| タイトル：スペーシャリスト会報 Vol.84 | 発行日時：20013年12月17日21時29分32秒 |
| ┏ Magazine from Spatialist Club ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓ 20013年12月17日 ◇ スペーシャリスト メールマガジン ◇ vol.84 発行元：スペーシャリストMM事務局 http://www.capnet.jp/spatial/ ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ INDEX ： ＊ニュース・ラウンジ（住田英二） ＊企画委員会・各支部活動報告（秋山幸秀，藤井雅雄） ＊リレーエッセイ＜空間連携＞（岡本良徳) ＊コラム（根本稔彦，�睛�勝弘） ＊空間情報関連便利グッズ / 書籍の紹介 等（田中邦一） ＊測量協会からのお知らせ（廿楽実） ============================================================================ ■ニュース・ラウンジ 今年も残すところ僅かとなりました。SP会の皆様、いかがお過ごしでしょうか。 このラウンジで毎度G空間の動向など紹介して参りましたが、ご存知の通りG空間EXPO （第三回）が先月11月14-16日の三日間、お台場の日本科学未来館で開催されました。昨 年までのパシフィコ横浜から会場を変更し、開催規模を縮小したにも拘らず、参加者は前 回とほぼ同様であったようです。いままでのお祭り的要素は影をひそめ、その分アカデミ ックな雰囲気に包まれていたあたりが印象的でした。 今回は準天頂衛星システム、屋内外測位ビジネス、レーザ計測、３次元地理空間情報、 地理空間情報の流通、といったところが主たるテーマと感じました。３年後には準天頂衛 星が４機体制となり、７年後には東京オリンピックが開催されます。今後は屋内外の３次 元地理空間情報による様々な位置情報サービスが展開されると想定され、我々SP会員も大 いに地理空間情報コンサルタントとして活躍することが期待されているところであると思 います。 さて、今後３次元地理空間情報などを利活用する新たな社会の実現に向けて、測量技術 者（測量士）も重要な役割を果たさなければなりません。しかしながら、測量士の総数は 概ね横ばいながら、平均年齢が高齢化し若手技術者に測量士が不足する傾向にあります （「測量設計業の課題と展望」（一社）全国測量設計業協会連合会H23）より）。また、 航空測量各社においても同様の傾向にあるようです。 この約10年間で測量技術はGNSS測位の進展に伴い、空中三角測量の自動化、航空・地上 レーザ測量、航空デジタルカメラ、モービルマッピングシステムなど急速な発展を遂げて いますが、公共測量における人件費単価が年々下落するなど、受注環境は依然として厳し い状況下にあります。今後の地理空間情報を利活用する社会の実現に、測量技術者の活躍 が欠かせないことを認識し、改めて今後を担う若手技術者の確保が必要な状況にあります。 ところで最近、私の大学時代の先輩が地方の国立大学で地理学の教授をなさっていて、 その先生と偶然雑談する機会がありました。その先生は、GNSS観測をはじめとする最新の 測量機器は確かに高性能で便利ではあるとしながらも、学生に測量の原理原則がなかなか 身につかない、とのことから測量学実習の際には平板測量を課し、時間をかけて地形をじ っくり観察して測量に取り組ませ、測量の基本を理解させるよう努めていると話されてい ました。私自身も大学で測量学と測量学実習の非常勤講師をしていますが、大変重要な示 唆と感じました。平板測量は公共測量作業規程（準則）から数年前に削除され、実際に利 用されることまれでしょうが、測量の基本を習得するには有効な方法であり（もちろん平 板が全ての基本要素を賄う訳ではありませんが）、様々な応用能力を発揮するためにも重 要であると考えています。最近の若手技術者の多くは、こうした基本的な測量教育を十分 に受ける機会もなく、測量の現場においてもGNSS観測が主体です。その結果、機器のオペ レーションには長けても、測量の基本知識や経験がなかなか身に付かず、様々な応用がで きづらくなっていると感じています。今、若手技術者に改めて測量の基本と重要性を理解 してもらいながら、今後の技術者確保に努める必要があると考えています。 我々SP会としてもこの課題は極めて重要と認識すべきところと思います。