スペーシャリスト メールマガジン バックナンバー

タイトル:スペーシャリスト会報 Vol.158 発行日時:2020年2月17日8時32分28秒
┏ Magazine from Spatialist Club ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
2020年2月17日
◇ スペーシャリスト メールマガジン ◇ vol.158

                    発行元:スペーシャリストMM事務局
                     http://www.capnet.jp/spatial/
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INDEX :
*ニュース・ラウンジ(金久保豊)
*リレーエッセイ<空間連携>(小早川雅行)
*新会員のコーナー(植木博文、徳田義孝)
*空間情報関連便利グッズ/書籍の紹介等(大山容一)
*測量協会からのお知らせ(遠藤拓郎)
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■ニュース・ラウンジ
 新型コロナウィルスという、誰もが非常に大きな関心を寄せているニュースが飛び交う
中、千葉に会社がある者として、先日話題になった「チバニアン」の登録を扱わないわけ
にはいかず、書かせてもらいます。
 地球の歴史を示す時代の1つ、今まで「更新世中期」と呼ばれていた時代(77万年前か
ら12万6千年前)に、「チバニアン(ラテン語で千葉の時代)」とうい名前が付くことが、
今年1月17日に決まったというニュースが話題になりました。
 地球の地質年代は現在117に区分されており、大きな生態系の変化や気候の変動、地磁
気の逆転等で堺が決められており、それぞれの変化が認められる箇所を世界で1か所だけ、
国際地質科学連合(IUGS)が地質年代の境界ポイント(GSSP:国際境界模式層断面と
ポイント)として認定するのだそうです。そして、現在の地磁気の方向になった最後の変
化(77万年前)を表すGSSPとして千葉県市原市の「地磁気逆転を表す地層」が認定され、
それから12万6千年前までの時代を「チバニアン」と呼ぶことが決まりました。この決定
のライバルにイタリアの2か所の地層があったとのことですが、より明確に示している千
葉の地層が選ばれたとのことです。
 このニュースにより、日本の地名及び地域が国際的に認識されたことは、非常に誇らし
い思いがあります。加えて、世界遺産に認められたようなもので、超有名な観光スポット
が身近に出来てよかったと考えるのは凡人の私だけでしょうか?ちなみに2018年10月には
国の天然記念物への指定も受けています。
 しかし、チバニアンという地層が学術研究的にすごいのは、1000年という、地球の歴史
で言えば一瞬の時間が、2m程の厚さで堆積しており、地磁気逆転の前、中、後が、非常
に広い幅で記録されていることです。1000年に相当する地層の堆積の厚さは、通常は10c
m程の厚さしかなく、ライバルだったイタリアの地層でも20cm程とのことです。2mある
と、研究のため抜くコアが2cmとすると、地磁気逆転によって何が起こったか、10年単位
で地球の気候変動の様子がわかり、次の地磁気逆転も近いと言われているそうですが、そ
こで何が起きるのか推測できるとのことです。今後の研究・解析が非常に楽しみです。
ところが、人類の活動(二酸化炭素排出が主)による気候変動は、もうすでに始まってお
り、しかも短期間でより大きな変化として表れています。それによって起きる事象の対応
に、われわれの業界は使命感を持って立ち向かわなければなりません。
 ただ、この人類が作り出した急激な変化の影響が、これからますます起きることへの不
安は、新型コロナウィルスへの不安と同じくらい大きく感じています。

                    (金久保 豊:サン・ジオテック株式会社)

令和2年3月号の担当は、中舎 哉さんです。

■リレーエッセイ<空間連携>
出向時代からご縁のある、アジア航測の阿部さんからバトンをいただいた小早川です。
私事ですが、昨年転勤をしました。新たな場所では、今いる場所から目的地にたどり着け
るよう道に慣れることから始まります。家から会社、顧客、買い物先へ、少し慣れて違う
移動手段での別経路を知ると、時間、費用や混雑度も変わり、新たな景色にも出会います。
地理空間情報の整備は、実空間を元に必要な条件に合った”箱庭”を作って利用すること、
とも言えるかと思います。地形や主題の位置と関連情報から、決められた処理により必要
な情報を引き出すことができます。その時は見えている実態を詰め込んでいるつもりです
が、後で、作った視点から見方を変えると、その中に新たな気づきが閉じ込められている
かもしれません。誰がどのような方向からどうやって気がつくのか、気づけるようになっ
てゆくのか、箱庭の未来について、実空間で初めて出会った景色を見ながら思う次第です。
次号は、入社時より大変お世話になっている東京地図研究社の原島克則さんに、バトンタ
ッチいたします。よろしくお願いいたします。

