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┏ Magazine from Spatialist
Club ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
2007年1月15日
◇ スペーシャリスト メールマガジン ◇ vol.2 創刊号
発行元：スペーシャリストMM事務局
http://www.capnet.jp/spatial/
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INDEX ：＊発刊の挨拶 ＊ニュース ＊Geo関連日程・予定 ＊報告記事 ＊イベント情報
＊コラム ＊本/Webの紹介 ＊編集後記
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＜発刊の挨拶＞ 会 長：瀬戸島 政博
新年、明けましておめでとうございます。
本年も「スペーシャリスト」の会の発展のためにご協力お願い申し上げます。
現在、47名の皆様のご参加を頂き、会としての形がようやく出来上がって参りました。
昨年末には「企画委員会」の第一回会合が開催され、「空間情報総括監理技術者」の対外
的なアピールやそのため積極的な活動計画等が検討されました。加えて、啓蒙・教育の一
環として新たな出版物の検討等も進めることになりました。
今年は、会員相互の技術や情報の交換等を通して、空間情報技術の向上や広く社会的な
貢献を果たしていく第一歩の年と祈願しています。そのための最初の一歩として、今年１
月より、毎月このメールマガジンを皆様に配信致します。会員相互の情報交換とともに、
各会員からの積極的な投稿をお待ちしております。
「スペーシャリストの会」の活動が、空間情報技術の世界の「知的な梁山泊」としての
役割が果たせるように共に頑張りましょう。
■ ニュース
<トピック>
◇ 「地理情報活用推進基本法(NSDI)」は昨年末（12/25)終了した通常国会では、審議
未了のため今国会で継続審議となった。
<スクラップ>
＊ 九大の酒井治孝教授（地質学）らは変成岩に含まれるジルコンをつかって年代測定、
ヒマラヤが今の高さに達したのは通説の1,000万年よりさらに4〜500万年前と発表。
これは内陸部の乾燥化など気候変動の面からも注目されている。（'06.12.12)
＊ 中国・内モンゴル自治区の1億2,500万年以前の地層から空飛ぶ小型哺乳類の化石が
米国自然博物館と中国科学院古脊椎動物研究グループが発見。（'06.12.14)
＊ 中国四川省の楽山大仏が酸性雨で著しく劣化、研究を続けてきた成都理工大学と日
本の山形大学の研究チームが発表。（'06.12.15)
＊ IBMが携帯電話の将来技術として、リアルタイムの翻訳機能、立体空間を目前に映
す3次元インターネットが5年以内に実現が可能と発表。（'06.12.16)
＊ 宇宙航空研究開発機構（JAXA）は18日、地上の携帯端末との通信に取組む技術試験
衛星「きく8号」の打上げに成功。（'06.12.19)
＊ NASAと検索エンジンのグーグルは、18日NASAの持つ映像をグーグルのサイト上で提
供すると発表。（'06.12.19)
＊ 環境省は温泉の枯渇を防ぐため都道府県が採掘許可を出す際のガイドラインを作成
することを19日明らかにした。（'06.12.20)
＊ NAASAは10月に打上げた太陽観測衛星ステレオがとらえた太陽表面の爆発画像を公
開した。今後、この衛星をつかってプラズマの流れなど詳査する計画だ。
（'06.12.22)
＊ 内閣府の内閣情報調査室は'07年2/15に情報収集衛星（レーダ2号）を種子島宇宙セ
ンターからH2ロケットで打上げると発表。（'06.12.22)
＊ 環境省は12/22来春のスギ、ヒノキ花粉の飛散量は平年以下から1/4程度になると発
表。（'06.12.23)
＊ 12/10打上げられた米スペースシャトル「ディスカバリー」は、12/11国際宇宙ステ
ーション（ISS)とドッキング、太陽電池パネルの調整、など一連の作業を終え、7月
から乗組んでいたドイツ人宇宙飛行士を乗せ12/22帰還した。今回のミッションの成
