| タイトル：メルマガ Vol.22 | 発行日時：2008年9月16日14時0分48秒 |
| ┏ Magazine from Spatialist Club ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓ 2008年9月16日 ◇ スペーシャリスト メールマガジン ◇ vol.22 発行元：スペーシャリストMM事務局 http://www.capnet.jp/spatial/ ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ INDEX ：＊ニュース・ラウンジ ＊リレーエッセイ＜空間連携＞ ＊コラム ＊本の紹介 ＊イベント情報 ＊連絡事項 ============================================================================ ■ニュース・ラウンジ ＜地理空間情報プラットホーム＞ 2008年8月19日付の日刊建設工業新聞の一面に、「地理空間情報プラットホーム」の見 出しで、国土交通省は基盤となる電子地図上にさまざまな地理空間情報を重ね合わせて活 用できるようにする「地理空間情報プラットホーム」の構築に向け、４自治体（静岡県熱 海市、福岡県飯塚市など）で実証検査を進めている。基盤地図上に、さまざまな主体のさ まざまな地理空間情報を重ね合わせる際の基準やルールを明確化するのが目的という文面 が載っていた。 記事内容を要約すると、10年度からの本格運用を目指すための試作版（4月公開）では国 交省の河川整備基本方針、河川整備計画、洪水ハザードマップ、リサイクルボート、都市 農地を活用したまちづくりなどの情報が登録され、必要な情報を電子地図上に重ね合わせ て見ることができる。これまで個別に公開されていた地理空間情報を、共通のプラット ホームに呼び出して利用できるのが大きな特色である。10年度の本格運用に当たっては、 自治体や民間の保有する地理空間情報にも対象を広げる方針。これを有効活用するには、 一定の精度を持った情報の整備や、データの更新方法、個人情報の扱いなどについてルー ルや基準が必要になることから、同省は09年度中にマニュアルを作成する方針で、４自治 体でルールづくりに向けた実証調査を進めているという。 「地理空間情報活用推進基本法」が施行されて約1年後である。近い将来、この法律に基 づいて基盤地図情報が日本全国の範囲で整備され、官公庁をはじめ民間の機関や個人が地 理空間情報を共有・活用することが当り前の時代になろう。が、その用途を間違えればそ の被害は極めて広範囲に及ぶ。個人情報の漏洩もそのうちの一つである。 「地理空間情報活用推進基本法」の基本理念第三条の最後の部分で、「地理空間情報の流 通の拡大に伴い、個人の権利利益、国の安全等が害されることのないように配慮されなけ ればならない」と記している。法を遵守し、運用に当たっては厳しいルールが求められよ う。「平和の祭典」オリンピックが北京で行われている最中の執筆である。 （高 泰明：朝日航洋） ＜編集委員会よりお知らせ＞ １０月号は瀬戸島さんです。 ■リレーエッセイ 【公募型業務発注に切り替わって】 私の関わっている砂防事業関連では、国土交通省のプロポーザル方式による建設コンサ ルタンツ業務の発注は、平成8年から始まったと記憶しています。そして、随意契約の不 透明さが国会やマスコミで取り上げられて、昨年からは簡易公募型のプロポーザルや入札 が急増しています。昨年度は関東、中部が主となっていましたが、今年度では北海道から 沖縄まで全国で実施されるようになり、その対応業務が急増しています。当社を含め測量 会社、建設コンサルタンツ会社、地質調査会社などでもご同様と思われますが、加えて、 総合評価方式による業務発注や公募型入札業務も多くなり、これらへの対応能力が会社の 売り上げに大きな影響を及ぼす事態となっています。 ところで、日々公示されている公募業務を眺めていると、全国で発注されている案件 （砂防事業の業務委託に限る）がこれほどあったのかと気づかされます。以前は、指名競 争入札、指名型プロポーザルが主体となっていたので、お呼びのかからない業務はまった く認識できませんでしたが、公募方式となり個別の案件をすべて応募の対象とするのかど うか、果たして受注に結び付けられるのかどうかを吟味しながら公示された情報を検証し ていくことになります。