| タイトル：スペーシャリスト会報 Vol.26 | 発行日時：2009年1月15日18時39分45秒 |
| ┏ Magazine from Spatialist Club ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓ 2009年1月15日 ◇ スペーシャリスト メールマガジン ◇ vol.26 発行元：スペーシャリストMM事務局 http://www.capnet.jp/spatial/ ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ INDEX ：＊ニュース・ラウンジ ＊リレーエッセイ＜空間連携＞ ＊コラム ＊本の紹介 ＊イベント情報 ＊測量協会イベント情報のお知らせ ＊連絡事項 ============================================================================ ■ニュース・ラウンジ （地理情報システムを利用して） 2008年10月30日の京都新聞に、「茶葉乾燥に間伐材活用へ」という見出しが載った。 記事の内容を紹介すると、「原油価格の高騰が茶農家の経営を圧迫する中、京都府宇治田 原町と京都府立大は、同町特産の茶葉を乾燥する際の重油に替わる燃料に、間伐材の活用 を模索し始めた。間伐材を活用すれば、森林の手入れも進み『一石二鳥』の効果も期待で きる。現在は、継続的に供給できる間伐材の量などを把握する調査を進めており、早けれ ば3年後の試験導入を目指す。同町は町内の約75%が森林。林道の整備も1�播�たり12.6�� と府内一の密度で、間伐材を切り出しやすい環境が整う。計画では切り出した間伐材を圧 縮・成型して固形燃料に加工し、茶の乾燥に使う。乾燥には一定の強さでコントロールで きる火力が必要で、かつて周辺の山林で焼いた炭が使われており、その現代的な復活にな る。現在、京都府立大生命環境科学研究科の田中和博教授らが中心となり、林道の整備状 況、山の斜面、木々の植生などの基本データをGIS（地理情報システム）に入力して、間 伐の対象になるヒノキやスギなどが多く生育する地域や人が侵入可能な場所を特定してい る。このデータを基に、実地調査を行い、継続的に切り出し可能な間伐材の量や搬出コス トに見合う量を導き出す。量の見込みが立った時点で、モデルケースとして一部の農家に 試験的に使用してもらう。コスト面などで見通しが立てば、将来的に全町内に広めていく 計画だ」ということである。 （独）森林総合研究所で行われた研究によると、森林のCO2の吸収量は間伐をして間伐材 を生産した方がより大きくなるといい、間伐した樹木は、そのままでは腐朽して二酸化炭 素として大気中に放出されるので単に間伐するだけではなく、間伐材として利用する必要 があるとしている。 ＪＲ東日本の鉄道林（自然災害から線路を守るために鉄道沿線に設けられた森林）の機 能を、地理情報システムを利用して毎年調査している私には間伐材活用は興味深いものが ある。間伐材が鉄道林地内にそのまま多く放置されているのを見て「近年、炭の需要が増 える中、間伐材から炭を作ってはどうか？そうすれば、ほったらかしの間伐材が多少なく なり、鉄道林内の環境整備に役立つのでは？」と私はＪＲに進言したことがある。 田中和博教授とは私の大学院時代の後輩である。毎年年賀状を交わしている。今後の研究 成果を期待している。 （高 泰明：朝日航洋） ＜編集委員会よりお知らせ＞ ２月号は瀬戸島さんです ■リレーエッセイ ネットとツールは使いよう？ パスコの大橋さんから、若手繋がりということでご指名いただきました国際航業の白井 です。本年もよろしくお願いいたします。 他愛もないことですが、ネット検索での出来事を列記します。 以前２〜３日、体調を崩したことがあり、今の自分の症状から近くの良い町医者（何を もって良い病院と定義するかは置いて）が無いか検索しました。結果は、ここだという病 院にたどり着けませんでした（判断できませんでした）。自分の検索方法が適当でなかっ たかもしれませんが、やれたことは、複数の病院検索サイトで専門科やキーワードに対し て複数Hitした病院の抽出と、口コミが書かれているようであればそのチェック程度でし た。今、自分が探したいものはインターネットだけでは判断できず、結局、ご近所さんと の世間話で、何気に聞いた地元の病院の対応やら評判、地元のローカル情報誌などを判断 材料にしていました。あと、少しなのだけど、かいところに手が届かない。そんな心境で す。