| タイトル：スペーシャリスト会報 Vol.65 | 発行日時：20012年5月16日21時50分12秒 |
| ┏ Magazine from Spatialist Club ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓ 20012年5月16日 ◇ スペーシャリスト メールマガジン ◇ vol.65 発行元：スペーシャリストMM事務局 http://www.capnet.jp/spatial/ ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ INDEX ：＊空間情報総括監理技術者 技術認定登録更新の重要なお知らせ ＊ニュース・ラウンジ ＊企画委員会・各支部活動報告 ＊リレーエッセイ＜空間連携＞ ＊コラム ＊空間情報関連便利グッズ / 書籍 & Web & Blogの紹介 ＊測量協会イベント情報のお知らせ ============================================================================ ★★★重要なお知らせ★★★(平成23年12月〜平成24年11月・１年間掲載） お知らせ その１： ◇空間情報総括監理技術者 技術認定登録更新について ○「測量CPD」に登録済みでしょうか、ご確認ください。 →学習履歴台帳登録がなされていなければ、あなたの学習ポイントは登録できません。 CPDポイント数はゼロのままとなり、認定資格の登録更新はできません。 ○SUCCESS上で、あなたのCPDポイント数を必ずご確認ください。 →5年間に定められたCPDポイント数を取得できていない場合は認定資格の登録更新は できません。 ○認定資格の登録更新には、下記に示すCPDポイント数が必要です。 登録年 第1回更新時(5年) 第2回更新時(5年) H17年10月 25ポイント 40ポイント H18年10月 〃 〃 H19年10月 〃 〃 H20年10月 〃 〃 H21年10月 〃 〃 H22年10月 〃 〃 H23年10月 〃 〃 ○技術認定登録の有効期間は、登録更新年度から起算した5年後の該当年度末日とする。 例 平成23年度登録者は平成28年度末日(H29.3.31) ○登録更新の有効期限切れの方は、公開する認定技術者名簿から抹消されます。 詳細については(社)日本測量協会HP 空間情報総括監理技術者の「空間情報技術認定規則」 をご覧ください。 お知らせ その２： ◇登録事項変更届出について 登録事項に変更が生じたときは、すみやかに「登録事項変更届出」の手続きを行って下さ い。様式は下記のホームページに掲載してあります。 URL :http://www.jsurvey.jp/gissv/touroku.htm （事務局） ============================================================================ ■ニュース・ラウンジ ご存知のとおりG空間EXPOが6月21（木）〜23日（土）、パシフィコ横浜で開催されます。 昨年は東日本大震災の関係で中止となりましたので約２年ぶりの開催となります。今回は この２年間の間にG空間の方向性がどのように移り変わっていったのかについて、少し整 理してみたいと思います。 前回（2010年9月19-21日）はG空間EXPOとして初開催でした。副題は「“いつ・どこ情 報”で暮らしが変わる、みらいを創る」というもので、衛星測位と地理空間情報の利活用 が広く普及すると（地理空間情報活用推進基本法の柱）自ずとこのような未来が期待でき る、という趣旨であったと思います。商業展示は、�，呂�るゾーン（国土を測る）、�△� くるゾーン（豊かな暮らしを創る）、��まもるゾーン（安心安全な生活を守る）、�い劼� がるゾーン（未来に広がる）の４区分が設定されました。