こうした発注制度の変更により市場の間口が広がったと考えるこ ともできますが、参加できそうな案件を抽出して参加表明書を提出したところ、提案書の 提出者として選定されないケースもあるなど、発注者とわれわれの認識の違いや評価水準 や選定基準のハードルの高さに戸惑うこともあります。改めてこれらへの対応業務の重要 性を認識するところです。 このように技術評価による業者の選定が常態化しており、専門技術の伸張を図る必要性 と共に差別化を進めるための１手法として空間情報応用の提案があります。砂防事業関連 では、土砂災害防止法に基づく基礎調査・危険区域の設定にデジタルマップの利用や土砂 動態把握のためレーザースキャナーの利用、不安定土砂分布のデジタルマップ化・・・等 等いろいろありますね。空間情報統括監理技術者として、空間情報を事業に取り入れ応用 する努力の必要性を痛感します。 さて、本稿を提出した１２日は、平成２０年度空間情報総括監理技術者の合格発表があ り、新たに２１名の方々が合格されました。本年度合格者の皆様、おめでとうございます。 【次回エッセイスト】 リレーエッセイ、次回ご担当に株式会社パスコの森田真一さんにお願いしました。よろ しくお願いします。森田さんとは同世代で、私と同じ砂防部門をご担当されておられます。 プロポーザルのヒアリング会場でもお目にかかりますが、関西へ転勤され本年度はなかな かお目にかかれません。如何お過ごしですか？ (岩波英行:国際航業) ■コラム MM開始時に設定されていた執筆順番を再度掲載しておきます。これまでに執筆を忘れて いた方からの投稿も受け付けております。2007年12月号より平成１９年度入会者について も担当を決めております。 ●執筆順番 2007年1月号 神原（五星） 2月号 瀬戸島（国際）、住田（アジア） 3月号 高（朝日）、望月（パスコ） 4月号 津留(朝日)、土方(国際) 5月号 池田(アジア)、林（パスコ） 6月号 赤松(国際)、秋山(朝日) 7月号 内田(アジア)、大石(国際) 8月号 大友(国際)、北原(地域みらい) 9月号 木下(ランド)、楠(パスコ) 10月号 東田(国際)、沼田(アジア) 11月号 野村(国際) 12月号 福田(朝日)、村木(イメージワン)、早川（帝国）、畠(アジア) 2008年1月号 横山(大成ジオ)、渡辺(アジア)、鈴木（中日本） 2月号 与(パスコ)、及川(国際)、白井（国際） 3月号 大谷(国際)、大橋(パスコ) 、伊藤鋭二（パスコ） 4月号 大山容一(国際)、岡本(パスコ)、岩切（パスコ） 5月号 川口剛(パスコ）、黒台昌弘(ハザマ)、岩波英行（国際） 6月号 佐々木(パスコ)、品澤(パスコ)、大堂（アジア） 7月号 菅原(パスコ)、高木(国際)、小川（アジア） 8月号 高岸(パスコ)、田中(日本大学)、織田（アジア） 9月号 筒井(パスコ)、長谷川(国際)、垣内（パスコ） 10月号 畠山(国際)、廣瀬(国際)、菊池（パスコ） 11月号 三浦(パスコ)、三島(パスコ)、北原（アジア） 12月号 南澤(パスコ)、森田(パスコ)、斉藤（アジア） 2009年1月号 島田（国際）、外山（中日本） 2月号 中野（アジア）、中本（パスコ） 3月号 藤井（アジア）、安野（アジア） 4月号 山田（パスコ）、渡邉（パスコ） ■コラム マスコミと公共事業 近年、マスコミによる公共事業のバッシングが大きく報道され、公共事業がいかにも悪 いような印象を国民に植え付けられています。大学においても"土木"と名のつく学科では 学生が集まらないので、名称を変更する学部が相次いでいると聞きます。国家公務員でさ え、土木には優秀な学生が集まらないようで、中途採用を増やしていると聞きます。これ ら全てマスコミが悪いとは言わないまでも、少なからず影響はあると思います。我々土木 屋（測量屋を含む）は、この職業を誇りとしており、社会のため、国民のために良かれと 思い、朝から晩まで血眼で働いています。少なくとも無駄な公共事業を増やそうと考える 人はいないと思います。しかし、世間一般の目からは無駄に見える一部の成果を取り上げ、 税金の無駄使いだと騒ぎたてます。この影響で、公共事業の予算化がより厳格になり、事 業費が抑えられ、いくら働いても利益が出ない、給料が上がらないという悪循環に陥って います。このままでは、いったい何のために働いているのかもわからなくなってしましま す。この状況を打破するためにも、我々ｽﾍﾟｰｼｬﾘｽﾄのやらなくてはならない課題が山積し ています。