| タイトル：スペーシャリスト会報 Vol.164 | 発行日時：2020年8月17日21時47分25秒 |
| ┏ Magazine from Spatialist Club ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓ 2020年8月17日 ◇ スペーシャリスト メールマガジン ◇ vol.164 発行元：スペーシャリストMM事務局 http://www.capnet.jp/spatial/ ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ INDEX ： ＊ニュース・ラウンジ（大山容一） ＊リレーエッセイ＜空間連携＞（安田清史） ＊新会員のコーナー（松下隆史、多田和樹、野口英之 ） ＊空間情報関連便利グッズ/書籍の紹介等（金久保豊） ＊測量協会からのお知らせ（遠藤拓郎） ============================================================================ ■ニュース・ラウンジ ３月３１日朝刊の志村けん死亡のニュースを知り、これからいろいろなことが起こる！ 人口の多い東京は特に要注意！と、「東京新聞」の毎日の記事を注視しています。日々、 感染者の数が踊っています。国別に、都道府県別に、東京新聞では都内の市区町村別に。 政府がいろいろな施策を打ち出している、医療関係者の現状が伝えられる、経済動向が危 機的に語られる、職を失った人、自粛を余儀なくされている人、感染してしまった人、そ れぞれの立場から、皆、さまざまな考え方を披露していますが、まだどれが正解か、わか らないままに議論も進展しない、それでも目の前の問題にとりくんでいかねばならない、 １週間後がどうなっているかも、予測がつかない状況にあります。 そんな中で「感染者」等の統計数字(？)、日々の紙面を追いつつ、諸氏の論説を参照し つつ、大学時代やＯＪＴで学んだ「統計学」の知識で、考察してみました。二点に絞って 論じます。 � ‘�々のＰＣＲ検査陽性者数および陽性率報道は、統計数値としては、全く意味がない。 感染傾向など、私たちが知りたいことは何も語ってはいない。−−− ４月５日と６日の朝刊で、東京都内の日陽性者数が２日連続で100人を超え、日本中に 衝撃が走りました。その翌日、関東一都七県に非常事態宣言が発令されました。誰も異論 を挟むことなくスムーズに受け入れられました。私は、アレッ？！と思いました。 日々の陽性者数はそれ以降も毎日の一番の話題となり、重要で基本的な統計数値の顔を していますが、統計学の観点からは少々異なる見方ができます。明らかに標本統計値であ るのに、そのサンプリングのしかたは「無作為抽出」とはほど遠く、「症状出てから５日 待機して」とか「和歌山県では５日を待たずに」とか「クラスターが出たらその近辺全員」 とか「歌舞伎町のホストはとりあえず全員」とか「世田谷区民は誰でも何度でも(8/3朝刊)」 とか、さまざまな条件(作為)が混在しています。 また、感染の傾向は感染者／総数などの比率で見るべきところを、分子の陽性者数のみ の報道となっています。分母の検査者数は普段は公表されておらず、断片的に漏れてくる 記事の情報からは、およそ500から12,000まで、きわめてバラツキの多い数値となってい ます。こんな状況で、日々の陽性者数が多い少ないを論じるのは全くのナンセンスといわ ざるを得ません。3/10と5/100を比べて３より５の方が多い、と騒いでいるようなものです。 また、たとえ陽性率を出したところで、上述のとおり無作為抽出ではないので、何も語っ てはくれません。 日々の陽性者数の実績は、その日、それだけの人数の患者を、確実に医療体制が引き受 け、隔離処置・入院等の対応を取った歴史を語っているのは事実で、本当に頭の下がる思 いですが、統計としての価値は皆無です。 �◆―貼�者数・死者数は、完璧な統計数値である。これらの数値は、日本社会が医療崩壊 を起こさずに、大健闘していることを物語っている。−−− ７月２１日の朝刊で、日本での死者が1001人と千人を超えたことを報じていました。最 近は重傷者・死者の数は落ち着いており、派手にふるまう陽性者数の陰でめだたない存在 ですが、これらの数値は、全国民あるいは全県民あたりの人数集計、すなわち全数統計値 ですから、統計数値として完璧です。まれに死者数のグラフが公表されることがあります が、４月初め頃の第一波を超えて見事に収束しています。必ずしも検査数増に固執せず、 現存リソースを最大限、重傷者医療に集中させている日本の医療体制に、ここでも敬意を 表するしだいです。元はといえば、1997年前後、全国に850あった保健所を450にまで合理 化してしまったツケがここに出てきたとも言えますが。 