スペーシャリスト メールマガジン バックナンバー

タイトル:スペーシャリスト会報 Vol.200 発行日時:2023年8月15日

┏ Magazine from Spatialist Club ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
2023年8月15日(火)
◇ スペーシャリスト メールマガジン ◇  vol.200
                    発行元:スペーシャリストMM事務局
                     https://spatialist.sakura.ne.jp/

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*ニュースラウンジ              岡本芳樹
*リレーエッセイ<空間連携>         青山聖人
*空間情報関連便利グッズ/書籍の紹介等    西村芳夫
*企画委員会議事録(概要)           遠藤拓郎
*日本測量協会からのお知らせ         遠藤拓郎
*編集後記                  大山容一

■ニュースラウンジ
 スペーシャリストの会のメールマガジンが誕生してから、早や200号を迎えることと
なりましたことを、心よりお祝い申し上げます。このメールマガジンが、より多くの
方々にとっての情報源となり、空間情報総括監理技術者としての知識とスキルを高め
るための架け橋となることを願っております。
 さて、本題のニュースラウンジです。今年もやっと梅雨明けをしましたが、梅雨の
始まりから終盤にかけて多くの地域で豪雨災害に見舞われました。この度の豪雨に
より被災された地域の皆様に心よりお見舞い申し上げます。一日も早い復旧をお祈り
しております。
 国土地理院では、2019年3月に新たな地図記号「自然災害伝承碑」を制定し、2万
5千分1地形図に 2019年9月 から順次掲載しています。公開当時は158基でしたが、
直近の2023年7月時点では1933基(全国558市区町村)を公開しています。身近な所
にもあるようですので、今一度お近くの「自然災害伝承碑」を確認してみては如何
でしょうか?
 また、梅雨明けとともに猛暑日が続いている地域も多くあります。世界気象機関
(WMO)などでは、2023年7月は「観測史上最も暑い月」になるとの見通しを示しま
した。国連のグテーレス事務総長も「地球温暖化の時代は終わり、地球沸騰の時代
(the era of globalboiling)が来た」と述べています。猛暑の中での移動は極力
避ける必要がありますが、やむを得ず外出する機会もあるかと思います。今年は携帯
アプリのルート検索も高度化し、「日陰ルート」機能が実装され活用されているよ
うです。地上の日陰は、地図上の建物情報に高さ情報が提供されたことにより、
日毎の時間別太陽高度などから日陰部分を都度算出し、リアルタイムに地図上に
描画することが可能となりました。
 既に夏バテぎみですが、高度化した三次元データを活用して、この夏を乗り切る
工夫をしてみてはいかがでしょうか。
                      (岡本芳樹:株式会社パスコ)

〇令和5年9月号の担当は、大伴真吾さんです。

■リレーエッセイ<空間連携>
 パスコの滝沢さんよりバトンを引き継ぎましたパスコの青山です。今年はあまりの
猛暑に夏バテ気味ですが、涼を求めて夏山ハイキングを計画しております。
 山小屋でも最近はキャッシュレス化が進んでおります。これまでであれば、絶対に
携帯回線もつながらない、いわば仕事や家庭といった様々なしがらみから解放されて
いた場所でさえインターネットに接続できるようになりました。便利であり、悲しく
もありますね。これを支えているのがSpaceXの衛星インターネットサービス スター
リンクです。7月末時点で4881機の人工衛星が打ち上げられており、今後もさらに追加
していくようです。
 こういった低軌道衛星コンステレーションがGNSS分野で利用できれば、高精度な登
山道のナビゲーションにより、さらに安全に山を楽しめますね。
 ということでこの夏、暑い暑いとエアコンの聞いた部屋で過ごすのも良いですが、
ぜひ皆様も涼しい山に行かれてはいかがでしょうか
                      (青山 聖人:株式会社パスコ)

