タイトル:スペーシャリスト会報 Vol.190 | 発行日時:2022年10月14日 |
┏ Magazine from Spatialist Club ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓ 2022年10月14日(金) ◇ スペーシャリスト メールマガジン ◇ vol.190 発行元:スペーシャリストMM事務局 https://spatialist.sakura.ne.jp/ ※活用状況更新しました(2021年通期) ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ *ニュースラウンジ 瀬戸島政博 *リレーエッセイ<空間連携> 長谷川浩司 *空間情報関連便利グッズ/書籍の紹介等 林義政 *企画委員会議事録(概要) 遠藤拓郎 *日本測量協会からのお知らせ 遠藤拓郎 *編集後記 大山容一 ■ニュースラウンジ -社会人の学び直しに思うこと- 今日、様々な場面でリカレント教育やリスキリング教育が取沙汰されている。先般 の岸田首相の所信表明演説中でも、成長産業への労働移動を促すリスキリング(学び 直し)支援に5年で1兆円を投じる計画を打ち出している(日本経済新聞2022.10.4(水) 朝刊1面)。ここでは、リカレント教育とリスキリング教育の定義や区分は、取り敢 えず下記の程度とし、私の独断と理解の範囲に止め(両者は重複する範囲も多いため)、 話を先に進めることにしたい。 ◇リカレント:社会人が教育機関に入り直して改めて教育を受けること、 そのような活動を支援する制度、取り組み、考え方。 ◇リスキリング:新しい職業に就く、現在の職業で必要とされるスキルの 大幅な変化に適応するなど、必要とされるスキルを 得るための学び直し。 リカレントもリスキリングも私たち自身のスキルアップやキャリアアップに繋 がり、両者の共通点は「目の前の業務とは違うことを学び直す」ことにあるようだ。 そのような時代の潮流の中に私たちは直面していることだけは確かだ。それを更 なる負荷と深刻に考えるか、好機到来とポジティブに考えるか、は各人各様である。 急激に変化する社会や技術革新により、1970年代・80年代に大学等で学んだ 知識の一部(時にはかなりの部分が)は、もはや陳腐化しつつあるようだ。私事で 恐縮だが、最近、何の気なしに「岩石図鑑」を購入して読んでみると、半世紀前に 学んだ地学の知識では知らないことが数多く羅列されていた。自己の不勉強もさる ことながら、時の流れの速さに驚くばかりだ。 文部科学省は比較的早い時期から、リカレント教育推進を表明し、「人生100歳 時代においては、教育、雇用、退職後という伝統的な 3 ステージの人生モデルから マルチステージのモデルに変わっていく。 2030 年頃は、IoT やビッグデータ、 人工知能等の 技術革新が一層進展(第 4 次産業革命)し、狩猟 社会、農耕社会、 工業社会、情報社会 に続く、人類史上 5 番目の新しい社会『Society5.0』の 到来が予想される」としている。 それに伴い、各大学ともリカレント教育推進に向けて、様々な弾力的施策を打ち 出している。大学側も学生を「選ぶ側」から「選ばれる側」に変わり、学び直すた めに大学に出入りする社会人が増えることで、産学連携の幅も広がり、歓迎して いるようだ。 SPの会会員は30代から80代ぐらいまでの世代層がいる。学び直しもリスキリング (新しい知識・スキルの習得)を通じて社内評価や転職の武器として考える世代も あろうし、「ただ学びたいから学ぶ」という世代もあろう。社会人の学び直しの 志向も多様化し、その受け皿となる教育機関等の教育方式も一連の新型コロナ禍の 影響でオンライン主導型教育など多様化と受け入れ易さが増している。学び直しの 実践は各人各様に考えればよいことであるが、そのような社会人の学び直しのため の周辺環境が拡充されている実態を私たちも十分に把握しておくべき時期にあろう。 再び私事で恐縮であるが、勤務地の利便性(文京区春日・後楽園)を活かして、 数年前から近傍のH大学文学部史学科(通信教育課程)に後期生として編入学し、 今月卒業の学位記を頂戴した。いわゆる「ただ学びたいから学ぶ」スタイルであり、 私自身には役に立つ歴史学であるが、世間様には何の役にも立たない学問であろう。 今のブームである社会人の学び直しの一端であることには間違いない。ただブーム に酔い、淡い気持ちとロマンのみで就学した人たちが次々に挫折していく姿を近くで 見てきたことも事実である。