なぜ為政者は、日々の検査者数と陽性者数をセットで公表しないのか。こんな稚拙な統 計トリックをなぜ使おうとするのか。そして報道も受け売りで、「今日感染者が○○人に 達しました。感染拡大が止まりません！」という言い方をしてしまうのか。彼らの立場に 立って想像してみました。 i 日本における検査能力（日検査数）が、諸外国と比較して、みっともないくらいに少 ない、先進諸国の大勢よりも概ね一桁少ない。だから正直、言いたくない。 ii 「陽性率」ではなく「陽性者数」を報じることで、生身のひとりひとりの人間が想起 され、不安感を煽るのに好都合である。 iii 分母（検査数）を公表しないことを標準とすることで、発表数値（感染者数）の調 整材料に使える。 特にiii を感じたのは、4/5以降、ＧＷに突入するまでの東京都内の陽性者数の動向と、 世の中の動きから、見事なシナリオの存在を感じたからです。以下に略記しておきます。 何か感じませんか？決して偶然とは思えない流れを・・・（月/日:東京都日陽性者数〜〜） 4/5:118人〜4/6:143人〜4/7:83人(一都七県非常事態宣言)〜4/8:80〜144〜181〜189〜 〜4/12:197〜4/13:新聞休刊日〜4/14:91〜4/15:161〜127〜149〜4/18:201〜4/19:181（国 内累計10,202）〜4/20:107〜102〜123〜132〜134〜161〜103〜4/27:72（世界死者20万人 超）〜4/28:39〜112〜4/30:47〜・・ほどなく宣言は５月いっぱいまで延長される （大山容一：国際航業株式会社） 令和2年9月号の担当は、早川和夫さんです。 ■リレーエッセイ＜空間連携＞ 同じ会社のかんこうの三輪さんより、バトンを受け継ぎました安田です。 先日、今脚光を浴びている“仮想店舗”の情報として、「ネット上の街の中でVRゴーグ ルをつけて、好きな店舗に入り洋服の試着から、車の試乗までが出来、最後に「BUY」と 書かれた印をクリックすると商品を買えることが出来る」という、“アフターコロナ”の 新たな買い物のカタチになると注目されているという番組を見ました。その番組を見て感 じたこととして、少し話がずれるかもしれませんが、忠実なヤクルト・スワローズのファ ンである作家の村上春樹氏は、「テレビで野球中継を見るのは好きではなく、実際に野球 場に足を運び、目の前で展開されるナマの試合を見るのが好きだ。」と言っており、「テ レビでは何かいちばん大事なものを見逃してしまっているような気がし、ほんとうに心を 躍らせるものが失われている。実際の野球場には、目を射る純白のボール、ビールの売り 子のきりっとしたかけ声、まっさらなスコアボードなど、これからほどかれるべき筋書き の予感が満ち、歓声やため息や怒号が怠りなく用意されていた。」とも述べています。人 間が生まれながらに持っている五感から、自らが先が見えないワクワクした物語（ストー リー）を作るための舞台装置を、VRは今後どこまで提供・発信してくれるのか期待と希望 をもって見続けていきたいと思っています。 ただ、VRではないですが、現在弊社でも行っているwebを使ったリモート会議等について は、日常的になっており、以外と上手くいっているように感じられます（当たり前かもし れませんが）。 次号は、同じ会社の遠藤浩二さんにバトンタッチしたいと思います。よろしくお願いい たします。 （安田 清史：株式会社かんこう） 令和2年9月号の担当は、遠藤浩二さんです。 ■新会員のコーナー 「高みの見物ではありません」 はじめまして、昨年度から新会員になりました、株式会社パスコの松下です。 入社以来ずっと砂防・防災関連の仕事に携わってきましたが、ここ10年ほどの間に、 レーザ計測など空間情報技術とリンクした仕事が増えまして、空総監取得をきっかけ に、この会に参加させていただくことになりました。 いまや日本全国で大規模災害の発生が常態化しつつありますが、私の勤務する九州で も、直近の７月豪雨など、毎年のように災害に見舞われています。私たちの会社では、 できるだけ迅速な被害状況の全容把握・情報提供につとめています。 後日、そのデータを利用する現地担当の方から「高みの見物ですね」とジョークまじり に言われることもありますが、いや、じっさい撮影高度は高かったりしますが、みんな 短い時間のなかでガンバッてますのでご理解ください。 といったところで、今後ともよろしくお願いいたします。 できるように微力ながら貢献していきたいと思います。よろしくお願いします。 （松下 隆史：株式会社パスコ） 「私の「ウフフッ」」 昨年度入会した多田です。ここ数ヶ月の間で、私が「ウフフッ」と感じたことについて、 紹介させていただこうと思います。 その１：カワセミのダイブ 以前からカワセミを目にすることはあったのですが、この日は、人も非常に少なく、人 の目を気にする様子もないカワセミの食事風景をじっくりと観察することができました。 