| タイトル：スペーシャリスト会報 Vol.58 | 発行日時：20011年10月16日23時22分7秒 |
| ┏ Magazine from Spatialist Club ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓ 20011年10月16日 ◇ スペーシャリスト メールマガジン ◇ vol.58 発行元：スペーシャリストMM事務局 http://www.capnet.jp/spatial/ ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ INDEX ：＊ニュース・ラウンジ ＊企画委員会・各支部活動報告 ＊リレーエッセイ＜空間連携＞ ＊コラム ＊空間情報関連便利グッズ / Web & Blogの紹介 ＊測量協会イベント情報のお知らせ ============================================================================ ■ ニュース・ラウンジ 少々古い話だが、東日本大震災が発生して約三ヵ月後の2011年6月、新宿明治安田生命 ホールで第40回国土地理院報告会が開かれた。テーマは「東日本大震災と地理空間情報」 である。 私は1時間ほど遅れて、目的地のホールに着いた。受付のロビーに数十人の来場者がテ レビの画面を見入っていた。画面には会場内の壇上で講演している人の姿が映っていた。 会場の入口のドアを開け、会場内を眺めた。階段状の席は満員で、立席で聴いている者も 多かった。〈これは、入れそうもないなあ…〉と感じ、熱気がむんむんとする会場を離れ てロビーに戻り、立ちながらテレビ放送を聴くことにした。今回の発表課題に関心を持つ 関係者が想像以上多いのに少々驚いた。 私が特に興味があったのは、「震災対応における地理空間情報の活用」報告である。 発表者は国土地理院の防災企画官である。発表の内容は、(1)大震災に関する地理空間情 報の収集と提供、(2)震災対応における地理空間情報の活用である。(1)の収集と提供では 「地殻変動」「画像情報」「津波浸水状況」「ベースマップ」「各種主題図（道路規制情 報等）」であるという。(2)の活用は関係行政機関、民間、報道機関等であり、活用され た事例は、 �〆匈欧寮犬犬疹貊蠅稜聴�・図示（固定資産税等の課税免除のための区域指定での津波浸 水範囲の活用） �∈匈欧竜�模や様相の把握・図示（被災前後の空中写真を並べての被害の程度、港湾の漂 流物の移動量、空中写真を用いた都市の被災度） ��施設情報等との重ね合わせ・図示（津波浸水域と都市機能との重ね合わせ、空中写真と 冠水した農地や用排水施設との重ね合わせ、文化財と津波浸水域との重ね合わせ） ��GIS等を用いたより高度な分析（海底の地殻変動量を得るために陸域の電子基準点デー タの活用、浸水範囲と空中写真を用いた市街地の被災の程度の類型化との分類、海岸林 の被害の状況等） 等であったという。今後の取り組みで、「国土地理院では今後は復旧・復興を支援するた めの地理空間情報の整備をより本格化させる予定」と述べ、締めくくっている。多種多様 に多く利活用されていたのだと改めて知った。 発生から半年は経ったが、さらなる震災復旧・復興に地理空間情報がどのように支援活 用できるか、今や、172名（2011年9月9日現在）に達する、知識と経験の豊かな空間情 報総括監理技術者が知恵を出し合って貢献していくことが求められよう。誰が言ったのか 忘れたが、知恵は「広さ」の知識（知識のみでは"頭でっかち"）と「深さ」の経験（ 経 験のみでは"井の中の蛙"）から生まれるという。良き知恵を期待したいものだ。 （高 泰朋：朝日航洋） ＜編集委員会よりお知らせ＞ 11月号は瀬戸島さんの担当です。 ■企画委員会報告 日時：平成23年9月15日（木）13:30〜15:30 会場：（社）日本測量協会 ３階 ３０１会議室 出席者：(敬称略)瀬戸島、住田、林、池田、望月、秋山、大伴、高岸、井畑、廿楽（事務 局） 欠席者：(敬称略)北原、高、田中、神原、大友、早川、白井、鈴木、津留、村木 議事 １．前回議事録の確認 �ゝ鳥�録を配布し確認する。 ２．報告事項 （１）各支部活動報告 �ヾ慇昌拮瑤粒萋以鷙陲鯤鷙霆颪砲銅�ける。