功で2007年秋から始まる日本の実験棟「きぼう」の電力供給も整った。（'06.12.23)
＊ 仏主導で欧州の人工衛星コローが12/27打上げられた。太陽系外の地球型惑星探査
に期待が寄せられている。（'06.12.28)
＊ 兵庫県篠山市・丹波市にまたがる「篠山層群」の地層から草食恐竜（ティタノアウ
ルス類）の肋骨や歯の化石数点が見つかった。化石は兵庫県立人と自然の博物館で
1/6〜21日まで展示される。（'07.1.4)
＊ 米海洋大気局（NOAA)は、55〜98年世界各地で観測した塩分濃度データの分析から
グリーンランド東方の北大西洋の表層でこの半世紀の間で約0.2%減っている、と発表。
今春採択予定の「気候変動に関する政府間パネル（IPCC)」評価報告書への掲載が検
討されている。（'07.1.4)
＊ 1/9東大生研などの研究グループは、インド洋の中央海嶺付近を海中ロボットで探査
し、世界最大級の海中溶岩平原（水深2,700m、溶岩幅2.7km、長さ26km）があることを
発表した。
■ 2007年Geo関連の主な日程・予定
今年'07から'08年にかけて「国際惑星地球年（IYPE)」が始まる。これに合わせて３つ
の国際年が計画されている。
１）国際ディジタル地球年・・・ネット経由のデータ整理・公開の推進
２）国際太陽観測年・・・地球・太陽、太陽系全体の理解を深める（日本；地磁気観測、
太陽表面の爆発の影響観測など）
３）国際極年・・・南北両極の微生物の生態や多様性について調査、温暖化の影響が明
らかにされることが期待されている
＜Geo関連の主な予定＞
1/22 マグロ類地域漁業管理機関合同会合
1/29 南極の昭和基地開設から50年
2/15 日本の情報収集衛星がH2Aロケットで打上げ
3/ 4 皆既月食 西日本で部分月食が観察できる
3/19 部分日食 国内の一部地域で観察できる
4/ 中国が月探査機打上げ？
6/21 米航空宇宙局（NASA)の小惑星探査機「ドーン」打上げ
7/ 日本の月探査機「セレーネ」がH2Aロケットで打上げ
8/27 茨城県東海村で「原子の火」がともって50年
8/28 皆既月食 国内のほとんどの地域で観察できる
9/ 地球深部探査船「ちきゅう」が紀伊半島沖の南海トラフで本格掘削開始
10/ 4 スプートニク打上げ50年
10/17 国際宇宙ステーションに欧州の実験棟「コロンバス」を米スペースシャトルで
打上げ
11/12 IPCC（気候変動に関する政府間パネル）スペイン・バレンシア
12/ 3 国連気候変動枠組み条約第13回締約国会議COP；インドネシア・バリ島
12/ 8 国際宇宙ステーションに日本の実験棟「きぼう」を米スペースシャトルで打上
げ、宇宙飛行士の土井隆雄さんが搭乗
（以上；ニュース・ソースは朝日新聞・2007.1.1）
■ 報告記事
＜第一回企画委員会＞
・日時：平成18年12月22日15:00〜17:00
・場所：日本測量協会（本部）301会議室
・参加：瀬戸島、高、津留、土方、望月、池田、住田、神原
・議事
昨年のスペーシャリストの会総会で可決しました、企画委員会の第一回会合が、12月22
日、測量協会で開催されました。テーマは当面検討すべき課題について議論がなされまし
た。課題は概ね、� 峩�間情報総括監理技術者」の資格認知と地位向上、�◆屮好據璽轡�
リストの会」の普及・教育活動、��「スペーシャリストの会」の出版計画、の３点です。
“「空間情報総括監理技術者」の資格認知と地位向上”については、この資格とはどう
いうものなのか具体的に明らかにする活動計画が必要ではないか、という認識で一致する
に至りました。まずは、スペーシャリストの会として何ができるのか、これをよく整理す
る必要があり、まずは、47名の全会員に略歴を作成いただき、これを基に検討を進めるこ
とといたしました。
“「スペーシャリストの会」の普及・教育活動”については、まずは、昨年4月に出版
した提案事例集を活用し、'07年度のサーベイアカデミーで技術提案書作成実習講座を行
うこととなりました。まずは、瀬戸島会長、高副会長、住田副会長がこの講師となります。
“「スペーシャリストの会」の出版計画”については、測量技術者のための技術士受験
対策本、提案書作成のための要点収録本の出版について討議がなされました。近年、測量
