スペーシャリスト メールマガジン バックナンバー

タイトル:スペーシャリスト会報 Vol.204 発行日時:2023年12月15日

┏ Magazine from Spatialist Club ━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
2023年12月15日(金)
◇ スペーシャリスト メールマガジン ◇  vol.204
                    発行元:スペーシャリストMM事務局
                    https://spatialist.sakura.ne.jp/

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*ニュースラウンジ        中舎 哉
*リレーエッセイ<空間連携>   上田征香
*空間情報関連/書籍紹介     秋山幸秀
*企画委員会議事録(抄)      遠藤拓郎
*日本測量協会からのお知らせ   遠藤拓郎
*編集後記            大山容一

■ニュースラウンジ
 今年も早いもので12月を迎え、これから年度末納品に向け忙しくなる方も多いの
ではと思います。私が本年2023年最後の担当となりましたので、今年を振り返って
みたいと思います。今年のニュースラウンジの記事を見直しますと、やはりAIの話
題が多く登場しています。また、最近の朝日新聞の1面や天声人語等に書かれている
記事が、立て続けにAIの話題です。
 一方、我々SP会メンバーの関係では、11月9日に令和5年度「空間情報未来会議
(全国大会)」が開催され、盛会のうちに終了しました。全国大会のテーマは「私たちの
技術とその展望」で、基調講演者のお一人、中部大学の藤吉先生がAIについて
ご講演されました。藤吉先生の人選は企画委員会において、私の候補案が採用された
結果です。藤吉先生とは、数年前から弊社の若手メンバーがAIの基礎講義を受講
させて頂いている関係です。今回の講演を拝聴しますと、受講した基礎講座は、機械
学習やCNNの学習、画像認識で、第3次AIブームの内容であったことが分かりま
した。講演では、次の新しいトレンドの話で、大規模言語モデルのブレークスルーが
ChatGPTだとかアテンションマップの可視化によりAIの説得力が増しそうと
のことで、AIの第4次ブームに突入したことを思い知らされました。
 このAI技術について、測量技術者の立場で見ると、今後どのように取組み、如何
にして測量に組み込むかが重要であることは、議論を待たないと思います。先日、
測技協の意見交換会で地理院石山様より「次期基本測量長期計画の策定状況と最近の
動向と話題」というテーマで講演を聞く機会がありました。非常に盛りだくさんで
あり、すべてはご紹介できませんが、特に測量長期計画の基本方針の中で「社会の
デジタル化の基盤的なデータの整備に関する取り組み」や「地図情報の鮮度向上と
3次元化の推進に関する取組」等に重点を置き、DX化や効率化を図る手段として、
新技術やAIを使うことが提言されていました。
 今後、計測機器はますます多様化し、オペレーションが自動化されて、誰でも
データを計測・蓄積することが可能となるでしょう。しかし、由来が異なる複数の
取得データを統合的に調整・管理等をしなければ、データソースや精度、誤差が担保
されないまま流通して混乱が起きることはあり得ると考えます。
 また、次期基本測量長期計画で研究開発及び人材育成についても触れられました。
技術者の育成として、新技術を活用できる知識と技能を有し精度管理を行える人材を
育成するために、産学官の主体がおこなうリスキリング支援の取り組みへの協力、
資格制度の改善があります。そこで、先ほど述べた「由来が異なる複数の取得データ
を、統合的に調整・管理する等の取り組み」について、測量技術者側からの考え方を
検討し、提言することが、今後の我々SPメンバーの課題だと感じました。皆様も
ご検討して頂ければ幸いです。
                      (中舎 哉:中日本航空株式会社)

〇令和6年1月号の担当は、千葉 一博さんです。

■リレーエッセイ<空間連携>
 アジア航測(株)の谷口さんよりバトンを引き継ぎました、アジア航測(株)の
上田と申します。今回、リレーエッセイのバトンを受け取って何を書くか迷ったの
ですが、子供に伝える空間情報について書きたいと思います。
 私は防災に関連する業務に取り組んでいるため、どうしても防災について考えて
しまいます。今までは「学校にいるときに地震が起きたら、そのまま学校にいてね」
ということだけを言い聞かせてきましたが、最近は子供が大きくなってきたので、
「避難所とは」やハザードマップの見方、考え方を伝えるようになりました。また、
公園にいるとき、家にいるとき、学校にいるとき等様々なシチュエーションで地震が
起きたらどうするかを一緒に考えるようにしています。
 洪水については、基盤地図情報の5mDEMをダウンロードして標高段彩図を作って
ハザードマップと一緒に見せたりしています。今度、作った図面を持って子供と活用
まち歩きをしたいなと思いますが、最近は地図アプリがたくさんあるので、アプリを
するのもいいかもしれないですね。
 防災は、生きる力です。共働きで常に子供の近くにいるとは限らないので、自分の
力で強く生き残ってほしいなと願いつつ、次の白井直樹さんにバトンを渡したいと思
います。
                      (上田征香:アジア航測株式会社)