〇令和5年9月号の担当として同じくパスコの田原 修一 さんにバトンを渡します。

■空間情報関連便利グッズ/書籍の紹介 等

書籍名:「退職老人日記」「続・退職老人日記」
著 者:柳 哲雄
発行所:創風社出版
発刊日:2020年10月

 昨年7月に私の恩師の一人である柳哲雄先生が逝去されました。享年76歳。約1年
経って、先日、偲ぶ会があり、あらためて先生を思い出すこととなり、今回は先生の
業績と著書の一部を紹介することとしました。空間情報とは直接かつ強いかかわりは
無いのですが、この道に入っておられる方で、元は「海洋」をやっていたという方も
多いと存じますので、少しの時間おつきあいください。
 柳 哲雄(やなぎてつお)先生は、山口県徳山市生まれ。京都大学理学部、同大学院
地球物理学専攻を修了後、愛媛大学工学部海洋工学科助手・講師・助教授・教授を
経て、1997年から九州大学応用力学研究所教授。2008-2012年所長。海洋・沿岸海洋学
の研究者として活躍されました。
 主な著書に『風景の変遷-瀬戸内海』(創風社出版)、『海の科学―海洋学入門』、
『沿岸海洋学―海の中でものはどう動くか』、『里海論』(恒星社厚生閣)、さらに
退職後は「退職老人日記」「続・退職老人日記」(創風社出版)などあります。
 みなさんは「里海(さとうみ)」をご存じでしょうか?里山は知っているが・・・
という方が多いと思います。里海は、柳先生が提唱した概念で、「人里近くにあり、
人々がマキ拾いをしたり、キノコ採りを楽しんだりできる「里山」を海に置き換えた
考えだ」とのことで、「人手が加わることにより、生産性と生物多様性が高くなった
沿岸海域」と定義しています。里海については、環境省など行政でも施策に取り入れ、
その概念についての議論は多方面で物議を醸していますが、いずれにしても柳先生の
業績の一つです。
 さらに第一線を退いた後(退職後)には、「退職老人日記」「続・退職老人日記」を
執筆しておられます。作品紹介には、「「退屈老人」ではない、「退職老人」である。
仕事三昧の人生を歩んできた海洋学者に、すべての仕事から退く日がきた。「退職後の
日々を、私は現役の日々と変わらず、退屈することなく充実して暮らすことができる
だろうか」自らにそう問いかけつつ退職後の人生に船出した、仕事人間であった著者の
一年間の日記」とあります。まだ現役バリバリの方には早いかもしれませんが、丁度
その時期を迎えられようとしている方々には、共感できる内容です。同書の「同窓会」
と題した一節に、「楽しい思い出にひたって余生を過ごす」というセリフが引用され、
本人もそのように過ごしたいと述べ、また、書の最後に、「健康だけは気を付けよう」
と締めくくられていることが、少し残念です。
 大学の先生の役割は3つと言われています。「研究」「学外での社会貢献」「教育」
です。先生の年10篇以上の論文、多くの研究業績、海洋環境問題などの多くの訴訟で
原告(漁民)側証人としての関り、さらに多くの大学で活躍の教え子たち、先生は、
役割を全うされ、幸せな人生を過ごされたものと思います。生前のインタビューで。
「私は運が良くて自分の好きなことでメシが食えてきた。しかしそれが世のため人の
ためにどれだけ役立てられるか?これが勝負だと思う。」とのこと。先生は勝負に
勝って逝かれました。ご冥福をお祈り申し上げます。
                     (西村芳夫:株式会社日本インシーク)

〇令和5年9月号の担当は、橘 菊生さんです。

■企画委員会議事録(概要)
令和4年度 第5回「スペーシャリストの会」企画委員会(令和5年7月)議事概要
日時:令和5年7月14日(金)13:30~15:30 会場:日本測量協会会議室、Web
(1)  報告事項
① 各支部活動報告(※7月号掲載)
② 2023 年全国大会について
事務局より全国大会のプログラムについて説明し、特別講演の冒頭に趣旨説明の時間を
設けることやSPの会員に当日の会場準備、進行等の手伝いを要請する旨が述べられた。
③その他
・第49 回 技術士全国大会(11月17日~20日) 広告協賛について
 事務局より広告協賛について説明
・大会記念誌の広告料50,000円を日測協とSP会で折半。広告サイズはA4の1/2ページ。
・会場に展示ブースを出展可能である。
 日本測量協会とSPの会に関連する書籍やポスターを掲示する予定。
(2)  討議事項・要請事項
① 月刊『測量』スペーシャリストの会コーナーの執筆毎号の確認(第31弾)
② 横断的な研究会・懇談会設立について
・「最新技術の動向の調査活動研究会」について
 座長の望月氏(パスコ)から、目的や活動内容、メンバー構成等について説明。
・「測量技術者のための人財育成懇談会」について
 座長の瀬戸島会長(日測協)から、目的や活動内容、メンバー構成等について説明。
 今後、企画委員や各支部から立候補や推薦を募り、会員から参加を募る予定。
③ その他
・UAV 複合的な利活用事例集(仮)について
 事務局から、現在の執筆、校正状況について説明。
 11月9日の全国大会までには出版を予定している。
 次年度の事業費からSP会会員に1人1冊ずつ配布を予定している。
 次回の企画委員会(令和4年度第6回)は令和5年9月5日(火)開催予定
以上

■日本測量協会からのお知らせ
◇「空間情報未来会議(スペーシャリストの会全国大会)」のご案内
日時:2023年11月9日(木)09:30~17:10(予定)  
  受講方法: 会場集合型(東京ほか全国9会場)、東京(メイン会場)から
       各会場にWeb配信します。
  ※要事前申し込み(後日ご連絡します)
プログラム
 ◆9:30~10:45 令和5年度SPの会総会
 ◆11:00~12:00
  講演①:「演題未定」鹿田 正昭氏(前金沢工業大学 副学長)
  13:00~14:00  
  講演②:「演題未定」藤吉 弘亘氏(中部大学理工学部AIロボティクス学科教授)
 ◆14:10~17:10
  SPの会発表「私たちの技術とその展望」
  14:10~14:40 「タイトル未定」村木広和氏(国際航業)
  14:40~15:10 「地図と空間情報(仮)」廣瀬典和氏(ヤフー)
  15:10~15:40 「ALBの今後の展開」大鋸朋生氏(アジア航測)
  15:50~16:20 「タイトル未定」西村正三(計測リサーチコンサルタント)
  16:20~16:50 「デジタルツイン、3D都市モデルの今後の展望(仮)」
          岩崎秀司(パスコ)

