スペーシャリスト メールマガジン バックナンバー

タイトル:スペーシャリスト会報 Vol.218 発行日時:2025年2月17日


┏ Magazine from Spatialist Club ━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
2025(R7)年2月17日(月)
◇ スペーシャリスト メールマガジン ◇  vol.218
                   発行元:スペーシャリストMM事務局
                   https://spatialist.sakura.ne.jp

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*ニュースラウンジ              山田秀之
*リレーエッセイ<空間連携>         鈴田裕三
*新入会員のページ              猿谷享子、平野友紀
*空間情報関連/書籍紹介           小林雅弘
*企画委員会 議事録(抄)
*最新技術動向の調査活動研究会 議事録抄 
*日本測量協会・SPの会 事務局からのお知らせ  遠藤拓郎
*編集後記                  近藤弘崇

■ニュースラウンジ
最近、トラックやバスの自動運転に関するニュースが多いですね。
バスの自動運転は全国各地で実証事件が盛んに行われています。最近ではレベル4の実証
実験も始まっており、将来的には完全な無人運転を目指すものとされています。
自動運転の報道は「運転手不足の解消のため自動運転を」という論調です。しかし、本来、
自動運転は無人運転とは限らないので不正確な表現です。最近ではマイカーの運転支援機
能が充実していることからもわかるとおり、自動運転は必ずしも無人運転ではありません。
都営地下鉄大江戸線も運転手は乗務していますが、発進、加速、減速、停車などすべて自
動運転なのと同じですね。
ゆりかもめのように集中制御による無人運転の事例もありますが、専用線ならまだしも、
バスのような公道を走行する場合に完全な無人運転はかなりハードルが高いと感じます。
アメリカなど無人運転タクシーも運用を始めていますが、トラブルが多いという報道もあ
ります。
無人はともかく、自動運転だけで考えても、積雪路や大雨の路面で同じような動きが可能
なのか(積雪していたら白線は道路縁の認知は無理ですよね)、緊急自動車に道を譲ると
か、道路工事誘導員の指示に従うことができるのか、標識の誤認識など、解決すべき課題
は多いと思います。ましてや無人だとなおさらです。
話はかわって、地理空間情報におけるAIについて。画像処理、地物の抽出、画像解析にAI
を活用、変化箇所の抽出、地図作成の自動化、など研究は進んでいます。これに関連して
耳にすることが多いのですが、「ボタン一つで地図作成が可能か」という議論があります。
無人で勝手に地図ができ、地図作成の人員削減になるというなら、バスに例えると無人運
転でしょうか。
地理空間情報におけるAIは無人運転を目指すのでしょうか。そうではなく、人の作業を支
援するAIがピンとくるのではないかと思います。人手のかかる作業を自動化して効率化、
とか、人間の判断を補助してブレをなくすことにより品質向上、といったようなことを目
的として取り組んでいくべきなのかな、と感じています。
                        (山田秀之:アジア航測株式会社)

〇令和7年3月号の担当は、山下智さんです。

■リレーエッセイ<空間連携>
アジア航測の手塚国夫さんよりバトンを引き継いだ、朝日航洋の鈴田です。

~我が家の柿の木から学んだデータ解析に関すること~
柿には甘柿と渋柿があることは良く知られていますが、同じ木に甘柿と渋柿が同時になる
ことがあるのをご存知でしょうか?
我が家の柿の木は甘柿の代表格の富有柿で、苗木を植えて数年後から実がなり、多い年は
100個近くの収穫があります。完熟した柿を青空の下でジュルっと食すのは至福の時ですが、
ある日突然柿の渋みに襲われる事件が発生しました。そうかと思うと翌年のある時は普通
に甘柿がとれたりして、渋柿がいつどこでどのように発生するのかさっぱりわからず、
全く予測不能な事態に陥りました。
しばらくして意を決してインターネットで調べると、甘柿と渋柿について多くの情報が
ありました。柿の渋はタンニンによるもので、水溶性のため口の中で溶けて渋みを感じる
そうです。甘柿は突然変異でタンニンが不溶化したため渋みを感じないとのこと。そして
いろいろ調べた結果、甘柿でも乱雑な剪定をすると一部の枝で(接ぎ木の原木である)
渋柿に先祖返りする事例があることを知り、諸々の条件から我が家の渋柿事件の原因が
これだと確信しました。
さらに、甘柿は平たく、渋柿は紡錘形のため見た目で区別できるとの情報も。言われてみ
れば確かに形の違いがあり、この方法で甘柿をほぼ100%選別して食べることができました。
チコちゃんがいたら「ボーっと生きてんじゃねーよ」って叱られそうな話ですが。一方、
渋柿の方は妻が干し柿作りにトライし、やや硬いけれど渋みが完全に抜けて、こちらも
おいしく食べることができました。
考えてみれば、我々の扱うデータも何か異常値が発生した際、原因を突き止め、ノイズを
予め除去した上で評価することが重要であると思います。物事の本質をとらえ、各々の
特性に応じた対処をすることの重要性を改めて感じた一件でした。
                         (鈴田裕三:朝日航洋株式会社)

