| タイトル：スペーシャリスト会報 Vol.57 | 発行日時：20011年9月16日12時5分43秒 |
| ┏ Magazine from Spatialist Club ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓ 20011年9月16日 ◇ スペーシャリスト メールマガジン ◇ vol.57 発行元：スペーシャリストMM事務局 http://www.capnet.jp/spatial/ ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ INDEX ：＊ニュース・ラウンジ ＊各支部活動報告 ＊リレーエッセイ＜空間連携＞ ＊コラム ＊空間情報関連便利グッズ / Web & Blogの紹介 ＊測量協会イベント情報のお知らせ ＊連絡事項 ============================================================================ ■ ニュース・ラウンジ 本原稿の〆切直前ではありますが、9月14日読売新聞の第１面に、３次補正予算の内容 がまだ不透明な状況下で「第４次補正予算の編成」なる記事が掲載されました。民主党輿 石幹事長はこの記事に対して「情報管理を徹底したい。読売新聞のトップ記事は第４次補 正予算だ。誰がどこで言ったのか分からない」とコメントしています。この記事の妥当性 やこれに対する情報管理の本意は知るよしもありませんが、情報の信頼性が問われている 事態に他ならないと思いますし、また情報の扱いに対するモラルの低下を感じずにはいら れません。ますます？国民の信頼を失う結果につながりかねない話と感じます。 さて、我々SP会は、「測る」、「解く（分析する）」、「利用」に関する地理空間情報 コンサルタント集団です。扱う地理空間情報の信頼性なくして社会活動は成立し得ません。 地理空間情報がどのような品質を備え、この情報によってどのような分析や利用ができる のか、またユーザにとってどのような貢献ができるのか、論理的に説明できてはじめてコ ンサルタントとして評価が得られるものと考えています。 地理空間情報分野では、携帯端末によるGNSS測位や様々な地図情報サービスが急速に普 及し、手軽に位置情報サービスを享受できる、非常に便利な時代となりました。さらに最 近では車両搭載型の計測機器が普及の兆しを見せており、誰でもが簡単に地理空間情報を 取得できる時代が迫ろうとしています。こうした技術の進展は当然歓迎すべきもので、従 前になかった新たな可能性が大いに期待されるところです。 しかし、我々はこうした新技術の恩恵を受けながら、「測量」について理解しておくべ き理論や仕組みや成果に対する品質意識、といった基本的な認識をおろそかにし始めてい ませんでしょうか。極端ではありますが、全てが機械任せの「測量」が蔓延し、その成果 の品質や信頼性が語れないようでは地理空間情報コンサルタントどころではありませんし、 いずれ誰からも信頼されなくなってしまうのではないでしょうか。「測量」に携わってき た諸先輩方は、愚直で多くを語らなかったかもしれませんが、品質や信頼性に対する厳し い目があったと思いますし、裏づけられる理論についてもよく理解されていたと思います。 今、「測量」を取り巻く環境は非常に厳しい状況ですが、様々な社会活動を支える地理 空間情報の品質や信頼性が疎かにされてはいけません。このような時にこそ、品質や信頼 性に基づいた地理空間情報コンサルタントを続けることで、世間からの信頼を確たるもの にしなければならないと思います。このようなことについて考える、良い機会ではないか と感じるところです。 （住田 英二：スペーシャリストの会副会長） ＜編集委員会よりお知らせ＞ 10月号は高さんの担当です。 ■企画委員会報告 9/15開催の企画委員会報告は、次月号に掲示を予定します。 ■関西支部活動報告 開催日時：平成23年８月１９日（金）15:00〜17:３0 開催場所：株式会社アスコ 本社9Ｆ会議室 出 席 者：内田（アジア航測）、大石（国際航業）、岩切（パスコ）、西村（アスコ）、 平田（国際航業）、藤井（写測エンジニアリング）、河野（パスコ）、 村田（国際航業）、前出（事務局） 欠 席 者：森田（パスコ）、田中（パスコ）、吉岡（パスコ）、森（アジア航測）、 船田（パスコ）、白井（朝日航洋） 順不同・敬称略 １．議題 （１）報告･確認事項 �〜芦鶺鳥�録の確認（資料-1：参照） ��第22回「地理空間情報イブニング・セミナー」（Webセミナー）開催結果 （２）討議事項 �（神�23年度技術士一次試験対策講座の開催を終えて ��関西支部としてのイブニング・セミナーの開催について （３）第６回勉強会（担当者：岩切氏） （４）その他 ２．議事内容 （１）報告・確認事項 �〜芦鶺鳥�録確認 議事録内容は了承された。 ��関西支部としてのイブニング・セミナーの開催について ・7/20開催 参加者25名 ・今後の予定として、9/15，11/8はWeb無し。第25回以降で行う。 （２）討議事項 �（神�23年度技術士一次試験対策講座の開催を終えて 1) 開催結果 ・参加者 ５名。中部でも少なかった。 ＜直後の反省会での意見＞ ・中部と調整して、合同での開催も検討。 ・チャンスを潰さないように取りやめない方がよい。 ・測量系技術者が受験する部門が問題。 ・広報期間が短かった。もう少し早い時期に開催した方がよい。 2) 今後の対応について ・来年度、関西は開催決定済み(測量協会関西支部として)。しかし、来年度も参 加者が少なかった場合は、翌年度は分からない。 ・開催日に選択肢があれば、参加者増になる可能性有り。 ・広報の段階で２次試験を見据えた内容(専門科目紹介の講義)の検討を行う。 ・時間は延長させても良い。 ・測量会社では、技術士では集まらない。経営者に対しての働きかけが必要。 ・空間情報総括監理技術者へのステップとして、募集時に広報・周知する。 ・空間情報総括監理技術者を持つことのメリットを周知。体験談などを載せる方 法もある。 ��関西支部としてのイブニング・セミナーの開催について 1) 開催について ・Webは継続して行うが、関西オリジナルとして年内に１回程度でよいと考え られる。 ・本年度は広報の期間をみて、１１月以降に１回実施する。 2) 内容について ・第１回は、内田氏（アジア航測）にお願いし、快諾を頂いた。内容は、ご専 門の写真測量について。 ・以降については、各社準備を以下の通り確認した。 国際航業：平成21年9月8日開催の講師である甲斐さんにお願いして 特許権などの講演は可能 3) 日程の詳細について ・講師の内田さんと事務局で調整。 （３）勉強会 第６回勉強会として、資料−２に基づきパスコ岩切氏より講義が行われた。 【内容】道路の走りやすさマップの事例について （４）その他 ・次回会議は、１０月７日（金）午後３時から、�螢▲好害餤勅爾嚢圓Α� ■中部支部活動報告 開催日時：平成23年9月13日(火) 15：00〜17：00 開催場所：�螢僖好鈎翩�事業部 9F会議室（名古屋市中区錦2-2-13 名古屋センタービル） 出席者：12名 １．地理空間情報産学官中部連絡協議会WCへのオブザーバーとして参加 第１回会議 開催日時：8月26日 4名参加（オブサーバー参加） 第１回ＷＧ会議 開催日時：9月26日 ３名参加予定 ２.上記に関する地理院中部地方測量部との意見交換会を２回行った 第１回 国土地理院中部地方測量部との意見交換会 開催日時：7月１日 参加者：3名（北原部長、山本管理官、畠山次長） 中部SP会：6名（白井、外山、片岡、佐々木、小川、早川） 第２回 国土地理院中部地方測量部との意見交換会 開催日時：9月8日 参加者：3名（北原部長、山本管理官、畠山次長、小松崎測量専門職） 中部SP会：5名（早川、佐々木、小川、梅村、正岡） ３．イブニングセミナーin中部 第２回を下記の日程で行う。 �々峪嬪縦蝓�北原部長及びSP会員（未定：次回会議にて決定する） ��開催予定日：平成23年12月9日（日本測量協会講習会の開催日に合わせる） ��セミナー会場：中統奨学館ビル「ＣＨＵＴＯホール」 �て睛董А碧霧局�長）中部圏域の情報基盤構築のための仕組み （SP会員）1時間程度 未定：次回会議にて決定する） ４．