スペーシャリスト メールマガジン バックナンバー

タイトル:スペーシャリスト会報 Vol.192 発行日時:2022年12月15日

┏ Magazine from Spatialist Club ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
2022年12月15日(木)
◇ スペーシャリスト メールマガジン ◇  vol.192
                    発行元:スペーシャリストMM事務局
                     https://spatialist.sakura.ne.jp/
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*ニュースラウンジ              林義政
*リレーエッセイ<空間連携>         植木健一
*空間情報関連便利グッズ/書籍の紹介等    瀬戸島政博
*企画委員会議事録(概要)          遠藤拓郎
*日本測量協会からのお知らせ         遠藤拓郎
*編集後記                  大山容一

■ニュースラウンジ
 FIFA ワールドカップサッカー カタール 2022は、日本の素晴らしい活躍もあり、睡
眠不足になった方も多かったのではないでしょうか。大会も終盤になり、優勝チーム
の行方が気になるところですが、6月に閣議決定された、未来を切り拓く「新しい
資本主義」~成長と分配の好循環~について、少し触れておきたいと思います。
 新しい資本主義の具体的な政策は、4つの「成長戦略」と3つの「分配戦略」が柱と
なっています。ここでは、4つの成長戦略について改めて整理してみました。
 4つの成長戦略は、社会課題を成長のエンジンへと展開し、持続的な成長を実現させ
る考えの下、1)科学技術・イノベーション、2)「デジタル田園都市国家構想」など
による地方活性化、3)カーボンニュートラルの実現・GXの実行、4)経済安全保障
を掲げ、科学技術・イノベーション、スタートアップ、GX、DXに重点を置いて、
官民の投資を加速させようとするものです。
 科学技術・イノベーションは、科学技術によるイノベーションの推進と、担い手で
あるスタートアップの支援で、大学改革、イノベーション人材の育成強化、地域の
中核・特色ある大学の振興、スタートアップ・エコシステムの構築、オープンイノ
ベーションの促進などとなっています。
 デジタル田園都市国家構想などによる地方活性化は、デジタル化の促進により、地方
の活性化を図り、持続可能な経済社会を目指すもので、地方から国全体へのボトム
アップ成長を支援し、Digi田甲子園の開催、デジタル都市国家構想交付金、デジ
タルインフラの整備、地方創生テレワーク、自動配送サービス・自動運転、スマート
農業、大阪万博の支援・発信や沖縄振興などとなっています。
 カーボンニュートラルの実現・GXの実行は、2030年度の炭素排出量を2013年度比
較で46%削減することを達成するため、単にエネルギー供給構造の変革だけでなく、
経済全体の大改革として位置付け、GXへの投資、再生可能エネルギーの導入促進、
自動車の電動化促進、パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略、地域における脱
炭素化、サステナブルファイナンスの推進などを取り組むこととしています。
 経済安全保障は、経済構造の自律性の向上、技術の優位性・不可欠性の確保を進め、
国民の安全・安心を守り抜くこととしています。具体的には、経済安全保障推進法の
施行、半導体の国内立地促進、先端的な重要技術の研究開発支援など、当該分野に民
間投資を呼び込み、経済成長を実現させることとしています。
 今回、成長戦略を整理しましたが、我々、空間情報に関わる技術・技術者の貢献が
期待される場面が多く存在しています。先日、著名な先生のカーボンニュートラルに
関するご講演を聴講する機会を得ましたが、GISの応用によるデータ解析や予測
など、先進的な研究が報告されていました。会員の皆様には、3次元データの整備・
利活用など、既に様々な形で、取り組まれている方も多いことと思いますが、高度化・
効率化・生産性の向上などに向けて、新技術の研究・開発、利用者の立場に立った
想の更なる転換などによる貢献が望まれる状況なっています。 
 今後、2023年イノベーション大会、SPの会全国大会(仮称)などが予定されて
いますが、会員各位の理解と協力の下、SP会から様々な未来への発信ができるよ
うにしていければと考えています。
 さて、今年も1年、皆様には大変お世話になり、どうもありがとうございました。
空間情報技術のさらなる発展とSP会会員の皆様の健康と一層の活躍を祈念します。
良いお年をお迎え下さい。               
                      (林 義政:(株)パスコ)