                        (小早川雅行:国際航業株式会社)

令和2年3月号の担当は、原島克則さんです。

■新会員のコーナー

「時々の初心忘るべからず」
 皆さま、はじめまして。2019年度(令和元年度)に新会員となりました、株式会社
国土開発センター(石川県白山市)の徳田と申します。
 私は、専門学校で測量に出会い、2001年の入社以来、地上測量に携わってきました。
学校の実習では、当時まだ平板やアリダード等アナログの測量機器を使っていましたので、
会社でバーコード標尺やピンポールミラーを初めて使った時はとても驚き、感激混じりの
衝撃を受けたことが、今でも鮮明に思い出されます。
 それから19年の間にも測量は次々と新しい技術が取り入れられ、傍から見れば小さな
事もあったかもしれませんが、自分にとっては、時には目を輝かせ、心が躍る、、、
「測量」を通じて、貴重な、たくさんの、「初めて」を経験させてもらっています。
 既にいい歳した中年ですが、これからも「空間情報」を通じて、皆さまとの出会い、
仲間との交流を大切に、新しい知見や経験に対して「すっげぇ〜!」という素直な気持ち
を忘れずに持ち続けたいと思います。 どうぞよろしくお願いいたします。

                    (徳田 義孝:株式会社国土開発センター)


「人生の目的とは?」
 日本人の平均寿命85歳程度からすると、自分の年齢も折り返し点を超え数年が過ぎまし
た。今後自分は何を成し得るのだろうかなどど考える時間が多くなってきています。
 仕事上では目標が常に目の前にぶら下がっており、競走馬のごとくその人参を追いかけ
る日々。これは、「あくまで目標であって、自分の目的ではない。」と言いきかせつつ、
目の前の物事に対してうまくいっただの失敗しただのと一喜一憂。「あな虚し。」
 そんな折り、かつての会社の先輩よりある本を紹介され何気に購入し期待せずに読んで
みたのでした。そこにはこんなことが書いていました。 「人生とは、生きるものである
と同時に、何かのために使うものである。」
 人は間違いなく生きて死んでいくこれが人生というのならば「何のために」使うかを発
想する(=目的をもつ)ことで人生に意味が発生してくる。
 では、目的はいかに創出するのか、
 人間の脳は3層構造になっているらしい。
 1層目:生命活動を維持する「脳幹・延髄」 2層目:本能、感情などの無意識領域であ
る「大脳辺縁系」 3層目:私たちの意識の領域「大脳新皮質」
 日々のストレスも3層目と1・2層目の戦いから発生するらしい。
(やらねばならないことがあったとしても、面倒くさいと本能が抗い、結果事を成さず自
己嫌悪に落ちいる。とか)
 大脳新皮質は左脳=「理屈の脳」(論理や計算、分析的思考が得意)と右脳=「イメー
ジの脳」(直感や情熱、全体的な把握 感じることが得意)に分かれており、右脳は左脳
より性質上1・2層目といっそう強くつながっている。故に、理屈的な数値目標やノルマと
いった左脳だけで目的を決めると、1・2層目には喜びが発生せず、「〜しなければいけな
い」という、ほぼ義務感の感情で終わってしまう。=「会社のためにはたらかなければな
らない。」「家族を養わなければならない。」とか。
 一方、右脳より生まれる「〜しよう」という、自発的な思いは、1・2層目と直結し、よ
り深い幸福感を味わうことができるらしい。=「自分以外を喜ばせたい。」「世のため、
人のため」とか。
 悩み多き年度末である。
 かのブルース・リーも言っている。「Do not think Feel」〜理屈で考えるな、感じよ。〜