特に、この業界の地位向上のため、我々の成果を社会一般にわかるように公表 し、社会認知度を向上させていく事が重要です。これは、一朝一夕にできることではあり ませんし、これまでにも多くの先輩方が取り組んで努力している事であります。ｽﾍﾟｰｼｬﾘｽ ﾄの認知度の向上とともに業界全体の認知度の向上のため日夜活動していくことが我々ｽ ﾍﾟｰｼｬﾘｽﾄに課せられた使命ではないでしょうか。 （筒井胤雄：パスコ） ■コラム メルマガVol.20の菅原さん同様、私も1978年の宮城沖地震は石巻市で、1982年の日本海 中部地震は弘前市で遭遇し、直接間接的な影響を受け空間情報関連業界に身をおくことに なった。この業界で25年目になるが、GPSをとおして技術者の醍醐味を記せれば･･･ GPSは本来の利用分野である航法分野を追い越し、測量分野が実用化の先駆けとなった。 少ない衛星配備でも利用できたためだが、測量分野でNNSSというGPS以前の衛星測位シス テムでの技術蓄積があったことが大きい。このGPS黎明期に、計測方法、各種計算ソフト など担当した様々な開発・改善が、すぐ実務に用いられるといったダイナミックな経験を した。入社３年目でGPS担当として海外作業に参加したおり、作業終了時TS担当の熟練技 術者に信頼感を表明されたときのうれしさは、今でも忘れない。この海外作業に加われた のもGPS担当との肩書きのおかげであった。最近はデジタル写真測量、レーザ測量に携わ っている技術者がこの醍醐味を味わえているのではないか。 GPSは当初から観測点間の視通は不必要、天候障害を受けにくいといった特徴があり非常 に革新的技術であった。これに電子基準点網（これも非常に重要な基盤整備）整備、ネッ トワーク型RTK-GPS手法が加わり、リアルタイム測量、ワンマン測量と一段の飛躍を果し、 さらにセミダイナミック基準点体系の基盤にもなっている。今後も、GPS近代化施策を始 め、ガリレオ、グロナス、準天頂衛星等と競合・連携をとりながら、まだまだ進化してい きそうである。開発当初は、ここまでの計測技術に育つとは予測できなかったが。 今後、GPSに匹敵する計測技術が出てくるか楽しみである。候補としては、軽量小型化、 長時間観測、自動補正処理化が図れた慣性測量機のように思うがさて如何に･･･ （国際航業：長谷川浩司） ■コラム 開発途上国援助に思うこと 私は、ODA（政府開発援助）によるプロジェクトで十年余りの間、開発途上国の国家基 本地形図作成に携わってきた。この種の事業は成果が見え難くプロジェクトの評価も容易 でないことから、ともすればその評価は相手国側の表面的なもので判断され易いと言える。 このためプロジェクトの目的や成果が適切でなかったり、必ずしも必要の無い高価な機材 を相手国の言いなりに導入してしまう場合が少なからずあったと思う。また、プロジェク トを通して、相手国から有望な技術者を日本へ招き相手国内ではできない様々な研修を行 うことがあるが、こうした場合も、技術者ではなくカウンターパートの有力者やその関係 者が、なかば観光にやって来るのが散見されたのも確かである。 開発援助の目的の一つは適正かつ持続可能な技術の移転にあるが、上述したように様々 な問題があり、時には公益を害する不正行為が行われているのも昨今の報道が示すとおり である。技術者一人の力でどうなることでもないが、それでも私は、一技術者として相手 国技術者と共に開発途上国発展のために真摯に取り組んでいきたい。真の技術者同士なら ば、損得勘定ではなく真理の追究や技術の獲得に意義を見出せるだろうと考えるからであ る。私の数少ない経験を通しても、信頼できる技術者と出会い親交を深めることができた のは幸いである。そうした技術者とは、プロジェクト終了後も個人的に連絡を取り合って おり、技術的なサポートが必要な場合は、今でもメールなどで対応している。世界中の技 術者とこうした交流を持つことで、有意義な開発途上国援助ができれば良いと私は考えて いる。 （垣内英俊：パスコ） ■本の紹介 ●中世の東海道をゆく --京から鎌倉へ、旅路の風景-- 榎原雅治 著 中公新書 （本体価格：800円） この本は中世の貴族、飛鳥井雅有が鎌倉へと旅をした時の紀行文「春の深山路 」から中世の東海道の景観再現を試みている。その推理は、地理学、地質学、潮汐学、考 古学を駆使していることが興味深い。例えば、名古屋市の台地の南端にある熱田宮の南側 は1280年代には鳴海潟が広がっていて、東海道はこの潟を通っていた。