| タイトル：メルマガ Vol.19 | 発行日時：2008年6月16日8時38分35秒 |
| ┏ Magazine from Spatialist Club ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓ 2008年6月16日 ◇ スペーシャリスト メールマガジン ◇ vol.19 発行元：スペーシャリストMM事務局 http://www.capnet.jp/spatial/ ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ INDEX ：＊ニュース・ラウンジ ＊報告記事 ＊リレーエッセイ＜空間連携＞ ＊コラム ＊空間情報関連グッヅ/Webの紹介 ＊本の紹介 ＊イベント情報 ＊国際活動 ＊ちょっと・ちょっとコーナー ＊連絡事項 ============================================================================ ■ニュース・ラウンジ 地理空間情報活用推進基本計画にみる人材育成 昨年8月に施行された地理空間情報活用推進基本法に基づく「地理空間情報活用推進基本 計画」が４月15日に閣議決定された。この計画では、GISとGNSSの活用を通じて、誰もが いつでもどこでも必要な地理空間情報を使用し、高度な解析による的確な情報を入手して、 行動できる地理空間情報高度活用社会の実現をめざしている。 ところで、同計画中の第�局堯嶌８紊涼詫�空間情報の活用の推進に関する施策の具体的な 展開」の第１章4.で人材の育成について言及している。すなわち、人材育成にあたっては、 �｜詫�空間情報を整備・活用する技術を持つ人材だけでなく、��空間的な思考を行える人 材、�Ｃ詫�空間情報の活用を企画できる人材などの多様な人材が必要とされている。 スペーシャリストの会企画・編集による「地理空間情報の流通と利用」という書籍が今 月、日本測量協会から出版された（6月10日）。同書中に、「地理空間情報社会に求めら れる技術者像とその育成」というタイトルで座談会記事を掲載した。新しい地理空間情報 社会で求められるこれからの技術者像（第1部）と、その技術者を育成していくための方 策（第２部）について議論した結果を掲載してある。是非ご一読願いたい。この記事は、 地理空間情報活用推進基本計画の人材育成を先取りした感があり、上記� 銑�の人材育成 の課題についても網羅的に議論している。 ただ、�，涼詫�空間情報の整備・活用する技術を持つ技術者像に多少偏っていた議論で あったことは否めない。反面、�，凌雄牋蘋�のテーマだけでも食傷気味になるほどさまざ まな議論が必要であることだけは判った。未だその議論に対する終着駅は見えないが、さ らに俯瞰的な視点から、��空間的な思考を行える人材育成、�Ｃ詫�空間情報の活用を企画 できる人材育成、についても「スペーシャリストの会」の次のテーマとして早急に取り組 んでいきたい。 (瀬戸島政博) ＜編集委員会よりお知らせ＞ ７月号は林さんです。 ■報告記事 ＜ 企画委員会 ＞ 日時：平成20年6月10日（火）15:00〜17:00 場所：（社）日本測量協会 新館3F 301室 出席者：瀬戸島、住田、林、津留、望月、池田、秋山、白井、鈴木、高、（事務局）廿楽 欠席者：早川、田中、神原、北原、高岸、土方 議事 １. 「実務者向け地理空間情報の流通と利用」執筆の反省 ・文体統一と図の解説の有無、及び引用の場合はその文献を明示すること ２. 総会及び秋季企画委員会開催について ・総会は10月3日（金）15：00〜 日本測量協会301室 ・秋季企画委員会は金沢で10〜11月に開催予定 ３.「GIS NEXT」連載企画（その３）の具体的な対応について ・担当者と原稿の集まり具合についての報告 ４.MM誌の記事等について ・空間情報関連便利グッヅ/Web＆Blogの紹介の原稿は気付いた各自が対応する ５.月刊「測量」スペーシャリストの会コーナーの分担執筆（毎号）について ・第2弾6回シリーズ開始、6月号掲載、7月号、8月号、10月号は原稿受付完了 ６.