今、学び直しをお考えになっている方は、先ずは現職の 職位等の目に見えない甲冑を脱ぎ捨て、一学生として年若い教授陣の講義を素直に 受けられる気構えと、単なるロマンではなく学問やスキル習得に伴う、それなりの 厳しい障壁が横たわっていることへの覚悟も必要だ。 (瀬戸島 政博:日本測量協会) ○令和4年11月号の担当は、住田英二さんです。 ■リレーエッセイ<空間連携> 3歩横の小田三千夫さんより、バトンを受け継ぎました長谷川浩司です。 最近、レース系スポーツに興味を持っています。一つは高速ヨットレースSail-GP です。Sail-GPは、複数のブイを回るコースで行われ、ブイと風の関係を瞬時に判断 したコース取りが勝敗を決めます。風力のみで9月のサントロペでのレースでは、 99.9㎞/hというスピードが出ていました。実際、数本の逆T型、逆L型の棒のみ海面下 で船体は浮いてます。 もう一つは、自転車レースです。スピードを競うタイムトライアル、高低差を乗り 越える山岳レース、瞬発力・体力・気力およびチーム力を競う総合系レースなど工夫 が凝らされて見るものを飽きさせません。 さて、これらを空間計測の観点から見ると、次の感想がこぼれました。 Sail-GPのヨットの位置は当然GNSSだよね、GNSSはガリレオかな?コース設定用 ブイは、海底の環境保全も考え錨ではなくGNSSと自律航法で指定位置に留め置い てるのか、やるな・・・。 ツールドフランスで、急斜面のつづら折りで選手間の時間差が急に短くなるのは、 選手の位置関係をGNSSで把握し高低差と座標差から求めているからなのかな、 ふむふむ・・・ どちらも面白いのでぜひ観戦を! (長谷川浩司 : 国際航業株式会社) 〇令和4年11月号の担当として、18歩前方の小出和政さんにバトンを渡します。 ■空間情報関連便利グッズ/書籍の紹介等 「地図で読み解く奈良」 奈良女子大学文学部〈まほろば〉叢書 編著:浅田 晴久 かもがわ出版 1700円+税 奈良県内には興味深い地域、注目すべき事象がたくさん存在し、奈良といえば、 歴史学や考古学の分野においては書籍や情報があふれています。しかしながら、 地理学の観点から奈良の情報がまとって発信される機会は必ずしも多くなかった ようです。本書は、奈良県出身で30過ぎの歳まで県内に居住していた私にとっては、 感覚的には既知の内容もありますが、新たな発見とともに、学術的な観点から 紹介された一冊です。 本書は、奈良女子大学やその付属中学校で地理学を担当されている7名の先生が、 地理の魅力をさまざまな角度から伝える目的で執筆されたものです。各先生の ご専門は、地域研究・地誌、地形学、都市地理学、社会地理学、文化地理学・ 歴史地理学、時間地理学などの分野となっています。 各章で披露されている地理学の知識や手法を理解すれば、なぜその地域でその ような事象がみられるのか、この現象は地理学的にはどのように読み解くことが できるのかなど、普段は気づくことのなかった、地域を分析する視点を獲得する ことができ、「本書を読み終わった頃には、地域の見え方が変わり、人生が豊か なものになる」と浅田先生。 本書には、高等学校の「地理総合」のモデル巡検なども掲載されています。 ここでは、「地理院地図」や「ハザードマップ」、「今昔マップ」などの簡単な 利用法も紹介されており、地理空間情報に少しでも興味のある中高生の方にも 読みやすいおすすめの一冊ではないでしょうか。 (林 義政 : 株式会社パスコ) ○令和4年11月号の担当は、住田英二さんです。 ■企画委員会議事録(概要) 令和3年度 第6回「スペーシャリストの会」企画委員会(令和4年8月)議事録(概要) 日時:令和4年8月31日(水)13:30~15:30 場所:日本測量協会 会議室、WEB (1) 報告事項 ① 各支部活動報告(※9月号掲載) 北陸支部の設立については、新潟県、富山県、石川県、福井県のスペーシャリストの 会会員12名に北陸支部設立の意向を確認し、おおむね支部設立については前向きの 回答だった。今後、支部設立に向け準備を進める。 (2) 討議事項・要請事項 ① 月刊「測量」スペーシャリストの会コーナーの執筆毎号の確認(第30弾) タイトル・執筆者が決まったら9月末までに事務局に連絡してほしい。 引き続き、各担当者は第31弾の執筆者を選定すること。 ② SPの会プレ全国大会に向けて ◆担当、その他 測量系CPD協議会にCPDの対象プログラムかどうか確認する。当日の司会進行役、配信 サポートについて、9月末までに選定し、事務局に連絡すること。まずはSP会の会員を 先行受付し、その後一般の方からの受講申し込みを受け付ける。 ◆プログラムについて 特別講演1,2の講演者、講演テーマは確定。 昼休みの時間に開催する「SPの会総会」は、30分程度を予定する。 午後の支部活動については、各支部A4サイズ1枚程度のレジュメを作成する。 とりまとめを事務局が行うので、作成後事務局に提出する。 本部のパネルディスカッションは、一部の支部のパネリストが決まっていないので、 決まり次第、事前打ち合わせ(Web)を実施する。 ③ SPの会総会資料について 支部長は9月9日までに修正した総会資料と支部会員名簿を事務局へ提出すること。 本部に請求していない領収書等があれば9月9日までに事務局に連絡すること。 令和4年度予算(案)に、北陸支部の予算(10万円)を追加する。 ④ UAV を主体とした複合的な利活用事例(調査表)について ・9月26日までに事例(調査書)を事務局に提出すること。 次回予定の企画委員会(令和4年度第1回)は令和4年11月25日(水)に開催予定。 以 上 ■日本測量協会からのお知らせ ◇令和4年度 空間情報総括監理技術者資格認定試験の合格者発表 9月16日(金)日本測量協会ホームぺ―ジ上で発表しました。 今年度は13名の方が合格されました。おめでとうございます。 ◇スペーシャリストの会新メンバーのご紹介 10月13日現在、11名の方に入会いただきました。 市川 富崇 (株)フジヤマ 高下 桂 朝日航洋(株) 大地 和雄 (株)かんこう 清水 智弘 西日本旅客鉄道(株) 櫻井 由起子 朝日航洋(株) 木下 浩 国際航業(株) 吉安 征香 アジア航測(株) 山川 隆夫 朝日航洋(株) 沖津 実郎 (株)日本インシーク 梶江 俊之 アジア航測(株) 本間 昭信 ◇令和4年度スペーシャリストの会総会議決権行使書ご提出のお願い 2022年10月21日(金)12:30~13:00にSPの会の総会が行われます。 会員の皆様には、9月30日に総会資料と議決権行使書をメールにて お送りしております。 まだご提出されていない方が、いらっしゃいましたら、お早目に 事務局(spatialist@jsurvey.jp)までご提出をお願いいたします。 ◇令和4年度会費納付について 10月から令和4年度が始まりました。 10月17日に郵便局の払込取扱票を皆様にお送りする予定です。 会費納付にご協力ください。 既に、ゆうちょ口座にお振込み対応をいただいている方に、行き違いで届いた 場合は、お手数ですが破棄をお願い致します。 ◇令和4年度「空間情報総括監理技術者の認定登録更新」ご案内について 今年度更新対象の方々には、10月3日にご案内をお送りしております。 事務処理の都合上、更新手続きが可能な方(CPDポイントを満たしている方)に つきましては、今月中のお手続きをお願いいたします。 CPDポイントが更新の基準を満たしていない方につきましては、 令和5年3月30日までに、CPDポイントの登録および更新手続きをお願いいたします。 ◇イブニングセミナー 「モバイルスキャンの活用法」 講師:桑山 優樹氏 (株式会社桑山瓦 ワイクウーデザイン 代表取締役社長) 日程/場所:令和4年11月25日(金)/ 東京都、仙台市・大阪市・福岡市(WEB) https://www.jsurvey.jp/k-academy20221125.pdf (東京都文京区) https://www.jsurvey.jp/k-touhoku20221125.pdf (仙台・WEB) https://www.jsurvey.jp/k-kansai20221125.pdf (大阪・WEB) https://www.jsurvey.jp/k-kyusyu20221125.pdf (福岡・WEB) ◇転職・退職・死亡等により、氏名・所属・連絡先(メールアドレス)の 変更が生じたSPの会会員の方へ。 変更後の内容をご本人または関係者の方から日本測量協会にお知らせください。 SPの会MM誌の配信やお知らせ等の連絡に支障が出ないようお願いいたします。 届け出様式は以下の場所にあります。 https://www.jsurvey.jp/gissv/youshiki.htm 様式2 空間情報総括監理技術者 登録事項変更届出 メールまたはFAXまたは郵送でお知らせください。 連絡先は以下の通りです。 メール:geoinfor@jsurvey.jp FAX : 03-5684-3366 〒112-0002 東京都文京区小石川1-5-1 パークコート文京小石川 ザ タワー 5 階 公益社団法人日本測量協会 測量継続教育センター 測量技術教育部 宛 ◇空間情報技術事例報告集の報告文募集 ☆応募締め切り:随時(投稿報告文が到着次第、速やかに査読) ☆掲載可となれば、日本測量協会ホームページ上の[測量情報館]に掲載。 