スペーシャリスト メールマガジン バックナンバー

タイトル:スペーシャリスト会報 Vol.212 発行日時:2024年8月15日


┏ Magazine from Spatialist Club ━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
2024(R6)年8月15日(木)
◇ スペーシャリスト メールマガジン ◇  vol.212
                   発行元:スペーシャリストMM事務局
                   https://spatialist.sakura.ne.jp

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*ニュースラウンジ              越智貴政
*リレーエッセイ<空間連携>         戸口伸二
*空間情報関連/書籍紹介           中舎哉
*企画委員会議事録(抄)              
*測量技術者のための人財育成懇談会(令和6年7月)議事録(抄)
*日本測量協会・SPの会 事務局からのお知らせ 遠藤拓郎
*編集後記                  大山容一

■ニュースラウンジ
 SP会中四国支部長の越智です。今回は、夏の暑さや富士山登山、そして地域のレジリ
エンスについてです。
 まずは、この夏の暑さについてです。7月と8月は全国的に記録的な暑さが続いてい
ます。特に、気象庁が統計を取り始めて以来、7月の全国平均気温は最も高く、広島県
安芸太田町加計では8月3日に39.4度を記録しました。これは、中国地方での観測史上
最高の気温です。暦の上では8月7日から立秋を迎えたものの、暑さは続く見込みです。
熱中症には厳重な警戒が求められますので、熱中症警戒アラートを確認しつつ、しっ
かりと猛暑対策を実施しましょう。私たちの生活も、地球温暖化の影響で高温が常態
化しつつありますね。
 そんな中、少し涼しくなる話題をお届けします。先日、富士山に登ってきました。
標高3000メートルを超えるエリアは涼しく、眺めもまた美しく、心地よい空間でした。
自然の魅力や登山による達成感をたっぷり味わうことができ、ぜひ標高3776メートル
からの壮大な景色を皆さんにも体感していただきたいです。私は21年ぶりに山頂に登
りましたが、三角点や電子基準点を見ると、心が躍りますよ。
 最後に、地域のレジリエンスについてです。この記事を書いている最中、8月8日の
夕方にスマホから緊急地震速報が鳴り響き、宮崎で震度6弱の地震が発生しました。
南海トラフに関連する「巨大地震注意」の発表もあり、私たちの地域が自然災害に
さらされるリスクは常に存在しています。このような状況下で、地震や豪雨などの
自然災害、少子高齢化社会、生態系の劣化に対して持続可能な社会システムを構築
するためには、レジリエンス?つまり、回復力やしなやかさ?が重要です。これは
「人が困難から立ち直る力」を指し、人、組織、経済、生態系など、様々な分野にお
ける共通のキーワードとなります。私たち測量や地理空間情報の技術者は、空間情報
技術を駆使して地域のレジリエンス向上に貢献する使命があると感じています。
 以上、暑さや自然、そして地域の未来についてでした。まだまだ厳しい暑さが続き
ますが、共に気をつけていきましょう。どうぞよろしくお願いいたします。
      (株式会社荒谷建設コンサルタント 越智貴政)

〇令和6年9月号 の担当は、岡本芳樹さんです。

■リレーエッセイ<空間連携>
 同じ会社の吉見晋吾さんよりバトンを引き継いだエイテックの戸口伸二です。
 私は主に空中写真測量や航空レーザ測量を中心とした業務に携わっています。1995
年に新社会人としてこの業界に足を踏み入れてから何度か転職しましたが、携わって
いる分野はほとんど変わっていません。もちろんアナログからデジタルへの大変革が
あり、写真撮影やレーザ計測のプラットホームの選択肢が増え、二次元が三次元に
なり、誰もが手軽にPCやスマホで地図を閲覧できるようになり・・・と数え上げれば
キリがないほど変化はあります。逆に昔と同じものを探す方が難しいぐらいです。
しかし相変わらず空間情報に関連する作業をしています。
 これは変化しているのかしていないのか、どちらなのでしょうか。答えは人それぞれ
だと思います。ただ単に手法が変わっただけ、ツールが変わっただけと考えれば大きな
変化ではないでしょうし、手法が変わればそもそも別物だという考え方もあります。
 しかし作り手側の意識はどうでもいいのかもしれません。我々が目指さなくてはなら
ないのは、ユーザーにとって使いやすい空間情報です。見せ方は30年前に比べれば大き
く進歩しています。昔は使いこなすのにやや専門性が要求された空間情報も、今では
誰でも手軽に扱えて見て分かりやすいものであることが必要です。
 そんなことを考えながら、日々の業務に追われています。一番の変化が必要なのは
自身の働き方かもしれないと思いつつ、次は同じ会社の木村光晴さんにバトンを渡し
たいと思います。
                      (戸口伸二:株式会社エイテック)