前半２日間が休日だったことも あり、また展示のキーワードからも、広く一般国民にG空間をアピールし認知度を向上さ せることに注力したものと思います。同年の9月11日に準天頂衛星初号機「みちびき」が 打ち上げられたこともあり、まさにG空間のキックオフ的なタイミングであったのではな いかと思います。 その後、2011年3月11日に東日本大震災が発生しました。G空間（地理空間）情報は被災 状況の把握などに大いに活躍しました。しかし、被災自治体の重要情報が流出したなどの 例が少なからずあり、復旧の大きな支障になったことが課題として残りました。2012年3 月27日に閣議決定された新たな地理空間情報活用推進基本計画（先月のメルマガで林副会 長が紹介しています）では、「東日本大震災からの復興、災害に強く持続可能な国土づく りへの貢献」として大きな柱の一つとして位置付けられ、今後はこうした観点でG空間 （地理空間）情報の利活用が推進されることは間違いないでしょう。 そして、今年のG空間EXPOですが、副題は「日本ノビジネス、加速セヨ！」です。商業 展示は� 嵜轡沺璽吋奪函廚粒�拓、「新技術、新サービス」の創造、�◆岷�宙技術」の利 用、��「安心安全」への貢献、の３区分となり、�，龍菠�に多数の事業者（53団体）が参 加予定です。今回はG空間に関わる様々な事業者が主役となって、ビジネスチャンスを大 きく拡大できるイベントとなるよう期待されているようです。 さて、本題です。私自身この数年間、直接的であれ間接的であれ、G空間（地理空間） 情報の検討動向に接してまいりましたが、整備分野については新技術の後押しもあり進化 している実感はあります。一方、国や地方自治体のG空間（地理空間）情報が既に相当数 存在し、GISも最近ではフリーツールなどが出現していますが、こうした情報の更新や利 用・共有といった取組はまだ不十分と感じています。少なくとも技術レベルでの課題はそ う多くはないと思いますが、制度的な課題（情報の利権やセキュリティの問題、組織での 情報の取り扱いルールなど）が大きな支障になっていると感じています。今年のG空間EXPO の「日本ノビジネス、加速セヨ！」は正にタイムリーなテーマと思います。しかし、加速 するには従前の仕組みを見直さなければならない側面が多々あると考えています。産学官 の関係者がさらなる協力のもとに解決していかなければなりませんし、当然SP会も当事者 として支援が求められるものと思います。このような観点で我々も今年度は仕切りなおし てG空間に取り組むべき年ではないか感じています。 （住田 英二：スペーシャリストの会副会長） ＜編集委員会よりお知らせ＞ ５月号は高さんの担当です。 ■企画委員会・支部活動報告 ◆関西支部 「ＳＰの会」関西支部 第11回委員会 議事録 開催日時：平成24年4月13日（金）15:00〜17:00 開催場所：株式会社アスコ 本社9Ｆ会議室 大阪市西区江之子島1-10-1 出 席 者：内田（アジア航測）、大石（国際航業）、西村（アスコ）、平田（国際航業） 藤井（写測エンジニアリング）、辻（アジア航測）、相原（アジア航測）、 前出（事務局） 欠 席 者：森田（パスコ）、岩切（パスコ）、田中（パスコ）、吉岡（パスコ）、 森（アジア航測）、河野（パスコ）、船田（パスコ）、白井（朝日航洋）、 村田（国際航業） １．議題 （１）報告・確認事項 �〜芦鶺鳥�録の確認 �◆屮好據璽轡礇螢好箸硫顱彜覯莪儖�会内容の報告 �Ｊ神�24年度地理空間情報技術セミナーの関西支部講師の紹介 （２）討議事項 �（神�24年度技術士一次試験対策講座の開催に向けて ��第２回関西支部イブニング・セミナーの開催について （３）第８回勉強会（担当者：辻氏） （４）その他 ２．