| タイトル：スペーシャリスト会報 Vol.55 | 発行日時：20011年7月15日12時24分36秒 |
| ┏ Magazine from Spatialist Club ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓ 20011年7月15日 ◇ スペーシャリスト メールマガジン ◇ vol.55 発行元：スペーシャリストMM事務局 http://www.capnet.jp/spatial/ ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ INDEX ：＊ニュース・ラウンジ ＊各支部活動報告 ＊リレーエッセイ＜空間連携＞ ＊コラム ＊空間情報関連便利グッズ / Web & Blogの紹介 ＊測量協会イベント情報のお知らせ ＊連絡事項 ============================================================================ ■ ニュース・ラウンジ 「記録文学」から多くを学ぶ 私たちは、3.11東日本大震災を機に災害の教訓とそれを後世まで記録し伝えることの重 要性を改めて認識した。今、吉村昭(1927〜2006年)氏の『関東大震災』、『三陸海岸大津 波』が何処の書店でも店頭に置かれ、災害の記録文学が脚光を浴びている。氏は『戦艦武 蔵』などの数多くの記録文学の傑作を残した作家である。災害の歴史にも強い関心を示し、 このような作品を残している。 昨年、或る縁で映画「桜田門外の変」(東映)の試写会を観て、直ぐに原作である氏の 『桜田門外の変』を読んだ。詳細な歴史考証と数多く蒐集した史料・資料から著作された 記録文学である点に深い感銘を受けた。次いで、今年の1月下旬に札幌に出張した折、北海 道立文学館(札幌市中央区中島公園)で開催されていた特別展(「吉村昭と北海道 歴史を旅 する作家のまなざし」)を見学できた。特別展の一角に、著作である『戦艦武蔵』とその取 材記録に基づく『戦艦武蔵ノート』が対比して展示されていた。 私は若い頃から氏の作品はよく読んでいた。この『戦艦武蔵』も『高熱隧道』、『零式 戦闘機』、『海の史劇』、『間宮林蔵』、『ポーツマスの旗』、『長英逃亡』、『関東大 地震』などの作品と共に読んでいたが、改めて『戦艦武蔵』(新潮文庫)と『戦艦武蔵ノー ト』(岩波現代文庫)を対比させながら読んでいくと実に綿密な取材と多くの生存者からの 証言インタビュー、莫大な資料の蒐集と分析など、記録文学の深淵に驚くばかりである。 氏は、戦艦武蔵を建造した長崎に取材だけでも107回訪れたようである。このように、自ら の足で時間をかけながら莫大な資料の蒐集・証言インタビューから、正確で客観的で鋭い 観察眼からの筆致が真髄であった。 氏は「記録する」ことに徹頭徹尾拘った作家であり、付け焼刃的な緩いアプローチは全 くなく、加えて情緒的な解釈もなく、数多くの事実の積み重ねから書かれているのが特徴 のようである。『三陸海岸大津波』や『関東大震災』を読むにつけ、今回の大震災と全く 同じ光景や塗炭の苦しみなどが事実のまま描かれ、私たちに災害の教訓を強烈に伝えてい る。それだけに読んでいて活字から目を背けたくなるような凄まじさがある。今から40年 前に、このような記録文学が記されていたことに改めて驚く。後世の人達が同じ塗炭の苦 しみや経験をさせないためにも、災害の被害や教訓を正確に記録し、伝えて行く役割が私 たちにはあることを再認識する。その意味からもこの２作は私たちにとっても必読である。 空間情報技術を糧にして生きている私たちは、吉村昭氏の作家としての信念や記録文学 が著作されるまでのプロセスなどから学ぶべきことが多くある。私たちの仕事も膨大な測 量データの収集と客観的視点からの分析、そのようなプロセスを経た情報や知見に基づく 企画提案に常に努めなければならない。私たちの仕事には、氏が貫いていた数多くの事実 の積み重ねから著作していくアプローチとの共通点も多いことであろう。 （瀬戸島政博） ＜編集委員会よりお知らせ＞ ８月号は林さんの担当です。 ■企画委員会報告 ６月は企画委員会の開催はありませんでした。 次回スペーシャリストの会企画委員会は、7月20日（火）13:30〜15:30 日本測量協会3F 会議室（301） ■中部支部活動報告 次回会合は、7月29日（金）15:00から パスコ中部事業部 ■関西支部活動報告 次回会合は、8月１9日（金）15:00から アスコ ■リレーエッセイ 『平成の伊能忠敬を目指す測量士』 アジア航測の正岡佳典です。同じ会社に勤務し、航空写真撮影では何時も迷惑をかけて いる大鋸朋生さんから襷を受取りました。私は、地方在住のスペーシャリストです。市町 村、地方整備局、民間会社等から受注する計測業務を中心に携わっています。 今回は、私が基準点測量をおもに担当していた時の上司を紹介します。現在、アジア航 測を退社され富山市にある株式会社アイペックで御活躍されている小網均さんです。小網 さんは、地理学の“名門”立正大学を卒業され当社に入社されました。「測量が天職」と 信じ、この道一筋に携わってこられました。赴いた現場は日本全国、発展途上国の東南ア ジア、アフリカにまで及びます。一緒に行った現場の宿でお聞きしたユニークな苦労話は 大変興味深いものでした。ユニークな点は仕事にも表れていました。当時の標定点測量は トラバース測量で行っていましたが、観測方法を決める選点作業は、他の先輩測量士にな い斬新さがありました。そのおかげで帰社後の計算作業は大変勉強になりました。今思え ば経験の浅い私に勉強させるためにそのような選点をされたのかもしれません。同じ職場 で一緒に働いたのは僅か一年程度ですが、小網さんの印象は心に強く残っています。 6年前に33年間勤めた会社を退職し、少しゆっくりされた後、再就職活動を始められま した。同じころから趣味として退職金の一部で六分儀、精密経緯儀ウイルドＴ２，電波時 計等を購入し、天文測量と航海術をベースにした測位技術で100万分の1相当の日本地図 作成に着手しました。このＧＮＳＳ時代にアナログなローテクを選択したのは、学生の頃 から航海士や航海術に興味があったこと、同じ５６歳で日本地図作成を始めた伊能忠敬が 用いた技術を現代で再現しようとしたからです。この測量は、北陸の地方紙や日本経済新 聞等でも取り上げられました。新聞で報道された回数は、この業界の経営者に匹敵すると 思います。地元の企業や大学もこのような活動をしている測量士に興味をもたれ、講義や 測量実習を依頼されています。電子技術の発達した現代においてもアナログ的な測量技術 を学ぶことは大事です。メニュー画面の選択やキーを押せば測位ができるＧＰＳは便利で す。もし、ＧＰＳを使わないで人里離れた山奥にある三角点に行くには磁石と地図を使っ た正しい読図力が要求されます。道のない山歩きで尾根や谷を間違えるととんでもない方 向に進んでしまうからです。測量を志す現代の学生が、実際にアナログ測量機で観測し、 脳味噌を使って“生のデータ”を手で計算することで測位の原理を学習することも重要で す。 私が大阪、名古屋の単身赴任生活で元気を失っているとの噂をどこからか聞き、ご自分 の近況と“エール”を“メール”で送ってくれたのがここで紹介させていただくきっかけ になりました。もう一つ思いだすのは何かのおりに温泉旅館の宴会で拝見した隠れた特技 です。酒がまわってくるとカラオケの音楽にあわせベテランの芸者さんのように舞うので す。ご覧になられた方は男女の区別なくその艶やかさに圧倒されてしまいます。 次回は、同じ中部ＳＰ会に所属し�螢僖好海燃萍�されている佐々木康博さんへ引き継が せていただきます。 ■コラム ●執筆順番 2011年1月号 花村（国際）、河野（パスコ） 2月号 斉藤（パスコ）、福岡（パスコ） 3月号 片桐（中日本）、船田（パスコ） 5月号 洲濱（パスコ）、木村（パスコ） 6月号 新井（アジア）、鈴木（朝日） 7月号 六浦（パスコ）、白井（朝日） 8月号 下村（パスコ）、中村（アジア） 9月号 下境（パスコ）、小野（国際） 10月号 大久保（アジア）、内海（パスコ） 11月号 大津（パスコ）、村田（国際） ■コラム 過去の教訓 今回の東日本大震災において被災地の方々はもちろんのこと、日本中のあらゆる人たち に対して、これまでの生活には無かった様々な影響を及ぼしていると思います。