スペーシャリスト メールマガジン バックナンバー

タイトル:スペーシャリスト会報 Vol.93 発行日時:20014年9月13日14時41分40秒
┏ Magazine from Spatialist Club ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
20014年9月13日
◇ スペーシャリスト メールマガジン ◇ vol.93

                    発行元:スペーシャリストMM事務局
                     http://www.capnet.jp/spatial/
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NDEX :
*ニュース・ラウンジ(秋山幸秀)
*企画委員会・各支部活動報告(−)
*リレーエッセイ<空間連携>(松永喜晴)
*新会員のコーナー(日當卓也,橋爪信昭)
*空間情報関連便利グッズ/書籍の紹介等(望月貫一郎)
*測量協会からのお知らせ(廿楽実)
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■ニュース・ラウンジ
 2005年度に空間情報総括監理技術者試験の一期生合格者が誕生してこの2014年で第10期
の合格者を迎えます。当然初期合格者は有資格者として10年目になります。齢と言えば今
年は、日本人男性の平均寿命も女性の世界一更新(86.61)と並んで80(80.21)歳代になり、
また世界平均寿命は70歳となりました。ますます高齢化社会へと進んでいます。一時の世
間の考察では日本人は戦前の健康的体力が失われ、合成食品を摂取し続けた段階の世代以
降は、健康面が劣るので、平均寿命が短くなるとの予想もありましたが、それ以上に安全
な食糧事情(和食)と疾病の早期発見早期治療と進歩した医療技術が功をなした形です。
似たような話では、1970年代のオイルショックの際には油はあと30年で枯渇すると推定さ
れていましたが、リモートセンシングや物理検層による資源探査技術と深海や大深度から
資源掘削技術などが進歩して、新たに発見発掘される油田・ガス田があって30年たっても
枯渇しておらず増えている状況と同じです。それでも、有限な資源に頼る、危うい綱渡り
感が継続していることには変わらず。もし、抜本的改革を行うのであれば、自然エネルギ
ー(地熱、太陽光、風力、潮汐)などにシフトすべきなのでしょう。
 西暦1900年頃の日本人の平均寿命は45歳(欧州60歳)で東アジアの国々の平均寿命は30
歳代でした。それでも医学(東洋西洋ともに)享受可能な環境で栄養が行き届き、健康に
気を付けた人々は現在とそれほど変わらない寿命を享受していたことを考えると、一般市
民への健康的な生活と医療の拡大は平等で先進的な社会のバロメータであり、平均寿命は
その指標であるといえます。近年健康的な生活様式に変えた東ティモール(東南アジア;
旧ポルトガル領)は平均寿命が1980年には34.4歳でしたが30年後は60歳後半になっていま
す。このことからも分かる様に、健康維持に関わる情報も、我々の業界がコンテンツとし
て関与する空間情報も、必要な人に、有益な情報が供給可能な状態であれば、より効率よ
く健全な状態を維持できることが推察されます。その為には各人・各国が良い社会へ繋が
るように意識し働きかけ貢献し、適宜な報酬を得て継続すべきでしょう。
                             (秋山幸秀:朝日航洋)
 
<編集よりお知らせ>
 10月号の担当は大山容一さんです。


■企画委員会・各支部活動報告

 今月号は記事がありません。


<編集よりお知らせ>
 企画委員会及び各支部活動報告の議事録は、毎月10日迄に原稿を送付頂ければ、当月号
に掲載致します。なお、文字数によっては抜粋・要約する場合があります事を予めご了承
下さい。


■リレーエッセイ<空間連携>
 株式会社テイコクの早川和夫さんからバトンを受けました大日コンサルタントの松永で
す。前回、スマートフォンの活用が話題となりましたので、業務における携帯端末の利用
についてお話したいと思います。
 私は2年前からi-Padを業務で活用しています。
 以前は現場へ移動するのに地図や図面を活用(それも広域から拡大版まで紙で準備)し
ていましたが、今では地図アプリや付属のナビ機能を使うことで、その手間が省けるよう
になりました。現場写真も、以前は撮影位置を地物や地形を頼りに記録していましたが、
写真にジオタグが付いているため、記録間違いもなく、現場に行っていない社員でも写真
位置図が作成できるようになりました。また、GPS端末に予め位置合せをした図面データ
を格納しておくことで、山中の現場でも計画位置をある程度正確に把握することができま
す。
 このような便利な位置情報ですが、地形図をもとに現場での位置を判読する能力も必要
かと思います。このようなユビキタス社会の恩恵を受けながらも、技術者としての原点は
忘れないといったことも重要ではないでしょうか。
 次回は、中部SP会つながりで中日本航空の片桐雅一さんにバトンをお渡しします。よろ
しくお願いします。
                        (松永喜晴:大日コンサルタント)