「測量系技術者(測量・地理空間情報技術者)のための技術士試験合格対策(仮)」 ・対象者は二次試験受験者とし、冒頭に一次試験の流れは押さえる ・未来に求められる立場は測量の視点だけではない。なぜ資格を取るのかで物を見る ・次回までにモチベーションを上げる為のkeywordを各自、抽出すること ◎ 次回企画委員会の日程 平成20年7月31日（木）15:00〜 日本測量協会 301室 ■リレーエッセイ 建設業界の今後はどうなるのでしょうか？ 国家予算の建設に係わる予算が減少傾向になったのはいつでしたか・・・？平成の世に なりバブルが弾けてこの方、世の中の軋轢が建設業界中心にしわ寄せされたと、感じてい るのは私だけでは無いと思います。官民含めた談合問題、品質問題に始まりダンピング、 粗製濫造、マイナススパイラルとはまさにこんなモノかと見本のような悪循環。輪をかけ て若者の建設離れ・・・。いきなり暗い話になりました。実は、昨晩のNHKスペシャルで 「橋は大丈夫か〜しのびよる劣化〜」を見たため、建設業界の体質が改めて見えた気がし たものですから、こんな暗い話となりました。番組は、橋梁の劣化が著しく進行している のに日本の行政（山形県を例にしてました）が、相も変わらず建設思考にあるというもの でした。ただ、この番組は非常に重要な問題が指摘されてました。 先ずは、日本の土木構造物は恒久的なものでないということ。これまで専門家や建設業 界ではコンクリ−トの劣化など周知のことと思いますが、一般の人々に強くインパクトを 与えたと思います（これは極めて重要なことです）。すでに行政では敏感に反応した行政 団体もあるようです。次に、理解しているはずの建設業界が、まだまだ建設に目がいって いると言うことです。放送では、橋担当の主査が学識経験者から発想の転換（建設ではな く維持主体の予算を組むこと）を提案され、所管の部署会議では、多少の有ったモノの結 果として僅かな予算増しか確保できてませんでした。日本の行政は、人が亡くなるなどの 大事故が発生しないと対処しないという悪習慣があり、番組ではそれがはっきり出ていた と思います。この深層には、根強い利権に群がる建設関連企業、政治家などが雲霞のごと くいるということが見えてきます。 暗い話の中に一筋の明かりもありました。近い将来には維持管理業務があるという示唆 があったことです。放送では、「現時点で単価が安い、予算が無い」ということがはっき り言われてました。しかし、私はこの放送をきっかけに必ず改善されると！いう期待を持 っております。否、我々の常日頃からそうなるよう働きかけることが肝要と思います。ど うやって行うか？それをスペーシャリストの会が中心になって考え、実行すべきかと思い ます。 社会資本がこれだけ整備されました（まだ整備すべきこともあります）が、これらのスト ックを如何に維持していくかが、これからの社会資本の最重要課題であること。そして、 空間情報は維持管理を行う上でも必要な要素であること。したがって、我々の仕事もこれ までとは全く異なる形態かもしれませんが、やるべきことは膨大にあるということ！楽観 的と思われるでしょうが、「線路は続くよどこまでも・・・」です。 まとまりのない話に終始し、失礼致しました。次回は、ランドソリューション（株）の木 下さんにお願いし、快諾を得ています。 (大友正晴:国際航業） ■コラム MM開始時に設定されていた執筆順番を再度掲載しておきます。これまでに執筆を忘れて いた方からの投稿も受け付けております。2007年12月号より平成１９年度入会者について も担当を決めております。 ●執筆順番 2007年1月号 神原（五星） 2月号 瀬戸島（国際）、住田（アジア） 3月号 高（朝日）、望月（パスコ） 4月号 津留(朝日)、土方(国際) 5月号 池田(アジア)、林（パスコ） 6月号 赤松(国際)、秋山(朝日) 7月号 内田(アジア)、大石(国際) 8月号 大友(国際)、北原(地域みらい) 9月号 木下(ランド)、楠(パスコ) 10月号 東田(国際)、沼田(アジア) 11月号 野村(国際) 12月号 福田(朝日)、村木(イメージワン)、早川（帝国）、畠(アジア) 2008年1月号 横山(大成ジオ)、渡辺(アジア)、鈴木（中日本） 2月号 与(パスコ)、及川(国際)、白井（国際） 3月号 大谷(国際)、大橋(パスコ) 、伊藤鋭二（パスコ） 4月号 大山容一(国際)、岡本(パスコ)、岩切（パスコ） 5月号 川口剛(パスコ）、黒台昌弘(ハザマ)、岩波英行（国際） 6月号 佐々木(パスコ)、品澤(パスコ)、大堂（アジア） 7月号 菅原(パスコ)、高木(国際)、小川（アジア） 8月号 高岸(パスコ)、田中(日本大学)、織田（アジア） 9月号 筒井(パスコ)、長谷川(国際)、垣内（パスコ） 10月号 畠山(国際)、廣瀬(国際)、菊池（パスコ） 11月号 三浦(パスコ)、三島(パスコ)、北原（アジア） 12月号 南澤(パスコ)、森田(パスコ)、斉藤（アジア） 2009年1月号 島田（国際）、外山（中日本） 2月号 中野（アジア）、中本（パスコ） 3月号 藤井（アジア）、安野（アジア） 4月号 山田（パスコ）、渡邉（パスコ） ■コラム ＜デジタルはデジタルでも…＞ この会の皆さんは、一度は野外に出て現地調査をした経験をお持ちであろう。調査に出 かけた際には、調査結果のすべてが頭に刻み込める人ならいざ知らず、たいていの人は手 帳なり野帳なりにメモをするのではないだろうか。 私の後輩がある工事現場にシステム導入のプレゼンに行った時の出来事をネタに、ここ ではその「メモする道具」について考えてみたい。 その後輩からの報告によれば、職員個々の意見がバラバラで収拾がつかないということ なのだ。ナニナニ。現場で作業員を指揮しつつ施工管理データをメモし、事務所に戻って データベースに登録してから、必要な施工管理帳票を作成出力するシステムの導入を検討 しているところなのだが、施工管理データをメモする道具（情報入力端末）を何にするか で、もめているとのこと。どういうこと？（簡単に整理すると次のようだ。） ++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++ 所長 50代 野帳派 丁寧に手書きしてきて、後は事務所の女性任せ 副所長 40代後半 野帳派 雑に手書きしてくるが、自分でPCを操作して登録 課長 40代前半 PDA派 野外で手書きするのは面倒だし…（ジブシブPDA賛成） 主任 30代 PDA派 屋外でデータ登録できれば、後の処理が簡単（絶対PDA） 若手 20代 以下に… ++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++ システム開発仕様の決定権は所長にあるが、現場作業は課長以下に任されている現状を 考えれば、情報入力端末にはPDAを採用したいところだが、なんとここで思わぬ伏兵が…。 デジタル世代と思っていた（こちらは勝手にデジタル世代＝パソコン世代と思っていた） 20代の若手君が、なんと「ケータイ」の方が入力しやすいと言うのだそうだ。 確かに、指一本を駆使してパソコンのキーボードをたたくオジサンとファイブタッチ親 指入力しかも両手使いの若者の意見を比べれば必然的にその答えは見えてくるのだが、所 長にPDAの利用は理解させても、さすがにケータイの利用を認めてもらうことは…… ちなみに、ニンテンドーＤＳやソニーＰＳＰ（プレイステーションポータブル）には、 LANポートや赤外線通信ポートはもとより、手書き文字認識や音声認識機能までもが標準 搭載されており、我が子らの時代にはケータイ世代を凌駕しているに違いない。 （黒台昌弘：�蟯崛函� ■コラム ＜技術の習得＞ 読売新聞 4月28日朝刊に次のような記載があった。"同志社大学などで茶道の講義を持 つ裏千家の千宗室家元は「客人に応じた所作が無意識にできるには、基礎修練ができてこ そ。『守・破・離』を踏む必要がある」という。伝統芸能の世界では、師匠はまず弟子に 基本形を教え込む(守)。弟子はやがて枠を飛び出し(破)、ついには自分なりの境地に至る (離)。" 