新 たな展開や応用の可能性、他技術との融合性や融合利用の可能性などを含めて今後の展 開性)という視点から査読し、技術事例報告として採用致します。奮って、投稿くださ い。 詳しくは、http://www.jsurvey.jp/kuukanhoukoku.pdf ■刊行案内 *** 新刊案内 ***(※会員は10%割引でご購入いただけます) 『いまさら聞けない 地形判読』<重版出来・絶賛発売中> A4判 96頁 定 価 1620円(税込) 会員価格1450円(税込) 送 料 450円 平成31年4月19日刊行 詳しくは、http://www.jsurvey.jp/2-1a.htm ■訃報 −謹んでご冥福をお祈りいたします。(敬称略) 高 泰明(元朝日航洋) 大谷 徹(国際航業) (遠藤拓郎:日本測量協会) ■編集後記 高齢ドライバーによる痛ましい事故のニュースが話題となっておりますが、高齢者に限ら ず交通の安全を確保するためには、車両の安全性を高めるとともに、高精度な空間情報の 整備が不可欠です。これは我々の使命であります。 また、交通事故の防止には、今そこで起きている異常事態を瞬時に観測することも要求さ れます。これは「空間把握技術」または「空間認識技術」などと表現できるでしょうか。 我々が目指す新たな道だと考えます。 (編集委員長:アジア航測 小林) ──────────────────────────────────────── All Rights Reserved, COPYRIGHT(c) Spatialist Club このメールマガジンを紹介したい方は各自の責任で転送しても結構です。 ──────────────────────────────────────── |
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