タイトル:スペーシャリスト会報 Vol.198 | 発行日時:2023年6月15日 |
┏ Magazine from Spatialist Club ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓ 2023年6月15日(木) ◇ スペーシャリスト メールマガジン ◇ vol.198 発行元:スペーシャリストMM事務局 https://spatialist.sakura.ne.jp/ ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ *ニュースラウンジ 西岡陽一 *リレーエッセイ<空間連携> 大月庄治 *新入会員のページ 梶江俊之 *空間情報関連便利グッズ/書籍の紹介等 池田晃三 *企画委員会議事録(抄録) 遠藤拓郎 *日本測量協会からのお知らせ 遠藤拓郎 *編集後記 大山容一 ■ニュースラウンジ 『チャットGPTの公開から半年、使いこなせない人はもう負け組!』という刺激的 なニュース記事を見ました。チャットGPTは、2022年11月30日にOpenAI(米国)が 公開した人工知能チャットです。まだ半年しか経っていませんが大きな注目を集め、 世界中の人々に利用されています。日本でも、チャットGPTのことが話題にならな い日はありません。SP会の皆さまも、さっそく使ってみてその機能に驚いているの ではないでしょうか。私も使ってみましたが、2005年のGoogle Earth以来の衝撃 でした。まさに「黒船」です。 さて、チャットGPTの衝撃を受け、GAFAを始めとするIT巨大企業や振興ベンチャー で、様々な生成AIの構築が急ピッチで進められています。この4月~5月にかけて関連 ニュースが出ない日がないほどです。このような状況のなか、さまざまな懸念やリス クについても議論され世界中でルール作りが始まっています。 広島で行われたG7でも、チャットGPTの登場によってAIのあり方が議論されました。 日本では、日本ディープラーニング協会が5月1日に、『生成AIの利用ガイドライン』 を公開しました。政府は5月11日、人工知能(AI)の活用方針を有識者らと検討する 「AI戦略会議」の初会合を開き、6月にも中間とりまとめが公表されます。5月29日 には、生成AIの利活用に関する国立大学協会会長のコメントが公表されました。生 成AIの利用を一律に禁止することは求めないとしたうえで、教育効果の低下や研究 不正へのリスクにも留意が必要であるとの懸念が示されました。 5月30日には、人工知能(AI)業界を主導する学者や有名人が、『AIによる 世界絶滅のリスクの軽減』を訴える声明を発表しました。チャットGPT開発会社の CEOも賛同しているようです。そこで、「AIによる人類滅亡の危機は起こりますか?」 とチャットGPTに聞いてみました。「AIの進化が人類滅亡の危機を引き起こす可能性 は低いと考えられますが、技術の進歩に対する懸念やリスクを真剣に受け止め、 適切な管理と規制を行うことが重要です。」との優等生の答えでした。 どうやらリスクはAIにあるのではなく、AIを利用する我々人類にありそうです。 私たち空間情報技術者は、AIで楽をしようとか労せず稼ごうとか考えず、AIに正しい データを与える教育係であると考え行動したいものですね。 (西岡陽一:国際航業株式会社) 〇令和5年7月号の担当は、池田晃三さんです。 ■リレーエッセイ<空間連携> 日本インシークの沖津実郎さんよりバトンを引き継いだ日本インシークの大月庄治 です。本職はソフトウェア開発ですが、現場大好き人間なので、西表島にいたり、 洋上にいたり、はたまた地下にもぐっていることもあります。 今、ChatGPTが世を席巻しております。改めてどういうものなのかを確認して みると、「アメリカのOpenAI社が開発した、AIを使ったチャットサービス」との ことです。使用するとわかりますが、確かに使い所によっては世界が変わります。 便利です。海外では、やれ医師免許試験に合格しただの、やれロースクールに 合格しただの言われていますが、平然と嘘をつくこともあるので、取扱注意では あります。 このAIを構築するのに、2000億語ものデータ量が必要だったそうです。最近は さらに進化させるために1兆語を超えるデータで構築されたAIも出てきているとの こと。ちょっと想像が追いつかない量になっています。 人間が生まれてから13年間で聞く言葉の量は1億語だそうです。その1億語でAI を構築できないかとのチャレンジがあるそうです。人間にできることなら、AIに もできるのではないかとも思いますが、ふと我に返ると、「一番凄いのはやっぱり 人間?」って思いました。人間にしかできないこと、自分自身にしかできないこと、 を追求していこうと改めて思った今日このごろです。 (大月庄治:株式会社日本インシーク) ○令和5年7月号の担当は、株式会社パスコの滝沢進さんにバトンを渡します。 ■新入会員のページ この度、SPの会に入会しましたアジア航測株式会社の梶江俊之と申します。私は 主に自治体向け統合型GISの構築・運用支援に携わっています。