〇次回は同じ朝日航洋の高下桂さんにバトンをお渡しします。

■新入会員のページ
はじめまして。このたび、空間情報総括監理技術者の資格に合格し、新たにスペーシャリ
ストの会に入会させていただきました、国土地図株式会社の猿谷と申します。
空間情報総括監理技術者の資格の取得にあたっては、社内に空間情報総括監理技術者がい
なかったこともあり、社外のいろいろな方にも相談にのっていただき、またご指導いただ
きました。この場を借りて心より感謝申し上げます。
私が所属する国土地図株式会社は、1947年に戦後の荒廃した日本国土の復旧・復興を目的
とした公共地図製作を事業として設立し、現在では、地図調製に加え、地理調査やGISデー
タの作成などの業務を手掛けております。
私自身は主にGISデータの作成を行う業務に携わっています。
今後は空間情報総括監理技術者として携わる業務の幅を広げていくとともに、今まで以上
に研鑽を続け、空間情報技術の発展に少しでも貢献できれば幸いです。
また、これまで技術者の諸先輩方がご自身の業務などでお忙しい中、資格や技術習得のた
めにご支援・ご指導に時間を割いていただいたことを忘れず、今度は私自身も同じように
若手技術者の育成や資格取得の支援を行っていくことで恩送りをしていきたいと考えてお
ります。
今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。
                          (猿谷享子:国土地図株式会社)

この度、スペーシャリストの会に入会いたしました株式会社フジヤマの平野友紀と申します。
弊社は静岡県浜松市にて、地元に寄り添う建設総合コンサルタントとして日々業務を遂行
しております。私は入社以来約30年間、上下水道台帳整備やGISデータ作成業務に携わって
まいりました。最近はChatGPTを活用して、データ処理プログラムの作成やデバッグなど、
作業の自動化にも注力しております。
しかし、業務分野が異なる、測量や三次元計測のトレンド、衛星画像の活用などの最新技
術に触れる機会はどうしても少なくなるため、積極的に多様な知識を習得したいと日々感
じておりました。
SP会に入会し、空間情報未来会議や中部SP会の勉強会を拝聴いたしましたが、講演内容の
興味深さや先輩会員の皆様の高いコミュニケーション力にただただ感嘆しております。
今後の活動や交流に参加させていただくことを、とても楽しみにしております。
まだまだ空間情報総括監理技術者として至らぬ点も多いですが、今後もSP会の活動を通じ
て成長し、空間情報技術を通じて世の中に貢献していきたいと考えております。
どうぞよろしくお願いいたします。
                         (平野友紀:株式会社フジヤマ)