〇令和6年9月号 の担当は、木村光晴さんです。

■空間情報関連便利グッズ/書籍の紹介 等

  書籍名:Why型思考トレーニング
      自分で考える力が飛躍的にアップする37問
  著 者:細谷 功
  発行所:株式会社PHP研究所
  定 価:1,030円税別
 
 本書は2010年の8月に初版が刊行された『「Why型思考」が仕事を変える』の増補改
訂版である。14年近い月日を経ても、初版のキーメッセージである「自ら考えること
の重要性が増していること」は変わらないが、ChatGPTに代表される生成AIにより
「考えなくても何とかなる→答えを出してくれる」という状況が発生する現在、本書
の重要性はむしろ増している。
 「考えること」「頭を使うこと」を具体的に示すために本書では、「考えていない
こと」「頭を使っていないこと」との徹底的な比較によって「考えること」「頭を
使うこと」の特徴をあぶりだしている。そのためのものの考え方を「Why型思考」と
名付け、その対極としての思考停止型を「What型思考」(実質は思考停止状態)と
名付け、その比較によってイメージを伝えている。様々なシチュエーションにおいて、
この二つの行動パターンを対比していくことで、読者は身近にフィットする出来事
として理解しやすい。私がフィットしたいくつかの例を挙げると、①WhyなきWhat病
「オレオレプレゼン」:目的がないプレゼンで「聞き手不在のプレゼン」、②提案
に生かすWhy型思考「代案の出し方の松竹梅」:一つの案に満足するのではなく次々
とオプションや代案を出していくこと、等があり、楽しく勉強になりました。
 皆様は「考えること」「頭を使うこと」をメインで仕事をされていると思います
ので、参考に一度読まれると面白いと思います。
                      (中舎 哉:中日本航空株式会社)

○令和6年9月号の担当は、千葉一博さんです。

■企画委員会 議事録(抄)
令和5年度 第5回「スペーシャリストの会」企画委員会(令和6年7月)議事録
日時:令和6年7月8日(月)15:00~17:00 場所:日本測量協会 第1会議室、WEB

(1)報告事項
① 各支部活動報告(※7月号掲載)
② 第3回人財育成懇談会議事概要(※6月号掲載)
③ 第2回、第3回最新技術動向の調査研究会議事概要(※7月号掲載)
④ 2024年イノベーション大会 SPの会セッション報告
・SPの会セッションに携わった方々に感謝している。
・視聴された方(会場・オンデマンド問わず)で、改善点等気付いたことがあれば、
 今後の参考のため事務局までメール送付する。
・次年度開催に向けて、前年度の12月頃から、日測協とSPの会が担当するテーマ
 などを事前調整して、早めの準備を意識したい。
⑤ SPの会が主催する野外活動が伴う講習会の保険について
 事前に共催者の日測協各支部と協議すること。

(2)討議事項・要請事項
① 月刊「測量」スペーシャリストの会コーナーの執筆毎号の確認(第33弾)
② 2024年空間情報未来会議について
・特別講演者、支部発表者、プログラム構成について確定した。
 9月頃SPの会会員に先行予約開始(予定)
 各会場において、SPの会会員が積極的に、受講者と名刺交換等に努めてほしい。 
 メイン会場(大阪)では終了後、懇親会を予定。
③ HP作成について
 今後、SPの会内に広報活動を行うための部会を立ち上げることを検討。