技術者として自分はこのような過程を踏んできているとは思えないが、さしずめ技術士 や空間情報総括監理技術者等の資格取得は、基本から応用への転換という意味で、「守」 の段階から「破」の段階への境界ではないかと感ずる。基本的な技術を習得していること を社会的に認められ、合わせて責任と期待を背負い活動することになるのだから、独り立 ちし、蓄積した知識と知恵を大いに応用し社会に貢献できる良い仕事をしなければならな い。 前述の引用に「師匠は先ず弟子に基本形を教え込む」という件があるが、基本形或いは、 型、手順、基準と言ったことは身に染み込むまで繰り返し覚えることの必要性を指してい る。そのように基本形（基礎知識）が身について初めて、思考に幅や自由度が発生し、思 考の自由な世界ができたような感覚に陥るが、スペーシャリストの各位はいかがであろう か？ 空間情報総括監理技術者になりたての私は、空間情報と防災技術を縦横無尽に組み合わ せて、自由な発想で成果をあげるまでの境地にはまだ時間がかかりそうだ。ましてや 「離」の境地など先の話だろう。空間情報技術は日々変化進歩している。そのスピードに 振り切られないように、とにかく日々更新される基本形を覚えることから。さぁはじめよ う。 (岩波英行:国際航業) ■コラム ＜魅力ある業界になるためにも＞ 近頃、建設業自体に人気が無い。測量、設計、工事の専門会社、或は総合会社のいずれ においても新人の採用は減っている。大学側も「土木」という名前が古臭く、ヘルメット をかぶった工事屋のイメージを連想させることから、学部学科の名称を工夫（都市環境学 部とか）しているが、歯止めになっていない。ますます、業界、土木離れが進展している。 低迷する測量業界において、このような状況下で採用した新人は貴重な資源である。会社 にとっては高価な機材より、むしろそれを使いこなせる｢人｣自身が財産である。彼らを如 何に育て上げ、技術を継承していくかが会社の命運、いや今後の業界の命運を握る。 社員教育の方法はいくつかあるが、もはやスパルタ方式のOJTで彼らはついてこない。そ こまで我慢して、一生この業界に骨を埋める境地には達しない。なぜなら、若者にとって そこまでしなくても、畑違いの産業であれば、測量会社と同等以上の報酬を得ることは容 易である。生活環境の問題もあるが、これまで専攻してきた学問へのこだわりは、彼らに あまりない。 何を望むの？かなめは動機付けにある。プロ集団として育成していくため、いかに彼ら の取り組む意欲やモチベーションを高めるか！その源泉に注力を傾倒しなければならない。 このご時勢どの企業も、物欲（報酬）だけで社員を満足させられる会社は少ない。 測量という言葉がもはや相応しくなくなったこの業界において、空間情報を巧みに利用し た技術や成果を後輩に惜しげもなく披露し、魅了してやることが我々の責務となっている。 そして執筆やセミナー、講演などを通して、広く世に空間情報の重要性＝価値を知っても らうことが、測量士登録20万人の頂点に立つ空間情報総括監理技術者の使命であると言え よう。 （佐々木康博：�螢僖好魁� ■コラム ＜デジタルデータは時を超える？＞ 先日、片づけをしていたら、古いカセットテープ（死語？）が出てきました。懐かしさ もあって、「ちょっと聴いてみよう…」となった訳ですが、考えてみると我が家にはカセ ットデッキがありません。実家からラジカセ（これも死語？）を借りてきて、ようやく聴 くことができましたが、この時「デジタルデータは"時間の経過"に対して意外と脆弱なの かもしれない…」と思った次第です。 例えば写真の場合、普通に保存していれば結構な期間、見ることができるでしょう。 徐々に色褪せたり、汚損したりするかもしれませんが、火災や盗難でもない限り、急に全 く見られなくなってしまうようなことはありません。 デジタルデータの場合は、まず媒体から情報を読み出す装置が必要です。また、その装置 を接続できるコンピュータも必要です。さらには、そのデータ形式を適切に処理できるソ フトウェアも必要になります。加えて、媒体の一部でも欠損すると、データファイル、最 悪の場合は媒体全てを見ることができなくなってしまう可能性があります（もしくは復元 に高度な技術と多大な労力を要します）。 