タイトル:スペーシャリスト会報 Vol.183 | 発行日時:2022年3月15日 |
┏ Magazine from Spatialist Club ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓ 2022年3月15日(火) ◇ スペーシャリスト メールマガジン ◇ vol.183 発行元:スペーシャリストMM事務局 https://spatialist.sakura.ne.jp/ ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ *ニュースラウンジ (西岡陽一) *リレーエッセイ<空間連携> (高橋 健) *新入会員のページ (木下純二、青山聖人) *空間情報関連便利グッズ/書籍の紹介等 (池田晃三) *各支部活動報告 (各支部長) *会からのお知らせ (遠藤拓郎) *編集後記 (大山容一) ■ニュース ラウンジ 2022年2月24日、ロシアによるウクライナへの全面侵攻が開始された。軽々には触 れられない話題ではあるが、ネット等からの情報等をもとに背景と地理空間情報との 関わりについて取りまとめてみた。 ロシアはなぜウクライナに侵攻したのか、「地政学」での考察がある。地政学は 「国の地理的条件をもとに国際関係をみる学問」である。地政学では、ユーラシア 大陸の中心部をハートランドと呼び、ユーラシア大陸の沿岸部をリムランドと呼ぶ。 今のロシアのほとんどがハートランドに属しておりヨーロッパはリムランドである。 歴史的に、厳しい環境のハートランドの国は豊かなリムランドの国に攻め込みたがり、 リムランドの国はそれを守るために勢力圏をハートランドに広げようとする。つまり、 ウクライナは、ハートランドとリムランドの境目にある地域であり、地政学的には 紛争の起きる可能性の高い地域になる。 地政学では、バッファゾーン(緩衝地帯)という言葉もよく使われる。力と力がぶ つかりあうことを防ぐために存在する「どちらともぶつからない国」のことである。 ウクライナは少し前までは、ロシアとNATOとのバッファゾーンであった。しかし、ヨ ーロッパの国々のほうを徐々に向きはじめ、今ではNATO加盟まで求めるようになった。 ロシアからするとバッファゾーンだったはずがNATOの圧力を直接感じるようになりつ つあるわけで、何としてもウクライナのNATO入りを阻止したいのである。 また、戦争における地理空間情報の重要性についても、改めて考えさせられた。地 図を軍が扱う国は少なくない。「国土地理院」が測量や地図を扱っている日本にいる とピンとこないが、国によっては軍が地図の担当部門になっている。地形や施設の状 況が一目で分かる地図は、軍事作戦を実施する際に不可欠なものだからである。地形 だけでなく、地質や植生も問題になり、湿地や沼地と知らずに戦車を送り込んだら身 動きがとれなくなる。そのために、地形に加えて地質や植生も調べて、それらを位置 情報とリンクして管理すれば、これもまた地理空間情報である。 戦地では、ピンポイント爆撃に巡行ミサイルが使用されたようだ。初期の巡航ミサ イルは、眼下の地形の標高を調べて記憶しているデジタル・マップと照合する ことで現在位置を知る方式であった。今はGNSS受信機により自律飛行する方式だが、 目標を指示するには緯度・経度の情報が要るから、やはり地理空間情報が大きく関わ ってくる。 発展途上の国では軍隊が最も組織化された強力な部門なので、軍が測量や地図の作 成を担当することが多くなる。そして閉鎖的な国や民主化が進んでいない国ほど、軍 が扱う地図データは公表されにくい。一方、日本では、軍事施設の所在地までちゃん と書かれた地図が街中で普通に売られており、その精度が上がるほど安全保障上のリ スクを増すとも言える。 この記事が流れる時点で、ウクライナはどうなっているのだろう。紛争が平和的に 解決されればいいが、地政学的に見ても楽観的になれない。地理空間情報がピンポイ ント爆撃など戦争に利用されるという現実を突きつけられた今、DX時代を迎えた我が 国の地理空間情報管理の在り方について、安全保障の側面からも深く考える必要があ ると痛感した。 (西岡陽一 国際航業株式会社) 〇令和4年4月号の担当は、池田晃三さんです。 ■リレーエッセイ<空間連携> 同じアジア航測の中嶋さんよりバトンを引き継いだ高橋健です。私は主に、下水道 事業における空間情報技術を活用したアセットマネジメント業務を行っています。 さて、昨年末に終息の兆しを見せた新型コロナウィルスですが、年が明けるとオミ クロン株が猛威を振るい、感染急拡大、そして今でも感染者数が高止まっていて、先 が見えないと思っておられる方もいらっしゃると思います。