橋の欄干の上から、水面下の小魚目がけて、5、6回ダイブするカワセミの姿、瑠璃色の宝 石と呼ばれる美しくも逞しい姿に「ウフフッ」でした。 その２：イタヤハマキチョッキリ 丹波篠山市のとある里山での発見です。さほど珍しい種類ではなく普通種ですが、私自身 は、初めて見つけることができました。オトシブミと呼ばれる甲虫の仲間の１種です。体長 7mmほどの小さな昆虫ですが、その身体の形の面白さと色彩の美しさに「ウフフッ」です。 形態上の特徴は、細長く湾曲した口吻、その途中から出ている２本の触覚、長く伸びた脚と 太い太ももです。色彩は、背面が赤胴色、腹面が藍青色の金属光沢で、とても美しい輝きを 放っています。 その３：ショウジョウバカマ 3月頃に咲くピンクから赤色の山野草の仲間です。これも近所の自然公園で毎年、目にして いる植物です。この仲間には絶滅危惧種に指定されているものもあります。散策していると、 散策路の脇のところどころにポッと濃いピンクの花が目に入り、「ウフフッ」です。 空間情報とは何の関わりもない話でしたが、興味がある方は、一度図鑑で確認してください。 これからも新たな発見を求めて、ウロウロ、きょろきょろして行きたいと思います。 （多田 和樹：株式会社 京都イングス） 「はじめまして」 昨年度、会員に加えて頂きましたアジア航測（株）の野口と申します。以前は熱帯林の研 究を志し、アジアや南米の熱帯林を這い回っておりましたが、巡りめぐって6年前にアジ ア航測に拾って頂きました。現職では、森林域での放射性物質のモニタリングや、航空レ ーザによる森林資源解析等の業務に携わっております。 熱帯林の複雑な生態系は、どうやって維持されているのか？なぜ多くの種が同じ場所に共 存できるのか？そういった難問に答えるために、かつて熱帯の原生林に50ha程度の「大面 積」調査区を設け、長期にわたって、全ての樹木等を数年おきに（人力で）余さず調査す る、という野心的な研究が、世界各地で立ち上がった時期がありました。当時、大学院生 だった私も、その流れに乗せらせて（？）、タイの山地林に15haの調査区を新設する調査 プロジェクトの現地要員として、トラコンとスチールメジャーを手に、密生する低木をか き分けながら測量と樹木調査に明け暮れる日々を過ごしておりました。GPSすら普及して いなかった当時からすると、一本一本の樹木の情報を、迅速かつ克明に取得できる現代の レーザ計測やUAV等の技術はまるでSFのようです。 日常的に激甚な災害に見舞われ、出口の見えないコロナ禍への適応も余儀なくされている 令和の日本において、長足の進歩を遂げた空間情報技術を手にしたスペーシャリストの一 人として、いったい何ができるのか...。（祖父母にも会えず、遊びにも行けない子供ら に翻弄されながら、）日々、自問する今日この頃です。スペーシャリストの会では、森林 に限らず、いろいろな分野の技術や知見を幅広く勉強させていただきたいと思います。 どうぞ、よろしくお願いいたします。 （野口 英之：アジア航測株式会社） ■空間情報関連便利グッズ／書籍の紹介 等 ◇書 名：MMTが日本を救う 著 者：森本康平 発行所：(株)宝島社 発行日：2020年6月24日初版 本体価格：900円 コロナ過で経済再生について不安になっているところ、人にＭＭＴ（現代貨幣理論）に ついて勧められ、それについて書かれている本を選択して読んでみました。 ＭＭＴとは、通貨発行権のある国の自国通貨建ての国債はデフォルトしない、つまり、い くら国の借金が増えようが、自国の通貨で自国の国民への借金なら、絶対に破綻しない、 という考えを基本としています。そして、誰かの赤字は誰かの黒字で、企業や家計を黒字 にするには、政府は赤字を出さなければならない。よって、経済再生のためには、自国通 貨をいくらでも刷って国債としてばらまくべきとしています。ただし、急激なインフレの 傾向はいち早くつかんで、増税や歳出削減で引き締めを行わなければならない、と指摘し ています。 2017年の政府の債務残高は対GDP比235.0%、額は1970年の152倍にもなっており、財政危機 と言われて久しいのにいっこうに破綻していないどころか、低インフレを継続していると 書かれると、この主張には非常に説得力があります。 この本が書かれたのがこのコロナ過の4月中旬であり、今の状況を鑑みて私のような不安 を持つ人向けに作者は執筆した（MMTの紹介をした）とも感じられ、読み終える頃には、 是非思い切った国の財政出動に期待をしたくなる本でした。 （金久保 豊：サン・ジオテック株式会社） 令和2年9月号の担当は、廣野 貴一さんです。 ■日本測量協会からのお知らせ ◇第60回イブニングセミナー 「高精度GNSS受信機の最新開発状況」 日程: 2020年9月17日（木）16:00〜 講師: 山本 享弘 氏 （株式会社コア) 場所: 東京、仙台(WEB)、大阪(WEB)、広島(WEB) 詳しくは、http://www.jsurvey.jp/k-academy20200917.pdf 東京 http://www.jsurvey.jp/k-touhoku20200917.pdf 仙台(WEB) ※定員締切 http://www.jsurvey.jp/k-kansai20200917.pdf 大阪(WEB) http://www.jsurvey.jp/k-chugoku20200917.pdf 広島(WEB) ※定員締切 ◇転職・退職・死亡等により、氏名・所属・連絡先（メールアドレス）の変更が生じた ＳＰの会会員の方へ。 変更後の内容をご本人または関係者の方から日本測量協会にお知らせください。 ＳＰの会MM誌の配信やお知らせ等の連絡に支障が出ないようお願いいたします。 届け出様式は以下の場所にあります。 http://www.jsurvey.jp/gissv/youshiki.htm 様式２ 空間情報総括監理技術者 登録事項変更届出 メールまたはFAXまたは郵送でお知らせください。 連絡先は以下の通りです。 メール：geoinfor@jsurvey.jp FAX : 03-5684-3366 〒113-0001 東京都文京区白山1-33-18 白山NTビル 公益社団法人日本測量協会 測量継続教育センター 測量技術教育部 宛 ◇重要なお知らせ ●【空間情報総括監理技術者の認定登録更新】時には、所定の測量CPDポイントが必要 になります。 《更新条件》 ☆平成24年度以降の認定登録者及び第1回更新済みの認定登録者は、40ポイント/5年間 認定資格者の更新対象年度には、日本測量協会からご案内をお送りします。また、測量 CPDポイントが更新時に基準に満たない場合には、ポイントが基準に達する年度まで更新 はできません。当協会から発行される認定技術者名簿にも、その間は未掲載となります。 次年度登録更新予定の方です。更新時に必要な測量CPDポイントは以下の通りです。 ※平成27年度認定登録者は、令和2年10月登録更新(第1回更新)・40ポイント/5年 ※平成22年度認定登録者は、令和2年10月登録更新(第2回更新)・40ポイント/5年 ◇空間情報技術事例報告集の報告文募集 ☆応募締め切り：随時（投稿報告文が到着次第、速やかに査読） ☆掲載可となれば、日本測量協会ホームページ上の［測量情報館］に掲載。 技術事例報告集では、新規性や独創性という視点とは別に、(1)創意工夫性（何らかの 創意工夫による業務改善への貢献など）(2)実用性（実務への応用性や実際に業務等に 適用していく際の実用性など）(3)信頼性（技術事例報告の内容やその結果に対して、 信頼性や実証性など）(4)今後の展開性（空間情報技術領域の中で、他技術領域への新 たな展開や応用の可能性、他技術との融合性や融合利用の可能性などを含めて今後の展 開性）という視点から査読し、技術事例報告として採用致します。奮って、投稿くださ い。 詳しくは、http://www.jsurvey.jp/kuukanhoukoku.pdf ■刊行案内 *** 新刊案内 ***（※会員は10％割引でご購入いただけます） 『空間情報工学概論（実習ソフト・データ付き）改訂版』＜最新の内容に改訂＞ Ａ５判 ２６４頁 定 価 ３６６６円(税込) 会員価格３２９０円(税込) 送 料 ４６０円 令和２年３月２６日刊行 詳しくは、http://www.jsurvey.jp/2-1a.htm (遠藤拓郎：日本測量協会） ■編集後記 我が家が所在する埼玉県の高校受験の仕組みは、他県に比べてちょっと特殊らしく、転入 してこられた方々は少々戸惑いを覚えるようです。まず、県内での受検率９０％超という 模擬テスト（業者テスト）があります。その受検率の高さから、偏差値の精度が非常に高 く、これをもとに受験生は出願先を選択します。私立高校に出願する場合は、その偏差値 を持って「個別相談会」という三者面談を受け、基準に達すれば「確約」という通行手形 が手に入ります。特にこの「確約」の仕組みを知らないと、中学校での進路相談などでも 先生と話がかみ合いません。埼玉県に翔んでこられるのは大歓迎ですが、ご注意を。 （編集委員長：アジア航測 小林） ──────────────────────────────────────── All Rights Reserved, COPYRIGHT(c) Spatialist Club このメールマガジンを紹介したい方は各自の責任で転送しても結構です。 ──────────────────────────────────────── |
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