〇令和6年1月号の担当は、朝日航洋株式会社の白井直樹さんです。

■空間情報関連便利グッズ/書籍の紹介 等

書籍名:「宇宙の歩き方・太陽系トラベルブック」
著 者:鈴木喜生
編集発行人:板尾昌昭
発行所:株式会社G.B.
発刊日:2022年12月28日
定 価:1,800円

 空間情報の世界で宇宙利用といえば、衛星をプラットフォームとした画像の撮影や
地球観測、電波の位相から位置を正確に取得するGNSSなど測位衛星が主体と
なっています。
紹介する書籍は、ここ数年で始まった無重量状態の体験、富豪らによるISSへの
乗り入れツアーのさらに先を行き、宇宙旅行は当たり前になっているというスタン
スで、地球をはじめ各惑星の見どころを紹介しているトラベルブックです。月など
の衛星や、小惑星、准惑星、彗星や各惑星などの画像も豊富で、現在の宇宙開発状
態もうかがえます。
何十年か後には、体験談付きで改訂版が出版される可能性のある山や景勝地、まだ
人類が足を踏み入れたことがない各惑星の見どころなどを、まさに未来を先取りし
てツアーを組んで最新の衛星画像などを用いて解説しています。
特に火星においては無人探査機が数多く配備されていて、太陽電池で充電して観測
飛行をするヘリコプター画像、一見すると青空から地球の荒野でも撮影しているの
ではないかと見紛うばかりの風景写真も掲載されています。
近い将来、別天体のデータを整備し、GIS、VRやARなどのアプリで活用しているで
あろう空間情報技術者はもちろん、かつての宇宙少年・少女の皆様にとっても
存外楽しめる書籍です。
                      (秋山幸秀:朝日航洋株式会社)

〇令和6年1月号の担当は、鵜飼尚弘さんです。

■企画委員会議事録(抄)
令和5年度 第1回「スペーシャリストの会」企画委員会(令和5年11月)議事概要
日時:令和5年11月30日(木)13:30~15:30 場所:日本測量協会第1会議室、WEB
(1)報告事項
①新役員、新委員紹介
 早川和夫会長(テイコク)、岡本芳樹副会長(パスコ)、白井直樹副会長(朝日航洋)、
 鵜飼尚弘副会長(快適空間FC)、代表委員 小松崎弘道氏(パスコ)、
 小林雅弘氏(アジア航測)挨拶 
②各支部活動報告(※11月号掲載)
③空間情報未来会議(SPの会全国大会)開催報告
 10会場で193名が出席、建設通信新聞(11/10)、建設工業新聞(11/16)に同会議の
 記事、建通新聞中部版の1面に早川新会長の記事が掲載。
④技術士全国大会 開催報告
 会場には600人程度が集まった。展示ブースへの来場者は多くはなかった。来場者に
 聞いてみたところ、測量士の有資格者は少なかった。引き続きSPの会の広報活動に
 努める。
⑤横断的な研究会・懇談会公募開始
 12月22日まで継続して副座長とメンバーを募集中(希望者は事務局まで)。
 活動は年明けから。

(2)討議事項・要請事項
①月刊「測量」スペーシャリストの会コーナーの執筆テーマ案
 第33弾は「連携・協業」第34弾以降のテーマ案については、今回の候補案も含めて、
 次回以降検討。
②月刊「測量」スペーシャリストの会コーナーの執筆毎号の確認(第33弾)
 第33弾の執筆者と仮タイトルを次回までに決める。
③メールマガジン当番表、メルマガファイル添付
 新役員、支部長を新たに加えたSPのメルマガ執筆順番表を承認。
 新入会員紹介と併せて、令和6年1月号から掲載。
 試験的にメルマガに画像などのファイルを添付して配信する(令和6年1月号以降)。
④令和6年度空間情報未来会議
 大会実行委員長に西岡陽一氏(国際航業)を指名。今後は、委員長を中心に大会実
 行委員会(実行委員長、会長、副会長、有志)を結成し、企画・計画し、企画委員
 会の承認を得る。
⑤その他「キャリア相談室(仮称)」、「土木学会との共催」
 継続審議。
 次回の企画委員会(令和5年度第2回)は令和6年1月19日(金)開催予定
 以上

■日本測量協会からのお知らせ
◇「実務者向けセミナー ~一歩進んだUAV利活用事例~ 」受付開始
 日時:令和6年2月6日(火)(東京:品川フロントビル会議室)
 受講方法:東京・会場対面、オンライン・リアルタイム配信
 参加方法:事前登録制(申込締切1月19日)
 参加費:無料
 詳細については、https://www.jsurvey.jp/k-honbu20240206.pdf