私自身は ３月11日の前日に宮城県栗原市へ納品に行っておりましたが、その日の内に東京へ戻るこ とができ直接的には難を逃れました。 それから、1ヶ月後、私は上下水道の業務に携わっていることから、宮城県某市の下水 処理場の災害復旧対応で現地に入りましたが、途中の仙台市や石巻市の状況はテレビ等の 映像から受ける印象をはるかに超えた状況でした。 その日、現地調査等を終えた車中のラジオで興味深い話を耳にしたので、ご紹介したい と思います。 ラジオの中で話題とされていたのが、仙台市若林区にある「波分神社」という小さな、 お宮さんのことでした。この神社は西暦８６９年の「貞観（じょうがん）地震」による津 波がその神社の位置まで来たことを示しているもので、後世へ伝える教訓として建てられ たものだそうです。そんなに古いお宮さんがあったことは地元の人にもほとんど知られて いなかったそうです。 興味があり少し調べてみると、この波分神社の位置は海岸から約５．５ｋｍの位置にあ り、今回の津波による浸水地域図（弊社でも調査を実施しましたが）と重ね合わせてみる と、ほぼ一致しています。 この貞観地震はマグニチュード８．３以上で仙台海岸には９ｍ以上の津波が押し寄せた そうなので、まさに今回の津波と同程度の災害実績があったことになります。 過去の経験とはよく言いますが、その過去の経験も人々の人生で経験できる程度などは 計り知れており、その時の運、不運によっても経験値は左右されてしまいます。長い年月 に起こった事象は何かしらの発生した意味があり、過去に学ぶことはこれからも必要なこ とであると実感しました。 私の親戚の地元は仙台市若林区荒浜にあり、本家の母屋や工務店を営んでいる義父の事 務所などがありました。現地へ足を運びましたが、記憶に残っている町並みや建物は跡形 も無く、言葉にならないものでした。ほとんどの家屋は木造でしたので、家の基礎部分だ けが残っている状態です。これとは別に、丈夫な鉄筋コンクリート造の構造物は基礎部分 から抜け出して流されており数十ｍ移動し転がっている状態でした。後で知ったのですが、 このような状況は単に波の力だけでなく、そこに液状化による地盤の緩みと浮力の働きに より建物自体が浮き上がり流されたそうです。 まさに、想定外として、想像を超えた現象が起きているとのことですが、ひとつひとつ を分析していくと、全ては起こりうることが分かります。やはり、先人の残したものを過 去の教訓にすべきであり、そこからもう一歩考える努力が必要ではないでしょうか。 （六浦 聖夫：パスコ） ■コラム すぐそばにあった、話題（？）のパン屋「たま木亭」 最近になってはじめて知った、家からそれ程遠くない場所にある全国的に話題のパン屋 さんについてご紹介します。 小学校の頃から現在まで、京都府宇治市に住んでおり、10円玉のデザインで有名な平等 院やアジサイで有名な三室戸寺（さりげなく自慢）があります。その他に万福寺（あまり 有名ではない？）というお寺がありますが、その最寄り駅である黄檗駅から歩いて数分の ところの話題の「たま木亭」というパン屋さんがあります。 なぜ有名かというと、食べログでの口コミ数が全国で1位（らしい）なのだそうです。 最もこの情報は嫁さんが働いている同僚からの情報ですので、本当に1位かどうかを確認 した訳ではありませんので、その辺はご容赦下さい。 そこで実際に食べログを見ると、大抵は絶賛する内容ですが、中には少し脂っこいとか、 掲載数が多いのは確かでした。 そのため事の真偽を確かめるべく、早速日曜のお昼頃、散歩がてらにそのパン屋さんに 行くことにしました。 行ってみると、以外にも外見は比較的小さく、どこにでもあるような街のパン屋さんで したが、中に入ってみると、小さい店内はお客でごった返していました。棚には所狭しと パンが並んでおり、皆、トレーに山積みになるまでパンを買いまくっていました。さらに 店の奥では次から次へと新しいパンが焼かれており、日曜のお昼に行ったので、始めはも う既に売り切れているのではと思っていましたが、そのような心配は皆無でした。 