議事内容 （１）報告・確認事項 �〜芦鶺鳥�録確認 議事録内容は了承された。 �◆屮好據璽轡礇螢好箸硫顱彜覯莪儖�会内容の報告 1)平成24年度KIT空間情報セミナーの講師派遣について ・第6回（2013.03.22）講師派遣依頼が9月にある見込み。 ・人選は依頼後検討する。（10月の支部会にて） �Ｊ神�24年度地理空間情報技術セミナーの関西支部講師の紹介 ・9月26日、京都（測量協会主催）にて開催される。前回は大阪で実施され、100名程 度の参加があった。 ・関西支部講師としてアスコの西村氏が対応する。 （２）討議事項 �（神�24年度技術士一次試験対策講座の開催に向けて 1) 実施要領（案）の内容について ・開催日時・場所、使用テキスト、対策講座の時間割について確認し、了承された。 ・受験準備等への助言（個別相談）に応じる時間を設ける。(17：00〜17：30） 2) 担当講師について ・中部支部 濱田氏に講師をお願いできる場合は、昨年同様の講師陣とする。ただし 「適正科目」は昨年講師 藤井氏の都合で、ガイダンスの後、午前中に実施する。 ・中部支部 濱田氏に講師をお願いできない場合は、以下の講師陣とする。 各社の会員数で割振り：国際2、パスコ2、アジア2、アスコ1科目 （昨年度と変更科目のみ記載） ガイダンス：平田氏（国際航業） 基礎科目 4群・5群：パスコさんより人選 適正科目 ：アジア航測より人選 3) その他 ・申込者に対して事前アンケートを行い、申込者の専門科目等に関する考えを把握す る。 ・アンケートのたたき台は、写測 藤井氏が作成する。 ��第2回関西支部イブニング・セミナーの実施について ・実施については、次回会議にて検討する。 ・なお、Webイブニング・セミナーの開催（基本的に本部開催毎に実施） （３）勉強会 第8回勉強会として、アジア辻氏よる講義が行われた。 【内容】 ・車載センサによる計測の特徴 ・開発当初（10年前）から何が変わったか ・各センサについて ・取得サンプルデータの紹介 （４）その他 ・次回会議は、6月8日（金）午後3時から、�螢▲好害餤勅爾嚢圓Α� ・次回勉強会は相原氏（アジア）、次回議事録作成は田中氏（パスコ）。 （文責：相原：アジア航測） ◆中部支部 第21回 中部空間情報総括監理技術者 議事録 開催日時：平成24年4月20(金) 15：00〜17：00 開催場所：�螢僖好鈎翩�事業部 会議室（名古屋市中区錦2-2-13 名古屋センタービル） 出席者：13名出席、8名欠席 検討協議事項： ◇報告事項 １．講習会 �ゝ蚕兒梁茖閏〇邯魁米�本測量協会 主催） 講師：岡本芳樹(パスコ)、早川和夫(帝国建設コンサルタント)、濱田（日本技術士会） 講習日：６月２日（土）、場所：中統奨学館ビル「ＣＨＵＴＯホール」 講習会について、各社社員の参加をお願いしたい。 特に、技術士一次試験対策講座は、有用性が高いので未取得者への参加を促す。 �■唯唯咼機璽戰ぅ筺璽▲�デミー（日本測量協会 主催） テーマ：移動車両による計測技術 モバイルマッピング 責任者：鈴木浩二氏（中日本航空）、早川和夫(帝国建設コンサルタント) 講師：鵜飼（中日本航空）、市橋利裕(帝国建設コンサルタント) 講習日：６月１４、１５日、場所：日本測量協会(東京) 会議室 ◇検討事項 １．転勤移動に伴う副会長の選任 ２．地理空間情報技術セミナーについて ・中部支部で開催するセミナーでは、「話題提供（45分）」をSP会で対応する。 ・とりあえず、早川和夫が担当と報告した。 ３．中部支部の講習会について ・イブニングセミナーを開催するのであれば、10/4・5の後が入れやすい。 ４．空間情報総括監理技術者の名刺作成について ・名刺の印刷は４月中を予定（変更がないか確認） ５．