平成23年度愛知県建設事務所研修について 10月１７日に尾張建設事務所にて行う 講師：早川、正岡（２名） ５．測量協会主催の講師派遣 �々崕�会 空中写真に関する講習会（日本測量協会中部支部 主催） 講習日：12月9日、講師：佐々木康博氏、前田修氏、中舎哉（調整中） ■リレーエッセイ 四万十川カヌー清掃大会に参加しました。 カヌーはバドルを漕げば前に進むし、方向転換するのは簡単では？小学校の3年間のスイ ミングスクールによる泳力を過信し、転覆しても大丈夫と軽い気持ちで望みました。 当日は雨で風はさほどなく、気温は19度と少し低い程度でした。 地元四万十川ＮＰＯの号令で決行になりました。 一人乗りカヤックでいざ川へ。最初は浅瀬のワンドで練習し、川中へ楽々移動と思いきや、 本流に入ると自分の制御がまったくきかなくなりました。 対岸の淵に垂れ下がる河畔林にぶら下がるゴミを目指すも、流されて行き着けない。清掃 活動どころではありません。 そして、流れに対して艇が真横になり本流の波を受けた瞬間に転覆し、水中へ上半身が引 き込まれました。都会でなまった体がカヤックから抜けず、 慌てふためくばかり。ＮＰＯの方から教わった脱出方法を幾度かトライアル（暴れていた だけ？）して水上に顔を出すことができ、なんとか窒息死せずに浮き上がることができま した。 景色がかすんでいる？メガネがない。転覆したときに川底へ落としてしまい、尚かつバド ル、靴も既に遠き下流に流されてしまいました。 上流から二人乗りのカヌーが救援に来てくれて、なんとか浅瀬までたどり着くことができ ました。一人であれば流されるままになっていたところでした。 それから再度チャレンジして漕ぎ出し、緩やかな流れに身を任せて下流の赤鉄橋にたどり つくまでの間、風情を満喫しながら四万十川とこんな会話をしました。 ････････････････････････････････････････････････････････ 「四万十さんこんにちは。私は川の清掃にきました。でもカヌーが下手でゴミがとれませ ん。」 「川の清掃？ああ人間が排出したゴミだね？あはは、うまくゴミが採れないって？水の流 れ、いわば私達に逆らうからだよ。共存して理解してくれたら、水や風が自然とカヌーを 漕いでくれるはずだよ。」 「みんなって誰ですか？」 「空と山と川などを構成するみんな。人間社会では環境っていってる奴かな？川の掃除は みんなが共存して自然にしているから、そんな大したことじゃないんだけどね。やっかい なゴミがあるんだ。」 「やっかいなゴミって？」 「そりゃ決まってるだろ？あんた達人間だよ。私たちは変化しやすくできている。でも人 間さんは、自然のものを加工して変化しにくいものを重宝しているからね。だから嫌いな んだよ。でも私たちはその環境に順応していかなくちゃいけない。だから、あんた達がい う貴重な動植物がいなくなったり、今までなかった生態が出てくるんだ。」 「そうか。人間にとっての環境を考えているから、我々人間はエゴイストなんや。」 「別にね、人間さんがどうのこうのは言わないよ。でも安らかで長い年月に共存している 私たちの邪魔だけはしないでおくれ。するなら、ちゃんと後始末してくれればいいだよ。 あんた達がしてること大したことじゃないけど、その気持ちはうらやましいね。だって、 俺達には言葉がない。しいて言えば、ごぉー、ひゅー、ゴボゴボ、ザザーンなんていう自 然の音で表現しているんだけどね。｢あんたも人間として一人前なんだろ？そういった人が たくさんできるようにすることがあんたの務めかい？あはは！がんばりな。」 「わかった。ありがと四万十さん。これから活動参加するよ。ありがとう。」 「ここから下流も上流もみーんな四万十川だから。ここならいつでもどこでも、来てくれ たら話するよ。またおいで。」 自然に全く歯が立たず、相手にもしてもらえなかった私の切ない想いでとなりました。 ････････････････････････････････････････････････････････ 天竜川川くだり事故をはじめ、川や海での水難・遭難事故が相変わらず多発しています。 今回は私も転覆時にＮＰＯの方々の助けがなければ、もしかしたら溺れ、三途の川を渡っ ていたかも・・・。 こんなところにも空間情報技術の活躍が期待されます。 海浜・川辺・山中の活動において、ＧＰＳなど測位システムで水難事故、登山事故などの 軽減が図れ、レジャーがより安全になる。 そんな防災技術を提供していくことも我々の使命ではないでしょうか。 （吉岡 裕嗣：パスコ） 次回は、パスコ 船田さんにリレーしていただきました。 ■コラム ●執筆順番 2011年1月号 花村（国際）、河野（パスコ） 2月号 斉藤（パスコ）、福岡（パスコ） 3月号 片桐（中日本）、船田（パスコ） 5月号 洲濱（パスコ）、木村（パスコ） 6月号 新井（アジア）、鈴木（朝日） 7月号 六浦（パスコ）、白井（朝日） 8月号 下村（パスコ）、中村（アジア） 9月号 下境（パスコ）、小野（国際） 10月号 大久保（アジア）、内海（パスコ） 11月号 大津（パスコ）、村田（国際） ■コラム 「防災とデザイン」 近年、情報伝達のための表現とその技術革新にともない、防災、災害対策においても様 々な形での情報の可視化が現実されている。 しかし、高度化、多層化（地下空間など）が進む都市部では、人口集中、核家族化の進 行などで、過去に被災経験のない住民、あるいは災害経験のある住民も時間の経過により 記憶が薄れ、防災についての認識が希薄となる傾向がみられるなか、世界のグローバル化 にともない、言語による情報伝達に対して理解が不十分な人々が増加をたどる社会構造と なっている。 そのような状況の中では、防災情報の整備・伝達や避難誘導体制の充実、住民の防災意 識の高揚など、ソフト面での対策とその品質の向上は必要不可欠である。 第一に必要なものは、人々の生活の中での安全・安心のための｢情報の把握と理解の向 上｣である。そのためには、誰もが理解でき、利用可能な防災情報のあり方と整備の必要性、 言葉での説明を介さずとも伝達可能なコミュニケーションツールの充実、すなわち情報の 可視化の活用であり、その有用性と品質向上に重要な役割のひとつがデザインである。 公共の場、社会生活において、多くの人々が日々活動を行うためには情報が不可欠であ る。路上を見渡すと信号に始まり、標識、みちの建物の案内・誘導、進入禁止など、上げ だすときりがない。 そのような公共の情報は、非常によくできたルール、それらを実現・機能させる高い次 元の情報編集とデザイン表現の技術からなりたっている。 それは、不特定多数の様々なニーズを持つ人々が、あらゆる状況下での利用を前提とし て成立させる必要がある。つまり、ユーザーが多様であるからこそ、与えるべき情報に対 して、困惑せず理解の幅や認識のズレが限りなく最小限のコミュニケーション媒体、その ためのデザイン表現が求められるからである。 国において、防災に関する図記号（ピクトグラム）が作成されているが、実際の活用事 例としては、統一した表現とならず、様々な形で私たちの生活の側面に存在し、全国統一 としてデザイン表現されていないのが現実である。 防災に関わる自治体職員やコンサル技術者は、情報の伝達・発信の様々な媒体制作にお いて、必ず図記号を基本として、ヒトが知覚出来ることを重視した可視化を目指し、人々 に情報を知覚的にわかりやすく伝えることが、防災力向上に寄与することができると考え られる。 （下境敏広：パスコ） ■コラム 「東日本大震災」に思う 「東日本大震災」から６ヶ月が経過した。いまなお東北地方には大きな傷跡と消えること のない悲しみが残っている。復旧・復興に関しては野田総理大臣になりあらたなステージ へと進みつつある。スピード観のある対策に期待するところである。 私は、震災当時、東北事業所（仙台市）に勤務していた（4月より東京勤務）。当社の事 業所はビルの８階にあり、発災当時打合せ中であった。最初、強い揺れを感じたが、その うち収まるだろうと思っていた。