| タイトル：スペーシャリスト会報 Vol.78 | 発行日時：20013年6月17日11時51分11秒 |
| ┏ Magazine from Spatialist Club ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓ 20013年6月17日 ◇ スペーシャリスト メールマガジン ◇ vol.78 発行元：スペーシャリストMM事務局 http://www.capnet.jp/spatial/ ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ INDEX ：＊ニュース・ラウンジ ＊企画委員会・各支部活動報告 ＊リレーエッセイ＜空間連携＞ ＊コラム ＊空間情報関連便利グッズ / 書籍の紹介 等 ＊測量協会イベント情報のお知らせ ============================================================================ ■ニュース・ラウンジ 今年の初め、いつものように朝早く朝日新聞の朝刊を開いた。科学欄に“活断層レーザ ーで見抜く”と大きな見出しが目に入った。興味を引かれた。というのは、小生はここ10 年近く空間情報技術の一つである航空レーザー測量の有効性を唱え、学会誌に投稿したり、 発表したりしていたからである。早速その記事に目を通した。 内容は、航空レーザー測量から18年前に阪神大震災に襲われた神戸市の市街地などでも、 一帯を貫く活断層の姿が詳しくわかってきたとし、某教授がスクリーンに投影した画像を 聴衆にみせながら「市街地地下に隠れている活断層の位置がはっきり見えた」と発表した という。また名古屋市でも昨年、市街地で活断層2本の存在がはっきりしたと、某大学ら の研究チームが航空レーザー測量のデータを分析した結果からいう。加えて、同記事では 「かつての活断層調査といえば、終戦直後に米軍が空撮した写真を使うことが多かった。 戦災のため、地面を覆い隠す建物がないという利点のため…」であると記されている。お そらくスペーシャリストの会員の中にはこの記事を読んだ人がいるだろう。 小生らも、2011年3月の東北地方太平洋沖地震に伴って発生した福島県いわき市南西部 の地表地震断層についてヘリコプターによる航空レーザー測量を行い、地表地震断層の位 置や連続性を把握した。しかし、これは住宅やビルが密集していない農村部や山間部であ る。このような場所でも、高密度に植えられた若齢人工林やササなどの植生群においては 地表までレーザーが到達できない。ましてや住宅やビルが密集している都市部では建物を すり抜けて地面に届くレーザー光線が毎秒10万発、地表50cm計測とはいえど、透過率は農 村部や山間部に比べて極めて低いであろう。 このようなことを考えると、一体どこまでわかったというのか？発表を聴講していない ので何ともいえない。確かに、航空レーザーの測量の登場でさらに活断層の姿がより明ら かになってきているといえるが、都市部でもすべての活断層がわかるとはいえないだろう。 “活断層レーザーで見抜く”を読んだ者の意見に「原発の下を走る活断層調査に航空レー ザー測量を採用できないか？」というのがある。 私見だが、航空レーザー測量を行えば、どこでも活断層がわかるというのに少々疑念を 抱く。今年1月から始まったNHK大河ドラマ“八重の桜”に「ならぬことはならぬもの」と いう会津の教えがあるが、「見えぬものは見えぬ」である。 （高泰朋：朝日航洋） ＜編集よりお知らせ＞ ７月号は瀬戸島さんの担当です。 ■企画委員会・各支部活動報告 ◇「スペーシャリストの会」企画委員会（5月）議事録（一部省略） 日 時：平成25年5月28日（火）13:30〜15:30 会 場：（社）日本測量協会 ３階 ３０１会議室 出席者：住田、林、大山、望月、早川、秋山、池田、大友、大伴、岡本、藤井、 中舎、高岸、廿楽（事務局） 欠席者：瀬戸島、鈴木、津留、村木、榊原、田中 議事項目 １．前回議事録の確認 ２．報告事項 �‥豕�支部の活動報告を住田支部長が説明する。 4月4日に技術士2次試験対策講座を開催した。今年度から技術士の試験内容が変更 になったことも開催の理由。測量系技術者を対象としたものであり、受講者の感想は 受験分野の悩み・勉強のきっかけ・同業他社の話が聞けた等好意的であった。 この時の資料は会員に配布可能であるので必要に応じて事務局に問合せされたい。 ��関西支部の活動報告を藤井支部長が説明する。 技術士一次試験対策講座を6月8日に開催予定である。受講者は二ケタになるだろう。 また、「防災」をテーマに国際航業西岡氏、パスコ森田氏が講演する第2回スペー ス・サロンを8月7日に開催予定である。 �Ｃ翩�支部の活動報告を早川支部長が説明する。 4月26日に平成25年度（第2回）中部空間情報総括監理技術者の会（通称：中部ＳＰ 会）を開催した。内容は中部ＳＰ会定例総会と記念講演として、(株)五星の榊原さん が「地理空間情報事業に関わる地方企業の取り組みと今後の展望」の演題で行った。 �ぃ唯融錣竜�事等について 空間情報関連便利グッズ/書籍の紹介等のコーナーが一般会員の投稿が少なく苦労 している。本件は次号のＭＭ誌でも案内する。 �ザ�間情報監理技術者の利活用状況（調査進捗） 平成24年10月〜3月（平成24年度下期）の調査を今月中に提出してほしい。ちなみ に上期は322本であった。 �Ω�開講座（7月3日(水)16時〜17時30分）の参加要請 �Ф�間情報監理技術者試験への受験要請 ��第34回イブニングセミナーへの参加要請 ３．討議事項 �〃邊�「測量」スペーシャリストの会コーナーの分担執筆（毎号）の確認と企画 6回シリーズまでの執筆者に連絡済である。第6回（担当：新井一樹氏（東日本）） の原稿が事務局にまだ届いていないため、林氏（パスコ）が確認する。 ��日本写真測量学会北信越支部セミナー講師派遣の確認 第3回9月27日開催、担当：渡邉祐三氏（パスコ）の演題を決めてほしい。 第4回の開催日時は当初予定どおり、11月29日（金）で決定。担当はアジア航測 殿で講演者を調整中である。 ��2013年新規出版物の検討（住田副委員長からの提案の細部等） 当初予定の11月出版は難しいため来年1月初旬出版を目指すことに変更した。 本文の記述を7月までに行い、初校を7月下旬にしたい。 �ぃ咤个硫饒躄颪任隆覯莪童‘� 10月18日（金）14時〜開催で決定。 例年の特別講演会枠を村井先生の基調講演とそれを受けたパネルディスカッショ ンとする方向で決定した。 �ァ峩�間情報技術事例報告集」への投稿要請と査読協力 問い合わせはあるが投稿はまだない。査読協力者の取り扱い・割り振り等はペン ディングである。ＳＰ会メンバーに査読協力があることを周知する。 ４．その他 �。咤于�HPについて HP開設にあたり、各社1名の準備会担当者（どのように、例えばツイッターやフェ イスブックも対応する等構成の検討を行う）を選任することになっていたが、まだ、 決定していないので6月4日までに回答を行う。 �⊆＿麝縦� 平成25年7月10日（水）15:00〜17:00 日本測量協会3F会議室（301号室） （中舎哉：中日本航空株式会社） 以上 ＜編集よりお知らせ＞ 企画委員会及び各支部活動報告の議事録は、毎月10日迄に原稿を送付頂ければ、当月号 に掲載致します。なお、文字数によっては抜粋・要約する場合があります事を予めご了承 下さい。 ■リレーエッセイ＜空間連携＞ 今は防災の仕事に携わっておりますが、もともとは地質屋で若かりし頃（30代）はフィ ールドを歩き回っていました。渓流を登りながら露頭を探し、岩石の種類や地層の走向傾 斜を調査し、地質図を作成することが目的でした。必須アイテムは、大縮尺地形図、ロッ クハンマーとクリノメーター、高度計とカメラでした。当時はフィルムカメラであったた め、手振れや露出不足がたびたびあり、泣く思いで撮り直しに行った記憶があります。ま た、精度のよくない森林基本図とクリノメーターを使ってルートマップを作成するため、 露頭位置の特定が難しく、水平距離で数10〜100m以上のズレは当たり前でした。 ところがスマートフォンの普及により、調査アイテムが劇的に改善されることになりま した。まず１つ目のアプリは前号で小更さんが紹介した「Field Access」です。 縮尺25,000の精度になりますが、現在地を座標で特定でき、かつルートマップをデータと して残せるようになりました。２つ目のアプリは「GeoClino」です。従来のアナログ仕様 のクリノメーターは方位磁石のため、メンテナンスをしないと動きが悪くなり、測定に不 具合を生じることがありました。「GeoClino」はこのようなトラブルの心配がないため安 心して使うことができ、かつ測定した位置と時間を記録することができます。 このように、スマホ１台でルートマップ作成と露頭調査、写真撮影をこなすことができ、 GPSデータとして記録できるため、本当に便利な世の中になりました。ただし、気をつけ なくてはいけないことがあります。まず、バッテリーの消耗が激しくなるため予備電源が 必須です。また、ツールに頼り過ぎることで現場で養うべき経験・勘の妨げになってしま うことです。スマホの耐久性を考慮すると、補助ツールとしての使い方がよいと思います。 次回は、昔、一緒に現場を歩いたアジア航測�蠅涼飜遒気鵑縫丱肇鵐織奪舛靴泙后� （菅原和宏：パスコ） ■コラム 【執筆順番（敬称略）】 2013年 6月号 中野（朝日航洋），宮坂（中日本航空） 7月号 江��（中日本航空），田丸（パスコ） 8月号 村上（朝日航洋），多田（ﾀｯｸｴﾝｼﾞﾆｱﾘﾝｸﾞ） 9月号 千葉（ﾀｯｸｴﾝｼﾞﾆｱﾘﾝｸﾞ），永田（パスコ） 10月号 廣瀬（ヤフー），向平（パスコ） 11月号 鵜飼（中日本航空），野田（アジア航測） 12月号 根本（パスコ），�睛�（朝日航洋） 2014年 1月号 岡部（パスコ），堀（朝日航洋） 2月号 小田原（アジア航測），西村（ｻﾝｺｰｺﾝｻﾙﾀﾝﾄ） 3月号 〜H25年度新会員を予定 ◇コラム「学会・総会シーズン」 毎年のことですが、ゴールデンウィークが明けると日本写真測量学会(JSPRS)をはじめ とする多くの空間情報に関わる学会の学術講演会・総会や日本測量協会の総会があり、皆 さんもあわただしく５月を過ごされたのではないでしょうか。