その他 ◇メンバー勉強会：前田修氏 次回会合：平成24年5月下旬 場所：パスコ、時間：15:00〜17：00（予定） 次回の発表者：近藤泰徳(玉野総合Ｃ) 次回の書記：片桐雅一(中日本航空) （文責：松岡滋冶：中日本航空） ■リレーエッセイ 「出張先での忘れられない食べ物」 パスコの大津さんよりバトンを受けました。よろしくお願いします。 大津さんはフードマイレージを話題にしてました。そこで私も食べ物に関することを書 きたく思います。私はいまでも出張先での忘れられない食べ物があります。そのいくつか を紹介します。 「バンコクのカオパッツ（チャーハン）」昭和62年にバンコク首都圏地形図作成で4ヶ 月間現地に滞在しました。現地は日中の気温が40度以上となり、また昼過ぎにはスコール がきます。そのなかで基準点測量（使用機器はウイルド社T２とHP社3808A）と水準測量 （測機社Ｂ2）を行うため、大量に汗をかきその塩で肌が白くなるほどでした。 昼食は作業の合間に屋台で済ませてました。その屋台は街のどこにでもあり、タイビー フンやタイカレーなどの店がいくつかならんでました。 私は好んでカオパッツを食べました。その中身は、ほそ長いタイ米に小さな鳥肉といり 卵が入ってました。食材を炒めるときに大量のとうがらしとにんにくを入れます。出来上 がったカオパッツにパクチー（香草）とナンプラー（魚醤）をたっぷりかけて食べます。 作業で疲れていてもこのカオパッツは、辛いのとにんにくの風味があり食べられました。 素朴な味でしたがいまでも忘れられません。 「熊本県人吉市のカレーチャンポン」 平成3年に精密測地網で人吉市に半年間滞在し ました。当時の精密測地網は光波測距儀（使用機器はＫ＆E社レンジマスター�掘砲砲茲� 観測でした。そのため悪天候などにより一週間ほど山頂に幕営をするのが常でした。 観測が終了し人吉市の根宿に帰ると、まず行くのがチャンポン屋でした。普通のチャン ポンでも海鮮スープでおいしいのですが、幕営による疲労と空腹で、いつもカレーチャン ポンを食べました。このカレーチャンポンは麺がストレートの太麺で、かつスープにはカ レースパイスが効いていました。東北出身の私には衝撃的な味でした。 「北海道静内町（現：新ひだか町）の焼鳥」平成4年に精密測地網で静内町に4ヶ月間 滞在しました。観測する三角点の大半は日高山脈に存在していたため、徒歩による移動が 困難でした。そのため移動にはヘリコプターを利用しました。この年より測地網はGPS （使用機器はトリンブル社4000SSE）による観測となりました。しかし当時は衛星数が 7、8機であったため観測時間に制約がありました。また基線解析計算はサイクルスリップ を手動で編集したため、いまほどスムーズではありませんでした。がしかしGPSは天候障 害がないため、効率的な観測ができました。そのため山頂での幕営はほんの数日で済みま した。 静内町の根宿に帰ってくると、むかいの焼鳥屋からたれのあまい煙が漂ってきます。計 算整理もそこそこに早速、この焼鳥屋でビールを一気に飲みました。この焼鳥屋の特徴は、 まず肉の大きいことです。そのためバーベキュー用の金串を使っていました。3〜4本も食 べるとおなかが一杯になりました。この店まだあるのか気になります。 現場での食べ物もさることながら、こうしてみると現場で使用する空間情報技術（機器） はアナログからデジタルに機器が進化しました。これより作業の省力化や精度が良くなり ました。私は今後、日本版GPS衛星「みちびき」の運用により、さらなる高精度化と効率 化に期待をしています。次回は静内町の焼鳥屋によく一緒に行った小野博之さんにバトン タッチをします。 （及川典生：国際航業） ■コラム ●執筆順番 2011年12月号 高本（アジア）、大島（パスコ）・・・ここからH23会員 2012年1月号 古川（パスコ）、近藤（パスコ） 2月号 木寺（日本測量協会）、田澤（パスコ） 3月号 南澤（パスコ）、堀川（パスコ） 4月号 荒井（東武計画）外立（ﾅｶﾉｱｲｼｽﾃﾑ） 5月号 辻（アジア）、真壁（アジア） 6月号 鈴木（パスコ）、相原（アジア） 7月号 清水（アジア）谷森（東武計画） 8月号 松永（大日ｺﾝｻﾙ）、佐藤（パスコ） 9月号 今村（朝日）、堀川（国際） 10月号 吉川（パスコ）菊池（パスコ） 11月号 嶋（アジア）、岩崎（パスコ） 12月号 坂口（アジア）、山田（国際） 2013年1月号 恩藤（アジア）岡本（復建調査設計）、時永（HRS） ■コラム 「行動心理」 大阪に転勤してまもなく２年になる。もともと出身は大阪だがこれまで関東で１８年間、 大阪では１５年ほど前の２年と合わせて４年間仕事をしてきた。東京と大阪とをおもしろ おかしく比較する人は多いが、両方で生活してみて思うことは以前に比べて双方の違いが なくなってきているということ。東京・大阪に限ったことではないがどこへ行っても全国 展開のチェーン店が立ち並び、人の行き来も増えているのだから当然かもしれない。その 違いとしてかつて「大阪人はホームで並ばない」と言われていたことを思い出し、通勤途 中にある大阪駅で日ごろ気になっていることを記してみたい。 ちょうど１年ほど前、大阪駅が改修されて西の玄関にふさわしい立派な駅舎になった。 南北の駅ビルの間にある大屋根、開放感のある通路・ホームなど、駅構内やその周りでは 写真を撮る人たちも見かける。一方で人の流れが悪くなったというマイナス面も指摘され るが、これは何に優先度を高く設定して設計されたかがうかがい知れるものでもある。現 在の構造になってから、特に環状線ホームは混雑がひどくなったよう思う。利用者の利便 性を考えて設置されているエスカレーターがかえってホーム上の場所を取ってしまい、人 があふれる場所もエスカレータ降り口付近に集中し、駅職員の方も大変苦労して利用客を 誘導されているのを見かける毎日となった。 以前はマナーが悪いと言われていた大阪人も今では驚くほど列を作ろうとするので、ホ ーム上を横切る列が長くなって人の流れを阻害する場面さえ見られる。やがて混雑の集中 を少しでも緩和する方法として三列乗車が推進されるようになった。二列に並ぶより三列 に並んだ方が列の長さが短くなり、その分ホーム上を人が移動しやすくなるというもの。 始めのうちは駅職員の方が混雑の激しい場所で個別に利用者に呼びかけて三列乗車をお願 いしていたが、これがなかなか習慣付かない。最近ではホーム上に三列乗車を促すペイン トが施され、頻繁に三列乗車を促すアナウンスが放送されるようになった。しかしこれで も三列乗車は徹底されない。列車が到着した時、乗車する人の列はドアの両側に分かれる。 これはその間に降車する人を通すためであり、降車客を優先するマナーが行き届いている 結果でもある。これが三列乗車の場合は真ん中に並んだ人がどちらに避ければいいのかが あいまいとなるため真ん中に並びたくないという心理と、先頭に二人並んでいるところに 三人目はその左右どちらに並ぶかのあるいは真ん中に割り込むのかを判断をするより安易 にその二列の後ろに並んでしまうという行動とが三列乗車の習慣付かない理由だと思う。 例えば東京の山手線の駅などでは初めから左右に分かれた状態でそれぞれ二列乗車する ようホーム上のペイントが施されており、利用者も違和感なくこれに従っているように見 える。うまく人の行動心理を捉えた方策の一例であろう。大阪の環状線はドア配置の異な る二種類の車両が運行されているのでこのようなホーム上のペイントが難しいのだろうが、 人を思うように行動させるにはルールやマナーを強要するだけではなく、人があまり意識 することなく従ってしまう・従わざるを得ないような仕組みづくりが重要なのだと感じる。 同様のことが他の様々な場面でも言えるだろう。 （辻求：アジア航測） ■コラム 「原発再稼働を考える」 関西電力大飯原発３、４号機の再稼動を巡る議論が迷走している中、５月５日、北海道 電力泊原発３号機を最後に国内の全原発が停止した。今後の原発再稼動の目処は立ってい ない。 福島第1原発の事故を契機に原発の安全神話が根底から崩れ、浜岡原発の政府による 停止要請をはじめ、定期検査に入ったすべての原発の再稼動にストップがかかっているた めだ。原発事故を踏まえた新しい安全基準の策定に対する政府の対応のブレや、原子力規 制庁設置の遅れがより拍車をかけている。大飯原発再稼働の是非は、関西地域で今夏の電 力不足を乗り越えられるかという論点に止まらず、今後の我が国のエネルギー政策の方向 性を示唆する重大な転機となる。 ４月２３日、今夏の電力需給給見通しが公表された。大飯原発が稼働しない場合、今夏 の関西電力管内の電力需給は16％不足（過去５年の平均気温として）と予測している。関 西経済界は言うまでもなく再稼働を望んでおり、とりわけ大型工場を持つ製造業では、た だでさえ円高によるコスト増や韓国・中国との価格競争に苦しんでおり、原発が動かずに 節電が求められれば生産に重大な影響が出る。さらに火力への振替により電気料金が値上 がりすれば、さらに経営を圧迫することは避けられない。 電力事業者の状況も同様だ。新聞によれば４月２７日に出そろった東京電力を除く電力 ７社（中国電力、沖縄電力除く）の3月期連結決算は計8,190億円の赤字だそうだ。原因 は発電コストが低い原発が再稼働できないためだ。原発の代替えとして高コストの火力の 稼働率向上により燃料費の負担が急増している。計画停電や節電の影響は企業ばかりでは ない。学校や病院、高齢者や要援護者など市民生活への影響も深刻である。 福島の事故により原発の信頼性は根底から崩れ、反原発の国民感情が高まったのは当然 のことだ。とりわけ福島で避難を余儀なくされている方々の苦労は計り知れないものがあ る。しかしながら、以上のような状況を考慮すれば、原子力政策について、枝野経産相が いう「中期的には原子力の依存度をゼロに引き下げるために最大限努力するが、当面は安 全確認を前提としながら活用せざるを得ない」は、説得力に欠けるものの正論と言えるだ ろう。ただし、「原発依存度をゼロに引き下げる」は言い過ぎであり、風力や太陽光など で代替できると誤解されかねない安易な発言も控えるべきだろう。 いまだに原発再稼動の行方は不透明だ。政府は地元住民（および全国民）に対し、原発 の安全性について一貫した説明責任を果たすとともに、何よりも安全性のよりどころとな る、独立性と透明性を持った原子力規制庁の設置を大至急進めなければならない。 再稼動の話はここまでとして次は明るい未来の話に移りたい。先日テレビの報道番組で、 電力供給のほとんどを再生可能エネルギーで賄っている国があることを知り驚いた。アイ スランドである。再生可能エネルギーの内訳は水力と地熱発電で、電力だけでなく全国の 住宅の約90％が地熱利用の温水と暖房を使用しているそうだ。そもそもアイスランドは国 全体が火山みたいなものでそこら中で地熱発電ができるという恵まれた条件もある。エコ を絵に描いたような国だ。すばらしい。日本も火山国なので頑張ったら地熱と水力で電力 の半分位は賄えるかもしれない。 いやそんなわけはない。2011年エネルギー白書によれば日本の一次エネルギー供給構成 （震災前：2008年）は石炭、天然ガス、石油などの火力が83％、原子力が14％、再生可 能エネルギーはわずか3％、自給率についても18%しかない。この数字をみても再生可能 エネルギーへの移行が容易でないことはだれが見てもわかる。ちなみにアイスランドの人 口は32万人程度である。 さて、これから再生可能エネルギーの未来について考察させて頂こうと思ったが、すで に行数オーバーである。