普段、インターネットは買い物や飛行機、鉄道、ホテル予約など多くの場面で便利良 く使っていますが、使い方によっては欲しい情報が得られにくい側面もあるということを、 今更ですが、思い知らされた気がします。特に、日常生活のちょっとした情報は、イン ターネットをはじめとするデジタル情報だけでなく、常日頃ストックしておいたアナログ 情報も大いに役立つことがあるということを。 そこで最近、メモ代わりに携帯のカメラを使うことが多くなりました。近所へちょっと 出かける際、財布は持たないけれど携帯だけは持って出るくらい、大抵、携帯を持ち歩い ていますので、今度乗るバスの時刻表や目に留まったチラシなどのアナログ情報も思い立 ったら吉日、携帯を手に記録しています。更に最近の携帯は撮った画像を携帯のカレン ダーとリンク付けできる機種もあり、スケジュール管理と併せて使いたいと考えています （残念ながら、自分の機種は対応していません）。やはり、ツールを武器として使いこな せるようなりたいものです。 皆さんも、「そういえば、何日か前のチラシにあったなあ・・・」と言って、古新聞の束 をかき分けることがありませんか？ （次回のエッセイスト） 若手繋がりということで、当社からもう１名、野村 出さんにバトンタッチしたいと思 います。 (白井直樹:国際航業) ■コラム MM開始時に設定されていた執筆順番に２０年度合格者の方を加えて掲載しておきます。 これまでに執筆を忘れていた方からの投稿も受け付けております。 ●執筆順番 2007年1月号 神原（五星） 2月号 瀬戸島（国際）、住田（アジア） 3月号 高（朝日）、望月（パスコ） 4月号 津留(朝日)、土方(国際) 5月号 池田(アジア)、林（パスコ） 6月号 赤松(国際)、秋山(朝日) 7月号 内田(アジア)、大石(国際) 8月号 大友(国際)、北原(地域みらい) 9月号 木下(ランド)、楠(パスコ) 10月号 東田(国際)、沼田(アジア) 11月号 野村(国際) 12月号 福田(朝日)、村木(イメージワン)、早川（帝国）、畠(アジア) 2008年1月号 横山(大成ジオ)、渡辺(アジア)、鈴木（中日本） 2月号 与(パスコ)、及川(国際)、白井（国際） 3月号 大谷(国際)、大橋(パスコ) 、伊藤鋭二（パスコ） 4月号 大山容一(国際)、岡本(パスコ)、岩切（パスコ） 5月号 川口剛(パスコ）、黒台昌弘(ハザマ)、岩波英行（国際） 6月号 佐々木(パスコ)、品澤(パスコ)、大堂（アジア） 7月号 菅原(パスコ)、高木(国際)、小川（アジア） 8月号 高岸(パスコ)、田中(日本大学)、織田（アジア） 9月号 筒井(パスコ)、長谷川(国際)、垣内（パスコ） 10月号 畠山(国際)、廣瀬(国際)、菊池（パスコ） 11月号 三浦(パスコ)、三島(パスコ)、北原（アジア） 12月号 南澤(パスコ)、森田(パスコ)、斉藤（アジア） 2009年 1月号 島田（国際）、外山（中日本）,正岡（２０年度） 2月号 中野（アジア）、中本（パスコ）、坂下（２０年度） 3月号 藤井（アジア）、安野（アジア）、窪田（２０年度） 4月号 山田（パスコ）、渡邉（パスコ）、足立（２０年度） 5月号 橘（２０年度）、塚原（２０年度）、長澤（２０年度） 6月号 廣野（２０年度）、平田（２０年度）、横田（２０年度） 7月号 柴田（２０年度）、小更（２０年度）、阿部（２０年度） 8月号 船越（２０年度）、八木（２０年度）、大塚（２０年度） 9月号 中谷（２０年度）、吉川（２０年度）、西村（２０年度） 10月号 田中（２０年度）、吉岡（２０年度） ■コラム 高度先進治療技術 新年早々、メタボな雑感ですみませんが、年末に、持病の尿路結石で「体外衝撃波結石 破砕術(ESWL)」を受けました。尿路結石は、男性では約11人に１人が一生に１度は経験す る頻度の高い疾患ですので、皆さんもご注意してください。 ESWLとは、結石をＸ線と超音波で探査し、衝撃波（音波の一種）を照射し、結石を細か く砕く治療法です。つまり、お腹を切らずに治療できる高度先進治療技術です。 ちなみに、その開発の経緯は、第二次世界大戦中に潜水艦を破壊させずに敵兵を倒す兵 器を開発したのが始まりだそうです。兵器としては開発不成功でしたが、後に平和利用さ れ結石治療に生まれ変わった技術です。 社会インフラの維持管理においても、施設・構造物の変状・劣化の点検→健全度の評 価・判定→対策の実施、という一連の流れで実施していますが、それぞれが分業化されて おり、 緊急時を除いて、すべてを一括的に実施することは少ない。 その点、ESWLは、点検、判定、対策の実施までを的確かつ迅速にできる、画期的な装 置・ システムであるように思えます。 