 次回の企画委員会は、令和6年9月19日(木)13:30~15:30

■第4回 測量技術者のための人財育成懇談会(2024年7月)議事録(抄)
日時:2024年7月29日(月)15:00~17:00 場所:日本測量協会 第2会議室、WEB
1.今回の会議内容
 「世代層別の課題と役割・期待」がテーマで、第2クール(第4回~第7回)の計4回で、
 本テーマを討議し取りまとめる。今回は事前に作成した各自のマイノートについて
 発表・討議し、第5回以降、懇談会の進展とともにマイノートを拡充させ、第7回終了
 後、総括し、懇談会の成果として取りまとめたい。
 オブザーバー土方氏より、「人財育成」というテーマについて、①具体的な方策につ
 いて(幅広い意見に耳を傾ける)②技術者にコンピテンシーが求められる。③リベラ
 ル・アーツ(一般教養)を備えることの重要性という3つ提言があった。もちろん技
 術者である以上、技術力の向上は重要だが、それだけではない。
2.各自のマイノートについて説明と議論(詳細は各自のマイノート参照)
 今回は、9名が発表し、内容について討議した。
3.次回(第5回)の懇談会に向けてマイノートを記載する上での注意事項
 3-1.今回各自で記載したメモを文章化する。自分のメモだけでなく他の意見も取り入
 れてもよい。
 3-2.「①本来の役割・期待」、「②現状の課題」について、細分化した項目を事務局
  から送付する(エクセルデータ)。各自のマイノートに追加して、次回までに記
 入する。
4.次回予定 2024年9月27日(金)15:00~17:00 
   次回テーマ:世代層別の課題と役割・期待②

■日本測量協会・SPの会事務局からのお知らせ.
◇「2024年空間情報未来会議(スペーシャリストの会全国大会)」のご案内
日時:2024年10月31日(木)10:00~17:00(予定)  
  受講方法: 会場集合型(大阪ほか全国9会場)、大阪(メイン会場)から各会場に
  Web配信します。
  ※要事前申し込み(後日ご連絡します)
プログラム
 ◆10:00~10:45 令和6年度SPの会総会
 ◆11:00~12:00
  講演①:「演題未定」(無人探査機「SLIM」の月面着陸に関する講演を予定)
      福田 盛介氏(宇宙科学研究所宇宙機応用工学研究系教授)
  13:00~14:00  
  講演②:「津波災害デジタルツインの構築に向けて」
      越村 俊一氏(東北大学災害科学国際研究所 副所長)
 ◆14:10~16:50
  SPの会発表「チャレンジ!未来のために」
  14:10~14:40 「(仮)加速する技術革新-最新技術の動向と課題-」
         徳田 義孝氏(国土開発センター)
  14:40~15:10 「変化する技術や職務への対応と人材育成について」
         大石 哲氏(サン・ジオテック)
  15:20~16:50 各支部発表&パネルディスカッション
         コーディネーター:鵜飼 尚弘氏 (快適空間FC)
         パネリスト:芝 隆氏 (国際航業)、花上 康一氏(エネクト)
         真壁 勝彦氏(パスコ)、徳田 義孝氏(国土開発センター)、
         加賀谷 仁秀氏(GEOソリューションズ)、荒木 義則氏(中電
         技術コンサルタント)、古川 晃正氏(エクセルコンサルタント)
 ◆16:50~17:00 閉会の挨拶

◇「働きながら博士号取得をめざす人のための相談コーナー」
 測量・地理空間情報技術者で将来、学位(博士号)を取得したいと考えている人
 (会員以外でも可)などを対象に、博士号取得に向けて本格的な始動をするまでに
 準備すべきことや取得までの プロセス、取得方法(課程博士か論文博士か)等々に
 ついて、個別に相談できるコーナーを本年4月より設置しました。アドバイザーは
 SPの会最高顧問の瀬戸島政博氏が担当します。
  相談を希望される場合は、下記【メール記載内容】を【送付先】まで、メールに
 てご連絡をお願いいたします。
 【メール記載内容】件名:「SPの会:博士号取得のための相談希望」
  本文: ①氏名(ふりがな)、②勤務先、③電話番号、④電子メールアドレス、
     ⑤相談したい内容について
 【送付先】 spatialist@jsurvey.jp

◇令和5年度(2023年10月~2024年9月) 会費納付のお願い
 令和5年度の会費納付がお済みでない方は、会費納付にご協力ください。
 未納者の方には、8月14日に事務局からメールにてご連絡差し上げております。
 年間3,000円です。