デジタルデータは複製しても劣化しませんから、その時々の最適な媒体や形式で記録･保 管し続けるのであけば、アナログ媒体とは比べものにならないほど、保存性は高いとも言 えます。しかし、今後も爆発的に増大していく膨大なデジタルデータを全てこのように維 持していくには、多大な労力がかかり、非現実的であるようにも思えます。 某大学の研究チームが、バクテリアを記憶媒体として利用し、「数億年」単位の情報の 保存を目指している…という話を聞いたことがあります。しかし、「残す」ことと「遺 す」ことは大きく違うと思うのです。古代の壁画や書物は、悠久の時を超えて、私たちに その姿を見せてくれますが、私たちが日々生み出しているデジタルデータは、果たして何 百年何千年といった長い時間を旅していくことができるのでしょうか？ （品澤 隆：�螢僖好魁� ■コラム ＜測量応用技術の工夫・改善＞ 協会誌「測量」では「剣岳」の映画撮影の様子が連載されており、毎回、楽しみにして いる。アジア航測に入社して２年目に小説「剣岳」を上司から紹介されて、出張先の民宿 で夜更かしして読んだ記憶がある。柴崎測量官が当時未踏の地とされた剣岳にのぼり、三 角測量を行って日本の地図を作成した記録である。 私にも基準点測量の経験がある。なかでも記憶に残るのは昭和５８年ころであるが、鹿 児島県の奄美諸島の徳之島で、航空写真測量の地上測量で評定点測量を行った際に、多角 測量と三角測量の応用版である前方交会法を組み合わせて測量した経験がある。徳之島は、 離島で、海岸部は珊瑚礁からなる緩やかな地形、一方、中心部は急に４００ｍ級の山がそ びえるという特徴があった。 航空写真測量の評定点は、撮影コースに応じて、空中三角測量に必要となる密度で対空 標識を設置して、標識の位置を３級基準点の精度で位置座標と高さを求める必要がある。 山が高いこと、また、ハブが生息するため、山登りは１回ですませる方法がないものかと 知恵を絞った記憶がある。そこでたどり着いたのが原始的な手法であるが、前方交会法で ある。 民宿近くの建材店で４メートルの垂木（角材）を購入して、端から１ｍを白と黒の千鳥 でペイントし、その先にさらに２ｍの旗竿に赤白の測量旗を取り付けて、また、下にはプ ロペラにような３枚板の対空標識を取り付けて、これを、山頂の樹木の上に取り付け、麓 の外周道路で行う多角測量作業と同時に、３箇所以上の地点から前方交会法により、水平 角と鉛直角を計測することで、座標と高さを求めた。 山登りは何とか１回で済ませることができた。樹木の上に少しだけ測標がつきだし、測 量旗がチラチラするので、麓からトランシットで確認できたことは、成功であった。もし も測量旗のチラチラが無かったら目標を確認できなかったかもしれない。諸先輩測量技術 者の知恵である。 今では空間情報技術は飛躍的に進歩し、基準点測量は三角測量から多角測量、トータル ステーション（ＴＳ法）、人工衛星を利用したＧＰＳ測量と２０年余りで飛躍的に進歩し た。このお陰で５０年代当時のような苦労は無くなった。 大切なことは、新技術であっても旧技術であっても、基本技術を応用・工夫・改善する ことにより、優れた使い方になり、使いこなす技術者の知恵や工夫にゆだねられていると 思う。 道路設計分野では、建設ＣＡＬＳが開発途中であった平成８年には社内の研究開発費で、 デジタルマッピングから地形３次元データを取得して道路設計の路線検討システムに取り 込み、作業の効率化とメールを利用したデータ受送信を試行した。現在では標準的な作業 となっているが、当時はまだ確立していない技術分社であった。 今後、身の回りの空間情報技術の開発予想として、３次元デジタルオルソ画像上（縮尺 をもった航空写真の立体画像上）で道路・砂防・都市計画などの計画・設計などができる ようになると思う。今までよりも情報量が豊富で、高精度の地形データで作業することが 可能にり、さらにデータベース化すれば防災対策・維持管理にも有効利用できるもの期待 している。 