技術事例報告集では、新規性や独創性という視点とは別に、(1)創意工夫性(何らか の創意工夫による業務改善への貢献など)(2)実用性(実務への応用性や実際に 業務等に適用していく際の実用性など)(3)信頼性(技術事例報告の内容やその 結果に対して、信頼性や実証性など)(4)今後の展開性(空間情報技術領域の中で、 他技術領域への新たな展開や応用の可能性、他技術との融合性や融合利用の可能性 などを含めて今後の展開性)という視点から査読し、技術事例報告として採用 致します。奮って、投稿ください。 詳しくは、https://jsurvey.jp/kuukanhoukoku.pdf ■刊行案内 *** 新刊案内 ***(※会員は10%割引でご購入いただけます) 『女性地理空間情報コンサルに訊け!(スペーシャリストの会編)』 (令和4年7月28日刊行)定価2,000円(税込)//会員価格1,800円(税込) 『点群データの取得と処理(ジオメトリストの会編)』(令和4年7月28日刊行) 定価2,300円(税込)//会員価格2,070円(税込) 詳しくは、 https://www.jsurvey.jp/2.htm (遠藤拓郎:日本測量協会) ■編集後記 ▲9月27日(火)、安倍晋三氏の国葬が強行され、翌日、様々な論調が紙面を飾ります。 朝、全国紙を買いそろえて読み比べ、見事なまでの書きっぷりの違いに興味を 覚えました。以下、国葬賛成トーンの強い順に、印象的な見出しを掲げます。 11 夕刊フジ 100年後見据えていた/政治一家に生まれた天性 12 産経新聞 政治家の覚悟と不思議な縁/安保法制で功績 自衛隊が儀仗 13 日本経済新聞 土台の上に日本をつくる/最長首相最後の別れ 14 読売新聞 真のリーダーだった/世論の反発 想定外 15 毎日新聞 賛否割れる中 首相は説明尽くしたか/弔意の強制 一掃に腐心 16 朝日新聞 悼む列 怒る列/分断に責任 首相は行動を 17 日刊ゲンダイ 安倍国葬 狂気と奈落/奢る自民 法と国民無視をまざまざと ▲夏休みでした。思い立って近隣地方紙を求めて旅立ちました。豊田・八王子・相模原・ 新松戸・取手・南浦和・小山・高崎の各駅で。こんどは国葬反対トーンの強い順に。 21 神奈川新聞 国葬 批判と弔意と/民主主義まで葬り去るな 22 東京新聞 賛否交錯の中 安倍氏国葬/分断の責任 岸田首相に 23 山梨日日新聞 追悼と抗議 世論二分/国葬 計算狂った官邸 24 下野新聞(栃木) 賛否割れる中 挙行/根拠曖昧 招いた分断 25 千葉新聞 賛否の中 知事ら参列/民意交錯 溝埋まらず 26 埼玉新聞 賛否割れ野党の一部欠席/首相 世論測れず拙速 27 上毛新聞(群馬) 首相 外交・安保を称賛/「みんな賛成のはずじゃ・・」 28 茨城新聞 遺志を継承/各国要人と弔問外交続く/誤算の岸田政権 ▲最後に、賛否それぞれの、代表的な論説文の結びの文章を掲げておきます。 ここまで、いろいろなことが表沙汰になりました。言論の自由がしっかりと保証され、 自由に閲覧できるようになっているこの日本社会は、素晴らしいと思います。これを 守り、進めていかねばなりません。私は東京新聞と山梨日日新聞の間くらい。 皆さんはどのあたりでしょう? ★この日は会場近くで国葬反対のデモもあったが、規模は比較的小さかった。 それよりもはるかに多く全国から献花に訪れ、安倍氏に静かな感謝を示した 「サイレント・マジョリティ Silent Majority」に応える意味でも、国葬を 実施して良かった。(9/28産経新聞1面) ★安倍氏は「闘う政治家」を自認し、批判的な声を「こんな人たち」と呼んだ。 抗議の声が上がる中での葬送はその意味で氏にふさわしかったかもしれないが、 今後の岸田政権は過半を占める「こんな人たち」を相手にすることになる。 (9/28神奈川新聞1面) (編集委員長 : 国際航業㈱ 大山容一) ──────────────────────────────────────── All Rights Reserved, COPYRIGHT(c) Spatialist Club このメールマガジンを紹介したい方は各自の責任で転送しても結構です。 ───────────────────────────────────―──── | |
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