■新会員のコーナー
【執筆順番(敬称略)】
2014年 9月号 日當(パスコ),橋爪(フジヤマ)
   10月号 村田(パスコ),小野(中日本航空)
   11月号 今井(国際航業),大江(パスコ)
   12月号 花上(中央測量コンサルタント),伊藤(国際航業)
2015年 1月号 森本(四航コンサルタント),尾崎(アジア航測),油井(パスコ)


◇「IT技術の進歩はサバイバル能力の退化?」
 私は(株)パスコに入社して19年目。父も測量士だったため、測量の現場デビューは小学
5年の冬休み(1989年)。トータルでは、26年間測量業に携わってきました。今では年に2
回、盆と正月に実家の岩手に帰省し、測量業を引退した父と酒を呑みながら『測量の今と
昔』の話しをするのが、楽しみでもあり親孝行でもあるのかな?と。
 もちろん今年のお盆も、実家でもれなく父の武勇伝を家族全員で聞くことになった。今
から30年ほど前、父が1500mの山頂にある三角点に対標を設置しに行った時のこと。無事
対標を設置したものの、下山する途中で一本尾根を間違ってしまい、遭難。辺りはみるみ
る暗くなり、その場で一夜を明かすことに。周囲が明るくなりかけたところで、父親は迷
わず尾根づたいに山頂をめざしたそうだ。「なぜ山頂を目指したと思う?」と家族に問い
かける父。首を傾げる家族をよそに「正解はこの仕事はアジア航測から受けた仕事だから、
必ず自社のヘリで捜索してくれると思ったから!」とドヤ顔で答える父。「そんなのわか
るわけない!」と、一斉に家族からブーイング。
 この話には続きがあった。父は遭難したが、自力でもう一度下山する体力はあった。た
だ、関係者に心配をかけていることは容易に想像できたし、捜索隊が出される可能性も高
かった。だからまず自分が無事であることをみんなに知らせるべきだと考え、ヘリで見つ
けやすい山頂で待つことにしたという。ほどなくアジア航測のヘリが捜索に来て無事下山
できたそうだ。(アジア航測の方々、父を救って頂き有難うございました)
 外出時には待ち合わせ場所すらスマホのGPS機能に頼りきりの私。山間部では携帯の電
波が届かない場所も多く、充電できずにバッテリーが無くなることも想定される。もし私
が父と同じ状況で遭難したら、無事生還できるだろうか・・・。
                              (日當卓也:パスコ)

◇「仕事について」
 私は、建設コンサルタントとして、橋梁を中心とした構造物の計画・設計等に従事し、
早26年強になります。最近、後輩技術者と接する中で、過去に自分が従事した業務を思い
出すとともに、時代の移り変わりを痛感しております。私が、設計技術者になりたての頃
は、バブル景気の後半とはいえ、建設ラッシュで、新設橋梁の設計が殆どでした。その後、
バブル景気の崩壊、リーマンショック等に付随する建設不況、最近では、東日本大震災
(東北地方太平洋沖地震)や集中豪雨などの災害の多発、また、笹子トンネルの天井板崩
落事故など、これまで、安全とされてきた社会インフラの老朽化が健在化しています。こ
うした中、財政制約と災害による既設構造物の被害が相まって、橋梁については、損傷を
把握する橋梁点検や点検結果を受けての補修設計、耐震性向上のための耐震補強工設計な
ど、既設構造物の延命化(長寿命化)、安全性の向上に関わる業務が主流となっており、
本格的な維持管理時代に移ったと実感しています。 維持管理では、計画から維持管理ま
でのP(修繕計画等)D(設計・工事)C(点検業務)A(点検データ管理・分析業務等)
サイクル全ての段階を通じ計画的・効率的に行うことが重要であり、特に、既設橋の管理
面では、GIS技術は不可欠と考えます。また、将来的には、GPS付カメラやデジカメ付ラジ
コンヘリ等の空間情報技術の有効活用が期待できます。
 今後は、これまで培ってきた自分の経験を若手技術者に継承するとともに、時代に即し
た空間情報技術について指導し、共に学び、技術力の向上を図り、微力ながら、安全で安
心できる社会の構築に寄与していければと考えるこの頃です。今後とも、よろしくお願い
いたします。
                             (橋爪信昭:フジヤマ) 