空間情報技術を応用し、工夫し、改善する姿勢を後生に残していくこが私た ちの役割と思う。 (大堂仲二:アジア航測) ■空間情報関連便利グッヅ / Web & Blogの紹介 今月は特にありません。 ■本の紹介 山村基毅・著：「はじめの日本アルプス −嘉門次とウェストンと館潔彦−」 バジリコ�蝓つ蟆繊碧楝�1,600円+税） 「日本アルプス−登山と探検−」の著者としてウェストンについては皆さんよくご存知 かと思います。また、ウェストンの登山案内人として上條嘉門次も山岳界では有名人です。 さて、館潔彦は如何でしょうか？ あの新田次郎原作「剣岳点の記」で柴崎芳太郎測量官 が紹介されていなければ、柴崎芳太郎よりも有名な明治の陸地測量部の測量官です。この 3者が前穂高岳で邂逅（かいこう）しています。そんなエピソードから始まるノンフィク ションです。第６章の「ある測量師」や第13章の「測量師、ある人生」には、館潔彦の先 駆的な測量官としての苦行や人生悲話が書かれています。今、ブームになりつつある「剣 岳点の記」をよりよく理解するための前史としてお読み頂ければと思います。 （瀬戸島政博） ■測量協会イベント情報のお知らせ ◎セミナー �．機璽戰ぅ▲�デミー「地理空間情報イブニング・セミナー(第4回)」 日程 平成20年7月24日(木) 16時〜17時30分 会場 (社)日本測量協会 研修室(文京区小石川) 講師 古橋大地氏 東京大学空間情報科学研究センター 演題 「グーグルアースとその利用の最前線」 内容 グーグルアース/マップの登場以降、急速に普及がすすむＫＭＬ形式デー タ。2008年４月にはついにＯＧＣでの標準データ認定が行われ、名実とも に地理空間情報のスタンダードとしてブレークする段階にきました。その ＫＭＬデータの活用テクニックを中心に最新情報を交えてご紹介します。 参加費 会員(特別会員含む)は無料 非会員は2,000円 CPD対象セミナー 問合先は サーベイアカデミー事務局 03-5684-3360 ◎平成20年度 空間情報総括監理技術者認定試験の実施について �〇邯海亮損榮�時 筆記試験 平成20年7月26日（土） 午後1時30分から午後4時30分まで 面接試験 平成20年9月6日（土） 時間は筆記試験合格者に通知 �∋邯海両貊蝓‥豕�都 (筆記・面接とも) ��受験願書の受付期間 平成20年6月1日（日）から平成20年6月25日（水）まで 午前9時から午後5時まで（ただし，土日祝日を除く） �ぜ�験案内の入手方法及び受験願書の提出先 受験案内の入手方法 協会のホームページからダウンロード 受験願書の提出先 （社）日本測量協会 測量継続教育センター 空間情報技術教育部 �ァ々膤僻�表 筆記試験 平成20年8月27日（水） 面接試験 平成20年9月12日（金） 協会のホームページに掲載・本人に結果を通知 �Α，修梁� 受験についての詳細は，協会のホームページに掲載していますので， ご覧下さい。 URL: http//www.jsurvey.jp ■出版物 ◆測量関連図書 新刊図書 ●「実務向け地理空間情報の流通と利用」(6月10日刊行) 村井俊治 監修 スペーシャリストの会 企画編集 定価 2,500円 会員価格 2,250円 ●「公共測量 作業規程の準則」(6月10日刊行) 定価4,000円 会員価格3,600円 ● 測量関係法令集(5月30日刊行) 定価3,900円 会員価格3,510円 （廿楽:測量協会） ■国際活動 第６話 ハノイでのキャラバンワークショップ 今年の1月にベトナムはハノイでキャラバンワークショップをベトナム測量・地図・リ モートセンシング学会とISPRSの共催で開催した。テーマは、「デジタル写真測量および リモートセンシングの新しい技術」であった。キャラバンチーム（講師陣）は、私の他に、 スイスのアーミン･グリュン先生、オーストラリアのクライブ・フレーザー先生、ドイツ、 ローライ・メトリックスのアッキム･ヘルマイヤー博士の4人である。ベトナム側の実質的 受け入れ担当は、長年の友人のズオン（ベトナム科学アカデミー）である。国際的な交流 には、強力な一人がいれば十分に機能する。