技術者の技術士合格率が各社それぞれ思わしくないことを踏まえ、業界として対策を講じ
る必要があるとの認識で一致しました。ただし、今年度から試験方式が変更となるため、
この内容が明らかになった時点で検討を進めることとしました。提案書作成のための要点
収録本については、今後プロポーザル方式が急速に普及するであろう状況を踏まえ、地域
のさほど大きくない企業に対しても、当会として何らかのサポートを要するのではないか、
という観点から検討を続けることとしました。提案を行うにあたっての、前提をどう捉え
るか、といった部分にも着目した内容を想定し、まずは昨年出版した提案事例集を基に、
高、住田両副会長が試作することとなりました。（アジア航測株式会社：住田英二）
■ イベント情報
＊ 南極地域観測50周年記念 オープンフォーラム南極「夢よ、はばたけ、白い大陸」
が '07.1.28-29 日本科学未来館7階 みらいCANホールで開催される。（主催:国立極
地研究所,問合せ：「オープンフォーラム南極」広報事務局 03-3263-5900)
＊ 航空レーザスキャナデータのフィルタリング講習会が07.1.25 東京大学駒場キャ
ンパスII A棟中セミナー室で開催される。主催：（社）日本写真測量学会（問合せ：
（社）日本写真測量学会 事務局 03-5840-6606 )
＊ 地震の巣を解明せよ〜JAMSTECが迫る地球の中身〜 企画展が海洋研究開発機構横
浜研究所地球情報館２Fギャラリーで 07.2.28 まで開催されている。入場無料（問合
せ：海洋研究開発機構 045-778-3811
URL:http://www.jamstec.go.jp/jamstec-j/EVENT/ESM_gallery/061023/index.html)
■ コラム
＜地図の最新事情＞
国土地理院発行の1/2.5万、1/5万地形図の全図葉販売量は、1981年の約910万枚/年をピ
ークに減少の一途を辿っている。しかし、現在は「地図」ブームであるという。その背景
には「電子地図」がある。従来の紙地図に代わって電子媒体で供給される地図である。こ
の電子地図の特徴は、多才な地図を現出できることにある。多才な地図とは次の4項に代
表される。
（１）感性地図・・・・人の感性に訴える色や記号つかい、質素な町並みを表す地図と
か夏をイメージした地図を表現するもので、自治体や観光地のイメージをアッピー
ルするのに利用されている。（「感性を考慮した地図表現」小野邦彦et.al 日本測
量協会2001)
もう一つの感性は触覚である。国土地理院では「触地図原稿作成システム」をWeb
で試験公開している。視覚障害者にも地図利用の道が開かれつつある。金沢工大で
はGPSを利用したバリヤフリー地図作成の研究に取組んでいる。
（２）鳥瞰地図・・・・３Ｄ地図とも呼ばれるように上空から俯瞰した地形を表示する。
通常これらはグレーの陰影で表示されるが、前出の小野らは斜面方位と勾配で異な
る色相、明度、彩度値を与えていろどり豊かな地形表現をする「光輝陰影法」を提
唱している。
一方、千葉達郎らは地形傾斜の急な所を赤く発色させ、かつ高低差を明るさで調
整した「赤色立体地図」を提唱している。平行投影の画像が立体鏡など用いなくて
も３次元的に見える表現方法だ。（「日本の凸凹」千葉達郎 技術評論社 2006）
（３）変形地図・・・・地図上に統計データを表示することは従来も行われ「変形地図」
と呼ばれていたが、手作業で作るのは容易でない。東大の清水英範らは“統計デー
タとの乖離を最小にし、かつ地図の地理的変形を最小とする”最適解を提唱し、距
離カルトグラムや面積カルトグラムを簡単に作成する方法を提案している。これを
用いると鉄道移動時間の変遷や人口増加率などが視覚的に分かりやすい形で見るこ
とができる。(「GIS時代の統計データの表現方法」清水英範 日本写真測量学会講
演集 2006.5.22)
（４）検索地図・・・・地図を使った検索システムではにGoogle Mapが上げられる。こ
れはビジネスを変えるとも言われている。例えば、Web画面のウィンドウに「らー
めん 八王子」と入力すると東京の八王子付近の地図と、その上にラーメン店がが
表示される。勿論「Hotel Newyork」とすればニューヨーク市の地図とホテルが表
