| タイトル：スペーシャリスト会報 Vol.80 | 発行日時：20013年8月14日11時26分33秒 |
| ┏ Magazine from Spatialist Club ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓ 20013年8月14日 ◇ スペーシャリスト メールマガジン ◇ vol.80 発行元：スペーシャリストMM事務局 http://www.capnet.jp/spatial/ ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ INDEX ：＊ニュース・ラウンジ ＊企画委員会・各支部活動報告 ＊リレーエッセイ＜空間連携＞ ＊コラム ＊空間情報関連便利グッズ / 書籍の紹介 等 ＊測量協会イベント情報のお知らせ ============================================================================ ■ニュース・ラウンジ 夏休み中の方も多いことかと思います。ゆっくりリフレッシュしましょう。さて、今月 は、短く三つの話題提供のスタイルにしました。 □地震時の地盤災害のリアルタイム予想 先日の朝日新聞に“地滑り、地震直後に推定 国土地理院がシステム開発”という見出 しで報道されていたことはご存じの方も多いと思います。これは、同院地理解析研究室の 神谷主任研究官が６月の同院報告会で「地震時地盤被害予想システム」として発表された ものです。このシステムは、地震発生後概ね15分以内に斜面崩壊、地滑り、液状化の危険 度を自動的に予測し、その結果を配信できるもので、院内で試験運用が開始されています。 報告の“まとめ”では、“今後、外部の防災担当部局にもデータを配信し、災害対策に活 用することにより、成果を国民の安心・安全につなげていく予定である。”とされていま す。緊急撮影への活用も期待されます。 □「Ｇ空間×ＩＣＴ推進会議」報告書 この報告書は、総務省が主催するＧ空間×ＩＣＴ推進会議（座長：東京大学 柴崎亮介 先生）で６月にとりまとめられ公表されたものです。報告書では、Ｇ空間関連の市場規模 (売上高ベース)が試算されており、2012年度の19.8兆円から、新たな市場を創出すること で2020年度には62.2兆円に達すると予測されています。このことは、“Ｇ空間社会が日本 経済に急速に浸透することを示すものであり、「Ｇ空間×ＩＣＴ」がわが国の基盤となり、 「Ｇ空間×ＩＣＴ」が経済活動や市民生活で不可欠な存在になっていることを示唆してい る”とされています。しかしながら、報告書に示された提言の具現化は、Ｇ空間に係わる 産官学に与えられた課題であることも併せて示されています。当然、ＳＰ会は、課題解決 の先頭に立つ集団であらねばならないと考えます。 □関東地方整備局の継続教育（ＣＰＤ）評価 空間情報総括監理技術者の資格更新には、５年間で測量ＣＰＤ40ポイントが必要です （平成23年度までの合格者は、初回は25ポイント/５年で可）。２度目の更新までには、 まだ少し時間がありますが、計画的な継続教育の取り組みが必要です。測量ＣＰＤは、建 設コンサルタンツ協会などのＣＰＤと違い、社内での研修や自主的な学習はＣＰＤポイン トになりません。また、測量ＣＰＤの登録証を皆さんお持ちと思いますが、有効期限があ りますので、注意して下さい。 さて、本題です。国土交通省関東地方整備局が10月から継続教育（ＣＰＤ）の評価を開 始します。ＣＰＤの評価は、（簡易）公募型プロポーザル方式、（簡易）公募型総合評価 落札方式などで、管理（主任）技術者の評価として、技術提案書提出者の選定時と特定時 に実施されます。測量業務の場合は、測量系ＣＰＤ協議会のＣＰＤ（測量ＣＰＤ）が20ポ イント/年、100ポイント/5年以上でないと加点されません。20ポイント/年の測量ＣＰＤ に対し建設コンサルタンツ協会のＣＰＤが50単位/年ですので、測量ＣＰＤポイントは、 一見楽そうに思えますが、自主学習のカウントなどがありませんので相当厳しい値です。 留意しましょう。 いずれの話題も詳細は、各発表資料を参照下さい。 まだまだ、残暑が厳しいと思われます。お身体、大切に･･･。 （林義政：パスコ） ＜編集よりお知らせ＞ ９月号は住田さんの担当です。 ■企画委員会・各支部活動報告 ＜編集よりお知らせ＞ 今月は記事がございません。 企画委員会及び各支部活動報告の議事録は、毎月10日迄に原稿を送付頂ければ、当月号 に掲載致します。なお、文字数によっては抜粋・要約する場合があります事を予めご了承 下さい。 ■リレーエッセイ＜空間連携＞ 東日本大震災後、東北へ赴いて2年以上がたちました。 復興は、被災者の方との合意形成や、土地の権利関係の整理に時間を要しています。ま た、防潮堤整備では、まちづくり、景観、生態系に対する不安が住民から上がっています。 今後、工事の本格化に伴い、資材や人材不足が深刻になるなど、課題は多いと感じます。 復興事業では、事業の効率化に向けてCIM（Construction Information Modeling）の活 用が期待されています。これまでの土木分野での3次元設計は、構造物の取り合いの確認 など、限定的な活用だったのかもしれません。復興事業では、3次元CADにより、整備内容 を可視化することで住民の合意形成に活用している事例があります。新しいまちづくりで は、地下埋設物から道路や宅地に至るまで、すべてが新たに整備されます。測量から設計 ・施工、維持管理までが一貫した3次元データによる空間情報の連携が、設計・施工の効 率化のみならず、そこに生活する方がより便利に、行政サービスが高度化する復興モデル につながればと感じています。 今年の仙台七夕まつりのテーマは「つなぐ」。復興は道半ばです。さまざまな機会で東 北に対する継続したご支援をいただければ幸いです。 次回は、当社の仙台で空間情報に携わる清水孝さんにバトンをお渡しします。 （渡辺智晴：アジア航測） ■コラム 【執筆順番（敬称略）】 2013年 8月号 村上（朝日航洋），多田（ﾀｯｸｴﾝｼﾞﾆｱﾘﾝｸﾞ） 9月号 千葉（ﾀｯｸｴﾝｼﾞﾆｱﾘﾝｸﾞ），永田（パスコ） 10月号 廣瀬（ヤフー），向平（パスコ） 11月号 鵜飼（中日本航空），野田（アジア航測） 12月号 根本（パスコ），�睛�（朝日航洋） 2014年 1月号 岡部（パスコ），堀（朝日航洋） 2月号 小田原（アジア航測），西村（ｻﾝｺｰｺﾝｻﾙﾀﾝﾄ） 3月号 〜H25年度新会員を予定 ◇コラム「温故知新 −覆される常識−」 その１：伊能忠敬は経度緯度の記載されている日本地図を頼りに全国の測量を始める。 その２：明治期から昭和前期に1/10,000程度の大縮尺の都市地図が全国200程度の主要 都市で毎年発行されている。この地図は多色刷りで、装飾を凝らし、毎年情報更新される。 ちょっと待て。「伊能忠敬は日本地図を作った人でしょう。彼が経緯度の入った日本地 図を頼りに全国を廻ったら話がおかしくなる。」「戦前は陸地測量部の地図でしょう。モ ノクロでシンプルな地図。」と思われている諸兄が大多数ではないだろうか。少なくとも 私はそうであった。事実は然（さ）にあらず。伊能忠敬が測量を開始する２０年も前に長 久保赤水作の経緯度入り地図が市販され流通していた。また、明治以降現在まで町の本屋 さんには複数の民間会社が発行する地図が並んでいて、陸地測量部（地理院）の地図は、 片隅に置かれていた。陸地測量部のモノクロ地図が戦前の中心と言う発想は、歴史・地理 の教科書で陸地測量部地図を掲載する中で、「常識（思い込み）」が完成したと考える。 論語に温故知新ということばがある。人の師となるには、物事の根源を知り新たな道理 や知識を見出さねばならないと言うことばだそうだ。古きをたずねると、前述のとおり 「思い込み（常識）」を指摘されることとなる。故温とは、記憶を整理し補強するばかり でなく、無意識に構築していた「常識」を根底から覆させてしまう。そして知新とは、新 たな知識や道理を見出すばかりでない。「誤った常識」「陥っている誤解」を社会に対し 如何に正していくかの、覚悟を迫ることばと考える。空間情報で身を立てる我々が測量や 地図の歴史を知るべきであるし、より一歩踏み込んで、常識と思い込んでいる歴史を編み 直す必要があるのだろう。 （村上桂山：朝日航洋） ◇コラム「被災地の風景」 東日本大震災による津波被災地の定点撮影を空と地上から、6ヶ月毎に計4回、担当しま した。 撮影順に写真を整理しながら感じたことは、斜め写真での被災区域の色の移り変わりで す。被災地を覆うガレキの黒に始まり、片付いた土地の（湿った）土の色、乾いた土地の 白、雑草に覆われた緑、そして最近は工事着手箇所の地肌の色が点在するといった具合で す。 