| タイトル：スペーシャリスト会報 Vol.62 | 発行日時：20012年2月15日17時59分42秒 |
| ┏ Magazine from Spatialist Club ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓ 20012年2月15日 ◇ スペーシャリスト メールマガジン ◇ vol.62 発行元：スペーシャリストMM事務局 http://www.capnet.jp/spatial/ ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ INDEX ：＊空間情報総括監理技術者 技術認定登録更新の重要なお知らせ ＊ニュース・ラウンジ ＊企画委員会・各支部活動報告 ＊リレーエッセイ＜空間連携＞ ＊コラム ＊空間情報関連便利グッズ / 本の紹介 ＊測量協会イベント情報のお知らせ ============================================================================ ★★★重要なお知らせ★★★(平成23年12月〜平成24年11月・１年間掲載） 空間情報総括監理技術者 技術認定登録更新について ○「測量CPD」に登録済みでしょうか、ご確認ください。 →学習履歴台帳登録がなされていなければ、あなたの学習ポイントは登録できません。 CPDポイント数はゼロのままとなり、認定資格の登録更新はできません。 ○SUCCESS上で、あなたのCPDポイント数を必ずご確認ください。 →5年間に定められたCPDポイント数を取得できていない場合は認定資格の登録更新は できません。 ○認定資格の登録更新には、下表に示すCPDポイント数が必要です。 登録年 第1回更新時(5年) 第2回更新時(5年) H17年10月 25ポイント 40ポイント H18年10月 〃 〃 H19年10月 〃 〃 H20年10月 〃 〃 H21年10月 〃 〃 H22年10月 〃 〃 H23年10月 〃 〃 ○技術認定登録の有効期間は、登録更新年度から起算した5年後の該当年度末日とする。 例 平成23年度登録者は平成28年度末日(H29.3.31) ○登録更新の有効期限切れの方は、公開する認定技術者名簿から抹消されます。 ★詳細については(社)日本測量協会HP(空間情報総括監理技術者の「空間情報技術認定規 則」)をご覧ください。（事務局） ============================================================================ ■ニュース・ラウンジ 今年は、「日本写真測量学会」創立50周年を迎える。これを機に、同学会は記念書籍を 出版する予定である。記念出版は50年を回顧する形での災害調査や防災をテーマに、画像 （特に、空からの画像）やその解析の魅力、可能性、社会的な貢献を広く社会に伝え、ま た記録として後世に残そうとするねらいがある。 ここで、現在に至るまでの50周年記念出版編集委員会の動きを回顧する。第一回編集委 員会が一昨年の2010年12月に開かれた。同委員会では各委員から災害の候補事例が提案さ れた。編集委員会のメンバーは、日本測量協会、航測会社、大学、国土地理院、（独） 宇宙航空研究開発機構、（財）リモート・センシング技術センターなどに籍をおく12名で、 編集委員長は東大の清水英範先生である。委員の中には、「スペーシャリストの会」の会 員である、瀬戸島政博氏、アジア航測の小川 紀一朗氏と小生の3名が加わっている。それ に同会の顧問である村井俊治先生が編集委員会の顧問になっている。 第二回編集委員会が翌年の2月にあり、事例候補が全体で約70例程度に取りまとめられ た。この事例の中に、この年の1月に噴火した霧島連山の新燃岳が追加事例となった。 社内において当社の割当てられた災害事例について執筆担当者を決めた頃、観測史上最 大の規模である地震が3 月 11 日に発生した。