関西支部版イブニングセミナーを計画。 ��中部支部の活動報告を報告書にて受ける。愛知県建設事務所研修 �Ｅ賈婿拮瑤粒萋以鷙陲鯤鷙霆颪砲銅�ける。日本測量協会主催で東北地区でイブニン グセミナーを開催。 �づ賈婿拮瑤了拮�長が小野支部長（国際航業）転勤により、次の新体制となる 支部長（後任）大津泰弘氏（パスコ） 副支部長 中野修氏（アジア航測）、及川典生氏（国際航業） （２）MM（メールマガジン）誌の記事等について �（埆個垢惑魄羯瓩�引き続き名古屋にて行う。 （３）第24回イブニングセミナー（2011年11月8日）への参加要請 �”�興測量について実施予定。 �∧神�23年1月はクリーンエネルギー（国際航業ホールディングス）を予定 （４）公開講座―中国の測量と地図―（2011年10月6日）への参加要請 �〆Ｂ嫉瓩�講師、このテーマは今回で完結する。 ３．討議事項 （１）月刊「測量」スペーシャリストの会コーナーの分担執筆（毎号）の確認 �‖茖乎董屮螢好�管理」第4回 及川典生氏（国際航業） ��第９弾「研究開発」第1回 沼田氏（アジア航測） �Ｂ茖甲董峺Φ羈�発」第2回 佐藤俊明氏(パスコ) �ぢ茖甲董峺Φ羈�発」第4回 今村氏（朝日航洋） ・いずれこのコーナーについてはまとめて出版物にしたい。 （２）日本写真測量学会北信越支部セミナー講師派遣の件 次の講師で調整を行う。 ��11月25日（金） 高岸且氏（パスコ） →本人了承 ��1月23日（月） 辻氏（アジア航測） ��3月2日（金） 今村氏（朝日航洋） ��5月は国際航業から講師を出す。 （３）SPの会総会（2011年10月12日（水）14:00〜 測量年金会館(江戸川橋))について �〜躄颪凌聞堝睛董�pptの原案にて説明を受ける。 �∧神�23年度は役員改選の年である。新人事は総会にて総会出席の会員の意見を求める。 意見が無いない場合は事務局にて新人事（案）を総会にて提示する。 �Ｆ段鵡岷蕕和式羸萓犬砲�願いし、SP会以外の方にも参加いただくこともOKとし、引き 続き懇親会にも参加していただくこともOK （４）出版物工程について �｜詫�空間情報の技術商品から知る問題発見・解決のノウハウ ・今後の予定は編集責任者が各担当章を修正し、統一性など整合を図りながら回覧して いく。 ・印刷業者を数社から見積もりを徴集し、決定していく。 ・今後の日程は12月末までにまとめたいが、統一性がとられていないため、場合によって は3月出版となる場合もある。 �∈８紊涼�作物として ・「測量」のSPコーナーの製本を考えたい。 ・専門技術力のみでなく解読力、表現力、提案力などの教育に関連した著作を検討したい ４．その他 （１）平成23年度空間情報総括管理技術者試験の新聞報道記事の紹介 建設通信新聞、建設産業新聞、日刊建設工業新聞、建通新聞 以上 ■リレーエッセイ 「自然災害への備えの第一歩」 パスコの船田（関西在住）です。弊社の吉岡さんよりバトンを受けました。 今年の日本は東日本大震災をはじめ夏期の豪雨災害など全国各地であらゆる災害に見舞 われました。また、その自然外力は、再度災害防止が基本にあるわが国の施設整備規模を 超えるものも多く、「想定外」という言葉が広まるほどでした。 東日本大震災以降私は、このような大規模自然災害について、地理空間情報を扱う者と してまず最優先で何が必要かを考える日々が続きました。大規模災害を想定したハザード マップなのか、防災計画なのか・・・。 東日本大震災における津波被害を自分自身に置き換えて考えるうちに、報道等で約○ｍ の津波が来ることを知ったとき、避難建物が無い場合、どこまで（どの高さまで）逃げれ ばよいのか？自分の住んでいる地域ですら判断できないことに不安を感じました。現在の 居住地での生活期間が短いこともその理由の一つだと思いますが、都市化が進むにつれ視 界は建物に囲まれ、身近な本来の地形の把握に鈍感になっていることが大きな問題ではな いかと。大規模災害で命を守る大前提は「逃げる」ことですが、防災に関する情報整備が 進む中で、その基本的な判断が難しい現状に危機感を感じるようになりました。 避難時の判断が難しい理由として、ハザードマップは整備されても、その内容はハザー ドがメインであり、基礎になる地形の情報を住民がマップから読み取ることができない現 状があります。