私は数年前からJSPRSの学 術講演会実行委員を微力ながら務めています。春の講演会は２日で終わりますが、その水 面下には、アブストラクトの受付や発表プログラムの作成、企業展示、会場運営など多く の作業に労力が費やされています。昨年で50周年を迎えたJSPRSは、学生からシニアまで 発表や参加のある講演会があり、さらに参加者の半分以上が集まる懇親会もあります。そ れ以外に会社を超えた飲みニケーションも活発です。そのようなことから、某氏より「学 会とは、頭も”胃袋”も疲れるもの」との言葉がもれました。「うーん。業界の妖怪の言 葉は重い」と感じました。今年の秋学会は、福井で11月7-9日に開催予定です。SP会の方、 その周辺の方は、ぜひ、研究や業務を整理してご発表ください。 （中野一也：朝日航洋） ◇コラム「SNSの時代」 「ゴーーーール！！！」。昨日は本田の終了間際の劇的同点PKゴールで5年連続のワー ルドカップ進出が決まり、非常に気分良くこのコラムを書いています。ところで、自分も 近頃ではスマホを持ち、サッカー観戦しながらTwitterを眺めたりしています。すると、 試合直後から「渋谷のスクランブル交差点が閉鎖！」等のその場でしか得られない情報が 写真付きで流れだし、家に居ながらもその現場にいるような感覚で情報を得られる時代に なったと改めて気づかされたのでした。 3.11の時も、こうした位置情報付のSNS情報が、救助や状況把握に非常に有効であった とことはよく知られており、今後もこうした情報の災害時の活用が期待されています。 しかし、一方で「○○にタレントの××がいる。」とか、「○○に珍しい植物が生えて いる。」というような、秘匿すべき情報もSNSではときおり発信され、あっという間に拡 散してしまうなど、マイナスの面も懸念されるところです。特に位置情報がリアルタイム に拡散すると、対策をとる時間もなく深刻なダメージとなります。 SNSが発達してきた時代において、こうした手法での情報活用は、空間情報を扱う我々 にとっても重要となると考えられますが、その管理にも、ますます細心の注意が必要にな ると感じました。 （宮坂聡：中日本航空） ■空間情報関連便利グッズ / 書籍の紹介 等 ◇「古代道路の謎―奈良時代の巨大国家プロジェクト」近江 俊秀 著（祥伝社新書 本体840円） 近年の調査により、７世紀ごろに日本中を張り巡らす巨大道路網が建設されていたとの ことです。東北から九州まで長さ約6,300kmもの距離を、最大幅30mで敷設するという事業 は、現代におきかえても列島改造と匹敵する国家プロジェクトといえます。 本書では、一般向けに、古代の測量技術や、史料と地図と航空写真を使った古代道路の 見つけ方等が紹介されていますが、より高度な計測技術を活用すれば、新たな発見もある かもしれません。 （大橋） ■測量協会イベント情報のお知らせ ◇公開講座 「古代の測量術と邪馬台国」 講 師:野上道男氏(東京都立大学名誉教授) 日 時:平成25年7月3日(水)16時〜17時30分 会 場:日本測量協会 研修室(東京都文京区小石川) 詳しくは、http://www.jsurvey.jp/open250703.pdf ◇新刊図書発刊予定 「公共測量 作業規程の準則 基準点測量記載要領(改訂版)」 「公共測量 作業規程の準則 平成25年3月29日一部改訂」 「測量関係法令集(25年版)」 「設計業務等標準積算基準書 25年度版」 詳しくは、http://www.jsurvey.jp/2.htm （廿楽実：日本測量協会） ■編集後記 ６月３日は「測量の日」でした。毎年全国各地で関連イベントが開催されますが、東 京では、新宿駅の西口広場で「くらしと測量・地図」展が開催されました。 日本で最も乗降客の多い駅で行う一般向けの展示には、様々な人が訪れます。測量に 興味を持って熱心に質問してくる方、同業者（営業マン？）と思われる方、通りすがり にただ寄っただけの方、学生、家族連れ等々。来訪者の一人から『これは大変意義のあ る良いイベントであるが、ここに来るまでは知らなかった。もっと多方面のメディアで 宣伝すべきではないか』との声もありました。ポスター掲示やＨＰ等での広報活動等は 行っていたとは思いますが、今後は新たなメディアや、例えば不特定多数の人々に拡散 できるようなＳＮＳ等を活用した仕組みがあれば面白いですね。 (大橋) ──────────────────────────────────────── All Rights Reserved, COPYRIGHT(c) Spatialist Club このメールマガジンを紹介したい方は各自の責任で転送しても結構です。 ──────────────────────────────────────── |
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