◇令和5年度「空間情報総括監理技術者の認定登録更新」ご案内について
 今年度更新対象の方々には、10月2日にご案内をお送りしております。
 事務処理の都合上、更新手続きが可能な方(CPDポイントを満たしている方)
 につきましては、今月中のお手続きをお願いいたします。
 CPDポイントが更新の基準を満たしていない方につきましては、
 令和6年3月29日までに、CPDポイントの登録および更新手続きをお願いいたします。

◇公開講座
「水路測量の変遷と最近の調査」
 講師:森 弘和 氏 (海上保安庁 海洋情報部)
 日程/場所:令和6年2月7日(水)/東京都・仙台市・大阪市(WEB)
 https://www.jsurvey.jp/k-honbu20240207.pdf (東京文京区)
 https://www.jsurvey.jp/k-touhoku20240207.pdf (仙台・WEB)
 https://www.jsurvey.jp/k-kansai20240207.pdf (大阪・WEB)
 
◇転職・退職・死亡等により、氏名・所属・連絡先(メールアドレス)の変更が
 生じたSPの会会員の方へ。
 変更後の内容をご本人または関係者の方から日本測量協会にお知らせください。
 SPの会MM誌の配信やお知らせ等の連絡に支障が出ないようお願いいたします。

 届け出様式は以下の場所にあります。
 https://www.jsurvey.jp/gissv/youshiki.htm
 様式2 空間情報総括監理技術者 登録事項変更届出

 メールまたはFAXまたは郵送でお知らせください。
 連絡先は以下の通りです。
 メール:geoinfor@jsurvey.jp
 FAX : 03-5684-3366
 〒112-0002 東京都文京区小石川1-5-1 パークコート文京小石川 ザ タワー 5 階
 公益社団法人日本測量協会 測量継続教育センター 測量技術教育部 宛

◇空間情報技術事例報告集の報告文募集
☆応募締め切り:随時(投稿報告文が到着次第、速やかに査読)
☆掲載可となれば、日本測量協会ホームページ上の[測量情報館]に掲載。
 技術事例報告集では、新規性や独創性という視点とは別に、(1)創意工夫性(何らか
 の創意工夫による業務改善への貢献など)(2)実用性(実務への応用性や実際に業
 務等に適用していく際の実用性など)(3)信頼性(技術事例報告の内容やその結果に
 対して、信頼性や実証性など)(4)今後の展開性(空間情報技術領域の中で、他技術
 領域への新たな展開や応用の可能性、他技術との融合性や融合利用の可能性などを
 含めて今後の展開性)という視点から査読し、技術事例報告として採用致します。
 奮って、投稿ください。
 詳しくは、https://jsurvey.jp/kuukanhoukoku.pdf

■刊行案内        
*** 新刊案内 ***(※会員は10%割引でご購入いただけます)

 『実務者向け UAVを主体とした複合的な利活用事例集(スペーシャリストの会編)』
 (令和5年11月2日刊行)
 定価2,420円(税込)//会員価格2,170円(税込)
 詳しくは、 https://www.jsurvey.jp/2.htm
                       (遠藤拓郎:日本測量協会)

■編集後記
 先月触れた気象予報士にとっても「3次元」の発想は重要です。ふだん見かける
「(地上)天気図」は標高0mでの平面的な気圧配置。これに対し、広く大気圏を
立体的に把握でき、情報解析に重要な役割を演じるのが「高層天気図」です。
気象庁から12時間ごとにネット配信され、主として次の4種類があり、特定の気圧
値となる高度を、「等高度線」で表現しています。「等高線」に似た概念です。
★①850hPa高層天気図 / ★②700hPa高層天気図
 ①は上空1500m、②は3000m前後の空域で、等高度線が実線、等温線が破線で描か
れ、主要地点での風向風力・温度・湿数(湿球乾球の差)が記されています。湿数3
以下で結露するので、図上に網掛けされ雨の地域を示しています。雨雲(乱層雲)が
1500mの高度に分布することに対応します。また入道雲(積乱雲)等は3000m以上に
も達するので、①②ともに網掛けがある時はより激しい雨が降っています。風は
等高度線と平行に吹くので、網掛や等温線と合わせ、「湿った空気が流れ込み」
「冷たい空気が流れ込み」など、お天気キャスターが語る意味が理解できます。
★③500hPa高層天気図 / ★④300hPa高層天気図
 ③はうろこ雲(高積雲)等の上空5000m前後、④はいわし雲(巻積雲)等の9000m前後
の空域です。これらの空域では年中、偏西風が吹いています。③では100~150km/h、
④では200~300km/hに達する突風が吹いています。しばしば南北に蛇行することも
あり、日本周辺の天気の複雑さを物語っています。
 天気予報で私たちが知りたいのは、究極には「雨が降るかどうか」ですよね。
①~④を3次元空間の中で想像できれば、ある程度自分で天気予報ができるように
なります。半日後には答え合わせができるので、とても便利な、頭の体操に
なっています。
                (編集委員長 : 大山容一(国際航業㈱))

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