今回は惣菜パンと菓子パンを中心に計8個も買ってしまいました。その内の4つを紹介す ると、博多明太、ぐしけんパン（ソーセージを丸ごとパンに包んだもの）、パンシュー （厚切りベーコン）、じゃがベー（ジャガイモとベーコン）です。 家に帰って早速食べてみましたが、中身はケチることなく、かなりのボリュームで、少 し脂っこいですが、とてもおいしいパンでした。確かにかなり脂っこいので、食べ過ぎに は注意しないといけないようですが、これから定期的に行きつけのパン屋になることは間 違いないようです。 もし、皆様が観光等で平等院や三室戸寺、万福寺等に行かれる機会がありましたら、比 較的近いですので、一度お立ち寄り頂く価値はあるかも？（私見ですが）しれません。ち なみに伊藤久右衛門（京阪線の三室戸駅近く）というお店もかなり有名なので必見です。 （白井 正孝：朝日航洋） ■空間情報関連便利グッズ / Webの紹介 ＊ 住所を入れると緯度・経度に変換してくれるサービスは東大生研のサイトにあること は知っていたが、標高に変換してくれるサイトがある。 http://wisteriahill.sakura.ne.jp/GMAP/GMAP_ALTITUDE/index.php ＊ この作者 SAKURA さんは Wisterriahill というHPを立ち上げていてここからも入れ ます。http://foonyan.sakura.ne.jp/index.html また「地図と画像の覚書」というブロ グ（ http://wisteriahill.sblo.jp/ ）もあって、地図や画像に関する話題提供していま す。このほか、サイトマップを見ると地図の応用として最短経路検索や北を知る方法など いろいろ面白い情報を得ることができます。 （日大：田中 邦一） ■測量協会イベント情報のお知らせ ○第22回地理空間情報イブニング・セミナー 公共測量の最新動向 「作業規程の準則」の一部改正及び東日本大震災に伴う基準点の復旧測量 講 師: 白井康友（(社)日本測量協会測量専門技術教育部部長） 日 時 平成23年7月20日（水）16時〜17時30分 会 場 日本測量協会 研修室 参加費 会員は無料、非会員は2,000円 CPDポイント 測量CPDを1ポイント発行 募集人員 先着50名 詳しくは、http://www.jsurvey.jp/k-academy230720.pdf ○測量協会・公開講座 中国の測量地図作成の歴史 第4回テーマ 「元・明・清時代・・・・伊能図より100年進んでいた清の全国地図」 日 時 平成23年10月6日(水) 講義16:00〜17:00 質疑応答17:00〜17:30 講 師 今村遼平 氏（アジア航測（株）） 会 場 日本測量協会研修室 ※ 参加費: 無料 CPDポイント 測量CPDを1ポイント発行 募集人員 先着30名 詳しくは、http://www.jsurvey.jp/koukai231006.pdf （廿楽:測量協会） ■連絡事項 ＳＰ会顧問の村井先生が執筆された書籍のご案内 「東日本大震災の教訓〜津波から助かった人の話」８月初旬発刊 古今書院 なお、著者割引にて1600円で購入可能 7/7の瀬戸島会長からの案内メールを参照下さい ■編集後記 今年は、例年になく早い入梅でしたが、7月11日頃までには東北を含めて全国的に梅雨 が明けました。平年と比較して、7日から17日も早い梅雨明けとなったとうです。また、 電力需要に対する節電対応が叫ばれる中、各地で暑い日が続いています。熱中症の予防 も重要になるかと思いますので、体調管理には気をつけて今夏をのりきりましょう。 （編集委員長） ──────────────────────────────────────── All Rights Reserved, COPYRIGHT(c) Spatialist Club このメールマガジンを紹介したい方は各自の責任で転送しても結構です。 ──────────────────────────────────────── |
|
| 戻る | |
| CGIの匠 |