◇転職・退職・死亡等により、氏名・所属・連絡先(メールアドレス)の変更が
生じたSPの会会員の方へ。
 変更後の内容をご本人または関係者の方から日本測量協会にお知らせください。
 SPの会MM誌の配信やお知らせ等の連絡に支障が出ないようお願いいたします。

 届け出様式は以下の場所にあります。
 https://www.jsurvey.jp/gissv/youshiki.htm
 様式2 空間情報総括監理技術者 登録事項変更届出

 メールまたはFAXまたは郵送でお知らせください。
 連絡先は以下の通りです。
 メール:geoinfor@jsurvey.jp
 FAX : 03-5684-3366
 〒112-0002 東京都文京区小石川1-5-1 パークコート文京小石川 ザ タワー 5 階
 公益社団法人日本測量協会 測量継続教育センター 測量技術教育部 宛

◇空間情報技術事例報告集の報告文募集
☆応募締め切り:随時(投稿報告文が到着次第、速やかに査読)
☆掲載可となれば、日本測量協会ホームページ上の[測量情報館]に掲載。
 技術事例報告集では、新規性や独創性という視点とは別に、
(1)創意工夫性(何らかの 創意工夫による業務改善への貢献など)
(2)実用性(実務への応用性や実際に業務等に 適用していく際の実用性など)
(3)信頼性(技術事例報告の内容やその結果に対して、信頼性や実証性など)
(4)今後の展開性(空間情報技術領域の中で、他技術領域への新たな展開や応用
 の可能性、他技術との融合性や融合利用の可能性などを含めて今後の展開性)
という視点から査読し、技術事例報告として採用致します。奮って、投稿ください。
 詳しくは、https://jsurvey.jp/kuukanhoukoku.pdf

■刊行案内        
 *** 新刊案内 ***(※会員は10%割引でご購入いただけます)
 『公共測量 作業規程の準則(令和5年3月31日改正版) 解説と運用(基準点測量
 編、応用測量編)』(令和6年4月29日刊行)
 定価4,400円(税込) //会員価格3,960円(税込)
 詳しくは、https://www.jsurvey.jp/2.htm
 (遠藤拓郎:日本測量協会)

■編集後記
 Digital Transformation を DXと略す、私には当初から違和感がありました。私だ
けかと思っていたら、とある先輩も疑問に感じていたらしく、英語文献を片っ端から調
べたそうで、Digital Transformation は無数に出てくるのに、DXは皆無だと!
 
 Transformation の trans には「向こう側へ」というラテン語の原義があります。
向こう側へ「越えていく」、越えられるモノとの関係から「交差する」、一線を越えて
状況が変わるから「変化する」、、trans + form 形を変える、と語義は連想と類推で
派生していきます。translate, transmission, transport, transit, transgender,,,
豊かな造語力です。
 trans=交差する の意味合いからこれをXの文字で表す習慣が英語圏にはある、など
と出ていましたが、このネット情報は、嘘だ!と直感しました。欧米のキリスト教社会
はXmas = Christmas。Jesus Christ との音の類似性と、十字架の形。神聖な文字です。
 一方でDXを思い起こすと、「DXアンテナ」という遠距離の電波をとらえる高性能の
アンテナがあります。また「デラックス」(deluxe、豪華・贅沢 cf. luxury )を
連想させます。こんな型番や記号、目にするような気がしませんか。
 そしてXは未知数x。窒素酸化物NOx: NO,NO2,というように使われます。GIS(Geo-
graphic Information System)という語が登場したころ、Systemの解釈に苦慮した末に、
GIまでで止めたり、GIx と夢を持たせた提案も登場したことを覚えておられるでしょう。

 このように英語情報には全く出てこないこと、キリスト教徒には決してなしえない
所業であることを踏まえると、ちょっと英語の得意な人たちによる、ラテン語の原義
からXをこじつけて、なんか豪華っぽくて、未知数的な、ちょっと夢のありそうな、
よくある「和製英語」のひとつであると、私は結論づけました。日本製だからこその
流通力でしょうか。そうとも知らずに。仕事で英語を使う方は、使う場面に気をつけ
た方が良いでしょう。
                (編集委員長 : 大山容一(国際航業㈱))

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