すなわち、あの東日本大震災である。 発生から約2ヶ月半後の5月、写真測量学会から「東日本大震災における写真測量分野の 活動」に関する特集についての執筆依頼が各編集委員宛に配信された。締め切りは7月末 である。その一ヵ月後の6月には、第三回編集委員会が開かれ、記念書籍の各災害の細目 次の決定と担当機関、東日本大震災の扱い、および連絡体制について話し合われた。これ に加え、特集「東日本大震災における写真測量分野の活動」についての執筆の進め方につ いて意見が交わされた。 私は特集号の対応に追われる中、腹部の大動脈瘤の破裂により、急遽入院するはめにな った。手術後2週間で退院（生還）でき、なんとか期日まで取りまとめ提出することがで きた（この特集は写真測量学会誌「写真測量とリモートセンシング」4号に掲載）。50周 年記念書籍の巻頭はこの特集をベースにしたものが掲載されることになろう。 この年の災害はこれに止まらず、9月初めには大型で強い台風12号の通過に伴い、紀伊 半島を中心に被害が発生した。これらの災害は記念書籍の目次である国内編の「3.火山・ 噴火災害」「2.地震・津波災害」および「1.台風・豪雨災害」における各事例の一つを埋 めるものであった。まさに、自然災害の「当たり年」である。 この年の最後の第四回編集委員会が11月9日に行われ、�仝狭討猟鷭亟�間、��原稿の提 出方法の確認、��査読担当の決定などが話し合われた。この編集委員会には、二回目の胸 部大動脈瘤の手術入院から10月に退院した私の体調が完全に回復せず、代理人が参加する ことになった。 今年の1月、各編集委員に執筆者から原稿が集まった。以後は査読担当である編集委員 が原稿に目を通した後、出版社（鹿島出版会の予定）に調整を任すことになる。書籍の完 成が、当初予定とした5月の「日本写真測量学会」第51回通常総会に間に合えばよいのだ が...。完成の暁には皆さんにお知らせしたいものだ。なお、医者が言う、驚異的かつ順 調な回復ぶりを見せている私は、退院後すぐに出勤し、今や現場にも出掛けていることを お知らせしておく。 （高 泰朋：朝日航洋） ＜編集委員会よりお知らせ＞ ３月号は瀬戸島さんの担当です。 ■企画委員会・支部活動報告 ■スペーシャリストの会 企画委員会（１月）議事次第 ○日時：平成２４年１月３１日（火） １３：００−１５：００ ○場所：日本測量協会 ３F ３０１室 ○出席者：瀬戸島、住田、林、池田、望月、秋山、津留、村木、早川、田中、 井畑、大伴、大山、中舎、高岸、廿楽（事務局） ○議事項目 （１）前回議事録の確認 新メンバーの紹介 大山（国際） （２）報告事項 支部報告 中部支部 地理空間情報セミナーの講師決定依頼 関東支部 支部活動プランの提示 MM誌の記事について 引き続き白井さん（国際）が担当することとなった。 書籍・ブログ記事については２０１１年７月２０日の企画委員会で 秋山（朝日）、林（パスコ）、大友（国際）、池田（アジア）、 神原（五星）の協力を得ることになっているので再度要請する。 第２６回イブニングセミナーの案内 平成２４年３月２７日 １６：００〜１７：３０ 「測量・コンサル業界のBCP」 今すぐ取り組むリスク管理 （３）討議事項 �〃邊�「測量」スペーシャリストの会コーナー分担執筆の確認と企画 ６回シリーズ第１０弾のシリーズタイトルは「技術継承」と決定 執筆担当会社は決定、担当者を選定し後日連絡のこと。 10−1 アジア航測 10−2 パスコ 10−3 国際航業 大山氏 10−4 朝日航洋 10−5 中部支部 10−6 パスコ ��日本写真測量学会北信越支部セミナー講師派遣の確認 これまでの順番を考慮して、以下のように担当会社を決定 2012/5 国際 2012/7 パスコ 2012/9 アジア航測 2012/11 朝日航洋 2013/1 中日本 2013/3 関西支部より選出希望 始めの３回（国際、パスコ、アジア航測）については３月中旬までに 担当者と講演題目を決定し、林さん（パスコ）に連絡のこと。 ��出版物の工程について 当初の予定より早く既に、瀬戸島会長のところに戻ってきている。 第３回校正時にGPSをGNSSに変更する作業について会長、副会長で 担当する。 �た卦�出版物の検討 測量系技術者のための技術文章分析術 ーー提案書作成のために必要となる基本技術ーー について住田副会長から説明があった。 委員から講習会でのサブテキストの位置づけになるとの意見が出た。 別途、技術文章講座もスタートすることから、出版プランを再度検討 することとなった。 �テ�測協主催「地理空間情報技術セミナー」講師について 平成２４年度地理空間情報技術セミナーの講演者決定を依頼した。 ２月８日 大津支部長依頼中 ９月１９日 村木氏（イメージワン） ９月２５日 早川支部長依頼中 �Υ愿貉拮瑤粒萋阿砲弔い� 住田支部長よりプラン提示があった内容は以下の通り １ 地理空間情報コンサルタントの具体像の検討 ２ 技術士取得支援（測量系技術者） これに対し、技術士支援は１次試験も対象とするのか？ 中部支部に実績では初年度２０名であっても２年目に１０名と激減 してしまった。 その他、１次試験を回避するためにJABEE取得し２次試験に進むのは どうか？と言う案が提示された。 詳細検討し再度議論することとなった。 （４）その他 （社）日本測量協会が日本学術会議協力学術研究団体として指定された。 田中氏より１月１７日に会計監査を実施した結果が報告された。 その結果、今年度会費未納者（５５名）に督促することとなった。 ○次回予定 平成２４年３月２７日（火） １３：３０−１５：３０ 日本測量協会 ３F会議室 （３０１室） ■第２０回 中部支部活動報告 ○開催日時：平成23年1月27(金) 15：00〜17：00 ○開催場所：名城大学 名駅サテライト（通称ＭＳＡＴ） ○出席者：7名出席、14名欠席、日本測量協会：田代事務局長 ○検討協議事項： 報告事項 １．イブニングセミナーin中部 �々峪奸�北原部長(中部地方測量部長) ��開催日：平成２３年１２月９日 ��セミナー会場：中統奨学館ビル「ＣＨＵＴＯホール」 �て睛董А碧霧局�長）東海地域の電子国土基本図（基盤地図情報）の整備と活用の仕組み �ズ鯒�１２月にて北原部長は退官、新任部長は小白井 亮一（こじろい りょういち）様 ２．その他 �々崕�会 技術士第１次試験（日本測量協会 主催） 講師：岡本芳樹(パスコ)、早川和夫(帝国建設コンサルタント)、 濱田（日本技術士会） 講習日：６月２日（土）、場所：中統奨学館ビル「ＣＨＵＴＯホール」 ��講習会 ＭＭＳサーベイヤーアカデミー（日本測量協会 主催） テーマ：移動車両による計測技術 モバイルマッピング 講 師：鈴木浩二氏（中日本航空）、早川和夫(帝国建設コンサルタント) 講習日：６月１４,１５日、場所：日本測量協会(東京) 会議室 検討事項 １．ＭＭＳサーベイヤーアカデミーの講習内容について ・講習は以下の割り振りで実施 14日（半日）：概要説明（MMS、IMSの説明） 14日（半日）：マニュアルの改訂についての説明 15日（半日）：ワークショップ形式（提案・発表） ・全方位カメラは持ち込む予定。 ・中部支部のイブニングセミナーのネタとしても検討する。 ２．地理空間情報技術セミナーについて ・中部支部で開催するセミナーでは、 「話題提供（45分）」と「相談コーナー（60分程度）」をSP会で対応する。 ・「相談コーナー」ではSP会のブースを設営する予定。 ・詳細な内容は、早川支部長が企画委員会参加時に聞くこととする。 ３．中部支部の講習会について ・予定している講習会について、各社社員の参加をお願いしたい。 ・特に、技術士一次試験対策講座は、有用性が高いので未取得者への参加を促す。 ・イブニングセミナーを開催するのであれば、10/4・5の後が入れやすい。 ４．