○令和5年1月号の担当は、秋山幸秀さんです。

■リレーエッセイ<空間連携>
 同じ会社の国際航業の小出和政さんよりバトンを引き継ぎました植木健一と申します。
年の瀬も近づく12月、皆さんも慌ただしい日々を送っているところかと思います。
 ところで、忘年会は予定されていますか?職場忘年会の予定状況、私がみたアン
ケート結果では、実施するが31%、実施しないが67%(まだわからないを除く)との
こと。それでも、2020年に開催した11%、2021年に開催した19%を考えれば、徐々に
回復していると捉えるべきでしょうか。
 業務上でも、リモートワークやweb会議などが少しずつ定着してきており、リモート
飲み会というのも一時期流行りました。形式上は違和感も少なくなり始めている状況
なのかと思います。業務上では、DXの推進やデジタル田園都市国家構想などの動きも
後押ししているのでしょう。
 ただ私としては、どうしても無機質な印象を強く感じてしまうのですよね。それに、
私も無駄に歳を重ねているせいか、打合せなどでは相手の顔色や反応などの機微を
捉え、返すセリフや次の一手を考えたりしていたものですから、このあたりはどう
しても対面でないと厳しいのです。
 働きやすい環境とは人それぞれかと思いますが、人間味も残しつつ、便利なものは
活用しつつで、日々カスタマイズしていきたいですね。
                      (植木 健一:国際航業株式会社)

〇令和5年1月号の担当として、同じく国際航業の平田 顕三さんにバトンを渡します。


■空間情報関連便利グッズ/書籍の紹介 等

  ビギナーズ・クラシックス日本の古典
  角川書店編:『万葉集』 
  角川文庫12240
  本体680円+税)
  
 私のイメージとは不似合いの『万葉集』を紹介したい。『万葉集』は謎の多い書物で、
日本現存最古の和歌集、全20巻、約4500首収載、編纂者不明である。「誰が」「どの
ような目的」で編纂したか全く分からない。『万葉集』は、雑歌(ぞうか)、相聞(そう
もん)、挽歌(ばんか)の三大部立からなる。私は高校の古文の授業でほんの少し習っ
たが、そのほとんどが雑歌の旅歌や相聞の恋歌ばかり、挽歌に触れることはなかった
ように思う。
 昨今、知人等の野辺の送りが多くなり、『万葉集』の挽歌に心が引き寄せられる。
『万葉集』の挽歌は、死を直接表現せずに、隔絶感や喪失感から間接的に表現して
いる。和歌31文字から当時の万葉人も現代人も、その寂寥感を共有できる。そのよ
うな『万葉集』の深読みや解釈などが、この文庫本には紹介されている。
以下に挽歌を一首。

  うつそみの人にある我れや明日よりは二上山を弟背と我れ見む(巻二・一六五)
    (姉の大伯女皇が自刃した弟の大津皇子(686年大津皇子の変)を偲んだ挽歌)

 今年もあと少しで終わるが、あの極彩色の高松塚古墳壁画発見から50年目にあたり、
今まで縁の無かった『万葉集』を手に取るようになった。3月下旬、麗らかな陽光の下、
その高松塚古墳、キトラ古墳、さらには石舞台、犬養万葉記念館、奈良文化財研究所
飛鳥資料館などを巡った際にも本書を携帯した。無理なく読める『万葉集』の超入門
書としてお勧めしたい。                    
                      (日本測量協会 瀬戸島政博)