示され、その一つをクリックするとホテル情報を見ることができるし、予約も可能
となる。 (http://www.google.co.jp/)
日本は「電子国土」の実現に向けて取組んでいる。それとともに電子地図が整備される
と上記のような利用方法はますます多才になる。ここしばらく「電子地図」とその利用に
ついては目が離せないだろう。（日本大学講師：田中邦一）
■ 本／Webの紹介
＊ 「英国紳士の植民地統治−インド高等文官への道」 浜渦哲雄・著：中公新書
村井俊治先生（スペーシャリストの会顧問：東京大学名誉教授、（社）日本測量協会副
会長）がこの本の一読を薦めた理由は、リーダーにふさわしい資質はどうあるべきか、リ
ーダー育成にはどのような教育システムが必要であるかの参考になるかを考えてみなさい
という主旨であろう。
この本は、第2次世界大戦前に世界の覇権を握っていた英国（大英帝国）が如何に植民
地の統治を行うための人材育成を図ったかを、植民地の中でも最大の位置を占めるインド
の統括監督者（ICS)を代表例として記述したものである。具体的には、採用試験の内容や
合格者の変遷、統治監督者に求められていた資質を中心に記述したものである。
村井先生の推薦主旨（期待）に全く沿っていないが、この本を読んで一番受けた強烈な
印象は、インドとイギリスの関係について自分が頂いていた先入観（幻想？）が全く異な
ることであった。当方は、高校時代、今何かと話題の世界史ではなく、日本史を履修して
いた。このため、世界史には疎い面がある。
まずはこの本を読んで知りえた歴史的事実について説明する。（皆様には常識？）
【インドとイギリスの歴史的関係】
私は、第2次世界大戦前のインド＝イギリスの植民地としてイギリスに搾取され続け、
貧困な国であると信じ込んでいた。
実際のインドがイギリスの植民地であったことは事実だが、インド自体がイギリスから
の独立外交権を持ち、アラビア半島方面を統治していた事実は全く知らなかった。
第1次世界大戦、第2次世界大戦当時のイギリスの国力（経済物資面、軍人供給に関わる
戦争遂行能力と言い換えてもよい）を支えていたのは、紛れも無くインドの国力であり、
第2次世界大戦を経てイギリスはインドに対して債権国から債務国に没落したことで、イ
ンドを植民地として統括することが不可能になり、独立を認める関係に至ったことは、こ
の本を読んで初めて知った。
更に言えば、債務の問題に加えて、ICSが公平な試験を採用したことで、インド人の占
める割合が徐々に高くなり、第2次世界大戦終了後、ICS内のインド人比率が過半数を超え、
政治の面でもインド人の勢力が上回ったことも独立承認への大きな一因になったそうである。
【イギリスが植民地統治者（リーダー）に求めた資質】
端的に言えば、『スペシャリストではなく潔癖な気品溢れるゼネラリストたれ。』が基
本的なモラルとして求められたそうである。しかし、このゼネラリスト賞賛の姿勢が、そ
の後の技術発展を防ぎ、大英帝国の没落を招いたとの歴史的批判は英国国内で根強い。
【そう言えば・・・】
イギリスがかつての宗主国として、関係国と現在でも植民地との良好な関係を保ってい
る場合が多い。具体的にはオセアニア地方の国々（フィジー、オーストラリア、ニュージ
ーランド、ツバル）では、未だに国旗は英連邦であることを示すマークが入っている。つ
まり、うまく統治できていたことの証拠の一環ではなかろうか。
【さて、自分はどうあるべきか、自分はリーダーシップがあるか】
近年、当方はIT関係の仕事に従事している。IT関係の仕事（システム）は、重箱の隅を
つついて仕様を固めないと、動作しないことが多く、かなり近視眼的な人間になっている
と最近自覚している。
その意味では植民地を統治するリーダーシップ、ゼネラリストたる資質には欠けている
と言える。更に広い視野を身につけるには、一歩引いた立場で自分自身を批評することが
必要だと痛感させられた。しかし、ゼネラリストだけでは、モノづくり日本の没落は避け
られず、俗に言うT字型人間を目指していく必要性を心に誓った。
参考・・・【浜渦哲雄氏の略歴（同書より）・・・・1991年時点】1940年生 大阪外国
語大学インド科卒業、日本経済新聞社を経て、現在、アジア経済研究所在外研究員