空間情報総括監理技術者の名刺作成について ・名刺の印刷は３月中を予定 メンバー勉強会 小川孝之 ・題名：「写真を利用したあれこれ」 新年会 会議終了後実施 参加者5名 ○次回会合：平成24年4月上旬 場所：MAST 時間：15:00〜17：00（予定） ■リレーエッセイ スペーシャリスト会会員の皆様、今年度もいよいよ大詰ですね・・・お元気（ご無事） ですか？ 弊社九州事業部の坂田さんよりバトンを受け取りましたパスコの福岡と申します。 昨年のお盆明に転勤で九州から東北に飛び、現在、仙台に住んでいます。 ・・・と言うことで、初めての東北の地で受けた数々のカルチャーショックについてお話 します。 まずは地震関連： 転勤後間もない頃、地下鉄の駅構内でいきなり震度5を体験しました。不気味な地鳴りと、 「地上に出るな！」と叫び、リーダーシップを取ろうとして訳の解らないウンチクを並べ たてるがスベッテいるオジサンの姿が印象に残っています。地震はとにかく多いです。勤 務中に時々一斉に鳴りだす携帯緊急地震速報音の恐怖は何とも言えません。 次に、生活・文化関連： とにかく皆さん朝が早く、夜も早い（一部例外あり）。冬季は16時半頃から暗くなるの で、休日の街中でも18時頃には人が疎らです。ただ、博多の中洲に相当する国分町はやは り一晩中元気だと聞いております。また、驚いたことに、仙台のパチンコ店のなかには朝 ８時開店、夜１２時閉店の店が存在します。（私は今はやりませんが・・・）観光は、未 だ殆ど機会がありません（折角高速道路が無料なのに！）が、伊達政宗像と定禅寺通りの ライトアップには感動しました。 最後に寒さ・雪関連： 転勤が決まってからずっと恐れていた東北の冬を初体験中です。早々とスーパーに並ん でいた窓用シート（これは効果ありです）や冬道対策用シューズの数々、頻繁に流れるス タッドレスタイヤのＣＭに動揺しながら準備を行いました。何とか凌いでいますが、光熱 費も半端なく高くなります。冬道はとにかく滑ります。横断歩道の真ん中で派手に転ぶ自 転車の若者をよく見かけます。先日、山形県新庄市に現地調査のため車で宿泊出張しまし た。ホテルが平置き駐車だったので、朝、車が雪だるま状態。出発前に道具を借りてまず 雪下ろしです。足場は噴水状の融雪装置によりとりあえず確保できました。いざ出発、積 雪のため通行可能範囲がよく判りません。一応路肩にポールが立ってはいるのですが、雪 が積みあがった除雪帯がまぶしいのです。また、地吹雪による想像を絶する視界の悪さ （大分道の濃霧に匹敵？）、慣れた地元ドライバーによるプレッシャーも恐怖です。 この他にもいろいろとカルチャーショックを受けましたが、九州出身の私にとって、未 知の体験を通して自分の世界（視野）が広がったことは喜ばしいことです。これらの寒い 経験を生かし、空間情報技術を駆使したソリューションとしてのビジネスチャンスに繋げ ていけたらと考えております。 次回は、同じ仙台で、主として情報処理のお仕事をされている弊社(株式会社パスコ)の 石森 伸さんにバトンタッチしたいと思います。 （福岡正秀：パスコ） ■コラム ●執筆順番 2011年12月号 高本（アジア）、大島（パスコ）・・・ここからH23会員 2012年1月号 古川（パスコ）、近藤（パスコ） 2月号 木寺（日本測量協会）、田澤（パスコ） 3月号 南澤（パスコ）、堀川（パスコ） 4月号 荒井（東武計画）、外立（ﾅｶﾉｱｲｼｽﾃﾑ） 5月号 辻（アジア）、真壁（アジア） 6月号 鈴木（パスコ）、相原（アジア） 7月号 清水（アジア）谷森（東武計画） 8月号 松永（大日ｺﾝｻﾙ）、佐藤（パスコ） 9月号 今村（朝日）、堀川（国際） 10月号 吉川（パスコ）、菊池（パスコ） 11月号 嶋（アジア）、岩崎（パスコ） 12月号 坂口（アジア）、山田（国際） 2013年1月号 恩藤（アジア）、岡本（復建調査設計）、時永（HRS） ■コラム ｢雷に学ぶ｣ 太平洋側に暮らす人々にとって雷は夏の風物詩という思いがある。しかし、月別雷日数 は金沢の12月（7回）が日本一多く、宇都宮の8月（6回）と比べても勝っている。