通行には潮の引く のを待つこともあった。事実、紀行文の作者は「浦隠れ」と称し酒を呑み干潮を待ってい る。揖斐川〜木曽川の三川を渡る中世の東海道の景観を、濃尾地域の地殻変動と三川の流 路変遷から検討したり、浜名湖では、明応地震で汽水湖となったとする通説を覆し、紀行 文に描かれた光景から中世の浜名湖は遠州灘と水路で結ばれていた。などなど興味がつき ない。 （田中邦一： 日本大学） ●「峠の歴史学−古道をたずねて−」（朝日選書830） 服部英雄・著 朝日新聞社、本体価格1,400円+税 遠い時代には峠は、異界への入り口でありその峠を越えると未だ見ぬ国が広がっている と考えられた時代もあった。また峠は、道と道とを繋ぐ接点でもある。人が峠越えをする だけでなく、動物もモノも峠を越えて行き来してきた。 本書では、流通の道、軍事の道、信仰の道という視点から、古道と峠の歴史的な群像を まとめている。われわれも仕事柄、数々の峠を越えて行き来しているが、これを機会に本 書を通じて、峠の歴史学を実体験しては如何でしょうか。 (瀬戸島政博：測量協会) ■「地図もウソをつく」 竹内正浩・著 文藝春秋、文春新書 本体価格750円+税 以前、「地図は真実を知っていた」とか「地図はすべてを知っていた」とか言った新聞 か週刊誌の記事を読んだ記憶があります。それとは正反対のタイトルなので大変興味深く 読んでみました。地図は寡黙ではあるが正確無比、読み手の技量次第で驚くほど情報が取 得できるというのが通説ですが、本書では国策宣伝に利用されたり、贋情報が追加された り、地図にも生身の世界があることに気づきます。各章は「おしゃべりな地図」、「ウソ つきな地図」、「気まぐれな地図」、「小悪魔な地図」といった見出しで、終章は「いま、 地図があぶない」、国土地理院地形図の危機で纏められています。 改めて地図の大事さを知るとともに、私たちと同様に、正確無比だけでは生きられない俗 界の存在があることが分かります。 (瀬戸島政博：測量協会) ■測量協会イベント情報のお知らせ ◎セミナー �．機璽戰ぅ▲�デミー「地理空間情報イブニング・セミナー(第5回)」17時より 講師 村井俊治、東京大学名誉教授 日時 平成20年9月25日（木）17時〜18時30分 演題 「高分解能衛星画像からの地図作成とその精度」 内容 一般に2.5mより高い分解能の衛星画像を高分解能衛星画像（HRSI）と呼んでい る。日本が打ち上げたALOS PRISMもHRSIの一つである。ALOSは、2万5千分の1 の地形図が出来るという"触れ込み"で打ち上げられた。国際的にも国内的にも、 果たしてALOSから2万5千分の１の地図が出来るか否かが議論され、話題になっ た。スイスのアーミン･グリュン教授と一緒にPIとして検証研究に取り組んだ 研究成果の「裏情報」を交えて真相に迫る。 参加費 会員(特別会員含む)は無料 非会員は2,000円 会場 (社)日本測量協会 研修室(文京区小石川) CPD対象セミナー 問合先は サーベイアカデミー事務局 03-5684-3360 （廿楽実：測量協会） ■スペーシャリストの会 連絡事項 平成20年度スペーシャリストの会総会 開催予定 日 時 10月3日(金) 午後3時より 会 場 測量協会 303号室(3階) 総会次第 平成19年度事業報告・平成19年度会計報告・平成19年度会計監査報告 平成20年度事業計画(案)、平成20年度予算(案) 等 特別講演について 村井俊治(スペーシャリストの会顧問)・栗原光二(�蟾馘攤得幻Φ羹衂甬擲�発部長) 総会終了後懇親会予定 （廿楽実：測量協会） ■編集後記 先日平成２０年度の空間情報総括監理技術者の合格者の発表があり２１名の方が合格さ れました。１０月の総会では多くの新しい会員を迎える事が出来そうです。当会が充実し てゆくことで空間情報の世界も広がってゆくように頑張りましょう。 （編集委員長） ──────────────────────────────────────── All Rights Reserved, COPYRIGHT(c) Spatialist Club このメールマガジンを紹介したい方は各自の責任で転送しても結構です。 ──────────────────────────────────────── |
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