地上写真の場合は、ガレキの山や更地、そして雑草に覆われた風景は、土埃を含んだ風 と独特な臭（にお）い、絶え間なく聞こえる重機の音などが生々しくオーバーラップしま す。もちろん、これは私の撮影時の記憶ではありますが、被災地を直接目にしたことのあ る人は同じような印象を持たれると思います。 今後の復興が進む風景からは、どんな色や匂い（薫り）、音が感じられるのか興味を持 ちながら見て行きたいと思っています。 （多田信之：タックエンジニアリング） ■空間情報関連便利グッズ / 書籍の紹介 等 ◇「気候で読み解く日本の歴史―異常気象との攻防1400年―」 田家 康 著（日本経済新 聞出版社 税込1,890円） 過去の歴史を振り返ると、気候の変動による様々な事象とその対応が、時の為政者の政 策を決定づける要因になってきたとも云えますが、本書は総じて、近代以前の飢饉対策が 中心となっています。現代での災害復興を考えると、近代以降にもう少しページを割いて も良かった気がします。 （大橋） ■測量協会イベント情報のお知らせ ◇地理空間情報イブニング・セミナー 第34回 いよいよマルチGNSS配信サービス開始 −マルチGNSSによるネットワーク型RTK配信の最新情報− 講師:細谷素之 電子基準点を利用したリアルタイム測位推進協議会 日程:平成25年9月19日(木) 会場:日本測量協会研修室(東京) 詳しくは、http://www.jsurvey.jp/k-academy250919.pdf ◇空間情報技術事例報告集の報告文募集 ☆応募締め切り：随時（投稿報告文が到着次第、速やかに査読） ☆掲載可となれば、日本測量協会ホームページ上の［測量情報館］に掲載 技術事例報告集では、新規性や独創性という視点とは別に、 (1)創意工夫性（何らかの創意工夫による業務改善への貢献など） (2)実用性（実務への応用性や実際に業務等に適用していく際の実用性など） (3)信頼性（技術事例報告の内容やその結果に対して、信頼性や実証性など） (4)今後の展開性（空間情報技術領域の中で、他技術領域への新たな展開や応用 の可能性、他技術との融合性や融合利用の可能性などを含めて今後の展開性） という視点から査読し、技術事例報告として採用致します。奮って、投稿ください。 詳しくは、http://www.jsurvey.jp/kuukanhoukoku.pdf ◇トピックス「関東地方整備局において測量CPDを評価点として採用」 関東地方整備局は、平成25年7月29日「平成25年度業務入札・契約手続き改善の取り組 みについて」を公表し、10月1日以降公告する業務の入札で測量系CPD協議会が発行する 「測量CPD学習履歴証明書」を評価の対象とすることになりました。 具体的には、 １．必ず、測量CPD学習履歴証明書の添付が必要となります。（インターネットでの検 索結果の写しは評価の対象となりません。） ２．評価の基準（推奨単位等）は、１００ポイント（５年）又は２０ポイント/年とな っています。 ３．CPD学習履歴証明書の有効期限は、公示日から過去１年以内又は公示日以降に発行 されたものとなっています。 ４．平成25年度（簡易）公募型総合評価落札方式（簡易型）の標準的な管理（主任） 技術者の加算評価点は、５ポイントとなっています。 詳しくは、http://www.ktr.mlit.go.jp/ktr_content/content/000078151.pdf （瀬戸島政博，廿楽実：日本測量協会） ■編集後記 記録的に暑い日が続いていますが、一方で局地的な集中豪雨・雷雨が多発しています。 否応無しに気候変動に対して考えざるをえません。 来年度予算に対する概算要求の時期ですが、復興の加速はもちろん、気候変動への対応 や防災・減災等に資する国土強靱化など、持続可能な社会の構築に対する具体の政策と予 算に注目したいですね。 (大橋) ──────────────────────────────────────── All Rights Reserved, COPYRIGHT(c) Spatialist Club このメールマガジンを紹介したい方は各自の責任で転送しても結構です。 ──────────────────────────────────────── |
|
| 戻る | |
| CGIの匠 |