また、 雷日数の平年値（1971〜2000）を多い都市の順番に挙げると1位：金沢37.4日、2位：酒田 36.0日、3位：上越35.7日、4位：輪島32.7日、5位：福井30.9日で、しかも日本海沿岸の 豪雪地帯に集中していて豪雪と雷の関係を示唆している。 雷雲は突風や雷雨を運んでくることがある。雷雲は｢成長期｣・｢成熟期｣・｢減退期｣とい う3段階を経てその一生を終えるが、その寿命は30分〜60分である。雷雲は成熟期になる と雪やあられが形成され、これら大きな氷の粒子が落下を始めて、周囲の空気を一緒に引 きずり降ろす下降流が発生する。こうしてできた冷気は雲底下に溜まって｢雷雨性高気圧｣ を形成し、その後に冷気が地表面に沿って放射状に流れだす。この冷気が突風の正体で、 突風の兆候として地上の気温が数時間をかけて（1時間あたり約3℃程度）降下の後に、突 風の発生と同時に約10℃程度も急降下することがある。また、気圧は数hPaの上昇、相対 湿度は飽和に近くになることが知られている。 このような気象の変化を捉えて利用することで、冬季の測量作業の安全管理に適用した 経験がある。ＧＰＳ測量ではＧＰＳアンテナ・タワーの設営がよくあるが、落雷や突風は 避けたい気象災害にあたる。その対策として現場班長には、携帯型の雷警報器、温度計、 気圧計及びハンディ風速計による定期観測を指示しＫＹ活動を徹底させた。また、数日先 の観測計画に高層天気図を利用した。高層天気図（500hPa等圧面天気図）は対流圏の高さ の半分で、大気の平均構造を代表し上層寒気の強さや気圧の谷の移動・深まりから地上低 気圧の発生・発達の予測に適している。具体的には、バイカル湖上に短波の気圧の谷があ れば4日後に日本上空にやってくることが予測できる。さらに、上層寒気が低温なほど地 上低気圧は発達しやすく、寒気の流入の様子は上層の等高線と等温線の交角から知ること ができる。 日本人にとって雷は天災といった負の面だけではない。雨の恵みは農作物を育成し夏の 暑さを和らげてくれる。雷を神と崇めて天神様と呼ぶ信仰は全国に見られ、富山県のお正 月は天神様（菅原道真公）の掛け軸をかざる。また、秋田の郷土料理として知られている ｢しょっつる（塩魚汁）鍋｣に欠かせないハタハタは雷のよく鳴る11月頃によく採れるため カミナリウオと書いて｢魚雷(魚偏に雷)｣と表記している。このように日本文化は、繰り返 す天災に打ちのめされながらも力強く立ち上がってきた祖先が自然と共に生きてきた証を 物語ってくれる。今後も天候に左右される測量作業、気象変化の影響を受ける測量技術と いうような課題に、科学はチャレンジを続けてゆくであろう。しかし、どの時代にも技術 的な限界はある。課題や問題に挑むとき、規格化や画一的であるよりも力強い生物社会を 作り上げる自然の多様性に私たちが学ぶべき事柄は多い。（木寺幸司：日本測量協会） ■コラム 「３Ｄ空間とＭＭＳ」 近年、地図やGISの世界も3D化が急速に進んでいる。実空間においても立体交差や地下 空間等においても都市空間はより立体的になり、建設計画・維持管理計画など、様々な分 野で３D空間での表現が必要な時代が到来している。 このような環境の中、3D空間の現況データを取得する道具としてMMS（モービルマッピ ングシステム＝高精度GPS移動計測装置）がある。今回はこの機会を借りてMMSについて 少し触れてみたいと考えている。MMSは、前後左右360°広範囲カメラ画像とGPS／IMU（慣 性計測装置）による高精度レーザ計測を重畳させることにより、高精度な位置情報に基づ く画像テクスチャー付き3D空間モデルの作成可能な、GPS移動計測装置である。 このMMSの車両を運行し計測を行なった時、この車両の重さに驚かされた。車上部天板 にはGPSアンテナ3台、カメラユニット6台、レーザースキャナ4台、IMU（慣性航法装置） が密集し搭載されている。私が乗車した車両はフォルクスワーゲンのトゥーランで総排気 量は1600CCながらスーパーチャージャーやターボを搭載していた。