タイトル:スペーシャリスト会報 Vol.180 | 発行日時:2021年12月15日 |
┏ Magazine from Spatialist Club ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓ 2021年12月15日(水) ◇ スペーシャリスト メールマガジン ◇ vol.180 発行元:スペーシャリストMM事務局 http://www.capnet.jp/spatial/ ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ INDEX : *ニュース・ラウンジ(早川和夫) *リレーエッセイ<空間連携>(野瀬和仁) *空間情報関連便利グッズ/書籍の紹介等(廣野貴一) *SP企画委員会議事録概要 *測量協会からのお知らせ(遠藤拓郎) ================================================================== ■ニュース・ラウンジ 2021年10月31日から11月12日にかけ、英国・グラスゴーで国連機構変動枠組条約締約 国会議第26回会議(COP26)が開催されました。本来は昨年開催の予定だったが、新型 コロナウイルスの影響で延期されました。 今回の合意文書のポイントとして、 ◇1つ目は、気温上昇を世界の目標として「1.5度」の重要性の認識 温室効果ガスの排出削減を強化し、「パリ協定」が目指す目標(世界の平均気温の上昇を 2度)より低く保ち、1.5度に抑える努力を追求することの重要性を「認識」したこと。 ◇2つ目は、パリ協定の「ルールブック」議論の中で、最後まで積み残された、「市場メカ ニズムのルール」などの議論について結論を得たこと。 先進国から途上国への技術移転等の方法で、複数の国が協力して排出削減する制度が認 められています。しかし、排出削減分を分配する際にダブルカウントの懸念、また京都議 定書で認められていたクリーン開発メカニズム(CDM)の排出削減分を活用すると、実際 の排出量は増えてしまうという反対意見があり、これまで実施に移すために必要な詳細ル ールが決まっていなかったのですが、今回合意されました。ダブルカウントとならないよ う厳密に測定、報告することや、CDMの排出削減分は限定的にしか認めないといったルー ルを整備しました。 日本は、独自に二国間クレジット制度(JCM)という制度を構築し、途上国の排出削減を 支援してきたため、日本にとって重要なテーマでした。今後、日本の協力によって途上国で 実現した排出削減枠の一部が日本の削減分としてカウントされることになりました。 COP26議長が掲げる重点課題にも注目です。COP26議長は気温上昇を1.5℃に抑えるため に、1)石炭の段階的廃止の加速、2)森林破壊の削減、3)電気自動車への切り替えの加 速、4)再生可能エネルギーへの投資奨励、 を重視しています。 一見、我々の業界とはあまり結びつかないと思われる方も多いかと思いますが、 1)4)については、風力・太陽光発電など自然再生エネルギーの活用になるかと思います。 また、2)については、現状の森林面積や現状の把握、さらに、モニタリング、3)につい ては自動運転の使用される地図、といったことを想定すれば、我々測量業界もかかわるとこ ろが多いのではないかと考えます。 毎年行われるイノベーション大会では、社会基盤整備を主体とした測量・計測技術につい ての発表が多く行われていますが、3年前から「新たな空間情報技術の利活用」をテーマと したセッションが設けられています。ここではCOP26で取り上げられた①環境②エネルギー ③森林などの分野で活躍する測量・計測の事例紹介を行っています。 今年もイノベーション大会はすでに6月に開催が決まっていますが、コロナの影響でどの ような方式になるのか決まっていないようです。方法について気になるところですが、内容 についても興味のあるところです。ぜひ、空間情報総括管理技術者としては、社会環境を俯 瞰的にとらえた充実した内容になることを希望しています。また、測量技術者が一堂に会し、 様々な面での情報交換ができる場が創れることを切望しています。 (豆知識:COPとは、国連気候変動枠組条約(UNFCCC)を批准するすべての国 (締約国)が参加する会議であり、最高意思決定機関です。) (早川 和夫 : 株式会社テイコク) 〇令和4年1月号の担当は、橘 菊生さんです。 ■リレーエッセイ<空間連携> アジア航測の尾崎さんからバトンを引き継いだ野瀬和仁です。アジア航測にお世話にな って20年超になります。 急激な少子高齢化が進む我が国において、今後のまちの在り方が様々な場面で議論され ています。空き地・空き家をはじめとする低未利用地の増加、オールドニュータウン化、 公共交通廃止、施設統廃合など暗くなる言葉が日々聞こえてきますが、日本のまちの未来 は本当に暗いのでしょうか。 確かに地方都市の駅前の状況は、目を覆いたくなるようなこともあります。一方で、 これまで先人たちが苦労してつくりあげてきたストックが豊富にあるという見方もできま す。例えば、空き地や施設ひとつをとっても、見方を変えれば市街地の貴重なスペース・ 施設で、地域の皆が集う地域資源等になりうるという見方ができます。要は、視点を変え てちょっとした「きっかけ(刺激)」をまちに与え続ければ、これまで官がつくってきた まちを、本来のまちの主人公である市民が「つくる、そして育てる」まちづくりが実現で きるのではないかと考えています。 容易なことではなく、何十年もかかると思いますし、夢物語かもしれません。ただ何事 もそうですが、「見方」を変える時代に突入しているとしみじみ感じます。 (野瀬和仁:アジア航測(株)) 〇次号は15年以上の付き合いとなりましたアジア航測の髙木章史さんにバトンを渡します。 ■空間情報関連便利グッズ/書籍の紹介 等 ◇失敗の本質◇ 著者:戸部良一ほか 発行所:中公文庫 定価:838円(税込) 大東亜戦争(戦場が太平洋に限ったものではないので本書はこの呼び方にしている)は 著者の認識によると、客観的に見て国力に大差がある国々を相手にした「勝てない戦争」 でした。本書は最初から完璧な勝利を望めない戦争であっても、それぞれの作戦にはそれ なりの戦いがあったはずと考え、「戦い方」の失敗を組織としての日本軍の失敗と捉えな おし、これを現代の組織にとっての教訓として活用することを最も大きなねらいとしてい るとのことです。 1章は戦史上の大きな失敗例である6つの戦い、ミッドウェー作戦、ガダルカナル作戦、 インパール作戦などについて、日本軍と米軍の闘い方・作戦を比較して解説しています。 2章は、6つの戦いに共通してみられる作戦の性格、失敗の要因を米軍と対比しながら 戦略と組織の二面から分析しています。 3章は、日本軍がなぜ一連の失敗を発生させた戦略と組織の特性を持つようになり、 環境変化に対応して変革できなかったのか分析しています。 「成功体験への固執」「現場と上司の見方の食い違い」などの失敗の要因、組織の行為 と成果の間にギャップがあった場合には既存の知識を疑わなくてはならないという教訓は、 自分にも置き換えて参考にしなければいけないのだと思いました。 (廣野 貴一 : サン・ジオテック株式会社) 〇令和4年1月号の担当は、大伴真吾さんです。 ■令和3年度 第1回「スペーシャリストの会」企画委員会(令和3年11月)議事録(概要) 日時:令和3年11月24日(金)13:30~15:15 場所:日本測量協会 会議室、WEB 議事項目: (1) 前回(9月)議事録の確認(資料1) 修正なく議事録は確定した。 (2) 報告事項 ① 各支部活動報告(※10月号掲載済み) ・東北支部長の交代 菊池氏から宮寺氏(朝日航洋) ・関西支部長の交代 西村氏から河野氏(パスコ) ② その他 ・令和3年度の空総監試験は19名が合格(合格発表:令和3年11月19日)。 合格者に対してSP会の入会案内を送付済み。 (3) 討議事項・要請事項 ① 月刊「測量」スペーシャリストの会コーナーの執筆毎号の確認(第28弾)(資料3) ・第29弾第5回(9月号)の担当は東北支部、 第6回(10月号)の担当は中部支部である。 ② メールマガジン当番表について(新会員について)(資料4) ・179号の発刊(令和3年11月)から大山氏が編集長となった。 ・新会員のコーナーは令和4年1月号~10月号、毎月2名の掲載を予定している。 ・リレーエッセイについて →バトンが同じ会社で回りがちで他社に広がらないのが現状である。 ⇒投稿回数に制限はないが、広く社外の人脈で回すように心がけて欲しい。 ③ SPの会女性技術者バーチャル座談会(要約版・書籍版)について(資料5) ・書籍の発刊に向けた編纂もスタートしている。 ④ その他 令和3年度事業計画から(資料6) ・北陸支部設立について ⇒引き続き設立に向け検討する。 ・SP会全国大会(オンライン)の開催について →開催方法、開催時期、テーマ等について検討する。 ・令和4年イノベーション大会について →東京大学にて対面で開催を予定し、オンラインとのハイブリッドで行う予定。 ・月刊『測量』(5月号)三角点への投稿内容について(瀬戸島会長より) →継続教育をテーマとし、SP会の活動を第3の継続教育として紹介する予定。 ⇒資格取得後も、いつも途上であることを意識し努力することが必要である。 ・実務者向けのALB計測の事例集について ・測量技術者のための技術士取得支援セミナーについて ・機関誌『空間情報コンサル(仮称)』の発刊検討 ・その他 →令和3年度の空総監合格者のSP会への新規入会者の情報は、 事務局から各支部に連絡する。 →日本測量協会では定款の変更を予定している。令和4年6月の総会にあたり、 正会員への議決権行使の書面提出を周知して欲しい。 〇次回企画委員会は令和4年1月17日(月)13:30~15:15の予定 以 上 ■日本測量協会からのお知らせ ◇令和3年度 空間情報総括監理技術者資格認定試験の合格者発表 11月19日(金)日本測量協会ホームぺ―ジ上で発表しました。 今年度は19名の方が合格されました。おめでとうございます。 ◇スペーシャリストの会新メンバーのご紹介 12月9日現在、16名の方に入会いただきました。 まだご入会いただいていない3名の方にも是非入会していただければと思っております。 阿部 直樹 (株)パスコ 小西 正剛 (株)パスコ 久保田 博章 中電技術コンサルタント(株) 戸口 伸二 (株)エイテック 木下 純二 (株)かんこう 青山 聖人 (株)パスコ 吉岡 修 キタイ設計(株) 手塚 国夫 アジア航測(株) 大野 勝正 アジア航測(株) 宮本 藍介 アジア航測(株) 宇美 雅博 国際航業(株) 本間 亮平 アジア航測(株) 谷口 靖博 アジア航測(株) 市岡 広太 東日本総合計画(株) 光安 利樹 アジア航測(株) 吉川 慶 (株)ウエスコ ◇実務者向けセミナー~UAVを用いた新たな計測技術とその利用~ 日程:令和4年1月28日(金) 場所: 品川フロントビル(東京) 受講方法:会場集合・オンライン(リアルタイム配信) https://www.jsurvey.jp/k-honbu20220128.pdf ◇公開講座 「地図が伝える自然の営み(第2回)」 講師:宇根 寛 氏 一般財団法人日本地図センター主任研究員 日程:令和4年1月25日(火) 場所: 東京、仙台(WEB)、大阪(WEB) https://www.jsurvey.jp/k-honbu20220125.pdf (東京) https://www.jsurvey.jp/k-touhoku20220125.pdf (仙台/WEB) https://www.jsurvey.jp/k-kansai20220125.pdf (大阪/WEB) ◇転職・退職・死亡等により、氏名・所属・連絡先(メールアドレス)の変更が生じた SPの会会員の方へ。 変更後の内容をご本人または関係者の方から日本測量協会にお知らせください。 SPの会MM誌の配信やお知らせ等の連絡に支障が出ないようお願いいたします。 届け出様式は以下の場所にあります。 https://www.jsurvey.jp/gissv/youshiki.htm 様式2 空間情報総括監理技術者 登録事項変更届出 メールまたはFAXまたは郵送でお知らせください。 連絡先は以下の通りです。 メール:geoinfor@jsurvey.jp FAX : 03-5684-3366 〒113-0002 東京都文京区小石川1-5-1 パークコート文京小石川 ザ タワー 5 階 公益社団法人日本測量協会 測量継続教育センター 測量技術教育部 宛 ◇重要なお知らせ ●【空間情報総括監理技術者の認定登録更新】時には、所定の測量CPDポイントが必要 になります。 《更新条件》 ☆平成24年度以降の認定登録者及び第1回更新済みの認定登録者は、40ポイント/5年間 認定資格者の更新対象年度には、日本測量協会からご案内をお送りします。また、測量 CPDポイントが更新時に基準に満たない場合には、ポイントが基準に達する年度まで更新 はできません。