著書：中東石油産油国（共著、時事通信社）・石油王国の悲劇（ダイヤモンド社）・国
際石油産業（日本経済新聞社） （国際航業株式会社 野村 出）
＊ 「団塊フリーター計画」 島内晴美・著：NHK出版生活人新書209
定価（本体700円+税）
いよいよ2007問題のスタート年である。本書によれば、団塊世代のセカンドライフはそ
んな甘いものでないようである。悠々自適には程遠い定年後の経済環境、改正高齢者雇用
安定法による段階的再雇用がされても職場環境や職制などの多くの課題が横たわっている
ようだ。本書では、そんな団塊世代に群がることをやめ、組織人間のしがらみを無くし、
楽しいフリーランス生活を提案している。団塊世代の影響をまともに受けたポスト団塊世
代の最年長層としては、今もってなお、彼ら団塊世代の去就が気に掛かる。良くも悪しく
も団塊世代の影響を受ける方々には是非一読をお勧めしたい。（瀬戸島政博）
＊ 「フーコーの振り子 −科学を勝利に導いた世紀の大実験−」 アミール・D・ア
クゼル・著／水谷淳・訳：早川書房 定価（本体1800円+税）
子供から上野の国立科学博物館のホール入口に釣り下げられている大きな錘（フーコー
の振り子）が不思議でならなかった。大学で地学を専門に勉強するようになって漸く分か
るようになった有様だ。1851年ジャン・ベルナール・レオン・フーコーが、パリの巨大建
築物パンテオンでなされた実験がそれであり、フーコーが仏アカデミーの科学者達へ送っ
たこの実験の招待状には、「地球が自転するのを見に来られたし」と書かれていたようだ。
また、フーコーはジャイロスコープの発明者でもある。本書からフーコーの人物像や科学
教育を受けていなかった彼の偉業がどのようにして認められたかを知ることができる。
（瀬戸島政博）
＊ 「戦国争乱を生きる −大名・村、そして女たち−」 舘鼻誠・著：NHKライブラ
リー 定価（970円+税）
今年の大河ドラマは「風林火山」、将にその時代、戦国争乱の世の人々がどう生きたか
が、本書のメインテーマである。映画やテレビでは英雄たちの武勇のみを映像化している
が、戦国大名たちも家臣や村人たちに支えられ、その支持を得るために日夜奮励努力して
いた姿が分かる。争乱に巻き込まれて逃げ惑う村人や女性たちの姿をイメージし易いが、
結構強かな生き方をしていたようだ。多くの一級史料からこの時代を支えた名も無き人々
の強かな生き様が彷彿される。我々の抱く戦国の世の姿は、実は江戸時代に作り上げられ
たものが多いことにも気付く。戦国争乱の歴史観が変わる書籍である。（瀬戸島政博）
＊ 「名山のまなざし」 斉藤潮・著：講談社現代新書 定価（740円＋税）
著者は3次元地形解析ソフト「カシミール」を使い山の透視図を作り、これを持って現
地に出かけ実景と較べて景観分析を行う。テーマは、「聖地」として崇める場所と、近代
写実派の画家 谷文晁の「日本名山図会」に描かれた『山』である。とりあげた山は、富
士山、伊吹山など５座。聖地としては、日本人は峰に神威を感じ山容に仏を見出した場所
に鳥居を建て、あるいは借景庭園としてその景観を大切にしてきた、と分析。次で谷文晁
の描いた絵画では、どの位置からどのような透視形態にこだわって描いたか逆推理を試み
ている。「あとがき」で“・・・・地形は改変されるが、その改変が単なる景観の改変だ
けでなく、文化遺産の喪失につながっているということを認識することが重要だ。・・・
・”と述べているが、これこそ著者のメッセージではなかろうか。（田中邦一）
■ 編集後記
新年、明けましておめでとうございます。
さて、瀬戸島会長を始めとします関係者各位のご尽力により、昨年末のβ版を経て、創
刊号の刊行にこぎつけることができました。この場をお借りしてお礼申し上げます。この
メールマガジンは、今、まさに産声を上げたところです。皆様と力を合わせて、私たちの
コミュニケーションツールとして、そして憩いの場として、育てていきたいと考えていま
す。是非とも、ご協力をお願い致します。
なお、このメールマガジンは、各位の適切なご判断に基づき、本会会員以外の関係者に
転送して頂いて結構です。（株式会社五星 神原孝行）
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