昨今、地理空 間情報専門技術者の集団として「地理空間情報専門技術者の会（ジオメトリストの会）」 が発足しました。こうした課題にジオメトリストの会と連携して取り組むことも必要では ないかと考えています（私案レベルですが）。 本年は大変お世話になりました。来年も引き続きよろしくお願いいたします。 （住田英二：アジア航測） ＜編集よりお知らせ＞ 1月号は秋山さんの担当です。 ■企画委員会・各支部活動報告 ◇「スぺーシャリストの会」企画委員会 議事録（一部省略） 日 時：平成２５年１１月１９日（木） １３：３０〜１５：３０ 場 所：日本測量協会３Ｆ ３０３会議室 出席者：瀬戸島、住田、林、秋山、望月、池田、大友、中舎、岡本、田中、藤井、大橋 早川、鈴木、廿楽（事務局）（欠席者：大山、大伴、村木、津留、神原） １．報告事項 （１）各支部活動報告 �ヾ慇昌拮�報告（藤井）第１９回支部会議開催 (１０月２８日)１５名出席 関西支部会員名簿を作成（中国・四国・九州を含む） スペースサロンのテーマ「空間情報においても知っておきたい著作権」 勉強会資料について、空間情報技術事例報告集に出せるか確認し要請する 技術士一次試験対策講座の取り組み方針案策定 次回勉強会平成２５年１２月４日１３時１５〜１７時００分 会場；アスコ ��中部支部報告 第２７回支部会議開催 （１１月０８日）１０名出席 来年度の愛知県講習会を来年から次年度開催予定，講師は大日Cと他1名 測量協会の講習会開催予定，テーマはＭＭＳ，１１月２７日，１０名以下順延 次回勉強会平成２６年１月末予定 �Ｅ豕�支部報告 執筆本の進捗状況確認 （２）メルマガ誌の記事について（大橋） ・ニュースラウンジ、便利グッズ／書籍の紹介等の執筆順を決定 ・コラムは新会員のコーナとすることを決定 ２．討議事項 （１）月刊「測量」スペーシャリストコーナーの分担執筆（毎号）の確認と企画 第１３弾 維持管理シリーズ （２０１４年４月掲載開始予定） 執筆順は以下のように決定 �．僖好晦���朝日航洋→��ＡＡＳ→�っ翔�本→�ス餾盜匐箱��Υ慇昌拮瑤茲� 第１４弾 続・技術は人に宿る （２０１４年９月掲載開始予定） �．僖好晦���朝日航洋→��ＡＡＳ→�っ翔�本→�ス餾盜匐箱��γ翩�支部より （２）写真測量学会 北信越支部セミナー講師派遣について １回目平成26年５月の講師は今村政夫 氏（朝日航洋） （３）新規出版物「測量系技術者のための技術文章分析のコツ」の進捗確認と予定 1月中に第一稿を返却し第二稿校正に入る予定，4月初旬に刊行 （４）ジオメトリストの会（ＧＭの会）との連携による技術発表会 ＧＭの会は２０１３年１２月１日発足，２０１４年６月に技術発表会開催予定 ３．その他 高泰朋 評議委員が朝日航洋を退職されました。 関西支部より情報交換会等についての予算請求あり。規定の予算でやりくりする こと。 ４．次回予定 平成26年1月29日(水)13時30分〜15時30分 日本測量協会3F会議室 以上 （秋山幸秀：朝日航洋） ◇「スぺーシャリストの会」企関西支部 第20回会議 議事録（一部省略） 日 時：平成２５年１２月４日（水） １３：１０〜１４：００ 場 所：日本測量協会３Ｆ ３０３会議室 出席者：藤井、畠、内田、平田、村田、森田、井畑、千田、名草、堀、前出（事務局） 欠席者：15名 議事録作成：名草 １．討議事項 �（神�25年度関西支部会議の主要議題とスペース・サロンの企画(案〉 ・第4回のテーマ・講師は、次回の会議(第21回)にて決定するものとした。 ・第4回スペース・サロン＠kansai(第23回会議と同時開催)の会場は、国際航業の施 設がセキュリティの問題で開催が難しいため、第22回のパスコと順番を入れ替える。 �△修梁� ・事業計画における支部予算について、年度計画に応じて予算要求を行えるようにす べきではないかの意見が出た。 ・Ｇジオメトリストの会の事業年度は、行政年度となっているが、スペーシャリスト の会の事業年度についても、４月から始まる行政年度に合わせた方が、会の運営が やりやすいのではないかとの問題提起もされた。 ２．スペース・サロン終了後の追加討議 ・四国地区の取扱いを協議した結果、今後、四国地区のメンバー（神原氏、森本氏） は、関西支部の正会員扱いとする。 ・支部が設立していない中国、九州地区メンバーの活動拠点として、地理的に近い関 西支部での活動を受け入れる。 ・SPの会関西支部での「空間情報総括監理技術者」受験対策の勉強会の実施について、 企画委員会からは、SPの会が実施主体であって、資格認定機関の日本測量協会が関 与するものでなければ「問題なし」との回答であった。 ３．次回予定 平成26年4月11日(金〉午後3時〜 アジア航測�� 勉強会講師担当:大久保氏、議事録作成担当：辻氏 以上 （藤井雅雄：写測エンジニアリング） ＜編集よりお知らせ＞ 企画委員会及び各支部活動報告の議事録は、毎月10日迄に原稿を送付頂ければ、当月号 に掲載致します。なお、文字数によっては抜粋・要約する場合があります事を予めご了承 下さい。 ■リレーエッセイ＜空間連携＞ 当社の來山よりバトンを受け取りました。 今年、人生初の海外出張に行ってきました。場所は、ベトナムのラックフェンです。そ こでは、ラックフェン国際港建設事業が行われていて、その中で、現地の測量エンジニア が試験ボーリングの位置出しを行っており、その方法が適正に行われているかを確認し、 不適切なところがあれば指導を行うことが目的です。 現地にて作業方法を確認すると、GNSS測量器を使用してRTK-GNSS測量法により位置出し を行っていました。また、トータルステーションを用いた測角測距により設置した位置の 確認を行うとともに、ボーリング中は、午前と午後の作業開始時に、測量器を2台使用し てロッド及びケーシングの傾きを確認しており、実に丁寧な作業をしていると感じました。 その中で私が指導した事は、GNSS測量機のポール、トータルスーション、レベル等の測 量機器の点検方法です。現地の測量技術者は、機器の点検方法までは知らず、真剣に学ん でいました。いくら丁寧な測量をしても、測量機器に問題があれば『アウト』です。 もう１点指導した事は、試験ボーリングの位置出しに必要な座標値を電話で発注者から 聞いたまま機械に入力して、作業をしていましたが、聞き間違いの可能性があるので、電 話でのやり取りを止めるように指導したことです。国民性なのか個人の性格なのかはわか りませんが、座標の入力間違いの影響について軽く考えているように感じました。 しかし、皆まじめに仕事に取り組んでおり、いろいろと指導することで大きく成長する のではないかと思います。この度は、ボーリングの位置出しの指導でしたが、次回機会が あれば測量の基本である基準点測量、地図作りの基本となる地形測量等について指導し、 測量の意義や面白さをさらに感じてもらえればと思います。そして、いつか、一緒に仕事 が出来たらいいなと思います。 次は、図化作業でお世話になっているアジア航測の高本さんにバトンを渡したいと思い ます。 （岡本良徳：復建調査設計） ■コラム 【執筆順番（敬称略）】 2013年12月号 根本（パスコ），�睛�（朝日航洋） 2014年 1月号 岡部（パスコ），堀（朝日航洋） 2月号 小田原（アジア航測），西村（ｻﾝｺｰｺﾝｻﾙﾀﾝﾄ） 3月号 〜H25年度新会員（「新会員のコーナー」に改称） ◇コラム「素掘り構造トンネル？？」 最近道路ストック総点検業務に多く携わっており、さらにこのうちのトンネル点検でよ く現場に赴きます。当然現場に出る前に机上で色々段取りをするわけですが、『素掘り構 造トンネル』なるものを、さる方面で多々見ました。東京２３区育ちの私には、最初意味 が分からなかったのですが、岩盤を単にくり貫いたものでした。そんな程度の構造なのに、 交通量は少ないでしょうが、列記とした地域の生活道路なのです。 このような構造体に国交省のマニュアルとおりの判定は当然当てはまらず、国総研の大 規模災害時の交通ネットワーク機能の維持に関する総合評価手法を用いて健全度判定を行 いましたが、まだこんな構造の社会インフラ土木構造物が多く残っているのかと思い、空 間情報技術力にて、このような地域の防災対策・減災対策の労力低減を推し進めなければ ならないと痛感した１日でした。 因みにトンネル内点検時のこと。当然内部照明も無い坑内の天井部をライトで照らして みると、なにやら黒いモソモソした物体あり。蜘蛛の巣に排ガスのススでも絡まりついた ものかと思って点検者として用心深く見てみると、ギョ！コウモリの大群。思わず尻込み してしまいました。 （根本稔彦：パスコ） ◇コラム「未来の農業」 我が家の田植機の更新にあたり最新の農業機械について調べてみた。建設業で無人化施 工等が進んでいるが、農業においてもGPSの活用をはじめとした様々な取り組みが進んで いることに驚いた。 近年、農家人口の減少と高齢化の進行、農作業の省力化、ほ場等の均平の高精度化など の農業機械の実用化試験が各地で実施されており、RTK-GPSを用いて農業機械を無人で制 御し、傾斜面も含めた均平精度向上、農作業の省力化・コスト低減を目指している。