〇令和7年3月号の担当は、福室貴志さん、横井伸之さんです。

■空間情報関連/書籍紹介
書籍名:「はじめての哲学的思考」
著 者:苫野 一徳
発行所:筑摩書房
定 価:968円

実は本書を購入した時、当初はこの本の内容とは違う目的がありました。経営には哲学が
必要だ!というようなネット記事か何かを読んで感化され、かのドラッカー氏の名言集な
どを眺めてみましたがいまいちピンとこず、そもそも哲学が何なのかわかっていないよな、
ということに思い至りました。
哲学の基本といいますが、この学問は何をしたいのか、どのように生活や社会に役立つの
か、といった話がとても平易な言葉でわかりやすく整理されており、初学者にとってのよ
い入門書だなと思います。
中盤以降は主に、対話や協議といったコミュニケーションの場面における哲学的思考法の
使い方が語られており、私はこの部分が大変参考になりました。
本書を読んでから私自身が常に心掛けるようになったのは、まさに対話や協議の場におけ
る「スタートライン」です。よく会議の心得としてゴールを決めましょうということがあ
りますが、もっと大切なのは「スタートライン」で、対話する相手、メンバーには「共通
理解」が必要であるということです。
意見が食い違ったり枝分かれする前の、相互に「ここまでは同じ認識だね」という地点を
確認するということです。果たしてこれがいかほど有効に作用しているのかを測ることは
できませんが、今ここで議論していること、もしくは得ようとしている議論の結果の本質
の探求ができると考えます。
「本質の探求」というところになんとなく哲学っぽさも感じつつ、我々の仕事に対する姿
勢も正される面もあろうかと思います。
                         (小林雅弘:アジア航測株式会社)

〇令和7年3月号の担当は、堀秀樹さんです。

■令和6年度 第2回「スペーシャリストの会」企画委員会(令和7年1月)議事録抄
日時: 令和7年1月24日(金)13:30~15:30
1. 報告事項
① 新支部長紹介
・東北支部:芝隆氏(国際航業)が支部長に就任し挨拶。
② 各支部活動報告(※隔月掲載)
③ 第6回人財育成懇談会の議事概要
・各参加者の意見が出揃い、懇談会としての総論をまとめ中。
・今後、外部での「学びなおし」の機会について調査・分析予定。
④ 令和7年度 企画委員会の開催予定
・ 第1回 5月19日(月)、第2回 7月18日(金)、第3回 9月26日(金)、
 第4回 11月17日(月)、第5回 令和8年1月19日(月)、第6回 3月23日(月)
2. 討議事項・要請事項
① 月刊「測量」スペーシャリストの会コーナー執筆確認
・第34弾(AI)の原稿は順調に到着、第35弾(注目技術)の仮テーマを事務局に連絡すること。
・第36弾以降のテーマ は次回会議で協議。
② 2025年イノベーション大会(6月17-18日 @東大本郷)
・テーマ:「測量の未来を語る」 に決定。
・ パネルディスカッション形式にはこだわらず、個別講演形式 を採用。
・講演者は基本的に会員とし、立候補・推薦を受け付ける。
※詳細は「■SPの会事務局からのお知らせ」を参照して下さい。
③ 2025年空間情報未来会議
・メイン開催地、開催時期について今後検討
次回予定:令和7年3月19日(水)令和6年度 第3回「スペーシャリストの会」企画委員会13:30~15:30

■第6回 最新技術動向の調査活動研究会(2024年12月)議事録抄
開催日時:2024年12月10日(火)15:00~17:00
1.外部講師講演
講演者: 河村幸二氏(合同会社スーパーポイントリサーチ 代表)
講演テーマ: 「3次元計測と防災日本の未来」
・ 3次元計測の目的を「ビューイング・グレード」(美観・感性)と
「エンジニア・グレード」(設計・解析)に分類。
・ゲームエンジンの活用が進み、3次元データの一般化が加速。
・空飛ぶ車・昆虫型飛行ロボットなどUAVの技術進展を紹介。
・防災分野での日本の役割について言及。
質疑応答:
・日本の防災技術は「取り組みが評価されているが、技術的には高いとは言えない」。
・AIの過信への懸念を示し、「人間の創造的価値にはまだ届かない」。
・海外では「ドローンインナーボックス」による災害対応が進行中
2.最新技術トピック
・ゲームエンジンと建設業: 遠隔施工管理の実証実験が進行中。
・ウェアラブルカメラの普及: ゼネコンや河川巡視で活用。
・「見せる」技術の進化: NeRF により微細な3D表現が可能に。
3.次回会議予定
・テーマ:「3D Gaussian Splatting」(仮)
・講師候補: ホロラボ 熊崎氏(実機体験を含む講義を調整中)
・開催予定: 2025年1月下旬~2月上旬(日本測量協会/オンライン)