いずれにしても、脱原発の是非に関わらす、日本国民は総力を挙 げて再生可能エネルギーへの移行を進めていかなければならない。近年、日本のお家芸で あった電子機器や家電分野で近隣アジア諸国に後塵を拝している中で、再生可能エネルギ ー分野の革新的技術の開発により、日本が世界をリードしていく好機かもしれない。 （真壁信二：アジア航測） ■空間情報関連便利グッズ / 書籍の紹介 ○貝塚 爽平・著：『東京の自然史』 講談社学術文庫，定価(税込)：1,103円 昔、流行ったフォークソングに「いちご白書をもう一度」がありますが、私にとって、 この度、講談社学術文庫として出版された『東京の自然史』には、そんな思いがあります。 40数年前、大学1年の頃にこの本（当時は紀伊國屋新書）を何度か読み、関東ローム層の 層序区分と地形面区分の関係に興味を抱き、卒論も成田層と下末吉ローム層の境界をなす 砂礫層の不整合面とそれに伴う地形発達を調べる羽目になりました。名著は姿かたちを変 えても真理を脈々と伝えてきます。今、首都直下型地震の危険性が叫ばれるなか、東京の 地形発達を本書から学んでは如何でしょうか。 （瀬戸島政博） ○福島原発事故独立検証委員会 調査・検証報告書 福島原発事故独立検証委員会 (著) 東日本大震災にともなって発生した原発事故に関する検証報告書である。発売されたの が事故発生から１年目。民間の事故調査委員会と言う位置づけで調査を行い当初は一部メ ディアにだけ配布予定であったとか。官邸内部の混乱や緊迫した様子も垣間見え、なかな か読み応えのある報告書である。 （池田晃三：アジア航測） ■測量協会イベント情報のお知らせ ○第27回地理空間情報イブニング・セミナー 「どうして宇宙から?」 −宇宙測地学のすすめ−- 講 師: 大坪 俊通 氏 （一橋大学社会学研究科准教授） 日 時 平成24年5月29日（火）16時〜17時30分 会 場 日本測量協会 研修室 参加費 会員は無料、非会員は2,000円 CPDポイント 測量CPDを1ポイント発行 募集人員 先着50名 詳しくは、http://www.jsurvey.jp/k-academy240529.pdf ○平成24年度 空間情報総括監理技術者資格認定試験の受験案内は、 （社）日本測量協会HPに4月から掲載しております。 ○新刊図書 ・地理空間情報の技術商品から知る 問題発見・解決のコツ 監修 村井俊治 企画・編集 スペーシャリストの会 平成24年6月 刊行予定 ・平成24年 測量関係法令集 平成24年5月中旬 刊行予定 会員価格(3､510円) 一般(3､900円) ・設計業務等標準積算基準書・測量業務等積算資料24年版 平成24年5月中旬 刊行予定 会員価格(2､520円) 一般(2､800円) （廿楽:測量協会） ■編集後記 5月の連休に新東名高速を利用してみました。一言で感想を述べるとしたら、これまで の東名高速道路とは全く違う感覚で運転できると言えるかと思います。設計、施工にお いてもこれまでとは違うようですが、路面から伝わる走行感覚、トンネル内での疲れに くさを始め、全体を通して体が楽だった感覚があります。既に利用された他の方も同様 の感覚をもたれた方もいらっしゃるのではないでしょうか？一度、その感覚を体感いた だければと思います。 (編集委員長) ──────────────────────────────────────── All Rights Reserved, COPYRIGHT(c) Spatialist Club このメールマガジンを紹介したい方は各自の責任で転送しても結構です。 ──────────────────────────────────────── |
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