                  (植木 博文:株式会社 ナカノアイシステム)

■空間情報関連便利グッズ/書籍の紹介 等

書名 天気・気象 大研究

著者 飯田睦治郎
発行所 (株)舵社
発行日 2010年10月.5日初版
本体価格 1800円
ISBN978-4-8072-1549

 先月、気象予報士の試験に初めて挑戦しました。
 航空写真測量やレーザ測量に携わっていると、まず空から撮影・計測をしなければなら
ず、お天気だけが頼りの業務着手となります。天気予報の晴れマーク傘マークに一喜一憂
するのでなく、もっと科学的に天気と向き合いたい、気象学にはずっと関心を持ち続けて
いました。そんな動機の受験なので、いきなり過去問や傾向対策に走るのではなく、気象
学の入門書で勉強して、それだけでどこまで解けるかやってみよう、と思って書店で見つ
けたのが本書です。このほか下に挙げる書籍も含め、これら3冊の知識だけで試験に臨み
ました。
 午前中は五択のマークシート方式、一般知識60分、専門知識60分。午後は記述式、実技
試験75分が2コマ。・・・意外なほど手応えがあり、大奮闘しました!
 同じ分野を対象とした複数の本を並行して読むと、同じ事項を異なった書きぶりで説明
しているので、物事を多角的に捉えることができて理解が進みます。午前中はキーワード
は殆ど押さえられていたので、勉強のしかたは間違ってなかったようです。。
 雨が降るメカニズム、雲の種類と特徴、高気圧と低気圧の原理、前線の種類と特徴。こ
れら気象学における基礎知識をひととおり理解すると、日々の観天望気(大空を見上げて、
その地における今後の天気を予測すること。登山や航海には欠かせない行為)にも深みが
出て、毎日の犬の散歩が楽しみになりました。観天望気と天気図を合わせ、自分の予報と
実際の天気を比較検証し知識を修正していく。半日後・一日後に、自分の考えの正解・不
正解がすぐに出てくるところがおもしろいですね。また、気象学を構成している流体力学
の動態って、けっこう理論どおりに雨になり風が吹くものだと感心しています。
 午後の実技試験はさすがに、そんな一般知識だけでは全く歯が立たないものがいくつか
出ました。「高層天気図」を読み込んで、高気圧や低気圧や前線の配置を特定すること。
 与えられた「状態曲線」を用いて、雨になる時点を予測すること。このような予報業務
に関する専門的なテクニックまでは、一般書では扱っていないのです。これまでの勉強で
抜けていたものがはっきりしたしだいです。
 1年に1回あるいは2回の受験機会、今後は傾向と対策も踏まえて、日々の観天望気も
楽しみつつ、チャレンジを続けてまいります。

あと2冊・・・
書名 気象と天気図がわかる本 −しくみ・読み方・書き方
著者 村山貢司ほか、天気検定協会 監修
発行所 メイツ出版(株)
発行日 2018年6月20日初版
本体価格 1530円
ISBN978-4-7804-2046-3

書名 図解・気象学入門 −原理からわかる雲・雨・風・天気図
著者 古川武彦・大本勇人
発行所 講談社 (ブルーバックス B1721)
発行日 2011年3月20日初版
本体価格 1080円
ISBN978-4-06-257721-2

                        (大山 容一:国際航業株式会社)

令和2年3月号の担当は、秋山幸秀さんです。

■日本測量協会からのお知らせ

◇第60回イブニングセミナー
「高精度GNSS受信機の最新開発状況」
 講師:山本 亨弘(株式会社コア GNSSソリューション開発センター センター長)
日程:令和2年3月18日(水)
場所: 東京、仙台(WEB)、大阪(WEB)
http://www.jsurvey.jp/k-academy20200318.pdf(東京)
 http://www.jsurvey.jp/k-touhoku20200318.pdf (仙台/WEB)
 http://www.jsurvey.jp/k-kansai20200318.pdf (大阪/WEB)

◇令和元年度 会費納付のお願い
 令和元年度の会費納付がお済みでない方は、会費納付にご協力ください。
 年間3,000円です。
 既に納付手続きをされている場合はご容赦ください。