■日本測量協会・SPの会事務局からのお知らせ
◇2025年イノベーション大会(6月17-18日 @東大本郷)SPの会講演者募集
 企画委員会議事録抄に記載の通り、イノベーション大会の講演者を自薦・他薦で
 募集します。
 ☆募集要項
 ・テーマ:「測量の未来を語る」
 ・講演時間:1人あたり30分程度(予定)
 ・講演会場:ギャラリー1(定員約50名)
 ・講演資格:SPの会会員
 講演者として推薦したい方がいらっしゃいましたら、事務局(spatialist@jsurvey.jp)
 までメールでお知らせください。
 ※候補段階のため、本人への内諾は不要です。
  締切:2月28日
 ご協力のほど、よろしくお願いいたします。

◇令和6年度「空間情報総括監理技術者の認定登録更新」ご案内について
 今年度更新対象の方で更新手続きが未了の方には、1月16日にリマインドメールを
 お送りしております。
 更新手続き期限(令和7年3月31日)が近づいております。
 資格の更新手続きをお忘れないようにご注意ください。

◇「働きながら博士号取得をめざす人のための相談コーナー」
 測量・地理空間情報技術者で将来、学位(博士号)を取得したいと考えている人
 (会員以外でも可)などを対象に、博士号取得に向けて本格的な始動をするまでに
 準備すべきことや取得までのプロセス、取得方法(課程博士か論文博士か)等々に
 ついて、個別に相談できるコーナーを本年4月より設置しました。アドバイザーは
 SPの会最高顧問の瀬戸島政博氏が担当します。
 相談を希望される場合は、下記【メール記載内容】を【送付先】まで、メールに
 てご連絡をお願いいたします。
 【メール記載内容】件名:「SPの会:博士号取得のための相談希望」
  本文:①氏名(ふりがな)、②勤務先、③電話番号、④電子メールアドレス、
     ⑤相談したい内容について
 【送付先】spatialist@jsurvey.jp

◇転職・退職・死亡等により、氏名・所属・連絡先(メールアドレス)の変更が生じた
 SPの会会員の方へ。
 変更後の内容をご本人または関係者の方から日本測量協会にお知らせください。
 SPの会MM誌の配信やお知らせ等の連絡に支障が出ないようお願いいたします。

 届け出様式は以下の場所にあります。
 https://www.jsurvey.jp/gissv/youshiki.htm
 様式2 空間情報総括監理技術者 登録事項変更届出

 メールまたはFAXまたは郵送でお知らせください。
 連絡先は以下の通りです。
 メール:geoinfor@jsurvey.jp
 FAX : 03-5684-3366
 〒112-0002 東京都文京区小石川1-5-1 パークコート文京小石川 ザ タワー 5 階
 公益社団法人日本測量協会 測量継続教育センター 測量技術教育部 宛

■刊行案内        
 *** 新刊案内 ***(※会員は10%割引でご購入いただけます)
 『実務者のためのGNSS測量ハンドブック』(令和7年1月23日刊行)
 定価3,300円(税込) //会員価格2,970円(税込)
 詳しくは、https://www.jsurvey.jp/2.htm

                            (遠藤拓郎:日本測量協会)

■編集後記
立春を過ぎましたが、外出するのが億劫になるような寒い日が続いています。
この機会とばかりに、年末にかけて撮りためたドラマを一気視聴しています。
ひと際、興味深かったのは、日本の某テレビ局が制作した端島を取り扱ったものです。
会員の皆様は長崎県の端島をご存じでしょうか。
「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」として、2015年に世界文化遺
産登録された「軍艦島」と言った方がわかりやすいかも知れません。
これまでに色々な計測技術者がアーカイブなどを目的としてUAV撮影やレーザ計測を駆使
して、3Dモデルを製作してきたこともあり、その姿を3D仮想空間上で目にした方も多いか
も知れません。
このドラマ、登場人物の人間模様はさておき、全盛期の端島の再現力が特に素晴らしく、
思いのほか見入ってしまいました。
一方で、上陸ツアーで実際に島を訪れた時、3D仮想空間上に再現したものを体感した時と
は全く異なるインパクトを受けました。
やはり、同じ場所(位置)に存在するヒトやモノが躍動して描かれているか否かの違いは
大きかったようです。
この点において、計測技術は映像技術に遠く及ばないのかも知れません。
視聴された方はどのように感じられたでしょうか。
                         (編集担当:近藤弘崇 パスコ)

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