次第に立っていられなくなりテーブルの下にひざ立ちに なりひたすら耐えた（後日確認すると、ひざにはあざができていた）。揺れ幅は、1ｍ以上 あったように思う。時間にして３分、非常に長く感じた。地震が治まってから回りを確認 した。入り口のドアは廊下側に倒れてガラス部分が割れて飛び散っていた。執務室に戻る 途中にある自動販売機や給茶機は転倒し水浸しになっていた。執務室を見たときは愕然と した。机が大きく移動しており、机の上のPCや書籍は、ほとんどといっていいほど床に落 下していた。本棚の書籍はほぼすべて落下し、通り抜けのためには、本や書類を踏みつけ ていくほかない状態であった。部員にけが人がいないことだけは確認できた。むしろ不思 議な感じがしたくらいだ。 日がたつにつれて、被害の状況がわかってきた。津波の映像や死者・行方不明者の桁違 いの多さに背筋が冷たくなったことを覚えている。社員や派遣・アルバイトには、人的な 被害はなかった。しかし、親戚には津波の被害に遭い亡くなった方がいることが次第にわ かってきた。慰めの言葉も弔いの言葉も何かしっくりこない。怒りや悔しさといった感情 がわきあがってくる。人は、日々の生活は変化がなく同じ日常の繰り返しだと思いがちで ある。平凡な毎日を過ごしていると思っている。しかし、現実に存在しているすべてのも のは常に流動変化するものであり、一瞬といえども同一性を保持することができない。そ して、時には一瞬にしてすべてが大きく変化する。無常観ともいうこの感覚は、災害にさ らされてきた日本人にとって強く意識され、そして文化的にも影響を与えている感性でも ある。 今回の「東日本大震災」からの復興を第二次大戦後の復興と同一視する向きがある。戦 後の復興には、コンサルタントが大きな役割を果たした。今回の復興に関しても、原子力 発電所の事故の影響も大きくまだまだ先の見えない状態ではあるが、インフラの整備を進 める中で、われわれコンサルタントの果たすべき役割は大きなものがある。未来は現在の 延長線上にあるが、時として今回のように大変化を起こす。この大変化を復興するために は、大胆な発想や強い行動力、高い提案力が必要である。測量・設計など従来の枠を超え 空間情報を駆使することで復旧・復興の手助けになりたいと思っている。 （小野 博之：国際航業） ■空間情報関連便利グッズ / Webの紹介 （書籍紹介１） 官僚に学ぶ仕事術 著者：久保田崇 マイコミ新書 定価：本体830＋税 我々の業務は、依然、人に頼る部分も多く、時間との戦いの連続である。このような中、 東日本大震災を起因とする節電が実施されたが、これは、節電だけではなく、出勤時間の 見直しや休暇取得など、日本人の働き方や価値観を見直す契機ともなっている。本書は、 現役の若手キャリア官僚が霞ヶ関で培ってきた仕事術（最小のインプットで最良のアウト プットを実現する霞ヶ関流のテクニック）が多角的に紹介されている。質の高い仕事術を 身につけたい方、働き方を変えたいあなたには必読書ではないだろうか。 （林 義政：パスコ） （書籍紹介２） 岐路 3.11と日本の再生 島田晴雄 著 「世界は今、この世界史的な困難に遭遇した日本が、これからどうなるのか、このまま 津波に呑み込まれたように沈んでしまうのか。それとも、この未曾有の危機をバネにて、 不死鳥のように立ち上がるのかを固唾を飲んで見守っている」 このような、ある種の緊迫感を帯びて本書は始まる。日本という国が直面している現実 と、この困難に屈服せず、向かっていくべき姿を明白に表している。 本書の前半では、実際にどこで何が起きたか、大地震の発生、津波による惨状、福島第 一原発の事故、各国からの支援などを、多大な情報ソースの中から適確に選別して概観す る。また、原発管理の現場で長年働いた末に白血病を患い逝去した、平井憲夫氏のレポー トを要約して紹介しており、存在を知らなかった方には大いに参考になると思われる。 3月11日の衝撃を受け著者は、「この災害は、日本にとって、これからの未来を決める 重大な岐路になるのではないか、と直感した」と記す。さらに、「そして日本がこれを奇 禍として新しい国づくりに成功するために何をすればよいか、私なりの考えを提案しよう と考えた」と続く。 