特に 稲作では「田植えロボット」の実験が進んでおり、高精度GPSによる正確な位置情報と姿 勢計測装置等のデータを使用し、コンピュータで判断・制御することにより、自律走行に よる無人での田植えが可能となる。作業はGPSで計測した水田形状に合わせて設定した作 業経路に沿って行い、位置計測はVRS（仮想基準点）方式のネットワーク型RTK-GPSにより ±3cmの精度を確保するとのこと。走行は、FOG姿勢計測装置により機体の傾き（ロール、 ピッチ）と進行方向（ヨー）を計測しながら、設定した作業経路からの偏差を最少にする ステアリング操作、前後進、車速の制御を行うとともに、植え付け部の昇降と植え付けを 自動制御する。これにより30アールあたりの作業時間を約50分で完了でき、植え付け位置 精度も±10cmと精度が高い。やはり課題は、高価なGPS、FOG等の制御装置を用いるため、 実用化に向けてはコスト低減やさらなる精度向上が必要となる。 このように農業機械の未来に期待が持てるが、我が家にこのような機械が来ることはい つになるであろうか。 （高梨勝弘：朝日航洋） ■空間情報関連便利グッズ / 書籍の紹介 等 ◇「地形からみた歴史」日下雅義 著(講談社学術文庫) “Geoardheology”という言葉がある、直訳すると「地考古学」となろうか。本書は 「記紀」や「万葉集」に謳われた水門、潟、津、あるいは災害では地震、水害などの記述 を現在の地形図、空中写真、時には検土杖をもっての現地調査の結果と照合し古代日本を 復元するユニークな一書である。 （田中邦一：日本大学） ◇「村岡測量登記事務所の所長のひとりごと」 日本ブログ村の下に「村岡測量登記事務所の所長のひとりごと」というブログがある。 ハンドル名はSUPERMAN、測量士兼土地家屋調査士の日々の哀歓がにじむよもやま話が綴 られている。 http://www.blogmura.com/profile/00600329.html （田中邦一：日本大学） ＜編集よりお知らせ＞ 1月号は望月さんの担当です。 ■測量協会からのお知らせ ◇公開講座 「中国の古代測量術と邪馬台国」 日程:平成26年1月29日(水) 会場:日本測量協会研修室 講師:野上道男 氏(東京都立大学名誉教授) 詳しくは、http://www.jsurvey.jp/open260129.pdf ◇空間情報技術事例報告集の報告文募集 ☆応募締め切り：随時（投稿報告文が到着次第、速やかに査読） ☆掲載可となれば、日本測量協会ホームページ上の［測量情報館］に掲載 技術事例報告集では、新規性や独創性という視点とは別に、 (1)創意工夫性（何らかの創意工夫による業務改善への貢献など） (2)実用性（実務への応用性や実際に業務等に適用していく際の実用性など） (3)信頼性（技術事例報告の内容やその結果に対して、信頼性や実証性など） (4)今後の展開性（空間情報技術領域の中で、他技術領域への新たな展開や応用 の可能性、他技術との融合性や融合利用の可能性などを含めて今後の展開性） という視点から査読し、技術事例報告として採用致します。奮って、投稿ください。 詳しくは、http://www.jsurvey.jp/kuukanhoukoku.pdf （廿楽実：日本測量協会） ■編集後記 今年もあっという間に年の瀬ですが、師走の慌ただしい中、「和食」がユネスコの無形 文化遺産に登録されました。 ユネスコつながりで、測量で世界遺産といえば「シュトルーベの測地孤」がありますが、 国内の測量遺産としては、土木学会「土木遺産」における測量関連の遺産が先行している でしょうか。もちろん史跡・文化財の指定や保存事業等もありますが、もっと一般的に認 知された測量遺産が増えれば、測量の基本を理解する機会も増えるのかと感じます。 それでは今年もお世話になりました。体調に気をつけ、良いお年をお迎え下さい。 (大橋) ──────────────────────────────────────── All Rights Reserved, COPYRIGHT(c) Spatialist Club このメールマガジンを紹介したい方は各自の責任で転送しても結構です。 ──────────────────────────────────────── |
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