○令和5年1月号の担当は、中舎 哉 さんです。

■企画委員会議事録(概要)
令和 4 年度 第 1 回「スペーシャリストの会」企画委員会(令4.11)議事録(概要)
日時:令和 4 年 11 月 25 日(金)13:30~15:30
場所:日本測量協会 会議室、WEB
(1) 報告事項
 ①各支部活動報告(※11月号掲載)
 ②SPの会プレ全国大会終了報告
  ・受講申し込み者総数 210名(会場対面、オンライン)
  ・総会に関する記事が新聞等に掲載された。
  ・カナリヤ通信(建設通信新聞11月10日号)に、当会の女性技術者3名の
   ディスカッションの記事が掲載され、記事の中で「女性技術者の座談会」
   書籍が紹介された。
 ③その他
  1)北陸支部の設立について
  ・11月30日に、北陸支部設立会議を開催する(設立については令和4年度総会
   にて承認済み)。
  2)UAV利活用事例集第2弾について
・第2弾には、複合利用の事例を掲載する。事務局が章立て案と執筆要綱をまとめて、
 次回の企画委員会で提示予定。
(2) 討議事項・要請事項
 ①月刊「測量」スペーシャリストの会コーナーの執筆毎号の確認(第 30 弾)
 ②メールマガジン当番表について(新会員について)
 ③2023年イノベーション大会SPの会セッション案について
  1)開催方針等の確認
  2)セッションのテーマの協議と決定
    事前に各委員から提案されたセッションテーマ案及び本企画委員会の
    出席者の意見をふまえ、セッションテーマを「3Dデータの利活用
   (高度利用)と未来像」に仮決定。
    実務的な話題だけでなく、近未来の可能性(明るい未来)も
   含むような内容を検討する。
  3)責任者(プロデューサー)の選任
    上記セッションのテーマをふまえ、廣野貴一さんにプロデューサ-を依頼する。
 ④ 2023年全国大会について
  ・開催時期は、多少前後する可能性はあるが、2023年10月初旬~中旬の1日。
  ・開催方式は、対面・オンライン併用のハイブリッド方式。
  ・開催形式は、SPの会主催+日本測量協会共催を予定。
  ・大会名称は、次回企画委員会で協議・決定する。
  ・特別講演、定時総会、技術的な発表を一つにまとめ“全国大会(名称未定)”とする。
  ・2023年大会委員長は、早川さんに決定する。
  ・委員会構成は、委員長、事務方、会長・副会長(3名)、
   企画委員会委員とする。委員は後日決定。
  ・技術的発表は、実務者セミナーやイノベーション大会とは違う、学術的でもなく、
   実務過ぎない、SP会らしい内容とする。詳細は次回の企画委員会で協議する。
 ⑤ 横断的な研究会・勉強会・懇話会設立について
  ・本部・支部横断型活動のイメージマップの具現化のために、テーマとキーパーソンの
   選出が必要。
  ・最初のステップとして、横断型研究会(勉強会・懇談会)のテーマ洗い出しを実施
  する。次回の企画委員会で協議する。
  次回の企画委員会(令和4年度第2回)は、令和5年1月18日(水)に開催予定。
 以 上
                       (遠藤拓郎:日本測量協会)

■日本測量協会からのお知らせ
◇空間情報総括監理技術者をめざす人のための技術士取得支援セミナー(中核講座)
 日程/場所:令和5年1月17日(火)/ 東京都
 https://www.jsurvey.jp/gissv20230117.pdf
 日程/場所:令和5年2月21日(火)/ 大阪府
 近々、HP公開予定

◇公開講座
「位置基準(第1回)-座標とその実現-」
 講師:海津 優氏 (一般財団法人測量専門教育センター 専務理事)
 日程/場所:令和5年1月18日(水)/ 東京都、仙台市・大阪市・(WEB)
 https://www.jsurvey.jp/k-academy20230118.pdf (東京都文京区)
 https://www.jsurvey.jp/k-touhoku20230118.pdf (仙台・WEB)
 https://www.jsurvey.jp/k-kansai20230118.pdf (大阪・WEB)

◇転職・退職・死亡等により、氏名・所属・連絡先(メールアドレス)の変更が生じた
 SPの会会員の方へ。
 変更後の内容をご本人または関係者の方から日本測量協会にお知らせください。
 SPの会MM誌の配信やお知らせ等の連絡に支障が出ないようお願いいたします。

 届け出様式は以下の場所にあります。
 https://www.jsurvey.jp/gissv/youshiki.htm
 様式2 空間情報総括監理技術者 登録事項変更届出