統合型GISの導入で は自治体内の様々な部署とデータの利用などの調整を行います。違う部署のデータ を使いたいけど部署間の仲が悪く、我々を通してでないとやり取りできないなどの 笑い話もありましたが、データが思うように庁内共有できていない課題を抱えてい る自治体は多くあります。 現在、巨大なストレージ、高速な通信が利用できる環境が整ってきており、3Dデ ータもスムーズに扱える世の中になってきています。一方で自治体では紙資料を2D データにする作業も進まず、アナログな対応をしているケースもまだまだ見受けら れます。新しい取り組みも大切ですが、地理空間情報の利活用を全体的に底上げす ることも同様に大切だと思っています。 地理空間情報が今よりもっと当たり前に流通する世の中にしていくために、微力 ながら貢献したいと考えています。どうぞよろしくお願いします。 (梶江俊之:アジア航測株式会社) 〇令和5年7月号の担当は、本間昭信さんです。 ■空間情報関連便利グッズ/書籍の紹介等 書 名:調べる技術 国会図書館秘伝のレファレンス・チップス 著 者:小林昌樹著 発行所:株式会社 皓星社 価 格: ¥2,000 我々が何かを調べようとすると今時はすぐ「ググる」となるのですが、専門家は どうしているのか? 調べもののプロ「司書」のノウハウ(書名ではチップス) が公開されています。勿論、司書もGoogleを利用するのですが、使い方には工夫 があり、利用するデータベースの検索の順番に関するチップスもあります。 章立ての一部には以下のようなものがあり、大いに参考となりそうです。 ・現に今、使えるネット情報源の置き場 ・ネット上で確からしい人物情報を拾うワザ ・見たことも、聞いたこともない本を見つけるワザ ところで書名に「レファレンス」とあるのですが、「レファレンス」は戦前から 用例があり最初は英文学関係で使われた。一方「リファレンス」は戦争直後、 主に理工系の学者が使ってきた。文献上は「レファレンス」が圧倒的に多いが、 現在ネット上では全く逆である。と言った標記の揺れを用例数の変遷から調べる にはGoogleトレンドでは2004年以降だけなので無理。国立国会図書館のNgram Viewer(OCRによって作成されたテキストデータから出版年代ごとの出現頻度を 可視化できる) は今のところ整備年代が限られている。そこで代わりに「ざっ さくプラス(雑誌記事索引サービス)」を使ってみると大まかな変遷が分かる。 ・・・このような調査が必要な方はご一読ください。 (池田晃三:アジア航測株式会社) 〇令和5年7月号の担当は、西岡陽一さんです。 ■企画委員会議事録(概要) 令和4年度 第4回「スペーシャリストの会」企画委員会(令和5年5月)議事概要 日時:令和5年5月19日(金)13:30~15:30 場所:日本測量協会 第二研修室、WEB (1) 報告事項 ① 各支部活動報告(※5月号掲載) ② 令和5年度KIT空間情報セミナーについて ・今年度より原則として対面(会場参加)とする。大学事務局の担当者が変更。 ③ 2023年イノベーション大会SPの会セッションについて ・タイムスケジュールが正式決定、SPの会セッションは6月14日(水)14時40分~ 16時40分である。 ・会場とWeb参加(後日オンデマンド配信)の併用とするが、できるだけ会場参加を お願いしたい。 ・SP会会員には会から資料集を送付する。日測協の会員で会場参加者には資料集を 無料配布する(非会員は有料)。 ④ 2023年全国大会について ・11月9日に対面とWeb併用の方式で開催する。 ・大会名称は「空間情報未来会議(愛称:空間情報総括監理技術者の会 全国大会)」 ・特別講演と技術展望の発表は測量CPDの対象となる予定である(総会を除く)。 ⑤ 横断的な研究会・勉強会・懇話会設立について ・基本は、「新しい技術動向」と「人材育成」の2本柱で進めたい。 ・代表者は、今後検討する。 (2) 討議事項・要請事項 ① 月刊『測量』スペーシャリストの会コーナーの執筆毎号の確認(第31弾) ・第31弾は執筆者とタイトルが決定した。 ・第32弾のデーマ「測る」について、5月末までに第32弾の執筆者と(仮)タイトルを 事務局に連絡すること。 次回の企画委員会(令和4年度第5回)は令和5年7月14日(金)開催予定 ■日本測量協会からのお知らせ ◇「議決権行使書」ご提出のお願い 日頃は日本測量協会の各活動にご協力いただきありがとうございます。 第73回定時総会のご案内を5月末に発送しております。 同封の総会議案書をご覧になり、「議決権行使書」に署名ご捺印のうえ、 ポストにご投函ください。 ◇「測量・地理空間情報イノベーション大会2023」資料集発送予定 メルマガ5月号でもご案内した通り、資料集につきましては、SPの会会員 (会費未納者を除く)の皆様に6月中旬に発送予定です。到着までしばしお待ちください。 ◇公開講座 「「位置基準」(第2回)~記述の枠組みと現実のモデル~」 講師:海津 優 氏(一般財団法人測量専門教育センター専務理事、 一般財団法人日本地図センター地図研究所主任研究員) 日程/場所:令和5年7月14日(金)/ 東京都、仙台市・大阪市(WEB) https://www.jsurvey.jp/k-honbu20230714.pdf (東京文京区) https://www.jsurvey.jp/k-touhoku20230714.pdf (仙台・WEB) https://www.jsurvey.jp/k-kansai20230714.pdf (大阪・WEB) ◇令和4年度(2022年10月~2023年9月) 会費納付のお願い 令和4年度の会費納付がお済みでない方は、会費納付にご協力ください。 未納者の方には、6月8日に事務局からメールにてご連絡差し上げております。 年間3,000円です。 ◇転職・退職・死亡等により、氏名・所属・連絡先(メールアドレス)の変更が 生じた SPの会会員の方へ。 変更後の内容をご本人または関係者の方から日本測量協会にお知らせください。 SPの会MM誌の配信やお知らせ等の連絡に支障が出ないようお願いいたします。 届け出様式は以下の場所にあります。 https://www.jsurvey.jp/gissv/youshiki.htm 様式2 空間情報総括監理技術者 登録事項変更届出 メールまたはFAXまたは郵送でお知らせください。 連絡先は以下の通りです。 メール:geoinfor@jsurvey.jp FAX : 03-5684-3366 〒112-0002 東京都文京区小石川1-5-1 パークコート文京小石川 ザ タワー 5 階 公益社団法人日本測量協会 測量継続教育センター 測量技術教育部 宛 ◇空間情報技術事例報告集の報告文募集 ☆応募締め切り:随時(投稿報告文が到着次第、速やかに査読) ☆掲載可となれば、日本測量協会ホームページ上の[測量情報館]に掲載。 技術事例報告集では、新規性や独創性という視点とは別に、(1)創意工夫性 (何らかの創意工夫による業務改善への貢献など)(2)実用性(実務への応用性 や実際に業務等に適用していく際の実用性など)(3)信頼性(技術事例報告の 内容やその結果に対して、信頼性や実証性など)(4)今後の展開性(空間情報 技術領域の中で、他技術領域への新たな展開や応用の可能性、他技術との融合性 や融合利用の可能性などを含めて今後の展開性)という視点から査読し、技術 事例報告として採用致します。奮って、投稿ください。 詳しくは、https://jsurvey.jp/kuukanhoukoku.pdf (遠藤拓郎:日本測量協会) ■編集後記 G7サミットが広島で開催されました。そして通常の共同声明とは別に、「核軍縮」 に焦点を当てた「広島ビジョン」が打ち出されました。ロシア-ウクライナ戦争が長引 き、核戦争の危機が限りなく高まるこの時機に、世界で唯一の被爆国、そして爆心地 ヒロシマ出身の岸田首相がホストとなり、原爆資料館を各国首脳に直接見せ、核兵器 廃絶を訴え、世界平和を追求する。これほどの好機はなかったといえましょう。 ここはもう一押し、G7、グローバルサウス、ウクライナのゼレンスキー氏だけで なく、ロシアのプーチン氏もキッチリ招待し、核兵器廃絶を強調し、2人に向かって、 即刻戦争をやめなさい! と、日本が強い指導力を発揮する、というシナリオ。平和 憲法をいただき、過去77年、ひとりの兵士も民衆も殺していない日本国でこそ、でき たことだと思いました。。 とはいえ、現実的に今の日本人にできるわけもなく、よく見ればG7、日本以外は 皆NATO加盟国。核廃絶を究極はめざすと明言しながら核抑止力にも理解を示す一文が 入るのも、核兵器禁止条約に触れないのも、やむを得ないところではある。曲がりな りにも「広島ビジョン」がまとまったことは、今できる最高点だったといえましょう。 (事務折衝段階で、核保有国からの要望に断り切れなかったそうです。事務方は頑張 ってたんだ。外務省のHPで原文と和訳、閲覧できます。「広島ビジョン、全文」) そもそも1990年代冷戦終結に際し、ワルシャワ条約機構は解散したものの、NATO (北大西洋条約機構)は解散どころか、調子に乗って東欧諸国を次々と飲み込み、いよ いよウクライナさえも取り込もうとする。KGBの最前線で生きてきたプーチン氏には、 たまったものではないでしょう。 日本はもっと理性的に行動できる立場にいます。ロシアの「核による脅し」と、 NATOの「核抑止力」、発想は同じですよね。しょせんは昔から続く欧米人同士の喧嘩 (東西冷戦の続き)、NATOが別に正義でも平和主義者でもない、ひとつの軍事同盟に 過ぎないことを再認識すべきでしょう。 (編集委員長 : 大山容一(国際航業株式会社) ───────────────────────────────────── All Rights Reserved, COPYRIGHT(c) Spatialist Club このメールマガジンを紹介したい方は各自の責任で転送しても結構です。 ───────────────────────────────────―─ | |
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