また、感染拡大防止に向 け、テレワークの推進など、コロナ前と今とではみなさんの仕事の仕方が大きく変わ ったのではないでしょうか。 その中でもweb会議は、1日に数件、北海道から沖縄までのどのお客さんとも打合せ ができてしまいますね。交通機関が発達して、これまで泊りで行っていた出張が日帰 りでできるようになったのと同じように、テレワークの推進でいつも以上に仕事をし ていることはありませんか?時代の流れ、技術の進歩を感じます。 ふと、自分がこの業界に入った時に何をやっていたかなと考えると、まさか設計業 務に携わっていた自分がアセットマネジメントを主とした業務を行っているとは、全 く予想もつきませんでした。空間情報技術が加速度的に進歩し、10年後、いや5年後 には大きくこの業界も変化していることでしょう。 時代の流れに乗り遅れないように日々研鑽したいと思います。 (高橋 健:アジア航測株式会社) 〇令和4年4月号の担当は、同じアジア航測の小野木康介さんにバトンを渡します。 ■新入会員のページ 今年度SPの会に入会しました株式会社かんこうの木下です。 私は1993年から約27年わたり、数多くの基本・公共測量や社会インフラ整備にかか わる施設物調査やGISデータ構築に携わってきました。SPの会のメンバーとして、少 しでもお役に立てるよう精一杯努力させていただきます。どうぞよろしくお願いしま す。 私の趣味は毎週末のランニングです。体力維持に始めだして10年ほどになります。 最近ランニングに使用する「スマートウォッチ」を購入したところ、GNSS測位機能の 精度の高さに驚愕いたしました。身近なところで高品質な空間情報技術を利用できる 時代であるからこそ、空間情報総括監理技術者が果たす役割がより一層大きくなると 考えます。 今後は、体力維持に加え、空間情報技術者として自己の技術力維持と向上に精励し たいと強く思います。 (木下 純二 : 株式会社かんこう) 今年度より入会いたしました株式会社パスコの青山です。念願であった空間情報 総括監理技術者の認定試験に合格し、SPの会に入会することができ 非常にうれしく思います。 現在の会社ではシステム関連の業務に携わっておりますが、もともと、私は「原皮 師(もとかわし)」でした。立木にロープ1つで登りながら、檜の皮を剥きそれを文化 財等社寺の屋根にするというあまりに現在の職種とかけ離れた仕事です。その頃の私 は20年後に今の様な状況にあるなんて想像もしていませんでした。 そんな仕事で社会経験をスタートしたので、いざ転職と思うとなかなか難しく、実 務経験を裏付けるために重要と考え色々な資格にチャレンジしてきました。ただこれ までは資格を取得すると、それ以降の継続的な学習があまりできていませんでした。 これからは多くの資格にチャレンジするよりも、諸先輩方の考えに触れ空間情報分野 でさらに一層の研鑽も励みたいと思います。 (青山 聖人 : 株式会社パスコ) 〇令和4年4月号の担当は、吉岡修さん、手塚国夫さんです。 ■空間情報関連便利グッズ/書籍の紹介等 戯曲「ワーニャ伯父さんー田園生活の情景ー4幕」 チェーホフ著 神西清訳 新潮文庫 3月末発表予定の2022年アカデミー賞の複数部門にノミネートされている日本映画 「ドライブ・マイ・カー」の中で劇中劇にも使われている戯曲を読んでみました。 これまでにもロシア文学の最高峰と言われている「カラマーゾフの兄弟」は何度か チャレンジして挫折したのですが、今回は70頁程度なので何とか読了できました。 この戯曲は1899年初演され、これを見たゴーリーキーが「女のように泣いた」と伝 えられるなど大成功だったと書評にあります。ロシア革命前の独特の雰囲気は相変わ らずなのですが、取り扱われているテーマは普遍的な男女の人間関係、金銭問題なの で名作として後世に語り継がれていると感じました。ところで19世紀末に執筆された この戯曲に登場する医師が、開発による森林の減少を心配する場面があるのですが、 作者のチェーホフが環境問題に関心があったのかもしれません。 映画のなかで描かれるこの戯曲の最後の部分は手話で演じられ感動的な場面でした。 私は観てから読んだのですが、読んでから観るとまた新たな発見があるかもしれません。 (池田晃三:アジア航測株式会社) 〇令和4年4月号の担当は、西岡陽一さんです。 ■ 各支部活動報告 ◇中部支部 ■活動報告 1.「スペーシャリストの会 特別講演会 DVD 講習会 」開催 ・日 時:令和4年1月26日(水)15:00~18:00 ・場 所:オンライン(WebexMeetings使用) 2.