今後、社会インフラの維持管理においても、施設・構造物を「生き物」として捉え、迅 速な 対策が可能な「高度先進治療技術」の確立が望まれる。 （南澤輝雄：パスコ） ■コラム 学問のすすめ あけましておめでとうございます。今回は最近読んだ本の紹介です。 「学問のすすめ」（福沢諭吉著）をはじめて読み、とても感動しました。幕末・維新は、 列強の脅威のほか、激しいインフレ・物資不足などにより、社会が激しく動揺した時期と 言われています。こうした国難の時期にあって、著者は、財務・会計や自然科学などの実 学の習得を通じた実業の発展・繁栄の重要性をとても分かりやすく論じています。今と違 って、立身出世とは「お役人になること」であった時代に、実業を担う若者の育成を目標 に掲げたことは卓見と言えないでしょうか。時代は流れ、多くの人々の努力を通して著者 のビジョンが現実となっていることは誰の目にも明らかです。 金融恐慌や雇用情勢の悪化など厳しいニュースが伝えられています。測量・建設コンサル タントの業界も、厳しい経営環境にあると言えます。しかし、困難な時こそ歴史を振り返 り、歴史から学ぶことが有効なのかもしれません。我々技術者は、高い志を維持し努力を 重ねることにより、新しい社会の創出に貢献できるものと思います。単行本になっていま すので、ご一読をお勧めします。 (島田徹：国際航業) ■コラム 時代にあった授業を いつもの如く遅い帰宅をすると、寝ているはずの長男（中１）がコタツの上にプリント を広げ固まっていた。覗いてみると、技術家庭科の宿題で３面図から立体図（等角投影、 斜投影）が書けなく困っている様子。回答用紙には投影角に従ったメッシュがあらかじめ 書いてあり、それをなぞれば簡単に立体図がかけるものであった。少々のコツを教え、な んとか宿題はクリア。そこで、ふと感じることが。「製図道具はもってない？」と聞くと、 「何それ」とのこと。三角スケール、三角定規、コンパス、ディバイダ等々を説明するも、 いま一つ理解できない。まずは実践と思い、小学校で使っていた、おもちゃのような三角 定規とコンパスを借りて、メッシュのない白紙に立面図を書く。「すごい」の評価が息子 から。久々に父親の威厳を取り戻した瞬間であった。 今ではＣＡＤ全盛で、定規を駆使して製図することはなくなった。3次元コンテンツが 溢れる昨今で、２次元の図面から３次元を想像させる教育にも無理があって当然かもしれ ない。私が今の仕事に就いたきっかけに「製図が好き」が転じて図面を書く仕事として選 んだ感もある。中学生時代の経験が少なからず進路に影響したことになる。 聞けばパソコンの授業もあるようだが、ワープロ、表計算、プレゼンソフトの使い方に 終始しているとのこと。時代の流れに沿った技術家庭科の授業であれば、ＣＡＤを持ち込 むことも必要ではないだろうか。中学生時代のＣＡＤ経験が転じて、我々の業界を目指す 子供が一人でも多くなるかもしれない。 ただし、ＣＡＤの授業があっても息子がこの業界を目指すかは定かでない。 (外山康彦：中日本航空） ■コラム 統合型業務は総合格闘技 私は、2008年10月から大阪市勤務となり、忙しい毎日を送っています。広島勤務時代は、 市町村合併の統合型業務を幾つか経験しました。この種の業務は04年頃から発注が始まり、 ピークは過ぎた現在でも発注されています。受注を狙う企業は、総合力強化のため同業他 社、地元企業、異業種企業とアライアンスを組むこともあります。また、業務内容の多様 性、高額発注、業務期間等の理由からプロポーザル方式の発注が多いようです。中央省庁 のプロコンの発注手順は組織毎に概ね決まっています。これは、ポイント重視の傾向が強 く、礼に始まり礼に終わる“柔道”に似ています。市町村が発注機関の場合、プロコンの 発注実績が少ないため、発注方法等を決める段階から開始します。企業は早い段階から関 われるよう汗をかきます。これは、殴る、蹴るが許され、試合のルール等をその都度決め る総合格闘技に似ています。準備では、自分と対戦相手の長所・短所、試合のルールを見 極めた戦略を立て、これに体と技を柔軟に順応させなければ勝てません。下手な準備では ほんの数秒で敗者になります。 北京オリンピックの柔道はポイント重視の傾向が色濃くでました。対応不足の日本男子 チームは、史上最低のメダル獲得数でした。その中で活躍したのが、無差別級で金メダル を獲得した石井慧選手です。この傾向に対応するため練習場所をヨーロッパに求め、万全 の準備で試合に臨んでいます。世間に流れている情報では、柔道を捨てプロの総合格闘技 の道に進むようです。勇気のいる決断ですが、変化の速い現在では“あって然り”の行動 です。自分の実力を広い世界で試したいと強い意志が働いたのかもしれません。