1/2500等の背景地図（白地図）から等高線を読み取り、発表された津波高 さから、または押し寄せる洪水から安全な場所を把握するのは、日頃から地図にふれてい る環境下でも難しいのではないでしょうか。それも短時間での判断が必要となるとなおさ らです。 このようなことから、地形情報（特に標高）の可視化と、避難を意識した分かりやすい 地形図の情報提供が自然災害への備えの第一歩ではないかと思っています。身近に危険が 迫ってきた場合に「逃げる」ための判断材料として、また、災害規模が計画を超えるかも しれない、ハザードマップの危険区域と実際は異なるかもしれない、といった日頃から様 々な災害イメージを膨らませて考えること（想定外を想定すること）の基本情報として、 分かりやすい地形情報は優先されるべき情報の一つだと思われます。 次回は、弊社在籍時に大変お世話になりました山田均さんへバトンをお渡しします。 ■コラム ●執筆順番 2011年1月号 花村（国際）、河野（パスコ） 2月号 斉藤（パスコ）、福岡（パスコ） 3月号 片桐（中日本）、船田（パスコ） 5月号 洲濱（パスコ）、木村（パスコ） 6月号 新井（アジア）、鈴木（朝日） 7月号 六浦（パスコ）、白井（朝日） 8月号 下村（パスコ）、中村（アジア） 9月号 下境（パスコ）、小野（国際） 10月号 大久保（アジア）、内海（パスコ） 11月号 大津（パスコ）、村田（国際） 以下より、H23会員の方 12月号 高本（アジア）、大島（パスコ）、古川（パスコ） 2012年1月号 近藤（パスコ）、木寺（日本測量協会）、田澤（パスコ） 2月号 南澤（パスコ）、堀川（パスコ）、荒井（東武計画） 3月号 外立（ﾅｶﾉｱｲｼｽﾃﾑ）、辻（アジア）、真壁（アジア） 4月号 鈴木（パスコ）、相原（アジア）、清水（アジア） 5月号 谷森（東武計画）、松永（大日ｺﾝｻﾙ）、佐藤（パスコ） 6月号 今村（朝日）、堀川（国際）、吉川（パスコ） 7月号 菊池（パスコ）、中嶋（アジア）、岩崎（パスコ） 8月号 坂口（アジア）、山田（国際）、恩藤（アジア） 9月号 岡本（復建調査設計）、時永（HRS） ■コラム 「情報を伝える」 先日、アップル社のＣＥＯ（最高経営責任者）のスティーブ・ジョブズ氏が死去したと いうニュースが報じられた。ジョブズ氏の名前は、その方面に疎い私でさえ何度も耳にし たことがあり、本屋に行くと、氏の経歴や功績、ビジネスのノウハウなど、たくさんの書 籍が並んでいる。現在、私たちが普通に行っている音楽のダウンロードや携帯による地図 情報検索などは、全て彼が発端とのことで、まさに今の情報社会の礎を築いた功績者であ る。氏の信条を一言でいうと、「本当に欲しがっている人に、本当に欲しいものだけを提 供する」（一言でない？）。すなわち、常にユーザーの立場に立ってイノベーションを創 造し、無駄なものは一切つけずにシンプルな形で提供する、という姿勢で一貫している。 これ以上は、にわか知識が露呈してしまうので書かない（書けない）が、翻って先日の 体験談。 私は、洪水ハザードマップ作成業務に携わっているが、とある市の地元説明会でのこと。 こんな情報も必要、あんな情報も役に立つのでは、といっぱい情報を詰め込んだマップ素 案を、どうですかと地元の人に見てもらう。反応は「字が小さくて私ら年寄りには読めん」 「いろいろ書かれすぎてて見る気がしない」「ごちゃごちゃしている」…言われた時は凹 んだが、まさにジョブズ氏的でない。様々な情報を提供する立場の我々は、常にユーザー の視点で考えることが基本であることを再認識させられた。 蛇足ながらもう一つ。別の市でのヒアリングで、防災情報をどうやって住民に伝えるか、 という今旬の話題。「メール配信サービスとか考えていないんですか？」という問いかけ に市の担当者曰く、「都会ならわかるけど、うちの市は田舎で高齢者が多くて、携帯電話 なんかほとんど使えないよ」。情報技術が発達し便利になる一方で、こうした情報につい ていけない、いわゆる情報弱者も増えているのでは、と考え込んでしまった。情報のバリ アフリー化というキーワードを最近よく見聞きするが、災害時にはこうした人たちこそが 最も早くて正確な情報を必要とする。