当協会から発行される認定技術者名簿にも、その間は未掲載となります。 今年度登録更新の方です。更新時に必要な測量CPDポイントは以下の通りです。 ※平成28年度認定登録者は、令和3年10月登録更新(第1回更新)・40ポイント/5年 ※平成23年度認定登録者は、令和3年10月登録更新(第2回更新)・40ポイント/5年 ※平成18年度認定登録者は、令和3年10月登録更新(第3回更新)・40ポイント/5年 今年度更新対象の方々には、 10月1日に空間情報総括監理技術者認定試験事務局からメール送付しております。 メールが届いていない方は、事務局(geoinfor@jsurvey.jp)までご連絡ください。 ◇空間情報技術事例報告集の報告文募集 ☆応募締め切り:随時(投稿報告文が到着次第、速やかに査読) ☆掲載可となれば、日本測量協会ホームページ上の[測量情報館]に掲載。 技術事例報告集では、新規性や独創性という視点とは別に、(1)創意工夫性(何らかの 創意工夫による業務改善への貢献など)(2)実用性(実務への応用性や実際に業務等に 適用していく際の実用性など)(3)信頼性(技術事例報告の内容やその結果に対して、 信頼性や実証性など)(4)今後の展開性(空間情報技術領域の中で、他技術領域への新 たな展開や応用の可能性、他技術との融合性や融合利用の可能性などを含めて今後の展 開性)という視点から査読し、技術事例報告として採用致します。奮って、投稿くださ い。 詳しくは、https://jsurvey.jp/kuukanhoukoku.pdf ■刊行案内 *** 新刊案内 ***(※会員は10%割引でご購入いただけます) 『公共測量 作業規程の準則 解説と運用(基準点測量編、応用測量編)』 『公共測量 作業規程の準則 解説と運用(地形測量及び写真測量編 三次元点群測量編)』 (令和3年5月13日刊行) 『公共測量 作業規程の準則 基準点測量記載要領(基準点測量編)』(令和3年4月3日刊行) 『公共測量 作業規程の準則 基準点測量記載要領(水準測量編)』(令和3年4月3日刊行) 各種ラインナップ取り揃えております。 詳しくは、https://www.jsurvey.jp/2-1c.htm (遠藤拓郎:日本測量協会) ■編集後記 机上に青い切符が1枚。 千葉県郊外でALBの現場にて水質確認をして、やれやれと道の駅で休もうと小さな集落 に入ったところで、一方通行を逆進してしまいました。県警のI巡査部長、2点減点になり ますが、3ヶ月無事故無違反でいるとこの点数消えますんでね、安全運転を心がけてくだ さいね、と優しいお言葉。近くの郵便局で7000円の仮納付、速攻で納めてきました。 近年、県予算で中規模河川のALB(航空レーザ測深)の業務が、全国で出ていますが、 いくつか担当するうち、なに故にこんな濁った川のALB、発注するんだろう、そして受注 するんだろう、こんな濁ってて絶対に水深計測なんか無理なのに、と、初回打合せの前に、 すでにこの仕事は成就しないとわかるような業務に、たびたび遭遇します。 正しい技術情報が、お客様に、そして営業マンに、伝わっていないんですね。グリーン レーザで測深可能な場合、緑色の光が水底に達して反射しセンサーで受信できているわけ です。そのとき、川べりや橋の上に立った私たちの目には、川底が見えているはずですね、 緑の光なんだから。 川底が見えていればALB測深できる、川底が見えていなければ、ALB測深できない可能 性が高い。この単純明快な見分け方をもっと啓蒙しないと、貴重な税金が無駄になります。 くだんの川は、水深80cmくらいで川底が見えなくなります。それより深くには緑色の レーザ光は届かない川なんです。私の青い切符は、このメルマガが配信されるころ時効 になり、ゴールド免許も安泰です。皆様、良いお年をお迎えください。 (編集委員長:国際航業㈱ 大山容一) ──────────────────────────────────────── All Rights Reserved, COPYRIGHT(c) Spatialist Club このメールマガジンを紹介したい方は各自の責任で転送しても結構です。 ──────────────────────────────────────── | |
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