新たな国づくり提案の骨子は、“太陽経済都市圏の構築”である。太陽光や水力、風力、 地熱、バイオマスなどを活用した自然エネルギーを経済活動の基本に据えて運営する仕組 みを「太陽経済」と名付け、雇用の創出や産業の振興を図るものであり、衰退過程に入っ ている日本のシステムを再設計しようという構想でもある。 明治維新も戦後の復興も、若き世代の行動が源泉になったといえる。これからの新しい 時代を切り拓くのも、岐路の中央に立つ各産業界の技術者たちであろう。 （大友 正晴：国際航業） （書籍紹介３） 外邦図−帝国に本のアジア地図 著者：小林 茂 中公新書 明治初期から太平洋戦争終結まで、日本が戦争と植民地統治のために作成したアジア太 平洋地域の地図を「外邦図」と言うそうだ。日本の進出に先駆けて陸軍将校たちの偵察測 量、戦場での争奪、越境空撮など知られざる作製の内実と、戦後は管轄する組織もなく散 逸してしまった。これらを集め利用の歴史を明らかにするとともに、過去の地形と土地利 用を知る資料として供するため、国際協力のもとにアーカイブ化しWebで閲覧できるよう にとの取り組みを紹介している。 （田中 邦一：日本大学） ＷＥＢの紹介： ＊ 東北大学付属図書館／理学部地理学教室が運営する「外邦図デジタルアーカイブ」で 同大学が所蔵する12,282点の外邦図をインデックス・マップ検索、地域別データリスト、 キーワード検索、登録データ統計などが利用できる。このほか大阪大学外邦図研究プロジ ェクト、御茶ノ水女子大、国立国会図書館等いくつかの機関でも整備している。これらは 東北大学のリンク集からアクセスできるので利用されたい。（田中 邦一：日本大学） http://dbs.library.tohoku.ac.jp/gaihozu/ ■測量協会イベント情報のお知らせ ○平成23年度 スペーシャリストの会総会 日程 平成23年10月12日(水) 14時〜15時45分 会場 測量年金会館 (新宿区山吹町11-1) 議題 事業報告及び事業計画 (スペーシャリストの会会長・瀬戸島政博) 講演(スペーシャリストの会顧問・村井俊治) 演題「東日本大震災を画像で検証」 ○第24回地理空間情報イブニング・セミナー 大震災対応へ貢献する測量技術 −既存の測量技術と新しい測量技術の連携・測量界の連携で大地震対応へ貢献- 講 師: 大瀧 茂 （(社)日本測量協会測量技術センター管理部長） 日 時 平成23年11月8日（火）16時〜17時30分 会 場 日本測量協会 研修室 参加費 会員は無料、非会員は2,000円 CPDポイント 測量CPDを1ポイント発行 募集人員 先着50名 詳しくは、http://www.jsurvey.jp/k-academy231108.pdf ○測量協会・公開講座 中国の測量地図作成の歴史 第4回テーマ 「元・明・清時代・・・・伊能図より100年進んでいた清の全国地図」 日 時 平成23年10月6日(水) 講義16:00〜17:00 質疑応答17:00〜17:30 講 師 今村遼平 氏（アジア航測（株）） 会 場 日本測量協会研修室 ※ 参加費: 無料 CPDポイント 測量CPDを1ポイント発行 募集人員 先着30名 詳しくは、 http://www.jsurvey.jp/koukai231006.pdf （廿楽:測量協会） ■編集後記 ９月中旬にもかかわらず、いまだに熱中症の患者が出るほど、残暑が続いています。風邪 などひかぬよう、皆様、留意いただき、下期もがんばりましょう。 （編集委員長） ──────────────────────────────────────── All Rights Reserved, COPYRIGHT(c) Spatialist Club このメールマガジンを紹介したい方は各自の責任で転送しても結構です。 ──────────────────────────────────────── |
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