車両に近づき後部を眺 めると車体が沈んでいることがわかった。これはおよそ200kgの計測機器を後部座席周辺 に搭載し、更に上部キャリアには機材とその機材を固定する鉄骨が配置され相当がっしり した構造になっているためであった。重量を尋ねるとキャリア上部に搭載しているカメラ 等の計器類だけで重量が70kgを超えるようで、この条件で車種を選択すると国産車では難 しくボディ剛性とパワーのある外国車が選定されているとのことであった。後ろのドアを 開け、車両の中をのぞいてみると後部シートは1つだけで周辺は全て操作用モニターや計 器類、HDDなどで埋め尽くされていた。ドライバーとオペレーターのみが乗車する狭く計 測機械に埋め尽くされた世界がそこにはあった。 近年特に映画やTVなど3D立体画像が話題になっている。家電量販店では「飛び出すテレ ビ・3D立体画像」というテレビ売り場のコーナーがあり、3D放送に対応したハイビジョン テレビが展示されていた。このハイビジョンテレビで見たゴルフ番組での石川遼君のスイ ングの3D画像の臨場感には、しばらく呆然と立ち尽くすほど迫力があった。地図の世界も 同様にグーグルマップのストリートビューのように、より鮮明な臨場感のある3D画像がこ れからの時代に求められていると感じた。MMSの重たい車両を運行しながら取得した画像 やデータが今後益々広く一般的に利活用されていくことを期待している今日この頃である。 （田澤和彦：パスコ） ■空間情報関連便利グッズ / 書籍の紹介 日本人はなぜ大災害を受け止めることができるのか グローバル時代を生きるための新・ 日本人論 著者：大石久和 海竜社 定価：本体1500＋税 東日本大震災が起きてからまもなく1年が経ちます。この間、我が国では大きな暴動が 発生することもなく、国民の多くが深い大きな悲しみを胸にしまい込んで、粛々と前向き に暮らしています。この姿が世界から驚異の目で見つめられているのです。「なぜ、日本人 はこのように混乱もなく暮らしていけるのか」「なぜ日本人はこのような大災害を受け止め ることができるのか」と、世界の人々は不思議でならないのです。ますます進展するグロ ーバル時代に、この世界の人々と日本人を隔てているものは何かを探っていくことが本書 のテーマです。 世界の人々が驚異で見つめる日本人の美徳と欠点とは何か・・・。私たちに深い関わり ある「国土」から紐解く目から鱗の日本人論は大変興味深いお話となっています。「安全・ 安心」が叫ばれる、これからの国土のあり方を考える貴重な一冊ではないでしょうか。 （林 義政：パスコ） ■測量協会イベント情報のお知らせ ○第26回地理空間情報イブニング・セミナー 「測量・コンサル業界のBCP」 −今すぐ取り組むリスク管理−- 講 師: 尼野 國貞 氏 （大同情報技術�蠎卍后� 日 時 平成24年3月27日（火）16時〜17時30分 会 場 日本測量協会 研修室 参加費 会員は無料、非会員は2,000円 CPDポイント 測量CPDを1ポイント発行 募集人員 先着50名 詳しくは、http://www.jsurvey.jp/k-academy240327.pdf （廿楽:測量協会） ■編集後記 今年の冬は、例年になく日本海側での大雪が目立ちます。雪崩や雪の崩落ニュースが多 い一方で、東京の海岸付近で20℃近くになるなど、異常気象の様相を呈しています。イ ンフルエンザがピークを迎えているということもあり、繁忙期での体調管理に努めまし ょう。 （編集委員長） ──────────────────────────────────────── All Rights Reserved, COPYRIGHT(c) Spatialist Club このメールマガジンを紹介したい方は各自の責任で転送しても結構です。 ──────────────────────────────────────── |
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