東海地震や東南海地震の発生が現実味を帯びてきて いる中、必要な情報を必要としている人たちに、早く正確に伝える仕組みを構築していく ことは、我々防災を扱うコンサルタントにとって、大きな課題であると思う。 （大久保 充：アジア航測） ■コラム 「お城巡り」 業務とは、程遠いゆるい話題で恐縮ですが･･ 東北大震災の影響もあり、一時中断していましたが3年ほど前から中途半端な趣味のひ とつ？『お城巡り』をしています。日本の名城100選･･その中でも天守閣が現存する50城 にしぼりお城巡りをしています。そのうち現在39城を制覇したなかの印象に残った隠れた 名城（私見ですが）を紹介します。 『備中松山城』この城の歴史は古く、鎌倉時代の1240年（延応2年）臥牛山のうち大松山 に砦を築いたのが始まりとされています。日本三大山城(他に、美濃岩村城、大和高取城) で天守閣のある城としては日本一高いところにあり、建物だけでなく、天然の岩盤を巧み に取り込んだ高石垣が見事で素晴らしく特に、大手門跡枡形虎口周辺の高々と築かれた石 垣群は、見る者を圧倒し、威圧して寄せ付けない景観をなしています。また、山頂部の城 跡だけでなく、山陽道と山陰道を繋ぐ要衝に位置し、備中の中心地として古くから栄えて きた城下町「高梁」らしく、御根小屋跡・武家屋敷・出城としての機能を持つ寺院群やそ の他の史跡が残り、藩政時代の面影が色濃く留められ、城下町の散策もお勧めです。 ※登頂には中腹にある駐車場からでも30分ほどかかるのでそれなりの覚悟が必要です。 『尾張犬山城』木曽川の左岸標高約40メートルの崖の上にそびえ、現存するなかで最も古 く、また日本でたった4箇所しかない国宝のお城（他の3つは姫路城、松本城、彦根城） です。地形的にみると、丘陵と周囲の平地をあわせた「平山城」ですが、天守の背後の木 曽川が自然の要塞となっているのが見て取れます。近年(平成16年))まで、城主であった 成瀬家が個人所有するお城（最近までお殿様がいた!?）でしたが現在は財団法人に譲渡さ れています。また、天守閣の中は、はしごのような急な階段が架かり、石垣がむき出しに なっているなど江戸時代の姿そのまま（戦後再建されてエレベータまである名古屋城とは 随分と趣がことなります）高さ19ｍの三層構造と決して大きくなく、姿形は質素な印象す ら受けますが、先の歴史的背景を踏まえて見学すると、代々のお殿様が大切に守ってきた 歴史の重みが実感できます。 多忙な日々を送られているスペーシャリストの皆様、たまにはのんびりと歴史散策の旅は いかがでしょうか？ お城は山城に限らず見晴らしが最高の場所が多く、天守からの羨望は素晴らしいので是非 とも晴れた日にお出かけ下さい。 （内海 巌：パスコ） ■空間情報関連便利グッズ / Webの紹介 今回はございません。皆様からの原稿、情報等、お待ちしております。 ■測量協会イベント情報のお知らせ ○第24回地理空間情報イブニング・セミナー 大震災対応へ貢献する測量技術 −既存の測量技術と新しい測量技術の連携・測量界の連携で大地震対応へ貢献- 講 師: 大瀧 茂 （(社)日本測量協会測量技術センター管理部長） 日 時 平成23年11月8日（火）16時〜17時30分 会 場 日本測量協会 研修室 参加費 会員は無料、非会員は2,000円 CPDポイント 測量CPDを1ポイント発行 募集人員 先着50名 詳しくは、http://www.jsurvey.jp/k-academy231108.pdf （廿楽:測量協会） ■編集後記 今年度、合格されＳＰ会に入会されました方、おめでとうございます。今後、ＳＰ会でご 活躍いただく方も多くいらっしゃるかと思います。早速ですが、今回のメルマガのコラム 欄に執筆順番を掲載させていただきました。記載させていただきました順番にて、１２月 号より、順次、執筆のご依頼をさせていただきますので、今後とも、宜しくお願いいたし ます。 （編集委員長） ──────────────────────────────────────── All Rights Reserved, COPYRIGHT(c) Spatialist Club このメールマガジンを紹介したい方は各自の責任で転送しても結構です。 ──────────────────────────────────────── |
|
| 戻る | |
| CGIの匠 |