つまり信頼できる人脈が必要である。2006年 の東京で開催されたISPRS教育部門（コミッションVI）のシンポジウムには、私費を援助 してズオンを招待したし、アーミンは、チューリッヒにあるETHにズオンを2ヶ月招待して いる。日本人は負担をみんなで分散するように委員会などを作って事務処理に当たる習性 があるが、国際活動では、個人の力量がなければまず機能しない。メールの返事を委員会 の決済を待って返事するようでは、話にならない。 と言うわけで、ズオンが実質的にワークショップを企画･組織したが、そこは社会主義 国なので、お偉方が何人もでかい顔をして、ワークショップの時には主人顔をした。ズオ ンは賢いからそんなことより実を取る立場をとって、ワークショップ中は静かにしている。 アーミンとクライブは、デジタル写真測量の分野では、世界で一番進んでいる研究者であ るから、ベトナムに世界一の研究者を呼んできたズオンは、一目置かれたに違いない。そ れも飛行機代は、こちら持ちでベトナムは滞在費とパーテイ代だけですんだから、効率は よい。私は、リモセンとGISの災害管理への応用を日本の事例を紹介しながら講義した。 アーミンはALOS PRISMを用いた地形測量の精度検証を紹介した。クライブは地上写真測 量（工業計測を含む）を中心に自動標定について講義。アッキムはローライが開発した航 測用デジタルカメラの宣伝をした。 ワークショップの後、キャラバンチームは一緒に旅行に出かけた。これが楽しみでもあ る。もちろん自己負担で接待ではない。ハノイから5時間近くに世界遺産に登録された 「ハーロンベイ」がある。石灰岩が無数に屹立しているすばらしい景観である。チョコっ と岩があるのではなく、数十キロも続いている。観光船を4人で借り切り、コック、ウエ イター、ガイド付きで、1泊だが4食ついて、一人175米ドル（シングルルームに25ドルの 追加料金を含む）である。観光船は大きく、部屋が10室もあり、ダブルデッキが付いてい る。借り切りの旅行は贅沢だった。岩と岩の間を船はゆっくり進む。デッキに出て、ビー ルを片手に世界遺産の景観を眺めていると極楽である。宿泊は船で月が明るい。快なり！ (村井俊治 2008.5.14) ■ちょっと・ちょっとコーナー 今月からジュンク堂本店（池袋店）７階の土木系書籍コーナーに日本測量協会出版の書 籍を並べます。スペーシャリストの会企画編集の「地理空間情報の流通と利用」も並べま すのでご覧下さい。 （瀬戸島政博） ■スペーシャリストの会 連絡事項 ５月号の報告記事 ＜ 企画委員会議事録 ＞のなかで、月刊「測量」スペーシャリストの 会コーナーの分担執筆について記載した部分がありましたが、執筆者名、順番に一部記載 ミスがありましたので訂正致します。 【誤】 3. 月刊「測量」スペーシャリストの会コーナーの分担執筆について 6回シリーズ 第3弾 「技術者の勉強法」 第1回 神原、 第2回 外山、 第3回 中野、 第4回 横山、 第4回 横山、 第5回 岡本、 第6回 神原 【正】 3. 月刊「測量」スペーシャリストの会コーナーの分担執筆について 6回シリーズ 第3弾 「地域に生きる技術」 第1回 北原、 第2回 外山、 第3回 中野、 第4回 横山、 第4回 横山、 第5回 岡本、 第6回 神原 ■編集後記 あっという間に梅雨の季節になりました。ミャンマーでの大水害、中国での大地震では 何万人規模で犠牲者が出ています。天災自体は防ぐことはできなくても、被災状況把握、 ２次災害対策、速やかな復旧支援などに空間情報活躍の場は数多くありそうです。 （編集委員長） ──────────────────────────────────────── All Rights Reserved, COPYRIGHT(c) Spatialist Club このメールマガジンを紹介したい方は各自の責任で転送しても結構です。 ──────────────────────────────────────── |
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