令和3年度 地理空間情報中部地区産学官連携協議会の会合への参加 ・日 時:令和4年1月31日(月)14:00~16:00 ・場 所:ハイブリッド(会場:imy 会議室、オンライン:Zoom) 3.第67回定例会議を開催 ・日 時:令和4年2月10日(木)16:00~17:00 ・場 所:オンライン(Zoom) ■活動予定 1.第11回定期総会 ・日 時:令和4年4月27日(水)14:00~15:00 ・場 所:CHUTO ホール4F 2.第16回G空間ほっとセミナー ・日 時:令和4年4月27日(水) 15:30~18:00 ・場 所:CHUTO ホール4F (小野貴稔 中部支部長:中日本航空) ◇東北支部 ■第3回講演会について 新型コロナウイルス感染拡大の状況を鑑み、今年度の開催は中止と致しました。 (宮寺 修 東北支部長:朝日航洋株式会社) ◇東京支部 【実施報告】 幹事会 1.日時:令和4年1月14日 16時00分~17時00分 2.会場:オンライン 3.議題:今年度活動計画等 【活動予定】 幹事会 日時、会場等調整中 (住田英二 東京支部長:測量協会) ◇九州支部活動報告 【活動報告】 1.支部幹事会 ・日時:1月25日(火)15:30~16:00 ・場所:WEB開催 ・出欠 出席:鵜飼、坂田、上橋、小野山、重松 欠席:横山 <「知っとーとセミナーin 九州(第 6 回)」の集計> ・受講申込み者45名 出席38名(欠席7名) アンケート回収38名 ・業界誌2社 ・満足度 85%(32/38 名) <R4年度活動スケジュールについて> ・R4年度は、「知っとーとセミナー」の開催を中心に空間情報の普及に尽力する ―スペーシャリストの会特別講演会(DVD 講演)4月13日(水) ―知っとーとセミナーin 九州(第 7 回) 5月13日(金) 九州地方整備局 インフラDX 最近の取組状況(講演依頼中) *本部企画委員会と重複 ―知っとーとセミナーin 九州(第 8 回) 11月25日(金) 講演(九州SPメンバーが対応) イブニングセミナー(Web) 【活動予定】 1.幹事会開催 3月15日(火)15:30~ 対面およびオンラインのハイブリッドを予定 (鵜飼尚弘:九州支部長:快適空間FC) ◇関西支部 【活動報告】 ・スペーシャリストの会 特別講演会(DVD視聴) 日時:1月21日(金)14:00~17:00 場所:日本インシーク 参加者数:20名 講師:石原あえか氏 東京大学教授 ほか2名 ・公開講座Web(日本測量協会 関西支部) 日時:1月25(火)16:00~17:00 場所:日本インシーク 講師:宇根 寛氏 日本地図センター主任研究員 テーマ:地図が伝える自然の営み(第2回) 【活動予定】 ・幹事会について 日時:3月15日(火)16:00~17:00 場所:日本インシークおよびWeb (河野哲也 関西支部長:(株)パスコ) ◇中国・四国支部 【活動報告】 特になし 【活動予定】 1.SP会中四国支部講演会 ・8月上旬に予定している基調講演について推薦して頂ける方を募集中(〆切3/31) (岡本良徳 中国・四国支部長:復建調査設計株式会社) ■日本測量協会からのお知らせ ◇令和4年度「空間情報総括監理技術者」認定試験の受験案内を日本測量協会ホーム ぺージに掲載いたしました。 詳しくは、https://www.jsurvey.jp/gissv/gissv.htm ◇イブニングセミナー 「復旧・復興事業に公務として携わった経験から(仮)」 講師: 畠山 主税氏 (前岩手県県北広域振興局土木部土木技術企画グループ) ※スペーシャリストの会会員 日程:令和4年5月13日(金) 場所: 東京、仙台(WEB)、大阪(WEB)、九州(WEB) https://www.jsurvey.jp/k-academy20220513.pdf https://www.jsurvey.jp/k-touhoku20220513.pdf (仙台/WEB) https://www.jsurvey.jp/k-kansai20220513.pdf (大阪/WEB) https://www.jsurvey.jp/k-kyusyu20220513.pdf (九州/WEB) ◇転職・退職・死亡等により、氏名・所属・連絡先(メールアドレス)の変更が生じた SPの会会員の方へ。 変更後の内容をご本人または関係者の方から日本測量協会にお知らせください。 SPの会MM誌の配信やお知らせ等の連絡に支障が出ないようお願いいたします。 届け出様式は以下の場所にあります。 https://www.jsurvey.jp/gissv/youshiki.htm 様式2 空間情報総括監理技術者 登録事項変更届出 メールまたはFAXまたは郵送でお知らせください。 