■空間情報関連便利グッズ / 書籍の紹介 等

◇「気象災害を科学する」三隅良平・著:ベレ出版 定価(本体1,600円+税)
 近年、気象災害が増えている。気象現象に関心を持つことは、自然の僅かな異変に気づ
いて警戒したり、「今後どのようなことが起こるか」を想定したりする上で役に立つ。こ
のことは、個人の防災力を高める上で重要なことであり、避難を迅速に行う助けとなる。
 本書には、激しい気象や気象災害はどのいうメカニズムで発生するのか、予測はどこま
でできるのかを解説されている。局地豪雨のメカニズム、竜巻のメカニズムなど、できる
だけ数式を使わず、やさしく記述している。
 我々が、気象災害から命を守るためにすべきこと、考えておくべきことを知るために、
災害を引き起こす気象の仕組みを理解することは必要である。本書は、気象災害を深く学
ぶための最初の書物である。
 <http://www.beret.co.jp/books/detail/528>
                             (望月貫一郎:パスコ)

<編集よりお知らせ>
 10月号の担当は早川和夫さんです。


■測量協会からのお知らせ

◇公益社団法人日本測量協会から重要なお知らせ
【空間情報総括監理技術者の認定登録更新】時には所定の測量CPDポイントが必要になり
ます。
《更新条件》
 ☆平成21〜23年度までの認定登録者は、25ポイント/5年間
 ☆平成24年度以降の認定登録者及び第1回更新済みの認定登録者は、40ポイント/5年間
  認定資格者の更新対象年度には、日本測量協会からご案内をお送りします。
 また、測量CPDポイントが更新時に基準に満たない場合には、ポイントが基準に達する
 年度まで更新はできません。当協会から発行される認定技術者名簿にもその間は未掲
 載となります。

◇第38回 地理空間情報イブニング・セミナー
 「地理院地図3Dの紹介」
  講師:出口智恵 氏(国土地理院地理空間情報部電子国土調整官)
  日程:平成26年9月24日(水)
  会場:日本測量協会研修室(東京)
  詳しくは、 http://www.jsurvey.jp/k-academy260924.pdf

◇空間情報技術事例報告集の報告文募集
 ☆応募締め切り:随時(投稿報告文が到着次第、速やかに査読)
☆掲載可となれば、日本測量協会ホームページ上の[測量情報館]に掲載
技術事例報告集では、新規性や独創性という視点とは別に、
(1)創意工夫性(何らかの創意工夫による業務改善への貢献など)
(2)実用性(実務への応用性や実際に業務等に適用していく際の実用性など)
(3)信頼性(技術事例報告の内容やその結果に対して、信頼性や実証性など)
(4)今後の展開性(空間情報技術領域の中で、他技術領域への新たな展開や応用
   の可能性、他技術との融合性や融合利用の可能性などを含めて今後の展開性)
  という視点から査読し、技術事例報告として採用致します。奮って、投稿ください。
  詳しくは、http://www.jsurvey.jp/kuukanhoukoku.pdf
                            (廿楽実:日本測量協会)


■編集後記
 先ごろ、伊能忠敬が測量したとされていた北海道南部の測量図が、実は弟子の間宮林蔵
が測量した可能性があるとの説が発表されました。伊能忠敬の測量データと米国で発見さ
れた最終版の写しの「ずれ」が、重ね合わせで検証されたようです。
 およそ200年前の出来事に対し、新たに発見される事実もあります。
 国土の基盤を担う仕事は、過去に作成した成果がいつまでもかたちとして残り、活用、
検証、評価、そして指摘される可能性があることを意識させられます。                                    (大橋)

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