◇イブニングセミナー
「海外の防災分野の現状と今後の展開」
 講師:岩崎 智治氏(国際航業株式会社/海外コンサルティング部/
           マネージメントグループ 生産管理担当部長)
 日程/場所:令和5年9月5日(火)/ 東京都、仙台市・大阪市・広島市(WEB)
 https://www.jsurvey.jp/k-honbu20230905.pdf (東京文京区)
 https://www.jsurvey.jp/k-touhoku20230905.pdf (仙台・WEB)
 https://www.jsurvey.jp/k-kansai20230905.pdf (大阪・WEB)
 https://www.jsurvey.jp/k-chugoku20230905.pdf (広島・WEB)

◇転職・退職・死亡等により、氏名・所属・連絡先(メールアドレス)の変更が
 生じたSPの会会員の方へ。
 変更後の内容をご本人または関係者の方から日本測量協会にお知らせください。
 SPの会MM誌の配信やお知らせ等の連絡に支障が出ないようお願いいたします。

 届け出様式は以下の場所にあります。
 https://www.jsurvey.jp/gissv/youshiki.htm
 様式2 空間情報総括監理技術者 登録事項変更届出

 メールまたはFAXまたは郵送でお知らせください。
 連絡先は以下の通りです。
 メール:geoinfor@jsurvey.jp
 FAX : 03-5684-3366
 〒112-0002 東京都文京区小石川1-5-1 パークコート文京小石川 ザ タワー 5 階
 公益社団法人日本測量協会 測量継続教育センター 測量技術教育部 宛

◇空間情報技術事例報告集の報告文募集
☆応募締め切り:随時(投稿報告文が到着次第、速やかに査読)
☆掲載可となれば、日本測量協会ホームページ上の[測量情報館]に掲載。
 技術事例報告集では、新規性や独創性という視点とは別に、(1)創意工夫性(何らかの
 創意工夫による業務改善への貢献など)(2)実用性(実務への応用性や実際に業務等に
 適用していく際の実用性など)(3)信頼性(技術事例報告の内容やその結果に対して、
 信頼性や実証性など)(4)今後の展開性(空間情報技術領域の中で、他技術領域への新
 たな展開や応用の可能性、他技術との融合性や融合利用の可能性などを含めて今後の
 展開性)という視点から査読し、技術事例報告として採用致します。
 奮って、投稿ください。
 詳しくは、https://jsurvey.jp/kuukanhoukoku.pdf
                           (遠藤拓郎:日本測量協会)

■編集後記
 福島第一原発の汚染水を処理した水の海洋放出計画を巡り、原子力規制委員会が7月
7日、放出設備の検査適合を示す終了証を東電に交付しました。翌7月8日の朝刊は、
推進派・反対派それぞれの書きぶりでこれを伝えています。
 推進派の一紙、読売新聞では、あの韓国政府が処理水の影響はないとの見解を示した
ことを報じ、さらに国際原子力機構(IAEA)などの国際基準にも合致することを、
淡々と述べています。反対派の一紙、東京新聞では、2015年に政府と東電が、福島県
漁連に対し、「関係者の理解なしにいかなる処分もしない」と文書で約束したことを
挙げ、一方で、今年の夏ごろに放出を開始するという「放出ありき」の初期方針に
変わりがないことを首相が強調したと伝えています。
 それぞれ全然違うところで主張を繰り返しているばかり。科学的な事実はどこに
あるのでしょうか。調べてみると。除染設備、多核種除去設備の2段階処理により、
セシウム、ストロンチウムなど62種の放射性物質はほぼ完全に除去されるが、唯一、
水素の同位元素であるトリチウムは除去できずにそのまま残る、ただしトリチウムは
自然界にも存在するので同程度まで薄めることで影響はなくなる、・・・との理解が
できます。それならば、海底トンネルを作って沖合に放出、などという姑息な手段を
使わずに、必要な程度まで薄めて、そのまま海辺から放出すればいいのに。何か他に
あるんでしょうか。この、はっきりしない状況が、風評を生むのだと思います。
 「丁寧に説明」という活字が見られるうちは、何の説明もなされていない。そして、
このような無駄なやり取りに紛れて、忘れてはなりません、溶融した核燃料(デブリ)は、
建屋の中で12年間、何の手もつけられていないままだということを。
                    (編集委員長 : 大山容一(国際航業㈱))

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