“レス ラー石井”を応援しましょう。 （正岡佳典：アジア航測） ■空間情報関連便利グッヅ / Web & Blogの紹介 ＊ 森の広場 「森の広場Woody Square」は森住祥宏さんのHPです。山岳展望・ダイヤモンド富士、地 図や地名の話題と研究会情報、お天気歳時記では世界各地の風景を写真で紹介しています。 そのほか山と地図の切手も面白い。（http://www2e.biglobe.ne.jp/~woody/） （田中邦一：日大） ■本の紹介 ●東京今昔散歩 原島広至・著 中経の文庫 （本体価格；657円） 明治・大正時代の手彩色の古写真（白黒写真に錦絵の絵師達が色をつけた写真）と古地 図それに現在の写真を並べて、東京の今と昔の違いが一目でわかる本です。江戸城、亀戸 天神、浅草、隅田川、上野、日本橋、銀座・丸の内、赤坂・四谷の各地に関連する雑学的 知識と逸話で興味深く紹介する、見てるだけで楽しい本です。（田中邦一：日大） ■測量協会イベント情報のお知らせ ◎セミナー �．機璽戰ぅ▲�デミー「地理空間情報イブニング・セミナー(第7回)」16時より 講師 河江肖剰 氏 古代エジプト調査協会 日時 平成21年1月20日（火）16時〜17時30分 演題 第7回「ピラミッドのリアリティー」 内容 これまでのピラミッド研究は、主にピラミッドとその周りの神殿や墓の発掘に限 定されたものでした。古代エジプト調査協会は、ギザ台地の様々な文化的遺構 −傾斜路、石切場、港そして居住地 − を包括的に測量調査することで、4500 年前の都市遺構「ピラミッド・タウン」を発見しました。 2006年より、それまでの線画による二次元の測量調査から、より現実に近い三次 元を記録するため、レーザー・スキャニング機材を導入しました。このプロジェ クトは、ピラミッドをありのままに記録することで、エジプトの遺跡のデジタ ル・アーカイブを目指しています。 �▲機璽戰ぅ▲�デミー「地理空間情報イブニング・セミナー(第8回)」16時より 講師 町田 聡 氏 パシフィックコンサルタンツ�蝓 � 日時 平成21年3月6日（金）16時〜17時30分 演題 第8回「建設行政における地理空間情報利活用の現状と課題」 内容 地理空間情報社会の構築に向け、行政機関が保有する地理空間情報の流通促進が 望まれている。建設コンサルタントは、基盤施設の調査・設計から維持・管理ま で、行政機関の支援業務を行っているが、各機関における情報の利活用状況を見 ると、情報の継続的な更新の仕組み不在、利活用の不十分など、残された課題が 少なくない。 我が国におけるこれまでのGIS推進施策を新たな視点から振り返り、建設関連業 界の新たなビジネス展開を睨みつつ、これからの地理空間情報社会の方向性を考 えてみたい。 参加費 会員(特別会員含む)は無料 非会員は2,000円 会場 会場 (社)日本測量協会 研修室(文京区小石川) CPD対象セミナー 問合わせは・ サーベイアカデミー事務局 03-5684-3360 ■TOPICS トピックス ★応用測量論文集の論文募集★ 応募締切り平成21年1月30日(金)必着 詳しくは、http://www.jsurvey.jp/application.htm ★発刊予定 「公共測量 作業規程の準則 解説と運用」 平成21年2月中旬 刊行予定 詳しくは、http://www.jsurvey.jp/2.htm (担当:廿楽実) ■スペーシャリストの会 連絡事項 今年のスペーシャリストの会の当面の大きな企画は次の通りです。 � 愨�量系技術者のための技術士取得への道』の出版 ⇒当会の全会員による執筆、1月30日が原稿締め切りです。 ��技術論文集『地理空間情報コンサルティング』の発刊 ⇒本年10月の総会時までに発行、詳細はMM誌25巻（12月号）を参照のこと。 原稿募集中です。 まず、�，慮狭討�30日までに、章編集責任者、節編集責任者までお送り下さい。 ■編集後記 明けましておめでとうございます。全国的に安定したお天気で気持ちの良い年明けだっ たのではないでしょうか？ 初詣ではとりあえず家内安全、身体健康など身近なお願いを してきました。世界的な経済環境は混沌としており国内もますます厳しい状況となること が予想されるなか、地理空間情報に関するスペ（ー）シャリストとして活躍できる１年で あるよう頑張りましょう。 （編集委員長） ──────────────────────────────────────── All Rights Reserved, COPYRIGHT(c) Spatialist Club 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