 郵便局の払込取扱票が紛失したなどの理由で振り込めない方は、以下のアドレスまで
 メールでご連絡ください。
振込票を送付いたします(振込手数料はSPの会で負担します)。
 また令和元年度の会費が納入済みかどうか確認したい場合も以下のアドレスまでメール
 でご連絡ください。
 メール:spatialist@jsurvey.jp

または、郵便局に備付けの払込取扱票をご利用いただき、以下の郵便振替口座にお振込
みいただくこともできます
(その場合は振込手数料はご負担ください。ATMは152円、窓口は203円)。

 名称: スペーシャリストの会
 番号: 00160-4-586527

◇転職・退職・死亡等により、氏名・所属・連絡先(メールアドレス)の変更が生じた
 SPの会会員の方へ。
 変更後の内容をご本人または関係者の方から日本測量協会にお知らせください。
 SPの会MM誌の配信やお知らせ等の連絡に支障が出ないようお願いいたします。

 届け出様式は以下の場所にあります。
 http://www.jsurvey.jp/gissv/youshiki.htm
 様式2 空間情報総括監理技術者 登録事項変更届出

 メールまたはFAXまたは郵送でお知らせください。
 連絡先は以下の通りです。
 メール:geoinfor@jsurvey.jp
 FAX : 03-5684-3366
 〒113-0001 東京都文京区白山1-33-18 白山NTビル
 公益社団法人日本測量協会 測量継続教育センター 測量技術教育部 宛

◇重要なお知らせ

●【空間情報総括監理技術者の認定登録更新】時には、所定の測量CPDポイントが必要
 になります。
《更新条件》
☆平成24年度以降の認定登録者及び第1回更新済みの認定登録者は、40ポイント/5年間
 認定資格者の更新対象年度には、日本測量協会からご案内をお送りします。また、測量
 CPDポイントが更新時に基準に満たない場合には、ポイントが基準に達する年度まで更新
 はできません。当協会から発行される認定技術者名簿にも、その間は未掲載となります。

 次年度登録更新予定の方です。更新時に必要な測量CPDポイントは以下の通りです。
※平成26年度認定登録者は、令和元年10月登録更新(第1回更新)・40ポイント/5年
 ※平成21年度認定登録者は、令和元年10月登録更新(第2回更新)・40ポイント/5年

◇空間情報技術事例報告集の報告文募集
☆応募締め切り:随時(投稿報告文が到着次第、速やかに査読)
☆掲載可となれば、日本測量協会ホームページ上の[測量情報館]に掲載。
 技術事例報告集では、新規性や独創性という視点とは別に、(1)創意工夫性(何らかの
 創意工夫による業務改善への貢献など)(2)実用性(実務への応用性や実際に業務等に
適用していく際の実用性など)(3)信頼性(技術事例報告の内容やその結果に対して、
信頼性や実証性など)(4)今後の展開性(空間情報技術領域の中で、他技術領域への新
たな展開や応用の可能性、他技術との融合性や融合利用の可能性などを含めて今後の展
開性)という視点から査読し、技術事例報告として採用致します。奮って、投稿くださ
い。
 詳しくは、http://www.jsurvey.jp/kuukanhoukoku.pdf


■刊行案内        
*** 新刊案内 ***(※会員は10%割引でご購入いただけます)

 『実務者向け UAV利活用事例集』
 A5判  152頁
 定 価 2700円(税込)
 会員価格2430円(税込)
 送 料  450円
 令和元年7月26日刊行

 詳しくは、http://www.jsurvey.jp/2-1a.htm

                            (遠藤拓郎:日本測量協会)

■編集後記
4月から、小学校でプログラミング教育が必修化されます。プログラミング教育とは論理
的思考の教育だと思います。文科省の資料では育成すべき能力に論理的思考も含まれてい
ましたが、ちょっと対コンピュータ志向が強い感じがしました。
日本語はあいまいな表現が多いので、日本人は論理的思考が苦手だという風潮もあったり
します。これからの子供たちには、ぜひ論理的思考を身に着けて伸ばしてもらいたいと思
います。

                        (編集委員長:アジア航測 小林)

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