連絡先は以下の通りです。 メール:geoinfor@jsurvey.jp FAX : 03-5684-3366 〒113-0002 東京都文京区小石川1-5-1 パークコート文京小石川 ザ タワー 5 階 公益社団法人日本測量協会 測量継続教育センター 測量技術教育部 宛 ◇重要なお知らせ ●【空間情報総括監理技術者の認定登録更新】時には、所定の測量CPDポイントが 必要 になります。 《更新条件》 ☆平成24年度以降の認定登録者及び第1回更新済みの認定登録者は、40ポイント/5年間 認定資格者の更新対象年度には、日本測量協会からご案内をお送りします。また、 測量 CPDポイントが更新時に基準に満たない場合には、ポイントが基準に達する 年度まで更新 はできません。当協会から発行される認定技術者名簿にも、その間は 未掲載となります。 今年度登録更新の方です。更新時に必要な測量CPDポイントは以下の通りです。 ※平成28年度認定登録者は、令和3年10月登録更新(第1回更新)・40ポイント/5年 ※平成23年度認定登録者は、令和3年10月登録更新(第2回更新)・40ポイント/5年 ※平成18年度認定登録者は、令和3年10月登録更新(第3回更新)・40ポイント/5年 お早めにお手続きをお願いいたします (年度末になりますと、年度内に更新が完了しない場合があります)。 【認定登録更新期限間近!!】 ◇空間情報技術事例報告集の報告文募集 ☆応募締め切り:随時(投稿報告文が到着次第、速やかに査読) ☆掲載可となれば、日本測量協会ホームページ上の[測量情報館]に掲載。 技術事例報告集では、新規性や独創性という視点とは別に、(1)創意工夫性(何らかの 創意工夫による業務改善への貢献など)(2)実用性(実務への応用性や実際に業務等に 適用していく際の実用性など)(3)信頼性(技術事例報告の内容やその結果に対して、 信頼性や実証性など)(4)今後の展開性(空間情報技術領域の中で、他技術領域への新 たな展開や応用の可能性、他技術との融合性や融合利用の可能性などを含めて今後の 展開性)という視点から査読し、技術事例報告として採用致します。奮って、投稿く ださい。 詳しくは、https://jsurvey.jp/kuukanhoukoku.pdf ■刊行案内 *** おすすめの1冊 ***(※会員は10%割引でご購入いただけます) 「一等三角点総覧-アルピニストとハイカーがまとめた-(改訂第4版)」 /定価 1,362円//会員価格 1,220円 詳しくは、 https://www.jsurvey.jp/2.htm (遠藤拓郎:日本測量協会) ■編集後記 前号本欄で二桁の掛け算の暗算手法をご紹介しました。今回は、そんな暗算に有用な、 数字列の記憶法を提案します。いわゆる語呂合わせの応用ですが、35年の実務経験を 通して工夫がなされています。と、今日もちょっと自慢話におつきあいを。 ★基本★ 1い 2に 3さ 4よ 5ご 6ろ 7な 8や 9く 0れ 数字読みの第一音節で打切ります。ただし母音連続の 2-1、1-1、にい、いい、 と紛らわしいので、rを入れて、にりni-ri、いりi-ri。これが唯一の例外です。 ★発音★ 数字列を読むときは4桁程度で区切って読みます。日本語は四拍子言語と いわれており、区切りごとに時々意味のある並びになったり、何かありそうな音の 並びだったり。体にしみ込んだリズムなので、スッと頭に入ります、たぶん。 例えば円周率。3.14 1592 6535 8979 3238 4626 さていよ、いごくに、ろごさご、 やくなく、さにさや、よろにろ。(cf.巷に伝わる語呂合わせ) 産医師異国に向こう、 産後薬なく、産婦みやしろに。覚えてどうするのって?まぁそうですね。ならば? 例えば電話番号。029-864-1111 れにく、やろよ、いりりり。国土地理院です。 りりり、の効果で実用化は格段にアップします。市役所とかに多い並びですよね。 さていよいよ来月はインド人もびっくり。日本語でできます、二桁掛け算の暗算。 (大山容一 編集委員長:国際航業㈱) ──────────────────────────────────────── All Rights Reserved, COPYRIGHT(c) Spatialist Club このメールマガジンを紹介したい方は各自の責任で転送しても結構です。 ──────────────────────────────────────── | |
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