 メールまたはFAXまたは郵送でお知らせください。
 連絡先は以下の通りです。
 メール:geoinfor@jsurvey.jp
 FAX : 03-5684-3366
 〒112-0002 東京都文京区小石川1-5-1 パークコート文京小石川 ザ タワー 5 階
 公益社団法人日本測量協会 測量継続教育センター 測量技術教育部 宛

◇空間情報技術事例報告集の報告文募集
☆応募締め切り:随時(投稿報告文が到着次第、速やかに査読)
☆掲載可となれば、日本測量協会ホームページ上の[測量情報館]に掲載。
 技術事例報告集では、新規性や独創性という視点とは別に、(1)創意工夫性(何らかの
 創意工夫による業務改善への貢献など)(2)実用性(実務への応用性や実際に業務等に
適用していく際の実用性など)(3)信頼性(技術事例報告の内容やその結果に対して、
信頼性や実証性など)(4)今後の展開性(空間情報技術領域の中で、他技術領域への新
たな展開や応用の可能性、他技術との融合性や融合利用の可能性などを含めて今後の
 展開性)という視点から査読し、技術事例報告として採用致します。
 奮って、投稿ください。
 詳しくは、https://jsurvey.jp/kuukanhoukoku.pdf

■刊行案内        
*** 新刊案内 ***(※会員は10%割引でご購入いただけます)

 『女性地理空間情報コンサルに訊け!(スペーシャリストの会編)』
                         (令和4年7月28日刊行)
 定価2,000円(税込)//会員価格1,800円(税込)
 『点群データの取得と処理(ジオメトリストの会編)』(令和4年7月28日刊行)
 定価2,300円(税込)//会員価格2,070円(税込)
 詳しくは、 https://www.jsurvey.jp/2.htm
                       (遠藤拓郎:日本測量協会)

■編集後記
 ドーハの悲劇(1993.10.28)をオンタイムで観ていた世代としては、ドーハの奇跡、
ドーハの歓喜、なるタイトルが紙上を賑わす日が来ようとは、感慨深い気持ちです。
 ところで、ワールドカップの予戦・本戦を観ていていつも感心するのは、勝敗表で
順位を決めるルール。本大会予戦では4チームが一組を構成して総当たり戦。総試合
数が6試合、個々の国にとっては3試合、その中で、1位と2位が勝ち上がるわけですが、
よくこんな少ない試合数で、結論が出るものだと。サッカーって点も入りにくいし。
 ご存知のとおり、まずは勝てば勝ち点3、引き分けで勝ち点1。次に、3試合した
中での得失点差(得点合計-失点合計)。これで、スペインがドイツより勝りました。
ここまではよくあるケースですが、さらに差がつかない場合、得点差。より多くの
点を取った方がいいと。まれですがまだ先があります。直接対決でどちらが勝ったか。
さらには、延長になるよりも90分で決着がついた方。究極は、イエローカードが
少ない方、というのもあったような気がします。
 かつて、ドーハの悲劇のもう少し前までは、勝者の勝ち点は2でした。これだと、
リスクを冒して勝ちに行くよりも、3試合とも引き分けにした方が勝ち点が良くなる
ということで、あえて攻めに行かない国が続出したといいます。1位と2位にいる国
同士が予選最終戦になった日には、お互いにボール回しに徹して最悪の試合展開に。
どこかの業界の談合状態です。
 勝ち点を3にすることで、引き分けの魅力は薄れ、常に勝ちに行こうとする
ゲームが主流になりました。ちょっとした工夫でパフォーマンスを劇的に変える
ような、そんな仕事人でありたいと日々思っています。サッカーの試合展開って、
仕事の進め方を考えるのにとても参考になるんです。例えば、オフサイド・トラップ、
この発想はいろいろなところで応用できます。VARも本格的に導入されて、今後また、
いろんな工夫が凝らされてくるのではないかと、楽しみな今日この頃です。
今大会のサッカーボールには、あのIMUが埋め込まれているそうですね。
「神の手」なんてのはもう、なくなりますね。
                    (編集委員長 : 国際航業㈱ 大山容一)

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